【再掲載】WIN&WINの社長が語るアーチェリービジネス。

park.jpg(2011年のインタビューです)

WIN&WINの社長パクさん(写真右の方)へのインタビューです。インタビューの原文は英語ですが、話したら日本語でもと言うことになりましたので、訳してみました。


「私の心が導いてくれた場所」

韓国を代表するアーチェリー企業WIN&WINの社長とのインタビュー。WIN&WINの歴史と・未来について。

韓国を代表するアーチェリーメーカーWIN&WINの歴史は、情熱にあふれ、心の赴くままに身を委ねてきた一人の男の歴史であると言える。CEOのパク・キュン・エラは「代表取締役」という役職以上の人間であると感じられた。韓国代表選手団の監督であったという経験を持っているだけでなく、アーチェリー全般の知識も豊富であり、製品すべての企画にたずさわり、責任を持って商品を製作している。ソウル市内から数キロ離れた場所にWIN&WINの本社がある。そこで私は”カリスマ”に出会った。

※以下より、インタビュアーをI、パク・キュン・エラをPと表記する。

I:私たちが本社に到着するとまず韓国古来の弓矢を使用したデモンストレーションを見せて下さいましたね。この韓国古来の弓矢はあなたの人生においてどんな役割、存在なのですか?

P: 私にとって、アーチェリーは人生です。たくさんの喜びを味わうことができ、そして、世界中のアーチャーに対して販売者として関わることができる。アーチェリーの他にゴルフもします(**)。しかし、これまでの様々な経験を思い出せば、韓国古来の弓が私自身を形成しており、癒しとしての役割も担っていたことに気づきました。

アーチェリーは本当に私の人生であると思っていますが、もちろんアーチャーとして生まれてきた訳ではありません。中学生の時にアーチェリーを始めました。中学校にアーチェリークラブがあり、クラブを運営していた男性と知り合いになりました。その方は現在韓国アーチェリー連盟の役員の方で、なにも知らない私に熱心にアーチェリーを教えてくれました。私がここまでアーチェリーに対して情熱的でいられるのは、彼のおかげだと言っても過言ではありません。ちなみに彼の娘さんにもお会いする機会も与えていただきました(現在私の嫁です 笑)

I:アーチェリー用品を販売する会社を設立した際、ゼロからのスタートということでリスクは全く感じなかったのですが?それとも少しはありましたか?

P: 会社の設立までの経緯を説明します。あなたの質問の答えになってないと思われるかもしれませんが、1984年から韓国代表の男子チームの監督をやらせていただき、なにも問題のない環境でした。韓国男子はフランスやロシア代表よりも弱い時代でしたが、選手のパフォーマンスもチームの方向性も良い方向に進んでいました。

私はとにかくベストなコーチになることが第一の目標でした。ナショナルチームでの指導というだけでなく、セミナーや講演会などを開き、知識を世界中に広めることが目標でした。

その後、チームは強くなり、1991年に”あの”アメリカに韓国代表チームの監督として招いていただいた際に、この役職に対して設定した目標は達成されたように思いました。当時私はまだ若かったせいか、もう一つ夢を持つ必要性、新しい目的を持つ必要性を感じました。
リスクに関しては考えてませんでした。最高の弓を作りたいという一心で、一種の夢のような感じですが、心が赴くまま夢に向かって取り組みを始めました。

I:困難や苦難はありましたか?またどんなものでしたか?

P: 最も苦しんだのが資金での問題でした。最初の資金は3,000万円でしたが、試作や設備投資のために2年間で貯蓄もすべて使ってしまいました。お金はもうありませんでした。資金面以外では、やはり理想の弓具を作ることの難しさです。しかし、友達や信頼できる人たちに囲まれ、状況を打破する事が出来ました。

次には、販売する商品に関して苦労しました。この点に関しては、2004年のアテネオリンピックの際、自社製品が様々な問題を抱えており(***)、オリンピック後の半年間は商品の生産を止めざるを得ない状況にまでなり、本気で事業をやめるかどうか考えました。今思い返してみてもとても難しい時代でした。

I:現在のWIN&WINの哲学はなんですか?

P:WIN&WINは世界中のアーチャーに影響を与える会社となり、知名度も増しましたが、その点は大して重要ではありません。何が一番大切かというと、夢を共有すること、そして、その夢を叶えるための前進するという確固たる意識が大事です。
これまでの経験の中で自分が「絶対に乗り越えたい」と思ったことを、確実に乗り越えてきたからこそ、今があると思っています。アーチェリー用品の販売する会社を作りたいと思ったとき、まず私がしなければならなかったことは安定した収入を得ることができたコーチの職と一流のコーチングの経験を捨てて、ゼロからスタートすることでした。

会社設立の時の話を聞かれると、私はいつも自分の理想、世界で、最も優れている弓を作りたかった、という気持ちから話をします。それは今でも持っている思いです。それ以外の事は、正直、大して重要ではありません。私のモチベーションであり、私の支えて来た”哲学”はそれだけです。

I:あなたのこだわる「世界で最も優れている弓」とはどんなものですか?

P:それは、高性能であり、かつ、低価格である弓です。メーカー間の競争は、特に技術面においてアーチェリー競技に良い影響を与えていると思います。また、これはアーチェリーメーカーにとっても良いことです。なぜなら競争は市場に活気を与え成長を促すからです。競争が激しくなれば激しくなるほど、市場は早いスピードで成長します。

I:あなたは「社長」という今の地位・役割を楽しんでいますか?

P:楽しんでいないとは言えないと思います。これまでのわが社の実績に関してとても嬉しく思っています。しかし、最高の・完璧な弓を作るための挑戦に終わりはありません。HoytとWIN&WINの間での競争を客観視したとき、売り上げでは私たちはHoytを超えたと思う部分はあります。しかしながら、歴史に裏付けされた実績という面からみると私たちはまだHoytに負けています。
今の競争は、「良い競争」であり、私たちを成長させてくれる競争です。競争があるからこそ私たちは常に革新を続け、テストを重ね、視野を広げる努力をしております。性能と価格での競争は良い競争です。ただ、お金をばらまくような資金面での競争はしたくありません。

I:WIN&WINの生産体制はどのようにしているのですか?

P:WIN&WINは2か所の工場を持っています。ひとつは韓国南部にあり。ここでは主にリムを製造しています。もう一つは中国にあり、ここでは主にハンドルを製造しており、その中でも中級クラスの物とSF Archeryの製品を製造しています。それぞれおよそ300人の従業員を抱えています。リカーブとコンパウンドボウのどちらも製造するHoytとは異なり、私たちはリカーブだけの製造を行っています。

I:なぜコンパウンドボウ市場には参入しないのですか?あなたの個人的な意見ですか?また、技術が不十分なためですか?

P:もちろんコンパウンドボウ市場への参入は大きな一歩となるでしょう。しかしそれは私の目標の中に含まれているものではありません。これまでも、そして、これからもコンパウンド部門への参入の計画はありません。なぜなら、私達はリカーブ部門において明確なコールを設定し、取り組んでいるからです。

一度にいつくものボールをジャグリングすることは困難です。正直な話、興味をそそる市場ではありますけどね…。

I:あなたに初めてお会いしたとき、1990年代に活躍した著名なアメリカ人コーチを超えることが目的かどうかを聞きました。現在はアーチェリー製品の製造という点においてアメリカ人の製造者を負かしてやりたいという気持ちはありますか?

P:Hoytやその他の業者に対して「負かしてやりたい」とは言うつもりはありません。でも、私の中では常に「アメリカだったら」という気持ちはあります。アーチェリー選手だったとき、またコーチだったときもです。心のどこかでアメリカと競争しているという認識がいつもあります。
この質問は、私がアーチェリー選手であった時代を思い起こさせてくれます。当時、世界のトップ選手と言えばアメリカのリック・マッキーニ(1976-1992年までのオリンピックに4回出場、うち銀メダル2回)か、ダレル・ペース(オリンピック3回出場、うち金メダル2回)でした。選手だった当時も、今も、やはり常にアメリカ人に勝ちたいという思いは強く持っているかもしれません。選手時代、アメリカ人に勝つ能力はあったと思いますが、国際試合での経験をはじめとして、私達は経験が圧倒的に足りませんでしたので…。

ただ、私の会社という視点から見ると、繰り返しにはなりますが、どこかのメーカーに「勝ちたい」と思っているわけではありません。相対的な競争ではなく、絶対的に「完璧な弓」を作りたいという思いだけです。

I:リカーブ用に新しい商品がデザインされたとき、一連の企画の中で、どの段階であなたは参加されるのですか?

P:WIN&WINには、新しいアイデアの探求・既に存在する商品の改善などを行う調査開発チーム(research and developing team)があります。基本的に私はクリエイティブでいることに努めており、新しい商品に対しての私の考えをこのチームに直接伝えることもあります。工場にいるときは、その仕事がメインです。基本的に私は24時間全てアーチェリーのことを考えています。

I:バイター(ドイツ・バイター社CEO)は常に自分のベッドの横にノートを置いて、いつアイデアが浮かんでも良いように対策を取っていたといいます。あなたはどうですか?

P:(笑って)私も必ずベッドの隣にノートを置いています!ノートは発明者の必需品ですね。ベッド横にノートを置くのは、どのメーカーでも、広く行われていることかもしれませんね。そう思いませんか?

I:INNO CXTハンドルやINNO EXリムの販売を開始してちょうど一年を迎えますね。この商品の販売実績に対して満足していますか?経営面と技術面の両方からお願いします。

P:INNOモデルとINNO CXTモデルを比較すると、売り上げは40%の成長を記録しました。これは素晴らしい実績です。CXTモデルを購入いただいた方からの評価もよいです。INNOでは正確さと安定性を重視していたのに対し、新しいCXTモデルではさらにリリースの際のストリングの動きを重要視しました。CXTモデルでのストリングの動きは限りなく真っ直ぐです。そのためストリングが腕に当たることはほとんどありません。この技術は私たちが開発に尽力して来たもので、着想から完成までかなりの月日を要しました。今後もこのような技術開発を積み重ね、更なる革新を目指して行きたいと思います。

I:次に開発に携わりたいと考える商品はありますか?

P:現在サイトやスタビライザーなどのアクセサリーを中心に開発・改善を進めております。しかし、いつまでもこれらの商品開発をメインとするつもりはありません。会社は、リカーブの”弓”をメインの商品として取り扱っています。

あなたが聞きたがっている事は分かります。矢の話をしましょうか?

I:矢の話をお願いします。学校などで見かけることが多いので…

P:わずかではありますが、韓国人のユース向けに数種類製作しています。ただ、商品として販売はしておりません。矢の生産量も少量です。今後発展させていきたい商品とは考えていません。

I:韓国旅行の最中で若いアーチャー、特に大学生に出会うことが多かったように思えます。韓国で最大のアーチェリーブランドとして、国内にはどのようなメッセージを発信したいと考えますか?

P:私は若さは人生の中でとても大事なものであると考えます。WIN&WINの最高責任者として、他人の人生にどのぐらい影響を与えられるかわかりません。ですが、私は若いとき単純に安くて性能の良い弓を作りたいと思いました。今の私の役割は、アーチェリー市場を繁栄させ、成長を促し、多くの人に良い商品がいき届く環境を作ることです。私たちの責任は「アーチェリーに関する分野であれば、その需要にこたえる」というものだと考えています。

韓国では製造者が直接消費者を関わることができるシステムはありません。しかし、いずれそのようなプログラムができることを望んでいます。アーチェリーブランドの責任者として、消費者のニーズにこたえていくことが義務だと考えています。

I:あなたにとっての永遠のトップ・アーチャーは誰ですが?その理由も教えてください。

P:キム・スーニョンです。いろいろなトップ・アーチャーの、いいところをすべてを持っている選手だと思っています。最近のアーチャーのポスターに写っているような選手の、その射ち方の原点がキム・スーニョンの射ち方なのです。

キム・スーニョンが成功するまで、7秒程度でうつことが主流でした。彼女は早くうつことの必要性・重要性を広く知らしめました。彼女の集中力には誰も勝つことは出来ないでしょう。同じように、今のトップ・アーチャーも国際大会という大舞台で、最新のうちかたを世界に向けて発信していくべきなのではないかと思います。

I:ロバート・ルイス・ドレイファス・アディダス前CEOは、「スポーツでは結果が全てだ」と言っていました。あなたはこれに対してどう思いますか?

P:私も大会や競争は勝つという結果を得るためだけにあるものだと思っています。ですが、その中に「楽しさ」もあることを忘れてはいけません。楽しむことこそがスポーツの醍醐味であり、競争相手とも共有するべきものなのです。

*インタビューは韓国で行われました。

**噂によるとゴルフの腕前はELIの社長(リンク先の後ろ姿で映っている方)が業界トップらしい。

***2005年頃にXQ-1リムの全出荷分のリコール(交換)をしてます。

2010年以前の記事の処理について。

使っていたバックスキンが終了してしまったので、新しく次はスエード素材を試してみようと思いゲットしてきました。なかなかの値段になっていますが、1m x 1mの価格です。1m x 10cmだと 616円で、10枚は取れるので、1枚あたりは60円ほどです。

以前書いた記事のコメントで「悪質って、よく言えますね(笑)」というコメントをいただき、自分としてはとっくに説明したはずなのですが、考えさせられるものがありました。

このサイトの前身は2005年から始まり、もう16年経ちます。最初のmixiは非公開でしたので、いわゆるSince~にはカウントしていません。その後、公開のヤフーに移行し、さらにFC2、2014年頃にドメインを取得して、契約サーバーの現在の形になりました。

16年も経つと自分では書いた、説明したはずの話でも、お客様・読者の多くは近年の記事して読んでいないわけで、書いたつもりになっていては、正しく伝えることができないのだと実感しました。書いた記事全部読んでから質問してくださいというのも、記事数(約3,000)を考えれば、ただの無茶振りです。

今までは、自分が書いてきたことの記録として、今風で言えば、デジタルタトウー、一度書いたものは消えないという戒めとして、書いたものは消してきませんでしたが、今後は古い記事は削除する方向に転換します。メーカーは2-3年サイクルで商品を更新していくので、3-4サイクル、8-10年位前を目処に削除していく予定です。ただ、記事のカテゴリーが「理論」として登録されているものは自動で削除しません。正しく書き直して更新するか、削除する理由を記事として書いてから後日削除します。

よりよい情報発信のための処置としてご理解いただけると幸いです。

マシューズ(Mathews)ターゲットライン継続の発表。

マシューズより、2022年の新商品はコロナの影響を受けていないハンティングに集中することが発表されました。ハンティングモデルでは、いくつかの最新モデルが新しく発表されます。ターゲットモデルは、年内には新しく発表されないとのことです。2021年モデルはすべて2022モデルとして繰り越されます。

【別解釈】KSLショットサイクルへの理解。

この記事は補足です。まずは、下記のリンク先の元の記事を読んでください

KSL Shot Cycle - 日本語版 (KSLインターナショナルのウェブサイト)

韓国代表、オーストラリア代表のコーチでの成功を得て、現在はアメリカチームのコーチをしているリー・キーシクさんのシューティング理論(KSL ショットサイクル)について、許可を得て、公開されている部分(収益目的でなければ利用可能)の翻訳を行いました。当然原文に忠実に翻訳したので、翻訳しながらも、ここは補足が必要だなと思った部分があったので、こちらで補足を加えたいと思います。ですので、まずは、こちらのリンク先の翻訳した記事を読んでから、または、読みながら、この記事をお読みください。

また、KSLショットサイクルは「インサイドアーチャー」という日本語に翻訳され本でも紹介されています。そちらのほうが先です。その本の理解について、あまり多くの方とディカッションしたことがありませんが、身近のリカーブアーチャーに聞くと、難しい・よくわからないという意見が多いです。これは本の翻訳にあまり成功していないからだと考えます。KSL理論に特に難しい部分はなく、今までのシューティング理論に加えて、新しく「角運動」「ローディング」「トランスファー」が追加されていますが、その翻訳があまり良いとは思えないのです。

角運動の説明(I:P.85)として「つまり、角運動とは常に変更している直線の運動で、常に変更している方向が曲線を描くということだ。」…いかがですか?

アバロンのときも思いましたが、私にも誤字・間違いはたくさんありますが、上のような通じない日本語は使用していないと思います。雑誌アーチェリーさんの通じない日本語を気にしないのはどうかと。

ということで、すで翻訳されていますので、私の方は別解釈とします。もともとKSL理論を十分に理解している方は、逆に混乱するかもしれないので、読まないほうが良いかもしれません。KSL理論を知らない方、まだ十分に理解できていない方向けに、新しい視点と解釈で理解をしていただくことを目的としています。

・私の翻訳 = Y / インサイドアーチャー = I

まずは、角運動(Y:9章,I:10章)について解説していきます。これは、私の翻訳したものでは、動きの比率(円形の動きの比率またはROCM:Ratio of Circular Movement)と呼ばれています。

いきなり難しい言葉ですね。角運動とはなにか、ぐぐってみると、あまりヒットしないと思います。最初に出てくるのは、角運動量でWikiの定義は、「角運動量とは、運動量のモーメントを表す力学の概念である。」とあります。いきなり挫折しそうな日本語ですが、ここで使うのは、角運動であり、角運動量ではないので安心してください。

角運動量はともかく、角運動とは単純に回転運動のことです。物体の運動は大きく2つに分類でき、直線的な「並進運動」と「回転運動(角運動)」です。では、なぜリーコーチは難しい言葉を使うのか。

KSL理論は2次元の理論です。今までの「まっすぐ引き・まっすぐ押す」という1次元の理論とは違います。1次元の理論を拡張するために、回転運動(角運動)が必要となり、更にそれを微分(後述)して、並進運動に変換し、2つの運動を組み合わせることで、2次元の動きに拡張しています。

以前には、回転による動きの比率( ROCM:Ratio of Circular Movement)と全部説明が入った言葉を用いていましたが、角運動のほうがスッキリしています。意味は同じです。

言葉は長くなりますが、 回転による動きの比率( ROCM:Ratio of Circular Movement) の方で説明します。造語のほうが個々人の理解が同じところから始まることが期待されます。上の図は(いつかちゃんとした写真に変えたい…)はシューティング時の引き手のひじの回転の回転運動による軌跡です。ドローイング中の青、これは曲線、曲がっていますね。アンカーに入っていく黄色では、曲がってはいますが、湾曲が少なくより直線に近いです。最期のクリッカーを落とす部分では、直線に近くほぼ曲がっていないことがわかると思います。つまり、回転による動きは曲線を描きますが、微分と同じ概念で、その一部を切り取ると、切り取る一部が短いほど、直線的な動きとみなせます。そして、肩甲骨は軸となる背骨により近いので、僅かな角度の回転でも、引き手の肩、引き手の肘によって動きが増幅され、大きな動きとなり、クリッカーを落とすのに十分な1-2mmの伸びあいとなります。

KSL International Q&Aより

アーチェリーにおいては一貫性が重要です。従来の理論、リーコーチが、”「継続的な外側の動き」での指導手法(Y:8章)”と呼ぶものは、「まっすぐ引いてまっすぐ押す」と単純ですが、人体は1次元的ではないので、合理的ではないと彼は考えます。そこで回転運動を中心とするKSL理論となるわけですが、ドローイングでは大きく回転する回転運動、伸び合いでは、その回転量をごくわずかとすることで、体幹とLAN2(写真参照)による回転運動という一貫性を維持しながら、それを直線的な動きに変換して、最終的には「まっすぐ引いて押す」従来の1次元の直線的なシューティングに収めていくわけです。

最初に取り上げた迷訳は”So angular motion can be thought of as continually changing linear direction, as long as the continually changing linear directions follow the path of a curve.”という英語ですが、「つまり、回転(角)運動は連続的に曲線の経路をたどり、絶えず方向を変えていく直線の向きだと考えることができます。」と私は訳しますが、理解していただけるだろうか。

次のあまり見覚えのない用語として「ローディング(Loading)ポジション」があります。インサイドアーチャーでは「負荷ポジション」という翻訳を使用しましたが、私としてはしっくり来ません。ローディングという言葉、カタカナで見ることはほぼありません。しかし、

・ロード

・LOAD

・Now Loading…

という言葉ならどうでしょうか? バイオハザード1で言えば、扉が開く瞬間ですが、読み込み/読み込み中という意味で、ゲームやパソコンで見かけることも多い言葉だと思います。LOADを負荷と翻訳することもできますが、スポーツ界ではあまり使わないと考えます。アーチェリーだと国際貨物の伝票や、クレーン車などで、「負荷」という意味で使われているだけです。

リーコーチの本では、バレル(銃身)やセーフティ(安全装置)、トリガー(引き金)といった射撃で使われる言葉を多く出てきます。射撃では、LOADは装填(火薬を込める)という意味で使用されます。私としては、LOADを「負荷」ではなく、装填に近い意味で翻訳、使用すべきだと思います。また、ローディングを負荷と翻訳すると、現在進行系にできず、色々と意味不明となります。

自分はそのままローディングと訳しました。写真上の赤い矢印(押し手から引き手の肩まで)を”銃身”とみなし、そこに矢を装填する(矢を”銃身”を同一直線上に置く)という動作となります。同一直線上に置く以上、これ以上、LAN2が回転してしまうと、ズレてしまうので、2次元的な回転運動はここまで。ここからは微小な回転運動に「移行」し、瞬間的な直線運動(instantaneous linear motion)になり、クリッカーを落とし、リリースに繋がります。

赤のVの部分が9章エイミング & 伸び合いに出てくる「Vディップ」

そこで最期の言葉がトランスファー(移行)です。私は移行と、そのままのトランスファーと両方の言葉を使って翻訳しましたが、上で説明した「回転運動から直線運動への移行」と、引き始めは人体の構造的な制限によって、背中の筋肉で引くことはできず、どうしても、腕や手の力で引き始めることになります。引き込むにつけて、背中側にテンションを転換(トランスファー)することが可能となります。リーコーチによれば、0.5秒ほどかかるそうですが、引き込まれた位置で、引き始めに発生した腕や手などの不要なテンションを背中側に転換するわけです。この2つの事を行うステップです。

・角運動 - 回転運動、または、瞬間的な直線運動

・ローディング - 射撃の装填のように、自分の”銃身”に矢を込める、同線上に置く動作

・トランスファー - 直線運動への移行・背中側の筋肉/LAN2へのテンションの転換

この3つの言葉が理解できれば、あとは難しいところはないと思います。もう一度、KSL理論を復習してみてはいかがでしょうか。不明な点があればコメントください。

自分のタブを作っていく。

自分が高校時代のタブは高くても4000円位でしたが、今では高いと10000円を超えます。コーチなどへのライセンス代もあるとは思いますが…自分で作ったほうが早いかもしれませんね。ベアボウの新しいタブはセーカータブをベースにいろいろとイジりました。その結果、この位置が最適でした。

まずは、タブに取り付けるためのベースを作っていきます。セーカータブはM3のネジを使用しています。

そこに親指の乗せるパットを作っていきます。矢印の厚みは、3mm/5mm/7mm/10mmで4タイプで作成しました。

次の練習でどれが合うかを試していくこととなります。

技術を向上させるMantis X8解析システム。

もともとガンシューティング用に開発され、昨年からアーチェリーにも対応したマンティス(Mantis)シューティング解析システム、本日より使用を開始しました。まず、最初に気をつけていただきたいのは、このシステムはアーチャーのパフォーマンスを解析し、フィードバックして、技術の向上を助けるシステムです。使っていて、まずはっきりしたのは、体力不足・体力に問題がある方は使うべきではありません。解析システムからのフィードバックでは、それが体力によるものか、技術によるものかの切り分けはできません。

このあとの記事はすべて技術の向上の面から書いていきますが、体力が不足していて、点数が出ていない場合、このシステムを使用することで、かえって混乱する恐れがあると考えます。体力が不足している方はまずトレーニングをシて、弓を引ける体力をつけてください。

多くのトップアーチャーが使用していて、おすすめしていますが、トップに限らず有用なシステムです。ただし、技術を向上させるもので、体力が不足している場合には、逆効果のなる恐れがあるので使用することをおすすめしません。

では、まずは全体像の説明です。上の写真がパッケージに含まれているものですが、センサー・マウント・マウントネジ・親切にも接着する前のための使い捨てアルコールシートが含まれています。マウントを使って、センサーを弓にマウントしてください。矢と平行な面が望ましいです。ベアボウならサイトマウントで問題ありません。

この解析システムは3層(or4層)からなります。

センサー - 弓にX8システムを装着。加速度センサーとタイミング(時間軸)を送信。

⇅ ブルートゥース接続

スマホ - アプリでデータを収録、サーバーに送信(見ることも可能)

⇅ ネット

データサイト - データの分析/出力 https://train.mantisx.com/archery/

⇅ 解析

(任意)CSV – データサイトよりCSVで詳細のデータを出力可能。好きな統計ソフトで解析可能。

自分用であれば、CSVによる統計的解析をする必要はないと思いますが、ご自由に。チーム\団体で使用するのであれば有用だと思います。私は3層目までしか使用しないです。

データサイトは英語にしか対応していません。アプリは日本語に8割程度対応していますが、というか、私の方で翻訳しているのですが(昨年末)、今年アップデートがあったようで、それの翻訳をしていないので、一部翻訳されていません。申し訳ございません。これからやります。

続く。

*10月より商品に対するサポートを開始します。あわせて、販売価格を引き上げさせていただきます。ご理解ください。

いくつかのお知らせ。

さて、次の試合まで1ヶ月ありますので、この間に射型を少し変え、タブを変え、また、マンティスX8のセッティングをしたいと思っています。取り扱いの記事で書いたとおり、自分が使えできない状況で、挑戦者価格として1000円安く提供してきましたが、近く通常価格に戻ると思います。

KSLショットサイクルについての解説の翻訳が終了しました。現在、KSLインターナショナル側のチェックを待っている状況です。わかりやすさを重視して翻訳しましたが、勝手に付け加えることはできません。日本語版が承認され公開された後、そのページをベースとして、こちらの記事で追加の解説をしたいと思っています。また当然、正確にリー・キーシクコーチが書いた公式解説は向こう側だけです。

不明な点はインサイドアーチャーの第二版をベースとしています。日本語に翻訳された第一版には誤りが多く、あまり参考にならないです。過去に書いた気もするし…しかし、検索して出てこなかったのですが、例えば、この図などは全くの逆です。日本語版では間違ったまま翻訳してしまっていますが、翻訳した人は気にならなかったのでしょうか。

アーチェリーやってる人ならわかると思いますが、どうやって引いたらサイトピンこんな動きになるのやら…。引き手も押し手も緩みっぱなしじゃんと。

こちらが第二版で訂正された正しい図となります。KSLのサイトでは公開されていますが、日本語版の正誤表を見つけることができなかったので、今でもこういう間違いは新規のアーチャーを惑わしているのかもしれませんね。文句を言っても仕方ないので、微力ながらも、こちらのサイトで正しい解説をすることで、なにか貢献できればと思います。

ベアボウで使用するいくつかのレストでは、プランジャーをレストの固定のために使用します。そのため、レストの厚みを加えたものが、ウィンドウの厚みとしてセッティング時に反映されます。通常のプランジャーでは、シリンダーの長さが足りなくなり、センターショットが出ない事があるので、アバロンのロンクシリンダー(44mm)タイプを仕入れました。その長さであれば、どんなタイプでも対応できます(硬いハンドルカバーだと入れる時苦労します)。

AVALON マイクロプランジャー - JPアーチェリー

マイクロカムタイミングチューニング用に。

コンクエスト(conquest)アーチェリーからカムタイミング調整用にケーブルを1/8回転から調整できるパーツが発表されました。カムのタイミングは基本ケーブルをねじることで行いますが、ねじる以上、1/2回転が限界です。それ以下の調整は理論上不可能です。

そこで、ケーブルの間に写真のようにパーツを挟むことでケーブルを短くし、1/8回転に相当する調整ができるようにするというアイデアです。アイデアはよくわかりますし、その意義もわかりますが、違うもの挟んでもできるので、専用の物が必要なのか微妙なところな気がします。とりあえず、1セットは発注します。

本日の試合で目標の500点を超えました(BB/50m 514点)。帰りに電車でちょっと祝杯を。今期のターゲットは終わりですので、10月から来年度の全日ターゲット対象になる試合で550点アップを目指します。今年中には1回位は出したい!

勉強になりましたので、今週もがんばります。

今日はここまで。KSLインターナショナルさんから、日本語の翻訳への了承が出ましたので、現在作業中です。2日間で半分終わったので、日曜日までには終わるかなと、明日は店舗も休みですので。

作業していると、頭とか体よりも、目がしんどくなってくるのは人生の成長の証拠でしょうか…。

さて、日曜日の初のベアボウターゲットの試合は500点を目標にしていましたが、486点ともうちょっと努力が必要な点数に。ただ、はじめての試合でベアボウ先輩方の射型を後ろから見て勉強でき、いろいろと得ることがありました。反省点を生かして今週末こそは500点を超えていきたいと思います。

クロスボウに関する規制最終段階。

警察庁のホームページに、最終的な運用についての詳細と、それについての意見の募集が始まりました。9月25日までです。一点注意していただきたいのは、すでに国会で決まったクロスボウの規制に対する意見ではなく、

クロスボウの所持が許可される試験又は研究、所持許可に係るクロスボウの構造又は機能の基準、クロスボウ講習会の講習課程について定める銃砲刀剣類所持等取締法施行令等 修了者と同等以上の知識を有する者等の一部を改正する政令案について検討しています。

「銃砲刀剣類所持等取締法施行令等の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について

すでに警察が決めたこととしては、所持許可の手数料とかあるので、そこは何を言っても変わらないと思いますが、それ以外の決まっていない部分に関しては、意見聞いてくれるのではないでしょうか。

この段階が終わったら、10月くらいに正式な規制が出ると思います。

「銃砲刀剣類所持等取締法施行令等の一部を改正する政令案」に対する意見の募集について