5回目の最終回です。これまでは昔の話ですが、現在進行・将来の話となりますので、ほぼ私見です。また、その予想に対しての会社としての対応も書いておきます。
ここまでの記事で書いたように、弊社は00年代のアーチェリーショップというローカルだったビジネスが、グロービルなビジネスになってしまったタイミングで参入しました。近年、ダイナシティのような国産メーカー再誕生や、前回の記事のように韓国メーカーを中心に、メーカーが日本語でのビジネスに対応することで、もしかしたら、アーチェリーショップというビジネスが再度ローカルビジネスに戻るのかもしれません。
ビジネスがローカルとなるということは、プロショップを始めることがより簡単になるので、多様なプロショップがこれからも登場するかもしれません。新しいプロショップがどんなことを仕掛けてくるのか楽しみです。
→ 弊社としてはローカライズされるとしても、利潤ベースとなるはずなので、お金になる競技リカーブ・学生向けアーチェリーだけと予想しています。10年代以降力を入れてきた、コンパウンド・ベアボウ/フィールドカテゴリーでは、そのような変化はなく、今後も影響はない分野を深堀りしていきます。
一方で心配しているのは、国内での韓国メーカー代理店のビジネスのやり方です。前回の記事を10月8日に書いて、会社も練習場の休みの今日に最終章を書こうと思っていたのですが、それに合わせたかのように(偶然だとは思いますが)、昨日まで、某メーカーの総日本代理店が「総代理店の真骨頂」と銘打ったセールを行いました。
価格自体は弊社や渋谷アーチェリーとそこまで変わらないものでしたが、まさに恐れていたというか、起きてほしくない事態が起きてしまったと感じています。特に「総代理店の真骨頂」という言葉は象徴的です。
私たちは代理店として業界でそれなりに評価されていて、近年新規メーカーとの契約で拒否されたことはほぼない(*)のですが、それは代理店として商品を適切な価格で販売しているからでしょう。説明として、代理店となったスカイロンのパラゴンシャフトを例にします。
*YOSTとは結べませんでした。
弊社が最初にパラゴンをリカーブ用として紹介し売り出しましたが、このときにつけた金額が13800円(2018年9月)です。もちろん商品が優れていることが一番大事ですが、商品の評判が良ければ、他のプロショップも当然この商品に目をつけ販売したいと思うでしょう。そのときに、私達が13800円で販売実績を積み上げている以上、同じような価格で販売して十分な利益を得ることができるかが、判断の基準です。
その後、渋谷アーチェリーなどがパラゴンの販売を開始します。ビジネスになると判断したのでしょう。競合するので、歓迎というわけには行きませんが、販売するプロショップが増えることはメーカーの成長につながるので、悪いことだとは思いません。また、競合が増えても、価格競争はせず、今も13800円です。
代理店として、メーカーと共に成長するためには、適切な価格で販売し、その商品の価値を維持することが求められていると考えています。近年、為替が100円~120円まで大きく動いていますが、弊社ではほぼすべての商品の販売価格を変えていません。セールも在庫の入れ替え以外ではしていません。これは長年のポリシーです。
代理店の真骨頂として、商品を安売りすることは出来ますが、それは禁じ手でした(と思っていました)。それを総代理店が、かつ、販売が継続している現行モデルで行ったことは驚きです。お客様にとってはより安く商品が手に入ることにつながるので、一時的にはいいことだと思いますが、長期的には販売するプロショップ、特に在庫リスクを抱えて販売するプロショップの減少につながることは間違いないと思います。
→ 弊社としては、このメーカーの価格が安売りされると前から予測していたので、近年少しずつ取り扱い商品数の削減、在庫数の削減を続けてきましたので影響は少ないです。今後も当分は取扱商品数・在庫数を増やさず、状況を見守ります。このようなメーカーが増えないことを祈るばかりです。
コロナの収束も見えてきたような気がしますが、2022年度からは普通にアーチェリーができる環境に戻るなら、アーチェリービジネスも2年間の我慢を終えて再スタートします。以上の書いたように、アーチェリー業界に身を置くものとして楽しみにしているところもあれば、心配しているところもあります。2030年ごろにまたこの10年間を振り返る記事を書きたいと思います。
終。