
ドイツのアークテック(Arctec)社の新型ロッドが入荷しました。クロスチューブというロッドです。老舗メーカーではありませんが、アイデア商品のCPRシステムで一気に世界中に代理店を獲得し、急成長中のメーカーです。

前に書いたか忘れましたが、昨年の11月に画期的なダンパーを発表して、まずはそれを
アッパーに搭載したものが発売されました。Nimesのブースでの新作発表はなかったのですが、担当者が今年の春には、同じダンパーを搭載したスタビライザーが発売されるといっており、今回6月に正式発表されました。

まずは、昨年発売されたリムアッパーに搭載されたダンパーについて振り返ると、少し前…いや、結構前のTFCと呼ばれるダンパーなどで採用されていたネジの締め具合によって、ダンパーの硬さを調整するという機能を備えています。もちろん、あまりに締め込み過ぎるとゴムが壊れてしまうので、メーカー側でリミットを設けていますが、使用する弓との相性を見ながら、20%程度(個人的なフィーリング値)ダンパーを硬くしたり柔らかくしたりできます。
このダンパーが今回スタビライザーに搭載されたものが発売され入荷しました。

アークテックはコンパウンドの超高剛性ロッド(リカーブでの使用には適さないです)では実績のあるメーカーなので、同じ系統のロッドに、この新ダンパーを搭載したものが届くのかと思っていましたが、全く新規の開発されたロッドになっていました。
上の写真を見ていただければわかるとおり、かなり細いです。直径は16mmでリカーブで使用される上位モデルでは最も細いロッドだと思います(競技用ロッドと限定しないとドインカーの子供用ロッドのKID-Oスタビライザーの方が細いです)。
太いHMC22(22mm)に比べて、28%も細く、HMC+(20.5mm)比で22%、細く剛性があるロッドの代表であるCEX7(17.6mm)と比べても、10%も細い設定になっています。細くて高剛性というのは現状では開拓されていないジャンルかと思います。競合商品があまり思いつきません。
メーカーの説明では、高い剛性を維持しながらも、風からの影響を最小限にするために、このような設計にしたということです。
では、細いロッドで剛性をどのように高めているかというと、カーボンチューブが1層だけなのが一般的なのに対して、クロスチューブという名の通り、中でカーボンのチューブを3層にして、ロッドを構成しています。
ダンパーも3本のゴムなので、誤解のないようにお願いします。ロッド側の3層チューブ構造はロッドの中に小さいチューブ・中くらいのサイズのチューブ・大きいチューブと3層構造でロッドを構成します。昔2層チューブ構造(デュアルチューブ)のスタビライザーがありましたが、それを3層の高性能カーボンにした構成です。けっして、ダンパーの様にチューブのなかに3本の子チューブが入っているという構造ではないのでご注意ください。

ロッドの仕上げはアークテック共通の編まれたカーボンがそのままデザインとなります。わかるようすごく明るく加工しているので、実際はここまでくっきりとは出ていません。

こんなの作ってみましたが、今回入荷しているのは一部の商品のみです。センターでのテストは非常に良好でした。スタビライザー全体ではダンパー1つにウェイト2つが付属するので、260g程度になっていますが、ロッド単体では、148g(28インチ)と、細くとも中に3層のチューブが入っているため、軽いとは言えないものの、HMC+(120g)とHMC22(180g)との間くらいの重さに収まっています。
エクステンダーが1本も入荷していないので、ロッド全体のテストは入荷を待ってから行う予定です。