ジェット(Jet)6ベインの取り扱い拡大します。

先日よりテスト販売しているJet6ベインの取り扱いサイズと在庫数を増やすこととしました。現在在庫3ですが、実際に在庫が入ってくるのは2週間後の予定です。また、詳細な情報も届いてきましたので、フレッチングガイドも作成しました。

新規には高ポンド用の50mmサイズの販売も始めます。

アメリカでの性能テストの結果、40ポンドを境に50mmのほうがより適しているという結果となりました。ただ、テストの内容(アメリカアーチャーとの引き尺の違い)を考慮して、弊社では国内には、42ポンドまでは現行販売している45mm、42ポンドより上で50mmを推薦することとします。

KSL Jet6 ベイン

また、エアロラップはスピンなどでも使用できると判断しました(流体力学的にどれだけの優位性があるかのテストはしていません)ので、単体での販売を開始します。

KSL エアロラップ

よろしくお願いします。


テレビ東京・ガイアの夜明け・下町ボブスレーの真実について。

前回のコメントに対する返信の続きではないですが、関連しています。読んでいない方は事前に読まれることをお勧めします。

昨日、テレビ東京で「下町ボブスレーの”真実”」という番組が放送されましたが、興味深い内容でした。登録する必要がありますが、下記のサイトで見ることができるようです。

下町ボブスレーの“真実”【ガイアの夜明け】|テレビ東京ビジネスオンデマンド
http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/gaia/vod/post_150039?trflg=1

気になったというか、やはりなと思ったところは二つ。





こちらは開発担当者(写真右)と元トップ選手(*)とのやり取り。国産ボブスレーについて選手に感想を聞こうとしますが、嫌な顔をされます。そして、上のやり取り。

*Sandra Kiriasis選手 : 2005年世界選手権で金メダル。2006年トリノ五輪でも金メダルを獲得。2007年、2008年世界選手権2人乗りで連覇。

皆さんどう思いますか?

私は選手側の意見です。そり作るなら、まず、のってみるべきです。そして、前回の記事につながりますが、100社以上が製造にかかわっています。それらすべての人間にボブスレーを経験させることは困難です。結果、ほぼすべての関係者が自分が作っているものが、どう使用されるか理解せずに作っることになるのでしょう。

かわりに使用されたラトビアのメーカーの工場も映像に登場しましたが、少人数でボブスレーを理解している人間だけで作っている印象でした。



そして、最も気になったところは、番組全体を通して、日本の関係者(日本選手や日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟の関係者)が全く登場しないことです。

機体検査がどのように行われているかわかりませんが、開発現場に連盟で、国内競技会で機体検査を担当する人が一人でもいれば、常時、機体に問題があるか確認できると思われますが、その程度の協力体制すら連盟から得ることができなかったのでしょうか。そんな仲悪いの?

残念なお話でしたが、今後の教訓になるのでしょうか。

参考資料
ボブスレー国際競技規則2017  12. ボブスレーの構造及び図面


【4か月で入荷しました】サミックのウルトラ-Xハンドルが入荷しました。

10月に紹介し、発注したサミックの新しいハンドルウルトラX(Ultra-X)が入荷しました。発注してから4か月で入荷したので、今後は(も)受注生産ということですので、発注してから3-5か月での納品になるようです。

さて、4万円を切る小売価格から考えても、本格的な競技用モデルというよりも、近年、サミックは2万円前後のハンドルを製造してきたので、少し上を作ってみたという感じです。センター調整機構は新しいものや、これまでの競技用モデル(ウルトラ/マスターズ)搭載のものではなく、アバンテ/アバンテ2に搭載されていたものと全く同じです。

発表時はプラスチックグリップで設計されていましたが、届いたものではウッドグリップになっています。メーカーのホームページを確認したところ、メーカー側のカタログもウッドグリップに変更されています。搭載されているグリップは細身のものです。
挑戦的なところでは、ユニークで特徴的な曲線を持つリムポケットとなっています。中央部が直線的な、両端が曲線的な面白い構造ではないかと思います。

世界レベルの競技会で目にすることはないかもしれませんが、サミックの復活のきっかけとなればいいのではないでしょうか。

テスト入荷の2台は若干安く設定しました。今後、在庫の予定はないです。

SAMICK ウルトラ-X ハンドル

また、同時に発注していたマスターズプラチナムリムも入荷しましたが、前モデルと同じハードメイプルコアになっています。事前情報では、「バンブー/メイプルのハイブリットコア」を使用するとのことでしたが、ずっとサミックが採用してきたハードメイプルコアに修正されています。発表当時、すぐに何名かのお客様から注文したいという連絡がありましたが、生産されてからと断っといてよかったです(-_-;)

基本的には、前モデルのマスターズMAXを踏襲した設計です。使用しているさ素材を現在のレベルのものに見直し、リムのチップも最近の潮流である小さいものになっています。こちらは在庫商品以外は受注生産となります。

マスターズの方は非常に実績のあるリムですので、今年、世界大会で見かけることもあるのかもしれません。近年ホームページも全く更新されず、ディストリビュータとのみコミュニケーションをとる業態でしたが、2018年のサミックはやる気がありそうな感じで期待が持てると思います。

他にもエクストリームリム(フォームコア)なども新モデルが出ていますが、当分は最もサミックが得意としていたハードメイプルのウッドコアリムを販売する予定です。

SAMICK マスターズ プラチナムリム

追伸)
連絡をくださったお客様には連絡しましたが、一名、M様(メールアドレス/〇〇〇〇〇@ezweb.ne.jp)のアドレスが変更されていて連絡がつきませんでした。一度連絡いただけると幸いです。


下町のものづくり、技術力の行方。

(朝日新聞のHPよりスクショ)


本記事とはあまり関係ないのですが、今話題の下町ボブスレーはトップ選手のレスポンスも技術的なノウハウもないままお上が始めたのが問題なのかなぁとは思います。下町アーチェリーの考えうる最悪の結末が前例としてできたので、これを教訓に企画の修正ができればいいんですけどね…道具屋様の立場としまして、下町ボブスレーの件はどのように思われたのでしょうか。

上記のコメントへの回答となります。

>今話題の下町ボブスレーはトップ選手のレスポンスも技術的なノウハウもないままお上が始めたのが問題なのかなぁとは思います。

まず、このトラブルにはいくつかの問題があると思いますが、最終的な致命的点は下記の報道のところでしょうか(*)。

*ボブスレーに詳しいわけではないので、すべて報道より引用となります。


輸送トラブルで下町のそりが届かず、ジャマイカチームは急きょラトビア製のそりに乗った。
「すると驚異的に成績が伸びた。五輪出場権獲得へ大事な時期だった」とストークス会長は話す。
このそりに乗り続け、出場権を獲得した。

一方、下町のそりについて、ストークス会長は「遅い」「安全でない」「機体検査に不合格」の3点を強調。
「1月に行われた2度の機体検査に不合格だった。五輪でも失格の恐れがあった」と語る。

下町側は不合格を認めたうえで、「すぐに修正できる細かい違反だけ。一時は合格も出た。五輪には間に合う」と反論した。

調べてみると完成披露は2016年の10月に行われたようです。この時期(本番1年以上前)に完成したのであれば、十分な期間があり、代表チームにも使ってもらえたと思いますが、「滑れる」状態が完成とはらないでしょう。弓でいえば、矢が発射できれば、それが競技用の弓とはなりません。弓具検査を通って、100射以上の競技に耐えることが完成した競技用の弓です。

報道によると、「1月の機体検査に不合格」。それに対して、メーカー側も「細かい違反」と認めていることから、私意見としては、1月時点でも「完成」していなかったと考えます。そんなものでも、使ってもらえると思う方がどうかしています。税金でやっている以上、後に引けなかったという部分もあるとは思います。

完成していない状態での、このロゴの数(苦笑)、機体検査通ってから貼ったらどうかと…。

最終的問題はここに尽きる思いますが…そこに至る問題は、下記にあると考えます。


プロジェクトは町工場の高い加工技術をアピールしようと若手経営者たちが11年に始め、参加企業・団体は100を超える。
(完成!お披露目…ジャマイカチーム採用 / 毎日新聞)

1台のそりを下町工場100社以上で作る。これを聞いて、喜ぶのは〇人や政〇家などの「物を作った」ことがない人間だけだと思います(*)。100を超える企業・団体が関わって、1つのもの作るのは、実際にサプライチェーンの管理業務をやったことがある人ならどれだけ地獄かわかると思います。

*関係者が多いほど、税金を出しやすい。

現在、三菱ほどのグループが作っているMRJでも、「現在で設計変更領域の予備的な設計レビューを実施しており、数ヶ月で重要な設計段階に入るとのこと。また、過去5回起こった延期のうちの4回は共通して認証に関して何らかの不備があったために、開発作業をやり直す必要があった為という」、認証(*)の問題で5回納期を延長しています。

*問題を簡単に整理すると、認証の問題の場合、技術力をもつ、個々の会社が作ったパーツでトラブった可能性は低く、ぞれぞれの会社が作ったものを組み合わせて組だてたもので問題が発生する場合はほとんどです。人数が多ければよいものではなく、100以上の会社のアイデア・パーツを組み合わせて要求された性能を出すのは、2社でそれをやるよりはるかに困難です。もちろん、ボーイングやNASAのように成功できれば、かなり良いものができるのも間違いないです。

まとめると、より多くの税金を引き出すために関係者を増やし過ぎて、それを管理する能力があるだけのマネージャがおらず、今年の一月まで「完成しなかった」ことがすべてだと思っています。

>下町アーチェリーの考えうる最悪の結末が前例としてできたので、これを教訓に企画の修正ができればいいんですけどね

下町アーチェリーでは、4社なので、現状では、関係者が増えない限り、そのような事態に陥るとは考えていません。

アーチェリーの方の問題は、若干ボブスレーもかぶりますが、「技術力」を売りにしているところです。たとえば、下町工場で有名になった、痛くない注射針を作った岡野工業ですが、解決すべき問題は「痛くない注射」であるのに対して、ソリューションは「針を細くする」という単純なものです(*)。技術力があれば実現できます。

*細くすることが簡単という意味ではないです。

一方、競技用アーチェリーを弓を作るということは、解決すべき問題は「よりグルーピングする」であるのに対して、ソリューションがなにであるかすら、定まっているとは言えない状況でしょう。それに対して、技術力だけで答えを出せるとは考えていません。まずは、ソリューションを設計すべきであるのに、私が参加したミーティングでは、そういった話は全くありませんでした。

その部分が、今後の問題になるのではないかと思います。


<第5回プロジェクト桜ミーティング>
今回のアーチェリー弓具開発では、「グリップ」開発を担っており、現在プロトタイプ作成に取り組んでいます。
(フェイズブックより一部引用)

高い技術力で、精度の高いグリップが完成することは間違いないと考えていますが、ただ、アーチャーの視点からすれば、どんな設計(形)なのか、ピボットポイントとプランジャーの位置完成、ハンドルのセンターショットに対しての、左右の丸み、などのほうがよほど大事ではないでしょうか。

バリだらけでも、感覚的に自分に合えば、ヤスリかけてても使うし、どんなにきれいに高精度で仕上がっても、自分に合わなければ使わないのが競技者であると考えます。

国産アーチェリーのハンドルは2019年春の完成予定だそうです。たとえば、ホイットのハンドルは「完成」してから完成するので、出荷後、その次の試合でメダルを、物によっては、出荷前の試作品で結果を出しますが、どのレベルで完成するのかで、オリンピック前には結論が出ると考えています。


ホイット…商売をする(-_-;)

今、この本を読んでいますが、非常に興味深いです。アーチェリーの業界にも、色んな人がいます。私はお客様に正しい道具を売り、それによってより高いパフォーマンスを出してくれることが目標ですし、それができる人間が仕事のできる同業者だと思いますが、一方では、ビジネスマンとして、安く仕入れた道具をどれだけ高く売れるかが、仕事のできる人間だと評価する価値観もあると感じています。

そう。ホイットが商売に気づいてしまいました。ホイットのリムボルトの問題を何度も取り上げています。トップ選手でも交換する人が増えています

その結果!!!

ホイットがソリッドタイプのリムボルトの価格を約50%引き上げました…そういう問題ではないと思いますが…”転んでもただでは起き上がらない”とはこのことでしょうか。

*弊社でも販売価格を引き上げました。ご理解ください。

野村證券第2事業法人部 Kindle版 — アマゾン


アメリカファースト(笑)

第14回世界室内アーチェリー選手権大会のスケジュールですが、慣例的には、コンパウンドの決勝がまずあり、最終日の最後にリカーブの決勝ですが、さすが、コンパウンド大国のアメリカです。最終日の最後にコンパウンド決勝を設定しちゃいます。

試合のスケジュールってホスト国で好きに決められるんですね(笑)

コンパウンド男子個人決勝ではシュロッサー選手が優勝しました。今までずっとカーターのターゲット4を使用していましたが、最近はTRUのブレードプロに変えているよう。ターゲット3ユーザーとしてはちょっと寂しい…。


道具屋が見た第14回世界アーチェリー室内選手権は。

先週の大会を道具屋の視点から。まず、驚いたのは、ウクライナのオレクサンドル・パンスリル選手(Oleksandr Pantsyru)です。近年、低価格の弓具の性能の向上が著しいと言われていますが、自分が把握している限りでは、世界選手権でメダルの実績がある一番安いハンドルはWINEXハンドル(バージョン2の現価格は46800円)です。オレクサンドル選手ですが、今回の世界選手権では、ジュニアで個人・団体ともに銅メダルを獲得した15歳の選手です。

注目したのは彼の使用したスタビライザーです。このロゴを見てピンとくる方はかなりの道具通だと思いますが、これはブラックシープ(Black Sheep)というメーカーで、販売価格はSATスタビライザー(センターで3200円)よりも若干安い程度の商品です。この価格帯の商品で、ジュニアとはいえ、世界選手権でメダルを獲得するのはすごいですね。

また、2017年にコレット式のリムボルトに交換して、安定化したと公式発表していますが、どうでしょうか。この試合ではオランダ代表のリック選手がリムホルト、および、センター調整機構(ハンドルはEPIK)も旧式に戻しています。リムの固定方法を変更したエリソン選手と考えは一緒のようです。


また、新しくチームに入ったジャック・ウィリアムズ選手(Jack Williams)の弓。一瞬、エリソンのものに見えましたが、こちらもリムの直止めで固定しているようです。

2019年、ホイットはこの部分の問題に着手するでしょうか?


リー・キーシクコーチのインサイドアーチャーの第二版(英語版)が出版されます。

リー・キーシクコーチのインサイドアーチャー(Inside the archer)ですが、近く出るとは聞いていたのですが、アメリカのプロショップのランカスターが第二版(英語版)の出版日を3月30日頃と発表しました。

楽しみです!

*英語版は自分の分しか発注していませんが、欲しい方がいれば、合わせてとっちゃうので連絡ください。