BCYの8190Uの生産終了、BCY-XのBXY X99への移行に伴いいろいろと考えました。お客様にとっては、8190Uを使っている方は新モデルの8190Fに、BCY-Xを使用している方は新しいBCY X99にすることのほうが心理的には自然な流れでスムーズに移行が進むとも考えましたが、しっかりとした理論があるわけではありませんが、個人的に大量のストランドで作られた弦には、特定の状況で不安定になるというイメージがどうしてもあります。8190も本来は20本ですが、18本にして、太目なサービングでSサイズノックにフィットするように設計しました。
SK99という最高グレードの素材を使用したBCYのマーキュリーは28本程度でリカーブの太さになるのですが、少し不安を感じます。ただ、これは調整が必要なリカーブの話で、一度調整すれば、弦の取り外しもない、かつ、低くても40ポンドという高いテンションがかかるコンパウンドでは関係ないと考えます。
28本の細い弦(ストランド)をねじって調整して、ある程度の幅の中で、特に20台の低いテンションしかかからないポンドのリカーブで、試合などで組だて後、6本の試射で弦を安定した状態にできるのかが、一番の不安な点でした。かと言って低ポンドのために、20本程度にすると、相当太いサーピングガ必要なり、バランスが悪い弦になることが心配されます。
といったことを弦メーカーのフレックスと相談していたのですが、今回、フレックスが自社で開発している素材で多くのトップアーチャー(*)も採用しているカレーラ(Carrera)シリーズにSK99を使用したリカーブ向けに、成功した8125Gと同じ14本の太さでSサイズ&1#ノックにフィットするカレーラ99.Rを新しく開発したので、8190/BCY-X弦を愛用している方向けには、従来のBCYのSK99原糸ではなく、フレックスがチューニングしたSK99原糸で提供したいと思います。
*フレックスのコンパウンド弦は法人取引の仕組み(大量発注で国際送金支払い)のため、弊社では取扱していません。4-5か月の納期でも問題ないなら取り扱い可能です。
BCY-Xを使用の方には、多くの場合でより高い安定性とスピードが期待されます。8190をご使用の方ですが、以前の8190ではそのスピードを生かすために18本とかなり矢速を重視した設計としていたので、安定性の向上は期待できますが、矢速はほぼ変わらないか、低ポンドで154-18などでは落ちる場合が発生する可能性はあります。
コンパウンドではハンドメイドかマシンメイドかという論争はもうないと思っています。ちなみに違いは原糸を巻くときに機械でテンションを均一にしているか、職人が手で同じようにしているかの差です。どちらでもその後は手作業は発生します。
リカーブではエリソン選手など、主に合理重視のアメリカ選手が機械製の弦を使用していますが、自分で作る方が信頼できて安心する、または、身近な上手に人に作ってもらっている選手も多く、その場合、ゲン担ぎといった理由もあると聞くので、このあたりはロジック・合理性で答えが出る問題ではないのかもしれません。ただし、原材料の原糸はダクロンの時代から一貫して、より安定した素材へと進化を続けています。
例えば、素材の個体差がひどくある料理の世界で機械が料理人よりおいしいものを作ることは現状不可能ですが、加工に使用する素材が安定するほど、機械での加工に分があると考えています。フレックスがチューニングしたSK99のカレーラ99.Rをぜひお試しください。BCY-X/8190は素材の供給の問題により、在庫限りでの販売となります。ご理解ください。
FLEX PRO Carrera99.R 弦 | JPアーチェリー
また、今週にドインカーがヒーロー(HERO)スタビライザーの販売価格を引き下げることを発表しました。それに伴い、弊社でも価格を約20%引き下げました。まぁ、それでも結構な価格ですが(-_-;)
【予約】Doinker HEROスタビライザー