チューニングとはなにか。

熟成したウィスキー(左)と生まれたて(蒸留しただけ)

昨日酒屋に寄ったら、2017年にニューポット、蒸留しただけのそこまで美味しくはないリキュールが、熟成してウィスキーとして完成したボルトがあり、親子揃いました。完成したウィスキーにも「we don’t have enough aged whisky yet」と書かれていて、今後が楽しみです。

チューニングマニュアルの「本当のチューニングの始まり」という章の出来にはあまり満足しておらず、書き直したいと思っています。しかし、まとまらないので、一旦、まとめずに記事にします。

エイジド・ウィスキー(Aged Whisky)は日本語では熟成ウィスキーと翻訳されます。長年自分はこの翻訳、この呼び方に納得がいかずにいました。色々と文献も読みましたが、この問題を避けているものばかりです。エイジドというのは、直訳すれば、年をとった=経年変化をしたという意味しかないはずです。それがなぜ熟成なのか。

イチローズモルトを作った男 肥土伊知郎とジャパニーズウイスキーの未来 文藝春秋digital 2020年11月4日

先日、秩父でウィスキーを作っている方とお会い機会があり、せっかくなのでプロの方に直接聞いてみました。その答えは、エイジングは経年変化だという私の考えは何も間違いなく、その結果美味しくなっていれば人間は「熟成」とそれを呼び、美味しくならなければ、人間はそれを「劣化」と呼ぶ、人間の捉え方次第だというシンプルかつ、納得行く答えをいただきました。

この話はそのままチューニングと呼ばれる作業にも当てはまります。リムアライメント機能というのは、根本的には「リムをねじる」機構に過ぎないのです。それを正しく使用すればチューニングであり、正しく使用できていないと単純に「リムをねじってしまっている」という状態になります。行っていることに違いはなくとも、その結果によって違いが生じるのです。

というような意味のことをマニュアルに入れたいのですが、さて、どのようにまとめ上げるのか、もう少し悩みたいと思います。


PSE 2022年モデル LEVITATE 新型カム搭載。

PSEが2022年のハンティング用フラッグシップモデルLEVITATEを発表しました。スタイリッシュなカーボンハンドルをベースとしていて、近年ターゲットモデルで採用は進んでいるPBTSや、ワイドリムポケット設計が取り入れられていますが、何よりもEvolveカムの次世代モデルとなるE2カムを搭載しています。

ワイドリムポケットに合わせて、カムの幅を大きくとり、大型のベアリングを採用することで性能を向上させているようです。評価が良ければ、2023年のターゲットモデルにも採用されるのではないかと思います。

ただ、LEVITATEは引き尺が27.5インチからですので、こちらのモデルの販売はしないと思います。ターゲット向けとしては来年の楽しみということで。


久しぶりの業界昔話5 – 昔じゃない話

5回目の最終回です。これまでは昔の話ですが、現在進行・将来の話となりますので、ほぼ私見です。また、その予想に対しての会社としての対応も書いておきます。

ここまでの記事で書いたように、弊社は00年代のアーチェリーショップというローカルだったビジネスが、グロービルなビジネスになってしまったタイミングで参入しました。近年、ダイナシティのような国産メーカー再誕生や、前回の記事のように韓国メーカーを中心に、メーカーが日本語でのビジネスに対応することで、もしかしたら、アーチェリーショップというビジネスが再度ローカルビジネスに戻るのかもしれません。

ビジネスがローカルとなるということは、プロショップを始めることがより簡単になるので、多様なプロショップがこれからも登場するかもしれません。新しいプロショップがどんなことを仕掛けてくるのか楽しみです。

→ 弊社としてはローカライズされるとしても、利潤ベースとなるはずなので、お金になる競技リカーブ・学生向けアーチェリーだけと予想しています。10年代以降力を入れてきた、コンパウンド・ベアボウ/フィールドカテゴリーでは、そのような変化はなく、今後も影響はない分野を深堀りしていきます。

一方で心配しているのは、国内での韓国メーカー代理店のビジネスのやり方です。前回の記事を10月8日に書いて、会社も練習場の休みの今日に最終章を書こうと思っていたのですが、それに合わせたかのように(偶然だとは思いますが)、昨日まで、某メーカーの総日本代理店が「総代理店の真骨頂」と銘打ったセールを行いました。

価格自体は弊社や渋谷アーチェリーとそこまで変わらないものでしたが、まさに恐れていたというか、起きてほしくない事態が起きてしまったと感じています。特に「総代理店の真骨頂」という言葉は象徴的です。

私たちは代理店として業界でそれなりに評価されていて、近年新規メーカーとの契約で拒否されたことはほぼない(*)のですが、それは代理店として商品を適切な価格で販売しているからでしょう。説明として、代理店となったスカイロンのパラゴンシャフトを例にします。

*YOSTとは結べませんでした。

弊社が最初にパラゴンをリカーブ用として紹介し売り出しましたが、このときにつけた金額が13800円(2018年9月)です。もちろん商品が優れていることが一番大事ですが、商品の評判が良ければ、他のプロショップも当然この商品に目をつけ販売したいと思うでしょう。そのときに、私達が13800円で販売実績を積み上げている以上、同じような価格で販売して十分な利益を得ることができるかが、判断の基準です。

その後、渋谷アーチェリーなどがパラゴンの販売を開始します。ビジネスになると判断したのでしょう。競合するので、歓迎というわけには行きませんが、販売するプロショップが増えることはメーカーの成長につながるので、悪いことだとは思いません。また、競合が増えても、価格競争はせず、今も13800円です。

代理店として、メーカーと共に成長するためには、適切な価格で販売し、その商品の価値を維持することが求められていると考えています。近年、為替が100円~120円まで大きく動いていますが、弊社ではほぼすべての商品の販売価格を変えていません。セールも在庫の入れ替え以外ではしていません。これは長年のポリシーです。

代理店の真骨頂として、商品を安売りすることは出来ますが、それは禁じ手でした(と思っていました)。それを総代理店が、かつ、販売が継続している現行モデルで行ったことは驚きです。お客様にとってはより安く商品が手に入ることにつながるので、一時的にはいいことだと思いますが、長期的には販売するプロショップ、特に在庫リスクを抱えて販売するプロショップの減少につながることは間違いないと思います。

→ 弊社としては、このメーカーの価格が安売りされると前から予測していたので、近年少しずつ取り扱い商品数の削減、在庫数の削減を続けてきましたので影響は少ないです。今後も当分は取扱商品数・在庫数を増やさず、状況を見守ります。このようなメーカーが増えないことを祈るばかりです。

コロナの収束も見えてきたような気がしますが、2022年度からは普通にアーチェリーができる環境に戻るなら、アーチェリービジネスも2年間の我慢を終えて再スタートします。以上の書いたように、アーチェリー業界に身を置くものとして楽しみにしているところもあれば、心配しているところもあります。2030年ごろにまたこの10年間を振り返る記事を書きたいと思います。

終。


ねじれているリムとねじられているリムの違い。

先日お客様から質問があり、記事にしました。リムのねじれについてです。プロショップにチェックしてもらう前のセルフチェックのための知識となります。フォーミュラーシステムでも同じことですが、ILF(グランプリ)システムで説明します。

ハンドルとリムを接合したとき、ブレースをしない限り、ハンドルとリムは接していません。赤い線のように少し隙間がある状態です。これは青の矢印で示したデタントピンの中にネバが入っているためです。これによって、ブレースしていなくても、リムが抜けないようになっています。

写真1

上の写真ではハンドルにリムを差し込んただけですが、この状態で、赤い面と青い面が同じ方向を向いていないことをリムがねじれていると言います(定義)。リムのねじれはブレースされていない状態、何なら、ハンドルにも接続されていない状態で定義されているものです。

しかし、これは実用的ではありません。製造時の誤差・接合部の誤差は存在し、この2つの面が100%、+-0.001mmの誤差もなく真っ直ぐであることを追求することはコスト面から現実的ではないです。また、ブレースするとリムとハンドルが接するので、ハンドル側のねじれ・ハンドルとの相性(*)の影響も受けます。そのために、リムの赤い面は非常に硬くブレース・ドローイング時のテンションを受けても影響を受けない、対して、青い面は柔らかいので、ブレース・ドローイング時のテンションを受けてわずかに変化する、というこの2つの面の特性の違いを利用して、最終的な誤差を調整する作業がリムアライメントの一つの側面となります。

*いくつか違うハンドルを持っているなら、同じリムを差し込んでみてください。差し込んだときのカチッとした感覚、接合後のバタつきに違いがあるはずです。これが相性と言われるものの原因です。ただ、どの状態がベストかは定義されていないので、相性としか呼べません。

写真2

写真は極端な例ですが、リムアライメントが正しく調整されていない場合、ブレース時にリムはその中心ではなく、弦(赤い線)から不均衡なテンションを受けて、そのテンションによって、リムがねじられてしまいます。その状態でシューティングをしたとき、発生する現象(弦溝に戻らない・ドローイングするとハンドルが回転する等)はリムがねじれているときと同じですが、その原因はリムがねじれているわけではなく、リムアライメントが正しくないためです。

また、写真2の状態で、長く使用すると不均衡なテンションによって本当にリムがねじれてきます。その場合には、リムに反対側からテンションをかけて、1-2日ブレースしたまま置いておくことで修正できます…が、自分で試さないで、購入したプロショップに持ち込んだほうが良いかと思います。


コツコツコツと…。

新商品としてホイットロゴのアリゾナエリートアームガードが入荷しました。ちょっとだけノーマルバージョンより高いです。

本日は4度目の試合、本当にちょっとずつ進歩しているので…「コツ」を増やしていこうと思います。木曜日に射型を少し変えましたが…まぁ、試合直前に変えるとロクなことがないのは経験上わかっていまして、試合の前半では射型でフォーカスすべきポイントがわからなくなり混乱しました。ただ、後半になり、少しずつ調子を戻し、後半では自己ベスト、目標(275点)まであと1点の274点を記録できました。次の試合までは少し時間があるので、それまでに前半から点数を出していけるように調整していこうと思います。

8月 486点

9月 514点

10月 526点(試合ベスト) 274点(ハーフベスト)

試合ごとに成長を実感できています。

Arizona エリートアームガード


今週は土曜日、2020-2021年カタログ。

今週のベアボウの試合は土曜日にあるので、練習日が少なくなりましたが、前回の試合最後のエンドで4本が黄色に入り、残りの2本3点にというなんとも言えないシューティングをしました。マンティスなどでデータをとることは簡単になりましたが、その解釈はまだ難しいです。

マンティスでデータを取ると、どうしても、エイミングが的の下の方に集まるという傾向があります(青で囲んだ部分)。弓が重いわけでもなく、リカーブだったら、スタビライザーのバランスを変えるのですが、それは出来ないので、もう少し重心をグリップに寄せるべきかなと思っていましたが、黄色も黒も射ってしまういうことは、その振り幅を考えれば、グリップやアンカーのような細かい筋肉の動きに問題があるのではなく、それだけ大きな違いをもたらす大きい筋肉に障害が起きているのではないかと判断しました。

ということで、赤で囲んだ部分に同じようにテンションをかけて、「弓を引く・弓を支える」という最も使う2つの部分のポジションを安定させることで、点数はどうなるかわからないが、4点・3点にはさすがにいかないのではないかという作戦を土曜日に実行して、点数がどうなるのか見てみたいと思っています。

イーストンから今週末にはじめてアバンス(AVANCE)の400-550番台が入荷します。発表されてからほぼ1年です。その下の340番に至っては、未だ一度も入荷していません。コロナの影響だとは思いますが、他にも多くのメーカーが影響を受けていて、2020-2021年のカタログの中身が現実の出荷・生産状況に即していないものが多いので、過去のカタログを調査のために保管していますが、この時期のものは積極的には保管しないこととします。ご理解ください。


【納期・価格】the Brady Ellison Signature Series

【追記】価格は通常モデルより15%高くなります。納期は最初のロッドが11月の初めを予定しています。弊社ではXceedで1台在庫として発注しました。

ホイットがブレディ・エリソン・シグネチャーシリーズとして、新色のオレンジ(アリゾナ・デザート)を発表しました。価格表はまだ届いていませんが、内容から考えるに追加費用は掛かりそうです。

また、Formula-Xi / Xceed / Acros / Xakt で新色が出るので、これらのモデルは2022年モデルとしても継続していくものと思われます。どれかのモデルで1台は在庫しようかと思います。


コツコツと…。

ベアボウをはじめて3ヶ月、3回目の試合。練習で550…が出たので、目標として頑張ったものの、

8月 486点

9月 514点

10月 526点(すべて公式試合での点数)

…ゆったりしたペースで、進歩はしているので、次は16日がんばります。友人の誕生日のようですし。少しはわかってきたきがするのですが…。難しさを楽しみ中です。


久しぶりの業界昔話4 – 日本で拡大するメーカー

記事を書くために久しぶりにフレックスフレッチ(Flex-Fletch)のポームページを見たら、なんと1月にロゴが変わっていました。ベインとボンドくらいしか仕入れていないので全然気が付きませんで…。

さて、前回の記事では日本の定価の不思議について書きました。それによってメーカーでの定価が1100円なのに、転売でもないのに、国内ので定価が1750円になってしまうのです。しかし、それはメーカーには(直接的には)関係のないことです。日本内での構造がどうあろうと、メーカーの卸価格は500円に変わりありません。メーカーにとっての収益に影響はしません。

逆に言えば、そこにビジネスチャンスがあるとも言えます。総合商社や日本メーカーがなくなったことで、既存のプロショップは、英語を覚えてメーカーとは直接取引するか、それなりのコストを払ってプロショップ間の取引に頼るかしかなくなりましたが、新しく、海外のメーカー側が日本語に対応するという選択肢が誕生します。主に韓国メーカーを中心として、メーカー側が日本語に対応することで、より利益を得るという流れが出来上がっていきます。

先の例で言えば、メーカーは500円で販売店に卸していたものを、プロショップ間取引で700円で流通しているなら、メーカー側で日本語に対応することで、そのオプションを望むプロショップには700円で販売することができるようになります。5万円のハンドルが7万円で売れるようになれば、月に20本も売れたら(40万円収益増)、新しく日本語対応スタッフを雇うのに十分です。メーカーが取引に使用する言語に日本語を追加することで利益を増やせるということです。

母国語で仕事できることに対して、これだけの追加コストを払おうとする国はあまり多くありません。日本以上に市場があるフランス語や、スペイン語、中国語では成り立たと個人的には思っています。日本だからかなと。

ただ、日本語でのサービスに追加費用を払うプロショップは年を追うごとに減っていっています。新しくできるプロショップの多くは独自でメーカーや専業の代理店と直接英語で取引しています。そこで、メーカーは国内において、直接お客様に販売をするという業態に移行していこうとしていたのが、コロナ前くらいまでの流れでした。

続く。


久しぶりの業界昔話3 – 定価の異常

記事の内容をまとめるために、副題つけました。前の2つも内容を見直して、副題つけます。先日、ふと従業員のメモを見たら、会社に対するクレームが…昨日、Windows 11への無料アップグレードが開始されましたが、会社にある一番性能の良いPCでも最小要件を満たしていないので…Wi-fiとPCのSSD化かな…がんばります。

さて、これまでに書いてきましたが、総合商社や国産メーカーが代理店業務から撤退したことで、大手のプロショップが代理店業務をすることとなりました。

プロショップの通常業務はメーカーや(直接お客様に販売していない)専業代理店(Distributor)から仕入れをします。それをコストと利益を載せて、定価としてお客様に販売します。弊社であれば、送料のかからない店頭納品では定価から割引をさせていただきます。通常の小売業、コンビニとか、スーパーとかはこの形になっています。新しいスーパーを作る時に近隣のスーパーから仕入れることはなく、メーカーか卸業者から仕入れるでしょう。

渋谷アーチェリーより 10/06時点

上のFLEXボンドを例にすれば、私達が500円で仕入れて、50%の利益を乗せて、750円で販売します(以降数字はすべて仮)。しかし、前の記事で書いたようにプロショップが代理店業務もするとなると話が変わってます。ルール(マナー)は2つあります。

1.代理店価格はお客様に販売する価格(小売価格)よりは安い。

2.代理店価格は率での契約。例) 定価 x 40% = 卸価格

ここで500円で仕入れたボンドを40%の利益をのせて、700円で卸販売したい場合、逆算すると、1750円を定価とする必要が出てきます。さらに、卸で買ってくれたプロショップに自分たちと同じ値段で販売すれば、100%の利益はとれますという営業(*1)をするために、自社の販売価格もそれにあわせなければなりません。なので販売価格は卸の倍の1400円とします。

しかし、実際の市場で流通している価格は750円ですので、この部分を独自のポイント還元で割戻することで、代理店業務と小売業務の両方を可能とする日本独自のシステムが誕生し、代理店業務も兼務するプロショップでは、定価と実質の価格が大きく乖離することとなります

海外のプロショップの見れば分かる通り、

通常 - 卸価格(500円) 実売価格(750円) メーカー希望価格(*1より 1000円) (*2実際は9.99ドル)

日本 - メーカー卸価格(同) 実売価格(同) メーカー希望価格(同) 

     プロショップ間卸価格(700円) ポイント還元後の実質負担額(750円) 販売価格(1400円) 定価(1750円)

というあまり正常ではな構造となっています。国産メーカー・専業代理店の撤退という歴史がない国では、このようなシステムが生まれる必然性がなく日本独自です(*3)。

*3 厳密に言えば海外にもあります。納品すべき一式の99%が揃って、1つだけメーカーにも代理店にもない時にプロショップ間取引は存在します。ただ、利益率はゼロに近いので、納期のための最終手段としてのみ存在します。

2000年以降に誕生したプロショップの多くはメーカーとの直接取引、専業代理店との取引がメインなので、あと10-20年も経てば、このような変な構造はなくなっていくのではないかと思っています。

続く。