ダートンが2025年モデルからケーブル調整機能を追加

ダートン(Darton)アーチェリーが2025年モデルのエクソダスPROを発表しました。

新規搭載された機能としてはリムポケット左右でリムのポンドを個別に調整することで、カムの傾き(位置)を調整できるようになります。以前書いた「カムリーンチューニング」の記事にダートンと2025年のホイットについての追記をしました。

おそらく、ダートンが全メーカーに先駆けて搭載した新機能としてアジャスタブル・ヨーク・ハンガー昨日が追加されました。

レンチで調整することでボウプレスを必要としないでケーブルの長さ(=カムタイミング)を調整できる機能になります。2020年時点でも原糸の進化によって、一回合わせたカムタイミングなんてほぼずれなかった記憶がありますが、これからも多くの作業がボウプレスなしでできるように進歩していくんでしょうか。

ブラック・イーグルとコンクエストアーチェリーと傘下のブランド合わせて、成長を見守っていきたいと思います。

【更新】カムリーンチューニング

【更新】2025年モデルとして発表されたホイット(HOYT)とダートン(Darton)を追加しました。

コンパウンドボウはストリングだけではなく、ケーブルと組み合わせて使用されるシステムです。ケーブルはフルドローの時にカムをサイト側に引っ張ります、そのため、プライムのシステムでも0.4度のカムの傾きがあります。その傾きはストリングに影響を与えます。

Bowtech https://www.youtube.com/watch?v=dbvVuH-nTks より

リリース後のストリングはまっすぐに返るのではなく、多少サイト側にカーブを描いて戻ります。映像はボウテックのチューニングガイドのものですが、シャフトが6mm系のものだとすると、1mm程度ストリングがシャフトに対して右にあるのが確認できると思います。

PSE ez.220

1mmというのはわずかな動きですが、競技で高いパフォーマンスを出すためには無視できない数値です。例えば、上記のPSEのEZ220システムでは、カムの位置を0.5mm単位で調整できます。特許の関係などで、各社カムリーン(カムの傾き)の調整方法、システム名が異なるので、ここにまとめました。

名称方法ボウプレス
PSEEZ.220スペーサーの入れ替え必要なし
MathewsTOP HAT筒状ワッシャーの入れ替え必要
HOYT(-2024)シムの入れ替え、ケーブルの長さ調整必要
HOYT(2025-)上下交互のシムの入れ替え必要
Dartonリムポケットでのポンド調整必要なし
BOWTECHDEADLOCKレンチでの無段階調整必要なし
ELITES.E.Tレンチでの無段階調整必要なし
PRIMECOREできるだけ発生しない技術で工夫

PSE/Mathewsのスペーサーなどを入れ替えて調整するタイプ、HOYTのケーブルの長さと合わせて調整するタイプ、レンチだけで調整できるタイプの3パターンになります。

この技術がコンパウンドボウに搭載される前の古いチューニングマニュアルでは、ペーパーチューニング時の矢の左右差はレストを左右に動かすことで調整するとありますが、カムの傾き(位置)を変更することは相対的にストリングのレストの位置を変更することと同じです。

レストを左に出す = カムを右に動かす

レストを右に出す = カムを左に動かす

となります。矢が真っすぐ飛ばない理由は多々ありますが

①レストを動かして調整

②カムを動かして調整

③矢のスパインやポイントの重さを変更して調整

この順番がおすすめです。

ホイットターゲットが限界のCam & 1/2 システムから撤退へ

一部のハンティング・低価格モデルを除き、ホイットが長年の伝統だったCam & 1/2 システムから撤退します。

2025年のターゲットモデルはすべてSCTRカムに移行し、長年のホイットの伝統だったリムに直接ケーブルを接続する方式が廃止されるのにはびっくりしました。一点、理論は理解しているつもりですが、このタイプのシステムを長い時間向き合ってチューニングした経験が私にはありません。が、このタイプの弓を長年使用してきたアーチャーが蓄積してきたチューニングのし知識・ノウハウが価値を持たなくなるのは残念です。

多くの既存顧客にとって全く新しい技術であると感じたからか、ホイットとしては珍しくチューニング方法を含めた技術資料を同時に発表しています。

A.Iはホイットは厳密なスピード測定をしているので他社と同じスピードでも実際は速いという説明。

A.IIはATAは数字上ではブレース時の値ですが、ハンドルを長くし、リムがたわむ量が少なくなったことで、フルドロー時のATAが大きくなります。そのことにより、同じATAの全モデルよりも、弦の角度が大きくなり、フルドロー時の目のピープの距離が近づくことになります。これによってアンカーポイントとエイミング時の快適さを得ることができるとのこと。

A.IIIはブレースハイトについて、議論は尽きないが、テストの結果として最適な数字が存在するわけではなく、それは好みであり、それぞれのアーチャー固有のドローレングスに大きく左右されるので、23.5インチから対応するショートドローのFXで6.25インチ、中間の37インチモデルでは7インチ、26インチから対応する40インチモデルでは7.25インチに設定されています。

A.III は重量配分の見直しと軽量化(0.2ポンド=約100g)により、数値上よりも多くのテストシューターは軽く感じる設定になっていることと、他社ですでに採用されているように、通常のセンタースタビライザーブッシングよりも、5インチ下・2インチ前方に新規に設けられます。

B.I いよいよ肝心のSCTRカムシステムの説明です。また、カム&1/2と違い、このタイプのカムは良くチューニングしたので、知っているカムシステムですね。今回の新モデルは、長らくホイットではなたった専用の新規設計のハンドル・リム・カムの全とっかえです。このあたりは、なかなか正直に説明されていて、

ホイットカム&ハーフシステムの成功は疑いようがありません。ホイットが特許を取得したこのカムシステムは、競技アーチェリー最高レベルで数えきれないほどの勝利をもたらしました。SVXカムはカム&ハーフシステムの最後の改良版であり、近年、競技の最前線にありました。このシステムを変更するという決定は、ホイットとその経験豊富なエンジニアチーム、そして競技アーチャーたちにとって、軽々しく下せるものではありませんでした。しかし、SVX カムは設計上の改善の限界に達していました

新規に設計されたSCTRカムシステムはより簡単に多様に設定を可能にできるよう設計されています。

B.II モジュールについて。以前にはカムで選択されていたドローイングの感覚の調整はモジュールで選択できるようになります。3インチ幅の中でドローイングレングスを調整可能でソフトなウォールの感覚を持つ「CDM」と、同じドローレングスでも、最大でCDMモジュールより5fps速い、調整不可でハードなウォールを持つ「SPEC」モジュールの2つから選択することができます。

B.III レットオフについて。ドローストップを現在ホイットではモジュールフットは読んでいるようです。まぁ、役割ではなく、モジュールの末端にあり、位置として呼べば「フット」なのでしょう。通常は5%刻みでの調整(65/70/75)ですが、オプションのフット(TWEENER FOOT)で、2.5%刻みの調整が可能になります。これは60ポンドモデルの場合、レットオフは1.5ポンド刻みで調整できるということです。また、上下を入れ替えることで、ケーブルへの接触位置を変更し、ウォールの感覚も調整できます。2.5%の調整はドローレングスに1/16インチの違いを与えます。

B.IIII はどのメーカーも主張しているトルクに対しての影響を受けにくい設計にしましたよというお話。

コンセプトX (Concept X)はストラトスに比べて、SVXモデルで27%、HBTモデルとの比較で13%静かになっています。また、振動に関しては35%減を記録しています。これはちょっと驚きの数字ですね。私はホイットの弓は音も振動も大きいので、選択してこなかったのですが、コンセプトXのこの数字は他社ユーザーにも魅力的ではないでしょうか。まぁ、カムシステムが他社と同じ様になったわけですから、乗り換えもしやすいと思います。

B.V は弦について。カスタム弦が一般的になってきた中で、ホイットは標準弦についても、新しい製法を取り入れて頑張っていますが、今回はかなり詳細にスペックを公表してきていて、カスタム弦を発注する側にとっても価値のある情報かなと思います。

(一番左と右の組み合わせではケーブルがカムにこすれる可能性があるので確認を)

B.VI はチューニングガイドです。従来のリムにかかっているケーブルでカムの傾きの調整をすることはもうできないので、完全にワッシャーの入れ替えだけでチューニングする必要があります。PSEのような簡単にできるシステムはなく、ボウプレスが必要です。

また、私はやったことはないのですが、このチューニングはカムの位置を左右に変えるものですが、ホイットはわざわざ注意書きで、上下のカムの位置を一致させる必要しないとしています。これはなかなか興味深いノウハウですが…試してみる機会は当分ないので、調整してなにか得た人がいたら教えてくれたら嬉しいです。

上のチャートはでは赤・黒・グレーの3種のスペーサーがあり、一緒に移動させるのではなく、上をまず移動、それで改善しない場合は下を移動というふうして、上下をいっぺんには変えないというチューニング方法が紹介されています。

非常に楽しみに弓ですね。

HOYT 2025、TLAにて取り扱いますのでぜひお問合わせください。

HOYT Archery Concept X Complete White Paper(PDF 11MB)

おばたのお兄さんに伝えたい

テレビで芸人さんがアーチェリーをやっていました。的を外して集中力がどうこう言っていましたが、それはレストダウンです。射る時に人差し指に力が入ってしまって矢がレストから落ちる現象で、スーパーレスト等柔らかいレストを使う時に起きがちの現象です。メンタルの問題ではありません。伝われば幸いです。

あと、アームガードも正しく装着できていなく、弦がアームガードの留め具にあたっています。その前の射のとんでもない矢飛びしているやつはそれが原因だと考えられます。正しく装着すると点数が向上するかと思います。がんばってください。

HOYT コンパウンド工場見学

以前にホイット(HOYT)のリカーブボウの工場見学についての動画を紹介しましたが、今回はホイットのコンパウンドボウを作っている工場の方の紹介動画です。

HUSH(@gethushin)のチャンネルにアップされたもので、ホイットのマーケティング担当のJEREMY ELDREDGEさんが6つのステップでホイットのコンパウンドボウの製造工程の説明をしてくれています。

弦も同じ工場で作っているのは意外でしたが、昨年導入した新しい技術だそうです(非公開エリア)。ホイットのハンティング部門のホームページは久しく見ていませんでしたが、2024年からこんな可愛らしいHoleshot V2 サイレンサーが現在標準装備されているのですね。なんでこの形になったのか気になります。

一説には、現在の一部の設計にはAIによるシミュレーションが導入されていて、「シミュレーションの結果は最適」であり、設計者もなぜこの形が良いのか言語化して説明できないという都市伝説がありますが、どうでしょう。

AIに聞いてみた。↓だそうです。

説明可能性の問題

設計者が「なぜこの形が良いのか説明できない」という点については:

  • 一部の複雑なAIモデル(特にディープラーニングを用いたもの)は、「ブラックボックス」的な性質を持ち、その決定プロセスを人間が完全に理解することが難しい場合があります。
  • しかし、多くの場合、設計者はAIの提案を評価し、その根拠を理解しようと努めます。完全に説明できないケースは稀であり、むしろ例外的と言えるでしょう。

日身ア連、さらなる内紛へ

これまで、日身ア連が裁判についての偽情報を流していると記事にしました。それらは裁判記録をもとに、確かな根拠があるものでしたが、フェーズに変わって、連盟内の内紛になってきましたので、これについて私が根拠を持って主張できることはないので、事実関係の整理だけして、見守りたいと思います。

公文書扱い 会長名でのお知らせ
Para Archery Hiroshima 代表名でのお知らせ

2024年10月3日にPara Archery Hiroshimaと日身ア連の代表理事(会長)名で公文書として、大会中止についてのお知らせが出されました。

問題点は前回の記事で整理しましたが、現実面では、試合開催の実務を行う共催(Para Archery Hiroshima)が共催・主管になった覚えはないと言っている以上、強硬開催などできるわけはありません。試合の公認を巡るトラブルなどでは、公認が無くても強硬開催できたりしますが、会場の設営などをする人がいなければ、試合は絶対できません。

(トップ画と同じ内容です)

ところが、翌日の4日の夜20時に驚くべきお知らせが掲載されます。「日本身体障害者アーチェリー連盟コンプライアンス委員会」という名前で、会長名で出された…整理しようとしましたが、内容がもう怪文書レベルなので、整理もできないのですが、「会長が独断で中止を決めたけど、理事会はそんな事は聞いていない」「会長は噓の情報を流している(書面内で言及されている問題点は事実と大きく異なっております)」ということでしょうか。

いや…それなら、このお知らせは理事会の名前で出さなければいけないわけで、コンプライアンス委員会は何と戦っているのか見えてきません。会長と共催団体が同じ事を発表しているのに、コンプライアンス委員会は、事実と違うと発表しています。

コンプライアンス委員会が、会長とPara Archery Hiroshimaと戦っているのは伝わりますが、連盟のコンプライアンス委員会が、連盟に所属する地方協会となぜ対立するのかは、全く外からは事情を推測することもできませんが、見守っていきたいと思います。記録に残すためでもあります。

*個人的な意見ですが、会長とPara Archery Hiroshimaは立場(肩書)だけではなく、個人名も晒していますが、コンプライアンス委員会は立場だけ使い、自分らの名前を出していないところが気になります。

連盟主催の大会中止へ

今週末の開催される予定だった第53回全国身体障害者アーチェリー選手権大会 (フェニックス岩国大会)の中止が発表されました。二日前です。延期も検討されているようですが、参加選手のスケジュールを考えれば、年内の延期はありえないので、来年の今頃を53回として2024年をなかったことにするという意味での延期になるかなと思われます。

先月、2つの記事で、一般社団法人日本身体障害者アーチェリー連盟(日障ア連)コンプライアンス委員会が裁判について、嘘の情報を連盟のホームページで拡散していることを伝えましたが、その頃、中では、2月時点で10人いた役員が相次いで辞職する事態が起きており、現在は理事4名だけ残っているという状態で、理事会として機能していないそうです。

先月の記事を書いた時点で、私として連盟が嘘の情報を拡散させる理由を、連盟が独裁体質で理事会が機能していないという推理で書いてますが、実際は独裁ではなく機能するだけの人間が理事会に残っていないのがより事実に近いようです。今後、どうなるのか、見守っていきたいと思います。

に…してもすごいですね。

問題点1 選考大会なのに選考基準が発表できない(大会2日前)

問題点2 理事会が機能する人数がいない

問題点3 開催を実務レベルで行う団体がキャンセル

噓情報をホームページで拡散するレベルどころじゃない問題の数々で…しかし、大会が開かれなければ、一番困るのは選手なわけで、大会開催だけでも、早期に正常化してほしいです。

天井の破壊により水漏れ…

以前に作った畳などの備品部屋の屋根が破壊されました…

先日の強風によって屋根上方にある傷んでいた枝が落下し、それによって屋根が損傷し、そこから雨水が入ってきたようです。位置的に現在ある道具で更に落下する可能性のある部分の除去が困難でしたので、一旦ブルーシートで仮の屋根にして、様子を見ることにしました。

畳は無事です…何かアーチェリー場が(色は違うが)ブルーシートだらけになってきた…こんな便利なアイテムだったとは知りませんで。

CPチューニングマニュアル、間もなく販売終了

昔の記事なので、もう削除してしまったようですが、メールの記録を確認したら、2011年の7月にラリー・ワイズ氏と契約して、「コンパウンド・チューニングマニュアル」の翻訳と出版を手掛けました。

この本の在庫量がかなり少なくなっているとの連絡がありました。当然売れるのは良いことなのですが、前回の再販で契約した出版数上限まで印刷したので、今ある在庫を持って販売を終了することとしました。

理由としてはやはりコンパウンドについて情報が、2011年と比べ、圧倒的に増えたこと。また、日本に蓄積されたノウハウも増えている事、海外から発信されている情報に対しても、AI翻訳などの精度が高くなったことで、接しやすくなった事、海外のマニュアルを日本語の翻訳するだけの情報発信の価値が減っているのかなと思っています。

今後は、こちらのサイトで最新の情報発信をするとともに、リカーブチューニングマニュアルに相当するような、コンパウンドチューニングの基本についてまとめた、オリジナルのマニュアルを無料配布予定です。年内を目処に執筆していこうと思います。

この記事を書く中で、多くの有名コーチが寄稿していたアメリカの「アーチェリー・フォーカス(Archery Focus)」が発行を2021年で停止したことを知りました。「Archery Focus」誌に関するものです。この雑誌は、1996 年のオリンピック後に、トップアーチャーの、リック・マッキーニとデニス・パーカーが日本の雑誌アーチェリーの協力を得て、創刊された日本にも多少は関わりがある雑誌でしたが、編集者によると、最終的には収益の問題で発行を停止したとのことです。時代ですね。残念です。

25 and Done! – A Blog for Archery Coaches

【TLA お知らせ】連絡先・振込先が変わります

今月から新たにスターを切ったTLA(ターゲットラインアーチェリー)ですが、昨日までは電話番号や代金の振込先などを「仮」で運用してきていました。

が、本日からはTLAのために準備した電話番号と代金振込先へと変更いたしました。

電話番号:090-3559-5486(月水金 12時~18時)

HP内の各所、受注確認メール等も変更が済んでおります。

また今回新たにLINEを開設いたしました。PC画面にQRコードを設置しておりますし、また以下のQRコードからも追加していただいても結構ですので、ぜひお問い合わせやご質問などの際にご利用くださいませ。

LINE-IDは《 targetlinearchery 》 です。

山田


*追記 これまでの電話番号は休止期間を置き、10月より別事業用として使用します。 山口