ウィンに移籍したジェーク選手が新しいウィンのハンドル・リムの初期チューニングについて解説しています。方法として新しいものはないと思いますが、時系列(どれを先にやるのか)という意味では、参考になるのではないかと思います
全部で2時間程度の動画で、簡単な英語なので理解は難しくないと思います。ただ、全部追っていくと非常に時間がかかるので、重要な部分のみを記事として抽出しました。また、より具体的な質問に関しては、事情によりお答えできかねます(*)。
*ジェークのチューニングガイド(有料)を私が翻訳したので、より詳細なチューニングやその意図に関しても理解しているつもりですが、その資料は有料のため、こちらで無料でより詳細に回答することはできないです。あくまでも、ジェーク選手の無料公開のこちらの動画をベースとして記事を書きます。
まず、注意していただきたいのはこの動画はフロント・リアカメラの両方で撮影されています。リアカメラでは正しく映っていますが、フロントカメラでは左右逆に映っています。ジェーク選手がAAEのキャップをかぶっているので、AAEなら正しく、EAAとなっている場合には逆に映っていると判断してください。
最初の50分程度はセッティングです。センターショット(リムアライメント)調整して、ティラー調整して(4mm)、レスト貼って、プランジャー調整(センターショット)して、ノッキングポイントを作ってと、いわゆる弓を射てる状態にしていきます。その後ストレッチをして、裏庭の射場に向かいます。
ウォーミングアップを終え、まず行ったのは、ベアシャフトチューニングです。左が完成矢、右がベア。2本のヒットした位置を黄色ラインでつなげました。完成矢に対して、ベアは右に。シャフトが弱い(ポンドが高い)ことを意味しています。ここでのジェークのコメントは「私にとって多少のポンドの変化は気にならない(意訳)」ということで、プランジャーが矢のスパイン調整ではなく、単純にリムボルトで弓のポンドを下げていくことで、ベアシャフトをチューニングすることに決めています。写真では完成矢が10点に対して、ベアシャフトは青まで飛んでいます。
そこでまず、リムボルトを約1回転して、弓を約1ポンド弱くして、再度ベアチューニングを行います。その結果、完成矢が右側の9点、ベアシャフトは8点ライン上くらいまで接近しました。
ここでチューニングを切り替えます。プランジャーの具合を見るために、ウォークバックチューニングというものを行います。これは、赤の矢印の点から垂直に糸をたらし、10メートルで黒い点に矢がヒットするようサイトを調整して、その後、この点を狙い続けながら、後ろに下がっていくいうチューニング方法で、公営の射場ではやるタイミングが非常に難しいテストの一つです。
下がっていけば、当然矢は下に落ちていきます。その結果が一直線であれば、大体のチューニングはあっていて、直線でない場合は何らかの大きな問題があります。さらに、垂直の直線であれば、完璧ですが、右か、左に向かっている場合はプランジャーに正しくないことを示しています。
結果、1本だけ、下のグルーピングで右に当たっていますが、これはただミスっただけだとのことなので、それ以外の矢は直線で、かつ、垂直であることがわかります。なので、プランジャーに問題はなさそうです。
ここからはひたすらリムボルトでベアの一致を目指していきます。ただ、リムのポンドを変更することはブレースハイトにも影響与えるので、リムのポンドを下げたら、弦をするし長くして、同じハイトを維持します。
そこから、後2回リムボルトの位置を調整した結果、ベアと完成矢がほぼ同じ位置に当たる結果となりました。わずかに、1-2cmベアが右のほうに当たっているようなので、後はプランジャーを半回転すれば、初期チューニングは完成とのことです。
ということで、初期セッティング、ベアシャフト、ウォークバックというどれもメジャーなチューニングですが、おおよそジェーク選手にとっては、
1.初期セッティングをする
2.大まかや傾向を知る(最初のベアチューニング)
3.プランジャーの調整をする(ウォークバック)
4.細かくリムのポンドを矢のスパインをマッチさせる(後のベアチューニング)
5.最後の一押しはプランジャーの微調整
という流れで、初期チューニングを終えたようです。アーチャーにとって考え方はいろいろですが、チューニングの中身だけではなく、その順番も大事です。たとえば、スタビライザーのセッティングはハイトに影響を与えるので、ハイトのチューニングを先にして、後からスタビライザーをいじったら、先のチューニングの意味がなくなります。
チューニング中身だけではなく、その順番にも気を付けてみてください。