アーチェリー貴族と紳士淑女のスポーツ(笑)

最近、ベアボウとパラ選手の問題で競技規則について少し書いてきました。現状のルールに特に不満はありませんが、なぜ、日本だけ襟付きにこだわっているのか全く理解できません。高校時代は白い靴下と白スラックスの指定まであったと記憶しています。

UASアーチェリー FBより

上の写真は直近の全米ターゲット選手権の写真で、主に優勝したトップの選手ですが、日本のルールだけとほぼ試合に出られません。しかし、日本のアーチェリーは、貴族(社交場)→ターゲットにつながる本場イギリスではなく、南軍→ハンティングのアメリカから輸入されたはずなのに、なぜなのでしょうか。

高校生の時、あまりアーチェリーに詳しくなかった時に関係者に聞いたら、アーチェリーは貴族のスポーツ発祥だから、服装のルールが厳しいのですと言われ、納得しちゃいましたが、貴族だけあって、葉巻吸いながらやってますからね。それも認めてくれたら(アルコールはドーピングで禁止)、襟付けでもいいや。

以上、貴族の競技風景をお楽しみください。たしかにみんな白スラックス。


歴史なんて調べて何しているのか?

(アーチェリー教本 2000)

歴史を勉強して、古い資料を調べ上げて何をしているのか。よく聞かれます。最新の情報でも仕事はできるのですが、やはり正しい理解に、歴史は欠かせないと感じています。チューニングに興味を持った方なら、上の写真を見たことはあるかもしれません。グルーピング・ピボットポイント・弓のセンターの3点の関連性を示した資料ですが、これを読んでどう思いますか?

これは全ア連のアーチェリー教本(2000年版)に掲載されているものですが、初心者だと、これを正しいと信じてしまうかもしれません。しかし、実はこのデータは全く価値がないものなのです。

なぜでしょうか。アーチェリー教本では全て明らかにされませんが、実はこのデータは70年代前半のものです。つまり、50年前のデータなのです。まず、間違いなく、カーボンシャフトでのデータではありません。また、実験をしたことのある人であれば、誰もが思うであろう疑問があります。6cm/5cm/4cmで実験して4cmが一番グルーピングしたら、誰もが、じゃ3cmと思うでしょう。しかし、それのデータはありません。そのことから推測するに、ウッドボウでのデータではないかと考えられます。NCハンドルであれば何でも可能ですが、ウッドハンドルでは強度的に限界があります。また、表中の表現から、プランジャーを使用していない(普及し始めたのは75年)と考えられます。

つまり、ウッドボウ/グラスリム/アルミシャフト/ダクロン弦/プランジャーなしという条件下でとられたデータなのです(赤字は確定、黒字は山口の推測)。そんなデータが今の時代に価値を持つでしょうか? 2000年でもNCハンドル/カーボンリム/カーボンシャフト/FF弦/プランジャーは存在していました。

ちなみに、このデータを提供したヤマハ自身、80年代にはピボットポイントにできる限り近いほうが良いという実験結果を自ら否定しています。つまり、70年代から5年程度の間しか価値がないデータなのです。こういった判断を歴史を学ぶことでできるようにしているわけです。

しかし、それでもアーチェリーはわからないことだらけで面白いです。写真のとおり、50mでも回転力のぜんぜん違う40m(1-9/16″)のノーマルスピンと64mm(2-1/2″)のガスプロのベインが同じところに刺さるのです。まじでなんで…。


1955年 New Guide to Better Archery

1955年に執筆されたアーチェリーガイドブックの1962年版が届きました。これから読み込んでいこうと思っています。

特にアメリカで書かれたものですが、今まで翻訳した本でもハンティングの部分の翻訳を省いたりしましたが、せいぜいブロードヘッドチューニング程度の内容でしたが、こちらの本ではハンティング後の解体の仕方まで解説してくれています。今でもあるのかわかりませんが、当時ハンティングでは40ポンドの逆ポンド規制(40ポンド以上を使うこと)が存在していたそうです。

今ではまず見ないレンジファインダーという装置。自分の射場で的近くの木の根元を狙っているなら、そこにマークを付け、試合会場の同じ距離の的で、自分のエイミングポイントになにか目印がないかを探すのに使います。アイスバーの棒で自作するらしいです。


コンパウンド編はPSEになりそうです。

リカーブチューニングはホイットの話が中心となってしまいました。というのも、他のメーカーは歴史が短く、リカーブを真剣に作り続けていたのが、ホイットだけだったからです。ホイットよりも古いメーカー、例えば、ベアなどは途中からコンパウンドほメインとしていて、話が繋がりません。日本メーカーは21世紀にまで残っていません。

さて、コンパウンドはどうか。67年から製造が始まりますが、発明者のアレンはあまり作る方には積極的ではなく、当初は特許権を売って開発費を回収しようとしていたようです。ちなみに発明者のホレス・ウィルバー・アレン氏は73年に会社に特許を譲渡し、79年に交通事故でなくなってしまいます。その後、譲渡された会社は特許をめぐる法廷闘争に発展しますが、その話は置いておきましょう。ちなみに、その法廷に提出された資料によって、特許使用料は弓の販売価格の5%~5.5%だったそうです。思ったより安いかな?

70年代初めに、コンパウンド黎明期に作っていたのは、Allen / Wing / Groves / Martin / Olympus / Carol / PSE / Jennings の8社でしたが、現在でも続いている会社はPSEとMartinしかなく、その中でも、PSEとは弊社のコンパウンド部門立ち上げ時(2011年)からのお付き合いですので、コンパウンドのチューニングに関しては、PSEにお世話になりたいと思います。


やっぱり弓は射ってこそいいもの!

約30年前の弓なので射てるか心配でしたが、なんの問題もなく、非常にいい感じで射てました。下リムがフルドロー時に少し音がするので、再チューニングが必要です。あと、マウンティングホール(プランジャーホール)が一つしかないので、ベアボウレストを確実に固定できない&プランジャーの出し入れする時にレストがずれてしまいます。はじめて、ホールが2つあることのありがたみを感じたかもしれません。

普通のベアボウの練習があるので、この弓は一旦インドアシーズンまでお休みです。


壮大な話かと思ったら、10分かからなかった…ヤマハILFモジュール。

一瞬で終わってしまいました。最近古い資料などを調べたりしていたのでヤマハのハンドルについて、ちょっと詳しくなっていたのですが、友人から先日入手したHOYTのゴールドメダリストをヤマハにつけて射っちゃえと言われハテナ?

しかし、調べると実際にヤマハのハンドルにホイットのリムをつけて射っている人がいました。確かに言われてみれば、構造的にはできますね。

【ReStart アーチェリー】YAMAHAのハンドルにHOYTのリムで矢を射つ (ニコニコ動画)

ということで、10分位で適当に設計図書いて、作ってみました(作るのには1時間かかりました)。

ハンドルにはピッタリと装着できそうです(穴は精度が3Dプリンタで出ないので、ドリルで実用の精度出します)。リムにもピッタリ装着できました…えっ?

という事で、企画として面白いかなと思ったのですが、記事を書く時間を入れても30分もかかりませんでした。まぁ、すごいのは3Dプリンタなんですけど。

この部分を7mmで設定していますが、この厚みを変更することでポンド/ティラー調節できます(CADなら10秒でできます)。という事でモジュールの話…終わりました。

射ってこそアーチェリーなので、もう少しいじって、αEXハンドルに負荷をかけたくないので、重い矢を使えば、弓に比較的優しいインドアでも出ようか考えています。


【追記】アーチェリー競技の歴史をすこし。

前の記事で昔の世界選手権に触れたので、どんな競技をしていたのかについて少し触れておきます。今のように70mwからのトーナメントという形式では競技されておらず、今の競技形式の元になったものは30年前の1987年から採用されています。

もともと、アーチェリーの始まりはイギリスの貴族のスポーツでした。アーチェリー場は社交場のようなもので、それぞれの地域で楽しまれていました。そのために、アーチェリーの射場にフォーマットはなく、自分の地域のアーチェリー場の大きさに合わせて、競技が行われていました。

18世紀には、試合が200ヤード(182m)で行われ、888本中5本しかヒットしなかったという記録まであります…それアーチェリーか?と思ってしまいます(笑)

さて、1844年に現在の射場のフォーマットとなるヨークラウンド(*)が導入されます。このときに長距離は100ヤードと定められました。約91mで、この後、1931年にFITAがヤードではなく、メートルを使用していたヨーロッパに誕生したことで、90mとされました。

*海外の資料ではヨークラウンドが最も長い歴史のあるアーチェリー競技(ナショナルフォーマット)とありますが、日本の通し矢のほうが歴史があるきがします。通し矢もローカルルールではなく、全国から参加できたはず。

ヨークラウンドは100yd(91m)を72本、80yd(73m)を48本、60yd(55m)を24本射つというもので、計144本(1440ラウンド)を射つという本数もここから来ているとされています。

20世紀に入り、国際大会というものが行われるようになります。1900年のオリンピックでは”au chapelet 33m”という形式などが採用されますが、これがどういったものだったのか、知られていません。というか、そもそも出場者が6人で、3人は誰だったのかという記録すらないです。

1930年代にFITA(WA)の世界選手権が始まります。当時は男女で同じ距離で競技しており、70m/50m/30mで競技されていました。その後、男女で競技距離が別々となり、長距離(LD)と短距離(SD)を交互に4日間に渡って射つというフォーマットが定まっていきます。55年の世界選手権では長距離は男子の場合90/70/50mの3距離、短距離は50/35/25mの3距離でした。

1957年にFITAは長距離を90/70(女子は70/60)、短距離を50/30にすることを定めます。ショートハーフ(半分の短距離だけ)もこの時生まれました。ただ、4日間の競技(試合に出るために4連休)は貴族ではないアーチャーにとっては現実的ではないため、1-2日あれば開催できるシングルラウンドが一般的で、世界大会に採用されてた形式をダブルラウンドと呼びます。

その形式が30年近く続いた後に、FITA(WA)がメダルを増やして欲しいというIOCの方針に合わせて(と言われている)、現在のランキングラウンド→トーナメントラウンドという形式にうつっていきます。これにより、男子個人・女子個人の2タイトルが、東京オリンピックでは男女個人・男女団体・男女ミックスの5タイトルまで増えました。決勝戦の数が多いほうが放○権が…まぁまぁ。

【追記】根拠のジム・イーストン氏のインタビューを見つけました。

もう一つIOCに歓迎されたのが、団体戦を設けたこと。団体戦が加わったことにより、6個金メダルが増えた。従来の倍以上の数になりました。

雑誌アーチェリー 1998年

その後、ランキングラウンドの距離が70mだけとなり、現在の70mwが主要な競技となります。詳細は上記の記事を読んでいただければわかると思いますが、2011年にリカーブとコンパウンド競技を差別化するために、リカーブにマッチプレイ(ポイント制)が導入され、今に至ります。

WAって結構IOCの言うこと聞くんですね(笑)仲良しなのは良いこと♪

タバコくわえて弓具検査。

的前でもみんなで一服。1961年の世界選手権、そりゃ、1日72本、288本射つのに、4日もかかるわけで…自由な時代ですね。自分がアーチェリーを始めたときにはもうシューティングライン前方は禁煙だったと記憶しています。


1994年ホイットRadian、当たりをゲットしました!

生産したハンドルのある程度にねじれが発生したというホイットがアジャスタブルリムポケットを搭載する前の94年モデルのRadianハンドルを入手しました。70インチ38ポンドで、今ベアボウで使っているは68インチ36ポンドの弓との比較に丁度いいかなと思い1万円で入手しました。

こういったものは保証がないのは当然ですが、パーツ一つ壊れても、(たとえネジでも)交換するのが難しく、説明書がないと、入手すべきもの、サイズもわからないので、購入をおすすめするものではありません。個人的には3Dプリンタがそれなりに使いこなせるようになり、必要なパーツがなければ作れるので、手を出すことにしました。

同梱されているものは怖くて使えないので、新しい弦に交換して、ブレースして確認してみると、ばっちりセンター通っています!良かった…ねじれていた場合に備えて、スペーサーとか用意したのですが、出番なしでした。

持った感じはものすごく軽いです。1000gくらいの感じです。同じようなデザインのハンドルをいくつか知っていますが、可動部が少ないとやはり軽く作れるんですねと、実物を見て改めて実感。そして、グリップはやはり独特です。グリップは射ってみたいと評価はできないので保留。

リムはゴールドメダリストカーボンプラスというフォームカーボンリムです。引いてみると…特に癖がなく、スムーズ(まぁ、70インチのリムがスタックするまで引けるほど腕長くないし)で、今のモデルで言えば、WNSのエリートカーボンのようなスタンダードな中価格帯リムのようです。

2017年にホイットがリムボルト周りの改革として、リムボルトをコレット式に変更しましたが、94年から採用しているじゃないですか(^_^;) この部分はカタログではわからない部分だったので。

ハンドルというか独特なグリップが目的でゲットしたのですが、リムもちょうどよかったので、使ってみてリムに問題がなければ、今年の冬にでもどこかのインドアの試合でデビューさせてあげたいですね。とりあえずはリムのぎす部分にコーティング剤塗って、ウッドグリップを磨きます。

【追記】このハンドルは金属グリップとウッドグリップの間の隙間(確かに少しある)に肉が挟まる可能性があるという非常に恐ろしいコメントを頂きましたので、対策が必要のようです!


リムアライメント機能への理解。ホイットの強気。

(よめないよう解像度調整してます、ご理解ください)

いろいろと細かい記事を書いていて、まとまりがないですが、(順調に記事に出ているにも関わらず今日中に終わらない気が…)、最終的には一本にまとめるのでご勘弁ください。

さて、ホイットがアバロンハンドルに「アジャスタブルリムポット機能」を搭載し、ヤマハはリム側に「リムセンター調節機構」を搭載しました。その調整をホイットでは「リムアライメント」と統一したのに対して、ヤマハでは、海外ではホイットと同じリムアライメントにしておきながら、国内では「ストリングセンター調整」と違う名称を採用しています。

99年5月号 64ページ

この傾向は70年代から見られます。ホイットがティラー調整を導入したときには、「ポンド/ティラー調整機能」として発表されました。対して、ヤマハはスペーサーによる「ティラー・アジャスト」を導入します。これは実質的には同じことですが(ヤマハの方調整幅が狭いだけ)、ホイットの機能に「ポンド」という名前があったがために、ホイットのやり方はティラーを調整するとポンドが変わるという話として誤解されます。ヤマハの方はティラーを変更してもポンドが変わらないと理解されていたようです(*)。

*実際には国産か外国製か関係ない。ホイットで言えば、リムを片方(例えば1/2回転)調整するとポンドが変わる。リムを両方(上リムを1/4回転、下リムを1/4回転逆に)調整すれば、ポンドは変わらない。

その流れで当時を見ていくと、ホイットは写真トップで雑誌アーチェリーで見開き2ページ(誤訳なので参照しません)、自社のホームページに掲載された本文(英語)で6ページにも渡って、リムアライメント機能は性能の低下を意味しないとメダリストのデニス・パーカーさんの署名記事で主張していきます。しかし、ヤマハがリムセンター機能の必要性を声を大にして主張した文書はありません。

具体的なチューニング法を含めて、6ページの文書を公表したホイットに対して、ヤマハからのリリースはこれだけです。リムアライメントの議論からも逃れ、国内ではストリングセンターと言う名前にして、パワーリカーブ(深い弦溝)の真ん中にストリングを持ってくるための機能という主張でした。

私はリムアライメントによるコスト低減は必要だったと考える人間なので、最初から批判していませんが、当時の批判に対して、声を大にして、陣営総勢で立ち向かったのがホイット、声を小にしたのがヤマハであったという考えます(*)。

*ヤマハ撤退時のインタビューで広瀬明さんが「ここ数年、また安い弓、普及タイプの弓が必要になってきたんです。しかし、ヤマハは会社として、それに対応できる態勢に戻れなくなってしまいました」と述べています。よくわかります。

さて、ホイットの主張を見ていきますと(*)、まずは、ホイットの開発者ではなく、オリンピックメダリストのデニス・パーカーさん(ホイットと雇用関係はあったはず)の署名記事という形で発表します。日本で言えば、メダルとった古川選手に技術の正当性・優位性を主張させるようことでしょう。

興味深いので始まりからは全文を。一部意訳、原文全文はネットに掲載されています。

リカーブでは1990年代にアジャスタブルリムポケットの製造が開始されたが、実際のルーツは70年代にあります。ホイットは1978年5月にこの特許を取得しました。彼の特許では、グリップに応じてチューニングしたり、矢のクリアランスを改善するために弓のセンターラインをわずかに調整したりできるという利点を説いています。

今日の誤解は、ホイットが今日までアジャスタブルリムポケットを導入しなかったのと同じ理由です。このキノを導入すると、ホイットがお客様から良い製品を作るのではなく、不完全なチューニングに頼ろうとしているように見える。そう思われないためにホイットは製造時の精度を高める事にフォーカスした。

90年代にお客様に求められるまで、ホイットはこの機能を搭載しませんでした。しかし、ホイットが1978年に主張したように、この機能は弓のチューニングの可能性を拡大し、より弓をアーチャーに合わせるためのものです。私は、多くのアーチャーがこの機能を使いこなせていないことを発見しました。ほとんどの場合、ハンドルとリムの中心に弦が通るようにするだけです。これはスタートには適した場所ですが、チューニングプロセスの始まりにすぎません。トップシューターのマイク・ジェラードが見つけた見つけた最高の方法を紹介しよう。

Tuning your Hoyt Avalon Plus By Denise Parker

歴史的な経緯から始まり、批判的なユーザーの意見も受け止めた上、メダリストに原因は君たちが使いこなしていないからだと言われたら…なかなか、ぐうの音も出ない良い構成です(^_^;)

アメリカでは新しいチューニングメソッドとして受け止められましたが、日本での悲劇はこのガイドラインの翻訳でしょう。

Earl described the advantages in that you could adjust the tune according to individual’s hand placement or adjust the line slightly to improve clearance.

Tuning your Hoyt Avalon Plus By Denise Parker

彼は、アーチェリーの手の位置に合わせてチューニングするメリットつまりクリアランスを良くするためにラインを調整する

雑誌アーチェリーの翻訳

「Or」は一般的には、「また」、と訳され、前後のロジックの関係はありません。しかし、これを、「つまり」と訳されると文書を理解するのが困難であり、今は2020年ですので、検索して彼女の原文を読むことで理解しましたが、グーグルすらない1999年に、これを読んだ方は、ただ理解ができないだけで終わったと思います。こうして、2000年に入っても、正しいリムアライメントのやり方が、一般に理解されることはあまりありませんでした。

さて、このあとに紹介されるマイク・ジェラードの方法ですが、そのまま、現在推奨されいる一般的なやり方です。ただ一点、特殊な点があります。それはスタビライザーを使用しないという点です。

現在では、リムのねじれを確認し、弦を両リムのセンターを通すことでリム面のアライメント、さらにハンドルのセンターとハンドルのスタビライザーのセンターを通すことで、ハンドル面をくわえた3面のアライメントを整えていきますが、当時はシャフトの使用が推奨されていました。

ベテランの方に話を聞くとスタビライザーに対する信頼度が本当に低いんだと思わされますが、そんなにスタビライザーって曲がってたのかと?

ここでもホイットはスタビライザーのストレートさを使用(信頼)せず、リム面に対して90度の角度で削られているハンドルのウィンドウ部分に、真っ直ぐなシャフトを押し当てる事でハンドル面とリム面とのアライメントの正しさを測定するというやり方を推奨します。

ただ、2021年現在、あなたがスタビライザーが曲がっていないと信用できるのであれば、この初期のホイットのやり方を今やるメリットはなく、やっていることはより現代的なメソッドと同じですのでご安心ください。

そして、最後には、

As I mentioned in the first of this article, adjustable pockets have been around a long time and anyone who is afraid of them simply doesn’t understand the benefits.

Tuning your Hoyt Avalon Plus By Denise Parker

グーグルにその意味を聞けば「恐れている人は単にその利点を理解していません。」とのことで。アメリカ人らしい?挑戦的な結びで終わっています。逆に雑誌アーチェリーの翻訳では、「afraid of them」をとても穏やな日本語に翻訳していました。ここだけナイス?


個人的なヴィンテージボウへの取り組み。

【お願い】ヤマハとホイットを書きましたがニシザワに関する知識がなく、手を付けられない状態にいます。ヤマハのページを読んでいただければ、必要な情報はわかっていただけると思いますが、執筆していただけるニシザワの愛好家の方がいましたらお願いします。

最近仕事していて思うのは、海外では、古い弓に対しての有志の取り組みがすごいということです。日本のメーカーであるにも関わらず、ヤマハの情報の多くは海外に保存管理されています(死蔵されている情報は日本が多いと思いますが)。

メーカーは発売して5-10年、ヤマハやニシザワに至ってはアーチェリーから撤退していますが、それらを有志の愛好家が引き継いで、情報発信をして、できるだけのサポート・情報交換をしているサイトが多くあります。

先日、コメントで頂いて確認したのが、ヤフオクで買った弓がヤマハのEX規格とαEX規格で、接合できないというものでした。それはネタにもなるし、ユーチューブはそうやって盛り上がる場所なのだと思いますが、しかし、そのような弓が、動画撮影後、再出品されずに、倉庫行きとなってしまったら、非常に残念なことだと思います。なんなら自分が引き取ります。

私はものが好きではない(今どきで言えば断捨離?)ので、コレクターの気持ちがわからないからなのか、弓は使われてこそ、美しい物だと思っています。自分が全日本で使用した弓も、使う予定がなくなれば譲渡しています。自分のために良い働きをしてくれた素敵な弓だからこそ、誰かに使っていただきたいです。

ということで、現状集まった情報をまとめたサイトを作りました。現状、ヴィンテージボウが流通シているのはオークションサイトだけだと思いますが、そこで弓を買うときのガイドになり、自分がほしい弓を正しく手に入れる参考になればと思います。

また、入手したあとに正しく使える情報も掲載していきます。ただ、近所の射場でもオークションサイトで弓を手に入れた未経験者が問題を起こしたそうなので、アーチェリー未経験者が読んで理解できるレベルにはしません。ある程度アーチェリーの知識がある前提で書きます。

ちなみにベアボウでコンパウンドグリップは有効なのか気になったので、個人的にRadian(*)を試してみようと思っています。

*ホイットがリムアライメントを搭載しなかった最後のモデル。ただ、製造中にハンドルのねじれが多く発生した。当時のホイット関係者によると、Radianは「非常に安定している」そうで、入手したハンドルがねじれていれば直しようはない(それ以上ねじれもしない)し、ねじれていなければその後ねじれることもないそうです。どっちがあたるかな?

また、情報提供してただける方がいましたら連絡ください。