4年かかってリカーブチューニングマニュアルが完成したので、次はコンパウンドに着手します。同じペースなら2025年頃に完成するのでよろしくおねがいします(^_^;)
さて、いわゆる弓の定義を変えたのがコンパウンドです。61年頃にアレン氏のアイデアが元になっているのですが、実際に登場したのは、67年です。これがアーチェリー業界に衝撃と混乱をもたらします。
アーチェリーのルール作りをしているWA(FITA)では、和弓も世界大会に出場したことがあるのですが、リカーブ部門の用具の定義は1967年時点で、
第703条(用具) (a)石弓を除き、いかなる形の弓を使用するも差し支えない。
100万人のアーチェリー 坂井 一雄
となってします。クロスボウ以外なら何でも使用できたわけです。リカーブが最も性能が高いという認識のもと、別にリカーブしていなくても、リカーブ部門には出場できます。現在でも、リカーブ部門の弓具に弓がリカーブしていなければいけないというルールはないのです。
しかし、コンパウンドの登場によって、リカーブよりも優れた弓が登場してしまいました。この混乱によって、弓とはなにか、みたいな哲学的な議論が開始されます。最初にコンパウンドボウが登場したアメリカで権威のある辞書(Merriam Webster)によれば、
a weapon that is used to propel an arrow and that is made of a strip of flexible material (such as wood) with a cord connecting the two ends and holding the strip bent.
意訳すると、柔らかい素材でできていて、曲がり、両端をコード(弦)によって繋がれているというのが定義です。しかし、コンパウンドも両端で弦によってつながっているので、コンパウンドも弓です。それをどう扱うかが問題となり、71年に弓の定義に「ストリングノック」を追加します。つまり、ただ単に両端に弦によって繋がれているだけではだめで、ストリングノック(リムチップ)に弦がかかっていなければいけないというルールです。これによって、コンパウンドを一度は、弓ではないという理由でアーチェリー界から排除しました。
しかし、その後のコンパウンドの人気に押されて、アメリカでは弓ではないと追放したコンパウンドをどう復帰させるのかが問題となります。そこで考え出されたのが、コンパウンドを弓とするが、「Bow Unlimited(制限のない弓)」と新しく定義づけることでした。
アメリカのクラス分けに「制限付き(Limited )」と「制限なし(Unlimited)」がありますが、何を制限していたかといえば、リムチップを制限していたのです。現在はもう少し細分化しています。
ちなみに、他にも多くの分類があるので「Bow Limited」=リカーブというわけではないです。また、この問題にリアルタイムに巻き込まれなかったWA、はただリカーブとコンパウンドと分類していますが、ルールにはしっかりと、ストリングノックという一文がくわえられることになりました。
Ryo
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