壮大な話かと思ったら、10分かからなかった…ヤマハILFモジュール。

一瞬で終わってしまいました。最近古い資料などを調べたりしていたのでヤマハのハンドルについて、ちょっと詳しくなっていたのですが、友人から先日入手したHOYTのゴールドメダリストをヤマハにつけて射っちゃえと言われハテナ?

しかし、調べると実際にヤマハのハンドルにホイットのリムをつけて射っている人がいました。確かに言われてみれば、構造的にはできますね。

【ReStart アーチェリー】YAMAHAのハンドルにHOYTのリムで矢を射つ (ニコニコ動画)

ということで、10分位で適当に設計図書いて、作ってみました(作るのには1時間かかりました)。

ハンドルにはピッタリと装着できそうです(穴は精度が3Dプリンタで出ないので、ドリルで実用の精度出します)。リムにもピッタリ装着できました…えっ?

という事で、企画として面白いかなと思ったのですが、記事を書く時間を入れても30分もかかりませんでした。まぁ、すごいのは3Dプリンタなんですけど。

この部分を7mmで設定していますが、この厚みを変更することでポンド/ティラー調節できます(CADなら10秒でできます)。という事でモジュールの話…終わりました。

射ってこそアーチェリーなので、もう少しいじって、αEXハンドルに負荷をかけたくないので、重い矢を使えば、弓に比較的優しいインドアでも出ようか考えています。


最適リム差し込み角度という謎の概念のはじまり。

年に1-2度は、お客様から「リムの差し込み角度」についての質問を受けます。聞かれ方はいろいろとありますが、要約すれば、リムボルトを何回転した位置でリムの性能が最大限発揮できるのかという質問です。しかし、当然ながら、そんな位置は存在しません。

厳密に言えば、最大の効率性が出る位置はありますが、それはリムボルトだけではなく、弦の長さと、個々人の引き尺によって決まるものですのですが、メーカーで設定された値があると思い込んでいる人がいるようです。一人くらいであれば、正してあげればよいのですが、何人もいると、そん勘違いをする原因を探りたくります。1年くらい考えていたのですが、別の記事の構成をしているときにひらめきました!

かつて、日本にあったヤマハの影響ですね!その時に雑誌アーチェリーか、プロショップで聞いた話を覚えていて、誰にも訂正されることなく、今に至り、それを今のハンドルに当てはめた結果です。

相変わらず、下手な絵ですみません。リムの差し込み角度調整機構(それによってポンドを変更する)を簡易化したものです。現在の弓で採用されているものも、かつて、ヤマハで採用されていたものも、どちらも、力点と支点の位置関係を変更することで、ポンドを調整します。しかし、現在のシステムでは、力点(リムボルト)の位置を変更するので、力点とグリップのピボットポイントの位置関係は変更されません

対して、かつて、ヤマハが採用していたシステムでは、力点(リムボルト)ではなく、リムとハンドルの接合部の厚みを変更して、支点の位置を変更するシステムでした。この場合、ポンドを変更すると、リムボルトとリムの支点の位置関係が変わるだけではなく、ピボットパイントとの位置関係も変わり、ポンドを変更することは、ポンド調整の意味だけではなく、ハンドルをより、デフレックス設計にも変更することを意味します。

ピボットポイントの位置とリムの支点の設計はハンドル設計において、大きな意味を持つものです。かつてのヤマハでは、ポンドを最も上げた時に、ピボットポイントとリムの支点の位置が設計された位置の来るということでした。

当時ヤマハハンドルでは、リムの”支点”が最も性能を発揮する位置が存在していて、それは、ポンドを最大にした時でした。しかし、それはその位置のリムの角度が最適という意味ではなく、その位置でピボットとの位置関係(ジオメトリ―)が最適という意味です。

しかし、現在のポンド調整システムにおいては、元々リムの支点は固定されていて、変更するにはハンドル自体の買い替えが必要で(*)、お客様がいじれるものではなくなっています。

*ORIGINAL EARL HOYT GEOMETRY = 直線  / HP(ハイパフォーマンス) GEOMETRY = 少し的側 = リフレックス

まとめると、リムの支点を変更してポンドを変更するヤマハ式の調整方式においては、設計者が意図した最大限の性能が出る位置が存在しましたが、現在のシステムでは、その位置関係はポンドを変更しても変わりませんので、まだ、ヤマハのハンドルを引き続き使用している方を除き、そのような概念はもう存在しません。