この記事は2021年8月12日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

【追記】アーチェリー競技の歴史をすこし。

前の記事で昔の世界選手権に触れたので、どんな競技をしていたのかについて少し触れておきます。今のように70mwからのトーナメントという形式では競技されておらず、今の競技形式の元になったものは30年前の1987年から採用されています。

もともと、アーチェリーの始まりはイギリスの貴族のスポーツでした。アーチェリー場は社交場のようなもので、それぞれの地域で楽しまれていました。そのために、アーチェリーの射場にフォーマットはなく、自分の地域のアーチェリー場の大きさに合わせて、競技が行われていました。

18世紀には、試合が200ヤード(182m)で行われ、888本中5本しかヒットしなかったという記録まであります…それアーチェリーか?と思ってしまいます(笑)

さて、1844年に現在の射場のフォーマットとなるヨークラウンド(*)が導入されます。このときに長距離は100ヤードと定められました。約91mで、この後、1931年にFITAがヤードではなく、メートルを使用していたヨーロッパに誕生したことで、90mとされました。

*海外の資料ではヨークラウンドが最も長い歴史のあるアーチェリー競技(ナショナルフォーマット)とありますが、日本の通し矢のほうが歴史があるきがします。通し矢もローカルルールではなく、全国から参加できたはず。

ヨークラウンドは100yd(91m)を72本、80yd(73m)を48本、60yd(55m)を24本射つというもので、計144本(1440ラウンド)を射つという本数もここから来ているとされています。

20世紀に入り、国際大会というものが行われるようになります。1900年のオリンピックでは”au chapelet 33m”という形式などが採用されますが、これがどういったものだったのか、知られていません。というか、そもそも出場者が6人で、3人は誰だったのかという記録すらないです。

1930年代にFITA(WA)の世界選手権が始まります。当時は男女で同じ距離で競技しており、70m/50m/30mで競技されていました。その後、男女で競技距離が別々となり、長距離(LD)と短距離(SD)を交互に4日間に渡って射つというフォーマットが定まっていきます。55年の世界選手権では長距離は男子の場合90/70/50mの3距離、短距離は50/35/25mの3距離でした。

1957年にFITAは長距離を90/70(女子は70/60)、短距離を50/30にすることを定めます。ショートハーフ(半分の短距離だけ)もこの時生まれました。ただ、4日間の競技(試合に出るために4連休)は貴族ではないアーチャーにとっては現実的ではないため、1-2日あれば開催できるシングルラウンドが一般的で、世界大会に採用されてた形式をダブルラウンドと呼びます。

その形式が30年近く続いた後に、FITA(WA)がメダルを増やして欲しいというIOCの方針に合わせて(と言われている)、現在のランキングラウンド→トーナメントラウンドという形式にうつっていきます。これにより、男子個人・女子個人の2タイトルが、東京オリンピックでは男女個人・男女団体・男女ミックスの5タイトルまで増えました。決勝戦の数が多いほうが放○権が…まぁまぁ。

【追記】根拠のジム・イーストン氏のインタビューを見つけました。

もう一つIOCに歓迎されたのが、団体戦を設けたこと。団体戦が加わったことにより、6個金メダルが増えた。従来の倍以上の数になりました。

雑誌アーチェリー 1998年

その後、ランキングラウンドの距離が70mだけとなり、現在の70mwが主要な競技となります。詳細は上記の記事を読んでいただければわかると思いますが、2011年にリカーブとコンパウンド競技を差別化するために、リカーブにマッチプレイ(ポイント制)が導入され、今に至ります。

WAって結構IOCの言うこと聞くんですね(笑)仲良しなのは良いこと♪

タバコくわえて弓具検査。

的前でもみんなで一服。1961年の世界選手権、そりゃ、1日72本、288本射つのに、4日もかかるわけで…自由な時代ですね。自分がアーチェリーを始めたときにはもうシューティングライン前方は禁煙だったと記憶しています。


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Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

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