
先月ドイツから取り寄せしたおそらく現時点では最新のクロスボウに関する本、Die Armbrust – Schrecken und Schönheit(クロスボウ – 恐怖と美しさ,2019)が届きました。中世のクロスボウの本場はドイツでしたので、ドイツ語ですが、機械翻訳の精度も上がったし、夏休みを使って、読破したいと思います。

パラパラ見てみたら早速知らないクロスボウの室内競技が掲載されています。まだまだ知らないことばかりです。

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先日、フェイスブック社が発表した動画処理AIのSAM2の評判が結構良かったので、触ってみました。対象を選択して、不必要な背景を除去する処理です。これまでも高価な有料の動画ソフトではできたとは思いますが、無料(オープンソース)でこれほどに簡単に精度良く処理してくれるのはすごいです。実用レベルに達していると思います。

対象を選択して、背景だけにモザイクを掛けることも簡単にできます。いろいろとやってみたいことが思い浮かびますが、この夏にじっくり触るのは時間的に難しそうなので、いまやっていることを終えてからですかね。面白いですよ。是非試してみてください(デモ版は簡単です)。


アーチェリーはこの50年で競技のフォーマットがまるっと変更されています。「最高のアーチャー」をいかにして競い合わせて、選び出すか。現在のルールに対して、個人的には不安なところもありましたが、男子個人決勝が終わり、個人的には納得の結果です。良い方向に向かっていると思います。



弓の飛び出しの違い

対照的な射形・弓のバランス(スタビライザーのセッティング)による、最終セット満点からのシュートオフ。瞬時の採点。ユーチューブを始まりとした、写真メディアから動画メディアへの移行に対するWAの対応。すべてがいい方向に向かっていると思います。2028ロスが楽しみです。

銀メダルNAM Suhyeon選手、写真右下は23日の公式練習の写真ですが、チェストガードの弦ワックスの跡が大きく広がっているので、オリンピック期間中も弦が結構な圧であたっていたことがわかるわけですが、指導としては、弦が強く当たる・弦がチェストガードをこすることは良くないと教わり、自分は男性なので、その知識を個人の経験則によってアップデートする機会もなく、20年以上経ちますが、間違っていたのかもしれないと考えさせられたのが一番の今回のオリンピックの思い出です。弓との接触点が1つ増えることのメリットが、弦の返りへの悪影響(ばらつき)よりも大きいケースが存在するのかもしれないですね。

前回の記事で世界の博物館データベースから54本の弾弓のサンプルを集めたので、これを分析することで、弾弓とは一体どんな弓なのかを明らかにしたいと思います。きっかけは、正倉院の弓について調べていたときに
弦の中央下方に弾丸を受ける楕円形の座(独:Kugallager)を作り出すが、弾丸をどのようにつがえたのかは不明である。
奈良国立博物館編,正倉院展,2020
大量の弾弓についての資料があり、その使用動画含めメディアがある中で、おそらく誰も手を付けていないからわからないだけで、弓の知識があれば、この解明は難しくないだろうと考えて、着手しました。

ひと目でわかるように弾弓には2つのデザインがあり、左側の通常のいわゆる”弓”を使用しての弾弓と、右側の2本の弓を左右対称に組み合わせて弾弓とするものがあります。右の弓は洋弓の世界において、20世紀後半にやっと達成したセンターショットという理想を遥か前に達成しています。非常に高性能な弓だったと考えられますが、サンプル54本に対して3本しかなく、一般的な弾弓は左側のデザインのようです。
また、この絵はライプツィヒ民族学博物館で研究をしていた方が論文に掲載したものですが、1943年の空襲で30,000点以上の収蔵物が破壊され、この論文に取り上げられているドイツの博物館にあった弾弓の多くは戦争によって破壊されました。残念です。


1900-1901年にかけてドイツり民族学者によって行われた中央ブラジルの先住民族の記録には弾弓のことが詳細に記録されています2。弾弓の一番の特徴として、弓矢と違い同一ライン上では、弾がそのまま弓・握っている手にあたってしまうので、「弓がねじれるという特徴がある」としています。

同じ民族が使用している弓と弾弓は明らかに違い、弾弓は弓の流用ではないことがわかります。アーチェリーでもリムのねじれは良くないとされているように、リムはねじれないほうが矢はまっすぐに飛び出します。そのために右の弓はリムに厚みを持たせて、ねじれにくい構造になっています。弓をねじる原因につながるグリップもありません。
対して弾弓では逆にリムが薄くしっかり握るグリップであり、そこでねじれを発生させることで、弾道が斜めになり、発射された弾が手や弓に当たらなくなるという構造になっています。

写真左が19世紀に作られた弾弓(中国か日本製)の断面で、右側はその200年ほど前に完成された和弓の断面ですが、上下の方向に、的中で言えば、左右(3時9時方向)に和弓はねじれにくい構造をしているのに、弾弓の方はねじれやすい構造です。
これは多くの弾弓に見られる設計で、リムに相当する部分は、横に広く的方向には弾性はあるが、厚みを薄くしてねじれやすくし、グリップに相当する部分には木を当ててしっかりと握れるようにして、手首を外側に返すように弓に回転する力を与えた状態で射ちます。また、(厳密には違うが)上下方向は弾の位置と握る部分の位置をずらすことで、弾が問題なくクリアするように工夫しています。




弓道の弓返り同様の物理が働いていると思いますが、弓道の弓返りがフォロースルーの一つであり、しなくても矢は飛んでいくのに対して(3時に外れちゃうけど)、弾弓では自然に起こるのを待っていては弾が弓に直撃して大惨事になるので、意図的に弓を握って弓を回転させています。また、この射手の場合には、的方法に弓を押し込んでもいます。元の動画を見ていただれば、10mほど先の小鳥サイズの的にほとんど当てているので熟練した弾弓の射手だと判断します。
多くの記録では、弾弓は鳥などの小動物を猟るのに、または、子供に弓を教えるために使用されるとされていますが、弾弓は引き方は和弓などのいわゆるモンゴル式に近いので、何かの関連があるかもしれません。
同じく南アメリカ(パラグアイあたり)を旅行した博物学者のドン・フェリックス・デ・アサラは、弾弓について「ヨーロッパの子供たちがこれを練習すれば、こんなにたくさんのスズメはいなくなるだろう」と書いていることから、ヨーロッパ地域では弾弓は広く使用されていなかったようです3。
最後に8月中の何処かのタイミングで実際に弾弓を作ってみて、実践してみたいと思っています。これまとめて、奈良国立博物館さんに送ったら読んでいただけるかしら?

地面とサングラス。一瞬なんの写真かわからなかったのですが…



雨の中の試合だってので、レンズが濡れたんですかね。最終エンドの最終射の前にサングラスをとって、勝利してベスト16入りです。おめでとうございます!
アーチェリー 2回戦 1:19 あたりです。
ベスト8の試合は本日16:43頃の予定です。

現在、パリオリンピックでは個人トーナメントが進行中ですが、昨日は雷の予報が出たために途中で試合が中止されました。今日調べたら、パリは本日雨予報でした。順調に進むことを期待します。

男子個人のベスト16にトム・ホール(Tom Hall)選手が進出しました。今回の私の注目選手の一人で、FIVICSのシャフトを使用しています。イーストンは何年かオリンピックのメダルはすべてイーストンのシャフトによって獲得されたという広告キャンペーンを行っていますが、FIVICSのシャフトがその独占状態を変えることができるか、道具屋として注目しています。
パリは最高気温26度予報、いいなぁ(^_^;)


弾弓について、近代の使用などの情報を追加するものです。弾弓自体に関しては、前回の記事をご確認ください。

前回、弾弓についての記事を書きましたが、調べていくにつれて、弾弓の研究が少ないこと、その理由として、2000年前の弓、弦やスリングがセットで出土することはまずなく、弾(石・陶)や鏃は出土することが多いこと、そして、考古学者は往々にして、鏃は弓の存在の証であり、弾はスリングの存在と結びつけたがり、その他の可能性を考慮しません。そこで現代まで続く弾弓の記録をまとめてみることにしました。

これはトップの写真と同じ場面を描いた中国の皿(美術館提供の画像の解像が低い…)ですが、中国の戦国時代(紀元前5世紀〜紀元前3世紀頃)に成立したとされる春秋左氏伝の一場面です。
霊光は不徳であった。物見櫓の上から石を弾いて、下を通る者が慌てて避けるのに興じたりした。
常石茂 著『新・春秋左氏伝物語』,河出書房新社,1958.P.170
まぁ、とんでもない王様なわけですが、不名誉なことに「石を弾く」という表現はこれが最古で、当時の道具を考慮すると、弓で弾いていたと考えられています。その1000年後に唐か、唐の物を模した正倉院の弾弓が日本に伝わっていますし、その後、14世紀に書かれた大元聖政国朝典章(政治書)では弾弓規制に触れており、
都城の小民、弾弓を作り及び執る者は、杖打ち77回、その家の財の半を没す。
梅原郁,(訳註)中国近世刑法志(下),創文社
と、都市住民には弾弓の所持を禁止することが書かれており、この時代でも平民に用いられていたことがわかります。実は20世紀に入り、中国で弾弓の一大ブームが起こるのですが、それは後半に。
この本は16世紀のはじめにドイツで書かれた技術書ですが、ここには弾弓が描かれています。5世紀までの状況についての資料は全くありませんが、多くの学者はヨーロッパでは弾(玉)を飛ばす手段としては、弓ではなく、スリングであったと考えています。この状況が変わっていくのは権力者の領地に対する所有の概念の変化で、国は領地は王の所有物であり、そこに生息する動物もまた王の所有物であり、庶民に対する狩猟規制が導入され始めます。

庶民は当然のような反発して密猟をはじめますが、大型の狩猟具は見つかる可能性が高いので選択されないようになり、小型の罠など密猟に適した狩猟具が選ばれるようになっていきます1。
一方で、(日本の戦国時代の)戦後に武士の間で火縄銃が実用品から贅沢品に変化してように、ヨーロッパ貴族の間でも狩猟用具は豪華なものに変化していきます。クロスボウも弾弓(弾弩弓*)として再デザインされ、貴族にふさわしい装飾が施されるようになります。
*弾弩弓って…「弾」「弩」「弓」3つとも単体で弓という意味あるよ…




用途としては、鴨やうさぎのような鳥・小動物に用いられたようです。現代でもスリングの一種として、弾弓タイプのクロスボウは規制されていないので、どこかで使用されているかもしれません。このタイプのクロスボウは日本でも規制対象ではない可能性が高いです。

では、中国はどうだったかというは写真は20世紀前半の近代中国弾弓(写真はオークションサイトより)ですが、戦後一大ブームになります。

戦後、中国の毛沢東が四害駆除運動として雀の駆除を指示し、そのガイドブックの中で、弩、及び、弾弓が推奨されたことから、中国におけるこれらの需要が一気に高まります。中国の研究者Stephen Selbyが当時を知る弓職人にインタビューした記事では、職人は匿名を条件に雀の駆除運動によって一気に需要が高まり、しかし、その3年後に雀が実は昆虫も食べていたことが毛沢東にも理解され、生態系が著しく変化したことで、1000万以上が餓死する事態になり、もはや、雀を駆除するどころではなく、ソ連から25万羽輸入する事態になったことで、当然弓に対する特需はなくなり、現在に至るとのことです4。

このインタビューがされた1999年には北京に7つの弓職人店があったようですが、現在ではどうなっているのでしょうか? 戦前に中国で弾弓を購入した研究者の方も何人かいるそうなので、探せばどっかにあるのかな。続く。


ぜんぜん違う調べ物をしていたのですが、いつの間にか、NFAAが雑誌アーチェリー(Archery)のバックナンバーを1927年から全部公開してくれていました!! 論文や本はそう頻繁に出版されないので、定期的に、短い間隔で出版される雑誌は非常に重要な情報源です。本当にありがとうございます。


こちらはメモしていたいつか探そうとしていた記事。60年代の弓の作り方です(U.S.Archery)。勉強させていただきます。

女子に続き、男子団体も韓国が金メダルです。おめでとうございます!

中継を見ていたらこんなものが表示されましたが…リリースポイント…これなんでしょうか?? シューティングラインの的側なので、位置的にはリリース時のグリップか矢のポイント先の位置を測定しているものかと思いますが、これを見てどんな分析ができるのかちょっとわからないです。

あと、この仕事は何でしょうか? 放送では杖のようなものを一回ついて退場です。なんだろう…。
【追記】この儀式はブリガディアと呼ばれるようです。オリンピック公式ページに記事がアップされていました。
ということで、男子団体は韓国が圧倒過ぎて、4-4からのシュートオフ、シュートオフも同点、からのX差で勝利したトルコvsフランス戦をおすすめします。NHKの中継では2:02のあたりです。

【追記】最初に記事を書いたときには動画を見つけることが出来ませんでしたが、読者から連絡があり、NHKに動画がありました。
日曜日の午後に行われた女子団体、チケット完売とは聞いていましたが、満席です! 決勝戦は大接戦で、大いに盛り上がったようです。



韓国チームが2セット先取し、そこから中国が2セット取り返して、最終的にシュートオフに持ち込んでの決着で、この2本のどちらかがラインにタッチしていないと韓国の負けという試合でした。あの韓国チームが途中、全員外して51点(8-9-8-9-8-9)なんて射っているなど、ものすごいプレシャーでの試合だったと思います。

柔道では誤審があったようですが、技量の低い審判を叩いても仕方ないわけで、国際審判という高い技量が求められる仕事に対して十分な給与が支払われていない以上、優秀な人材は集まらないのです。4年に一回、誤審があったら叩くのではなく、いかにして、技量の高い審判を育成していくのか、グローバル化がますます進む世界で、同様の仕事を民間ですれば、2-3倍も給料がもらえる状況で、いかに人材流出を防ぐかの議論をしていただくのが建設的ではないかと思った次第です。