ホイットより、2016年のテーマのフルドローATAについての投稿が

フルドローATA昨日、ざっくりとホイットの新しい設計テーマのフルドローATAについての説明しましたが、ホイットのフェイスブックでわかりやすい比較の投稿がありました。写真はカーボンディファイアントとカーボンスパイダですが、ターゲット競技用のハイパーエッジでも同じリム(Ultraflex)とカム(DFX)なのでこの写真でも理解の助けにはなります。

フルドロー時のATA(アクセル間)を長くすることでストリング間の距離がフルドロー時でよりか離れ、この場合では3.45インチの違い。それによってピープの位置フェイス側に移動し、頭のポジションもよりATA(ブレース時通常測定)の長いモデルに近づくということです。一点注意していただきたいのは、リムのカーブ(ディフレクション)を変更することで、フルドローATAを長くするのがこの設計であり、とにかくデカいカムを搭載することでストリング間を離しているわけではないという点です。

ポディウムとハイパーエッジの違い-0.00.00.00そして、もう一点。去年のこの時期にはノーカムシステムで同じことを書きましたが、新しいモデルではハンドルが大幅に長くなっています。写真はおおよその比較で、競技用モデルとしては現行品で一番長いと思われるポディウム40とハイパーエッジの比較です。ATA36インチのハイパーエッジではハンドルの長さはATAの94%でおよそ34インチ、ATA40インチのポディウム40ではハンドルの長さはATAの75%で、30インチ。ATA比で約19%もハンドルが長くなっているのかわかります。ATAはハンドルがほぼ同じ(約100%)のTRGには及びませんが、34インチのハンドルはホイット市場でも結構な長さだと思います。

ホイット2016スペック表それにしても、24モデルもあるのか…すげぇ。


新規メーカー KINETICからCPボウ「RAVE」が入荷

中国のメーカーKINETIC(キネティック)からCPボウ、「Rave」(レイヴ)が入荷しました。
中国製と言う事ですが、弓を手にした第一印象はハンドルが「ちゃんとしている」です。
当店でのエントリーモデルの代表格「PSE フィーバーVS」や「Mission メナス」といった大手メーカーのエントリーモデルに勝るとも劣らない印象です。
20150929_141659

入荷したのは60ポンド、右ハンドル。
色は黒/赤
重さは約1.8kg
カムは2カムタイプ
アクセル間:31.5インチ
ブレースハイト:6-3/4インチ
*上記数値は入荷した現物の実測値です。

ハンドルカラーはアルマイト仕上げで、PSEフィーバーやMissionメナスの塗装とはまた違う、ある種の高級感があります。
全体のシルエットは、マシューズのMRシリーズをほうふつとさせる雰囲気です。

20150929_141317
ただ、アルマイトカラーの表面をしっかりと見るとほんの少しのムラがところどころ見受けられます。しかしこの価格帯でのアルマイトカラーでこのクオリティなので問題の無い範囲かと思います。

20150929_140710
そしてカムはMissionのメナスやハイプに搭載されているカムを連想させるデザイン。
引き尺の設定値により変化するので明確なレットオフ値は公表されていませんが、およそ70%~80%となっています。

引き尺変更の際はボウプレスを必要とせず、1/8インチ六角レンチ1本で変更が可能です。
1インチ刻みで19インチから30インチまで調整できます。

調整の際は上下のカムモジュール(赤い小判状のパーツ)を必ず同じ値にしてください。
数字で表示されているので分かり易いですね。

20150929_140657
上下のリムポケット近くにはハーモニックダンパー/スタビライザーによく似たダンパー機構が搭載されています。
ちなみにこのダンパーゴム部分ですが、マシューズ純正交換用ダンパーゴム「3/8サイズ」がジャストフィットします。

カラーコーディネートが楽しめますね(笑)

20150929_140727
極めつけはグリップ。
まんまフォーカスグリップです。
いや、フォーカスグリップと断定すると色々ややこしいのでこれ以上は触れませんが、グリップ時のハンドルを押すセンターポイントが明確に捉える事ができ、しっかりとしたグリッピングと再現性に優れた形状となっています。
素材はハードラバーで硬すぎず柔らかすぎず。

20150929_140813
レストマウントホールは極めてハンドルフェイス面に近い箇所に切られています。この辺もマシューズのデザインに近いものがあります。

20150929_14102920150929_141331
リムボルトは最大12回転まで緩める事が出来ます。

入荷した現物(60ポンドモデル)で計測しますと、27インチ設定の時で、MAX60ポンド、Miniで20ポンド。
19インチ設定の時で、MAX38ポンド、Miniで10ポンドでした。
メーカー公表値では60ポンドモデルの19インチ引き尺設定でMini側が15ポンドとなっていますが、入荷した現物は12回転ゆるめて10ポンドまで落ちるので相当な仕様となっています。驚きです。

ちなみに、19インチから24インチまでは、引き尺設定が伸びていくと、そのポンド調整幅も強い側にシフトしていくのですが、25インチから上の引き尺設定では上限いっぱいまで変わらないポンド調整幅となっています。

用意されているリムポンドは2種類。
50ポンドモデルは、10~55ポンド
60ポンドモデルは、15~60ポンド
*どちらもメーカー公表値

*設定引き尺により上限/下限が変化します

20150929_141110  20150929_141343
上下のリムそれぞれの先端には、マシューズユーザーならおなじみの凹状のパーツがあります。
ボウプレス使用時においては安全に作業が行える、嬉しい仕様です。
センターにはハンドルに直接ネジ穴が切ってあるものではなく、5/16インチのブッシングが装着されています。

20150929_140936
ダンパー類ですが、バックストップはマシューズのTRGやHTRに搭載されているそれに近いデザイン。
またストリングのダンパーゴムには、ボウテックのストリングについているような渦巻き状のゴムが付いています。
ここはマシューズの「モンキーテイルダンパー」にはならなかったんですね(苦笑)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この弓については色々と感じる箇所は盛りだくさんとなっていますが、そんなちっちゃなことは気にせずにトータルで見ると本当によくできたCPボウとなっています。
今の所カラーバリエーションも8色程度あるとのことで、赤やオレンジ、緑、紫の用意があるとの事です。

お求めの際は、右ハンドルor左ハンドル、ポンド、色をご指定下さい。

KINETIC Raveは店舗およびあちぇ屋CPにて販売開始ですヽ(^o^)丿


TruBall HBX

受注開始から1週間たらずでLサイズをわずかに残してその他サイズは完売という勢いをみせていますTruBAll/レオ・ワイルドシグネチャーモデル「HBX」

もうすでに手にされている方も多いと思いますが、これから購入検討されている方もぜひ知っておいてもらいたい事を説明します。

まずこのリリーサーはトリガータイプのようでそうではなく、トリガーレス(バックテンション)タイプのようでそうでもない全く新しいタイプのリリーサーです。
販売する便宜上「トリガータイプ」に分類していますが、別物と捉えてください。

このHBXは「ハイブリット5テクノロジー」と銘打ち、5通りのシューティングメソッド(撃ち方)を提唱しています。
これについてはコチラの記事をご参照ください。

このハイブリット5は細かく分けて5通りとなっていますが、よーく見ると(理解すると)1番目と3番目、4番目と5番目の方法がほぼ同じ手順である事がお分かり頂けるかと思います。
要は3通りに集約できるかと思います。

・親指をサムバーに乗せずにハンドル全体をガッツリ引く1番目と3番目。
・親指をサムバーにしっかり(力も)乗せて内向きの力方向に寄せてハンドルを引く4番目と5番目。
・親指をサムバーに乗せずに薬指をメインに力を掛けて引く2番目。

となります。後は図柄の矢印の本数で力加減のイメージを掴んで下さい。

ではシューティングメソッドが3通りであるとして、それ以上にとても大事な点についてです。

それは、ドローイング時についてです。
このリリーサーはハンドル上下がパックリ分かれる事で先端部分が開き、フックが倒れてリリースする仕組みになっています。
そのため、もしドローイング中にパックリ分かれてしまう様な事があればたちまち簡単に暴発を起こしてしまいます。
これはとても危険です。
このリリーサーにはいわゆる暴発防止安全装置なるモノがありません。(ついていません)

お客様からのとある質問で、「サムバー(ポスト)部分は可動するのですか?安全レバー的なモノですか?」
とありましたが、この箇所は親指をしっかり乗せて安全にドローイングする為の部分で、ガッチリ固定されています。
せめて、サムバーのレイアウトを好みのポジションに変更できるようになっているだけです。

このHBXを安全に引く為にはリリーサーハンドルに掛ける指の力の入れ具合が全てを決定します。
これを正しく理解していないと暴発となってしまいます。
下の写真、オレンジ丸で囲んだ部分に力が加わるとパックリ割れて作動します。
20150803_150807-1
ましてサムバーにも親指荷重がしっかり乗っているとさらに作動しやすくなります。

安全に引く為には親指・人差し指にしっかり力をのせ、そして中指は上の写真赤矢印で示した方向に寄せるような力加減でドローイングをおこないます。
薬指には絶対に荷重してはいけません。

そして購入後手にされたらいきなりの実射を行っては絶対ダメです。
まず初めはヒモ(引き尺程度の長さに作ったヒモの輪)を使ってドローイング練習を必ず行って下さい。
その練習過程で中指~薬指のテンションの掛け具合、そして親指荷重の関与や人差し指の荷重、抜重を体得してください。
「ここまで荷重すれば発射(暴発)する」「ここまでなら大丈夫」をしっかり理解してください。

ただ、ひとたびこのハードルを越えると、このHBXが本当によくできたリリーサーだと感じてもらえるはずです。

次にリリースタイミングの調整です。
まず下の写真をご覧ください。
20150803_150746

そして以下の表もご覧ください。
20150805_124715
青色で示された「チャート1」
黄色で示された「チャート2」
赤色で示された「チャート3」

HBXはリリースするときにハンドル上下がパックリと分かれて作動しますが、このパックリと分かれる時の硬さ(抵抗感)を3段階で選べます。
工場出荷状態では15ポンドの硬さのバネが内蔵されています。
そしてもう一つ、4ポンドの硬さのバネが付属しています。
このバネのある・なしで3通りの硬さにセットできます。

15ポンドのバネ内蔵状態がチャート1(最も遅い)
4ポンドのバネ内臓状態がチャート2(中くらい)
そしてバネを内蔵しない状態がチャート3(最も早い)
となります。

バネの交換は「B」のネジを取って中のバネを交換、もしくは「無し」にしてください。
注意点は締めこみすぎない事。そして一方でネジをゆるんだ状態でそのままにしない事。
ネジを中途半端なところでとめてもバネのテンションに変化はありません。
締めすぎない程度に最後まで締めてください。

工場出荷時は「ファクトリーセッティング」と書かれた(一番締めこんだところから)2と1/2回転緩めた位置に「A」のイモネジがセットされています。
*「A」のイモネジを回す前に「C」のネジを緩めておいてください。調整後は締めてくださいね。

このイモネジ「A」はクリッカー音のありなし、また、そのそれぞれのエリアの中での発射タイミングの早い・遅いを制御します。

そしてこのイモネジ「A」は一番締めこむとハンドルがパックリと分かれなくなり、リリースできない状態になります。
上の表には「0」の所に英語で「リリース ウィル ノット ファイヤー」と縦に書かれています。
これはいわゆるキャントファイヤー的な感じになるのですが「一番締めこむとリリースしないでしょう」となっているのであって、「リリースしません」とは言っていません。
つまり、ここでお願いしたいのは、この状態を利用して素引き等は行わないでください、と言う事です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このリリーサーは本当によくできたリリーサーです。
それだけにとてもとてもとても精密に作られています。それぞれの部品はミリ単位以下の精度で作られています。
なるべく水気や砂やゴミなどの侵入、ホコリを呼び込む原因となる油の注し過ぎなどないように扱って下さい。


スペシャリティー・ピープアライナーが入荷

「ピープが正面に向かない」と言ったお悩みの相談を過去何度か頂いて来ましたが、原因はストリングの経年伸びや、かかるテンションのバラつきで向きが変る為、Dループの向き調整やストリングのペグを適宜かけ替えたりと言った解消法を提案してきました。
ただ、それでも解消しないといったお声もあるのは事実でしたので、今回このような補助部品を仕入れてみました。
「スペシャリティー・ピープアライナー」
20150726_120148

一般的なアライナーはピープ本体と一体型になっていて、穴のサイズが小さくても1/8インチや3/16インチ、1/4インチなど穴径が4~5ミリ以上あり、ハンティング向けサイズとなっていてターゲット向けでは無いので在庫はしていませんでした。

今回仕入れたのはスペシャリティーから販売されているピープアライナーです。
既にお持ちのピープに組み合わせて使用します。
*プロピープハウジング、ウルトラライトピープハウジング等の「スタンダードサイズ」用です。「1/4ラージサイズピープ」には使用できませんのでご注意ください。
20150726_120413

付属のシリコンチューブをケーブルに結び付けて装着します。
装着の際はピーンと張りすぎないように、最低限の張り具合で結んでください。

またこのアライナーはスペシャリティーの製品ですが、当店で販売中の「ジムフレッチャーTRUピープ」や「Glow Peep」にも使用できます

本体は樹脂製。重さはアライナー本体のみで13グレインです。

ピープを確実に正面へ向けてくれるメリットは大きいですが一方でピープ周りの重量増加によるストリングの返りスピードの若干の低下がデメリットとなります。
そこは了承のうえご使用くださいね。

「スペシャリティー・ピープアライナー」は店舗およびあちぇ屋CPにて販売中です。ヽ(^o^)丿

 

「特価品」として1点限りでアライナー本体のみの販売もしています。バルク品のため1点限りです。
ただ、シリコンチューブは付属していません。
内径1~2ミリ、長さ40センチ程度のシリコン(ゴムチューブ)をご自身でご用意ください。


FUSEのカーボンX(Carbon-X)シリーズ、全部入荷しました。

DSC_1184FUSEのカーボンX(Carbon-X)シリーズで本日、最後のリアオフセットアダプターが届き、すべて揃いました。スリムラインのレビューも近いうちに書けると思います。

DSC_1182カーボンXのリアアダプターはサイドロッド側のデザインがカーボンXサイドロッドに合わせて設計されているだけで、基本的な機能はカーボンブレード用のリアアダプターと変わりません。本日より販売開始です。


Mission HYPE-DTが入荷しました

Mission(ミッション)から、ミドルモデルとして新しくHYPE-DT(ハイプDT)が届きました。
エントリーモデルとしてこれまでメナス(メナス2)をリリースしていますが、この弓よりもさらにポンド調整幅が広がり、メナスと同じアクセル間ながら重量も約1.7kgへと重くなりました。
20150708_151154

ハイプ表
例えば26インチの引き尺にセットするとポンドは最大70ポンド、最少は29ポンドとなります。

メナスのライザーレングスが約47センチに対してハイプは約63センチと、16センチも長くなっており、その差が重量アップの一因となっています。

搭載されているカムは「FITカム」
20150708_150700
効率化が図られ、メナスに比べ大幅なスピードアップが実現されています。

引き尺調整はモジュールの位置を変更する事で実現します。
調整幅は1インチ刻みで19インチから30インチ。
作業の際はボウプレスを必要とせず、1/8インチの六角レンチ1本で変更が可能です。

唯一残念なのがいまだに1インチ刻みと言う部分。

例えばBowtech・FUELが0.5インチ刻みで調整が可能なモデルとして存在するので、ミッションもそのあたりでもうひとひねりが欲しかったところです。
20150708_150751

70ポンドまで発揮するリムを搭載。
20150708_150924
メナスは最大でも53ポンドまでだったので、物足りなさを感じていた人にとっては充分満足いただけるパワーとなっています。

今回の「HYPE-DT」の象徴でもある、ハーモニックスタビライザー”ライト”を標準搭載。
20150708_151050

そしてバックストップもセットで搭載されます。
20150708_151357

センターブッシングはこれまでのメナスではハンドルに直接ネジ穴が切ってあり、若干のチープ感が否めませんでしたが、ハイプはブラスのセンターブッシングが採用され、上位モデルに引けを取らない仕上がりとなっています。
20150708_151216

スペックもさることながらその仕上がりがワンランクアップした「ハイプ-DT」
あちぇ屋CPおよび店舗にて販売中ですヽ(^o^)丿


Mybo(マイボ)からCPボウケースが入荷しました。

Mybo(マイボ)から「メッセンジャーコンパウンドボウケース」が入荷しました。

デザインは黒とオレンジを基調とした2種類。
一つはイギリス国旗(ユニオンジャック)を模したデザイン。
マイボ CPボウケース

もう一つは「HEX(六角形)」ヘックスです。
hex-messenger-bag_1

サイズは116センチx38センチx18センチです。*全て外寸

よくあるボウケースは上面ファスナーの開閉タイプとなっていますが、このボウケースは「フタ式」となっており、その中が2つのパートに分かれています。
この2つのパートは同じ内寸となっています。

【内寸】*2パート共通
幅:114センチ
高さ:36センチ
奥行:8センチ

この2パートは、片方が弓を収納する前提としたファスナー開閉となっていて内部もフォーム素材でクッション性に優れています。
また、カムを保護する目的のベルクロ固定のカムカバー(2個)も付いています。
20150629_173049
20150629_173109

もう片方は、オープンタイプのパートで、中にファスナーポケットが1か所あります。
20150629_173033
持ち運びは「手提げ」と「肩掛け」。
素材はヘビーナイロンで、しっかりとした芯材とフォーム素材で出来ている為、重量が重めの約6.3キロとなっています。(付属品を含めて)

付属品は・・・・
・アローケース(伸縮タイプ)
・ギアケース(小道具入れ)
・センタースタビ袋
・サイドロッド袋
と、充実の内容になっています。

マイボ・ボウケースの簡単な紹介動画もあわせてご覧ください(1分半程度)

Mybo(マイボ) メッセンジャーコンパウンドボウケースは店舗およびあちぇ屋CPにて販売中ですヽ(^o^)丿
20150629_173158

 


エリート(Elite)のエナジー35 使用レビュー

DSC_1170エリート(Elite)のエナジー35の使用レビューです。ただし、現行の2015年モデルではなく2014年モデルです。違うはリムボルトとバックストップの設計です。

この弓は2014年にコンパウンドに転向するときに購入したものです。シンプルな設計が好みですのでワンカムのApex7とバイナリーカム(シンメトリックツーカム)のエナジー35を購入し、その2つを試してみた結果、Apex7を選択し、2014年シーズンを過ごしました。

2015年、マシューズがApex7の生産を終了し、ノーカムシステム(エナジーと同様にバイナリーカムに分類される)を発表したことで、自分もそれに合わせて1月にTRG7を購入しました。そこから3か月程度、TRG7をいじり、たどり着いた結果は、ローレットオフ(65%)で引き尺を少し短めにして、弓が飛び出さないセッティングでした。しかし、TRG7は非常に重い弓でそのセッティングでは体力が持ちません。横浜で行われている1日に2試合(50mwを2回)というフォーマットでは、風があると後半体力が持ちません。トレーニングをして体力をつけるというアスリートとして一番まっとうな選択肢もありますが、6月に控えている全日本社会人ターゲット選手権に間に合うか、4月末の時点だったので、悩んだ結果、悩みすぎてつまらなくなったので、買ってから3回程度して実射していなかったエナジー35をもって射場に気分転換に行くことになりました。

11164651_10206903125319256_5256966731590667799_o(エナジーに変えて1週間後に練習でのベストを更新 50m356点)
そこで1年ぶりにエナジーを使用したのですが、遊びのつもりが、かなりのグルーピングをたたき出し、そこで本気で2か月間この弓をいじって、これで全日に出場することを決めました。

DSC_1163この弓の大きな特徴の一つはこのライザーゲージと名付けられた設計で、簡単に言えばシュートスルーシステムと同じ考え方で、かつ、ハンドルが軽くなるようにウィンドウの部分を省いたものです。この設計にプラスしてリムはパラレルタイプなので相当におとなしい弓に仕上がっています。なので、スタビライザーの設計では、今までダウン角にしていたスタビライザーをストレートに戻し、少しは飛び出しを得られるようにしました。

DSC_1160DSC_1158sもう一つの特徴は硬いウォール感覚を得るためのリムストップの位置を変えることができることです。これを変えることでレットオフ・ホールディングウェイトが変わりますが、同時に引き尺も変わるので、細かい引き尺の調整に利用することもでき、非常に便利でした。もちろん、これをいじって引き尺が決まったら、プレスしてストリング/ケーブルでその引き尺に設定することが必要です。ちなみに、カタログ値の引き尺はレットオフを最も高い位置に設計した時に出るので、低いセットオフでの利用も考えている方は0.5インチ長い引き尺のモデルを購入することが推奨されています。

また、この調整幅がかなりすごいのですが、実測で、最も高いレットオフが約90%(ピークが58でホールディングが5.6ポンド)、最も低いレットオフは約70%(ピークが58でホールディングが16.5ポンド)で位置を変えるだけで20%分レットオフを変更できます。これは使ってみると思った以上の便利なシステムでした。ちなみに、最終的には全日には8ポンド(85%)で出場しました。

使用して1か月ほどでここまでのセッティングが決まり、後はチューニングです。シンメトリックカムの場合のチューニングはかなりシンプルです。上下同じデザインのカムですので、基本的にはケーブルを調整して回転するタイミングを同じになるようにしてあげるだけです。上下のカムは同じ形ですので、同じタイミングで回転さえすれば、完璧にまっすぐなノックトラベルを実現で来ます。これで矢の上下のばらつきはなくなります。

DSC_1168
問題はカムの傾きです。カムシステムのチューニングがチョー簡単な代償にカムの傾きの調整は少し厄介です。Apex7やホイットのカムシステムのようにケーブルがカムではなくリムにかかっていれば、スプリットになっているケーブルの左右の長さを調整することでカムの傾きを変更できます。しかし、エリートのシステムではケーブルはカム同士だけをつないでいて、その調整方法は使用できません。

DSC_1167エリートのカムの傾きを調整するための方法は二つです。1つはケーブルガードの位置を変更することです。エリートのケーブルガイドはへの字になっていて、これを回転させることで、ケーブルとリムの距離を変更できます(入れすぎると羽に接触するので限界はあります)。距離を離すことで弓によりトルクがかかり、カムの傾きが変わります。これを利用してカムの傾きを正しく合わせます。

DSC_1164もう一つのやり方はリムとカムの位置を変更することです。エリートのカムには2つのワッシャーが入っていますが、一つは厚みがあるもので、もう一つは薄いものです。これを左右交換することで(必ず上下ともに交換する事)、リムに対してのカムの位置を変更できます。写真のようにケーブル側に薄いワッシャーを入れた時にはカムはより弓のセンターに来ていて、ここに厚みのあるワッシャーを入れるとカムは押し手側に移動します。これによってもカムの傾きを調整することができます。

この2つの調整を行うことでカムの傾きをなくし(完全になくすのは理論上無理)、センターショットを正しい位置に合わせることで、矢の左右のばらつきをなくすことができます。この2つ(カム同期とカムの傾き・センターショット)の調整には2週間ほどかかりました。

DSC_1165
ここまでくれば十分な精度がある弓になっています。あとは、バックストップの位置を調整してあげ、2014年モデルでは8190がストリングに使われていましたが、十分におとなしい弓なので、より強靭なBCY-Xに交換しました。2015年モデルでは最初からBCY-Xですので交換は必要ありません。

Energy-35-Black-lighterまた、エナジーはハンティングとしても使用できるスピードを持ったモデルなのですが、静音性向上のためにケーブルとストリングに挟むタイプのダンパーがついています(右上のは違い被せるタイプのダンパー)。ケーブルやストリングの間にゴムダンパーをはさむことはシステムの精度を低下させるので、ターゲットで使用するのであればこれらのダンパーは取り外したほうがよいと思います。ちなみに、ターゲット特化のビクトリーには最初から取り付けられていません。

エナジー35のチューニングを終えて3週間ほど練習して全日に出場しましたが、非常に完成度の高い弓だと思います。エナジーはグリップに少し丸みがあるので、それが嫌いな方にはビクトリーという選択肢がありますが、その部分を除けば癖がなく、シンブルで、ねじひとつでピークポンドとホールディングポンドの調整ができるので、自分の体力に合わせることが簡単です。また、ストップの位置が変わる機能を利用することで、1/16インチ単位での引き尺のフィッティング(お試し)も簡単です。

重さは4.3ポンドでTRG7より約1ポンド(450g)軽い弓でした。チューニングが終わってからの1か月は本当に楽しめました。全日も終わったので、まずはエナジーのレットオフを下げて(70%)体力をつけ、10月の全日本ターゲットに向けて、再度、TRG7(65%)に向き合ってみようかなと思っています。

11020905_863186903762139_8438318032697243636_n
以上、エナジー35の使用した後のレビューでした。


FUSEのカーボンXテーパーが入荷しました。

fuse_carbon_x_taper3月に詳細が発表されたFUSEのカーボンXシリーズがついに入荷しました。リカーブ向けに開発されたカーボン-X-スリムとコンパウンド向けのカーボン-X-テーパーの両方入荷していますが、今週末の全日本社会人ターゲット選手権を控え、スリムをレビューする時間がないので、本日はXテーパーの方だけです。

FUSEカーボンXテーパー
カーボンXシリーズではセンターロッドのみリカーブ用とコンパウンド用があり、サイドとエクステンダーロッドは共通です。サイドロッドは5/16と1/4ねじの両方が装着できるようになっています。Xテーパーの場合、根本側が太くなっており直径が23mm、先端側は細くなっており、16mmに設定されています。16mmというのはスタビライザーの中でもかなり細いほうです。

Schloesser_carbon_x_taper_tuningこのスタビライザーの最大の剛性をファインチューニングできることです。ディンプルの向きを変更することで剛性を変えることができ、最も剛性の高いディンプルがサイドにある状態(ロゴが上下にある状態)に対して、ディンプルを上下にある位置(ロゴがサイド)に変更することで剛性が23%減少します。

上の写真はこのスタビライザーを使ってインドアで満点の600点を射ったシュロッサー選手ですが、左のベガスシュート(ワールドカップインドアファイナル)の時にはロゴを上下、つまり剛性が最大になる一でスタビライザーをチューニングしていますが、先日行われたワールドカップ・ステージ2では、写真や動画で確認する限り、最も剛性が低い位置から20度(20/90度)ほどロッドを傾けて使用していることが確認できると思います。

ロッドの剛性が変化することはエイミングのフィーリングと飛び出し・振動吸収性に影響を与えます。一般的には剛性があるものが望ましいとされていますが、柔らかいもの(バイターのスタビライザーなど)が好きな選手(Sergio PAGNI選手など)もいます。これを1つのロッドで調整できるというのはかなり面白い発想です。

ただし、剛性を最大になるようにセットしても、テーパーロッドは独特の感覚があり、やはり先端に振動を集めることで働くシステムですので、弓全体にソリッド感を求める方には少し合わないかもしれません。逆にダンパーなどを使用することに全く違和感を感じない方にはお勧めできます。

このスタビライザーは面白いです。ぜひ、試していただきたいです。


コンパウンドのカムシステムの仕組み

Elite_cam_enコンパウンドに転向して1年2か月。まだ、コンパウンドボウのレビューをできるほどの知識はありませんが、現在、メーカーのエンジニアの方と話をしながら、少しずつコンパウンドの設計・レビューするポイントを勉強しています。来年には、コンパウンドボウのレビューがそれなりに書けるようになったらと思っています。

今日は自分の理解のためにという目的で、コンパウンドボウのカムがどのような仕組みで働くのか、なぜ、レットオフが発生するのか解説してみます。わかりにくかったら突っ込んでください。仕組み自体は理解しているつもりですが、うまく解説できるかは…頑張ります。

*中学生レベルの滑車に関する知識が必要です。

*エリートのバイナリカムシステム(ツーカムシステム)の仕組みをベースにしています。

2_1_cam(↑フェイズ1)

下手な図ですみません。この図をベースに説明します。カムの物理は動滑車と同じものです。これにカムの効率性という要素が加わりますが、これはかなりが難しいもので大学以上のレベルの物理学の知識が必要なので省きます。

*カムの効率とは同様の仕事をさせるとき、カムの大きさはどれくらいが無駄がないのか、どのような形状が無駄がないのかについての計算です。

上の図では左の円がストリングが取り付けられているカム、右の円がケーブルが取り付けられているインナーカムです。コンパウンドボウの基本的な仕組みは、アクセルを通して固定されているカムとインナーカムのうち、ストリングによって引っ張られて(左側の矢印)回転するカムがねじで固定されているインナーカムを回転させ、その回転するインナーカムがケーブルを引っ張り上げ(右側の矢印)、リムがたわむというものです。

実際にはカムは円ではなく、複雑な形をしていますが、解説するためにフェイズ1-4に分けて解説します。青で囲んだ数字は事前に与えられた数字(前提)で、パワーストロークは20インチ(ブレースハイト8でドローレングスは28インチ)、リムのポンドは60ポンド(20インチ引かれたときに60ポンドになる)として話を進めます。

フェイズ1ではインナーカムの直径を1とした時に、カムの大きさが0.5の場合です。この比をGear Ratio(ギアレシオ)と呼びます。このギアレシオが引き味を決定し、この比を変更することでレットオフが生み出されます。

1(インナーカム)/0.5(カム)でギアレシオが2の時、引き味は非常にハードです。28インチ引かれたときに60ポンドになるリムは1インチ引かれるごとに3ポンド重さが増えていきますが、ギアレシオ=2で1インチカムが回転するごとに、インナーカムを2インチ分回転させるので、1インチ引くごとに倍の6ポンドずつ重さが増加します。これが引き始めのフェイズ1で、ギアレシオを2に設定することでリムから倍の力を引き出します。1_1_cam(↑フェイズ2)

フェイズ2では1/1でギアレシオは1です。この場合はリムはカムがないときと同じように働きます。つまり、ストリングを1インチ引けば、ケーブルは1インチ分リムを引っ張り、1インチごとに3ポンド重さが増加します。ここは、引きはじめ後にピークポンドに達し、それが続く部分です。

1_2_cam(↑フェイズ3)

フェイズ3では、1/2でギアレシオが0.5となり、ドローフォースカーブではバレーに向かってポンドが落ちる部分です。ストリングが1インチ引かれるごとに、ケーブルは0.5インチリムを引っ張るので、1インチ引くごとに1.5ポンドずつ重さが増加します。

1_3_cam(↑フェイズ4)

最後のフェイズ4はバレーの部分です。3/1でギアレシオは0.33となります。ストリングが1インチ引かれるごとに、ケーブルは0.33インチリムを引っ張るので、1インチ引くごとに1ポンドずつ重さが増加します。この後に(エリートの場合)カムに装着されているリムストップがリムに当たり、ウォールを作り出します。

カムデザイン以上の4つのフェイズを1つの滑車に搭載すると、その滑車はフェイズごとに異なる直径を持つ必要があります。ここからはメーカーによって異なりますが、カムを8つのエリアに分けると9時方向から時計回りにフェイズ1、もっとも直径=アクセルまでの距離が短いエリアから約半回転にしてフェイズ4(もっともアクセルから距離が遠いエリア)となり、下半分にはカム効率を調整する部分(カムの重量はシンメトリックなほど効率が良いのでここで重量のバランスを調整する)とストリングポストが配置されます。
カムシステム説明そして、上記の自分がざっくりと設計したカムのパワーストロークはおおよそ上記のようなものになります。フェイズ1の5インチは6ポンド/1インチなので、そこでほぼピークの30ポンドにたどり着きます。そこからのフェイズ2の終点(ギアレシオ2の直線とパワーストロークの交点)に向かってほぼ直線で、フェイズ3で一気にホールディングポンドが落ち、フェイズ4でホールディングが落ちたまま安定したバレーにたどり着きます。ピークは30ポンドで、ホールディングは20ポンド、レットオフは33%しかないですが、ここはカム単独での設計の限界です。

カム・インナーカムシステム(↑左はインナーカムが小さくカムが大きい状態、右はインナーカムが大きくカムが小さい状態)

今回は分かりやすいようにカムの大きさのみを変更してこのカムシステムを設計しましたが、すべてのカギはギアレシオです。そして、ギアレシオは(インナーカム)/(カム)ですので、カムを大きくするだけではなく、インナーカムを小さくすることでもギアレシオを変えられます。カムを大きくするとギアレシオが小さくなり、引きが軽くなるのと逆に、インナーカムは小さくするとギアレシオが小さくなり引きが軽くなります。

カムだけでギアレシオを設定した私のカムはレットオフを33%しか得ることができませんでした。市販のプロが設計したカムがより高いレットオフを実現しているのは、パワーストロークの中でカムを大きくしていくと同時に、インナーカムを小さくしていくことで、より過激にギアレシオを変えていくからです。

ご自身のカムで上記の仕組みを確認してみたい場合は上の写真のように

ギアレシオ = アクセルからインナーカムとケーブルの接点までの距離 / アクセルからカムとストリングの接点までの距離

で確認できます。ギアレシオが高いほど引きが軽く、引きが柔らかいです。

以上が、簡単なコンパウンドのカムシステムの仕組みになります。わかりにくい部分があればコメントください。修正、または、違う方法で解説してみます。絵が下手という突込みは受け付けていません。