ホイット(HOYT)2020、コンパウンドが発表されました。

先日のリカーブに続き、ホイット(HOYT)2020のコンパウンドが発表されました。8月には現行ラインの製造を終了していて、約2か月売るものがないという前例のないリリースとなりましたが、出たものを見ても、ホイットらしくないというか、リカーブでも、ここ何年かカタログに採用しているエリソン選手やお国元の米ナショナルチームに使用を拒まれても、採用し続けた可動式リムボルトをあっさり撤回したりと、本当に設計しているエンジニアに変更になったのではないかと思うほどのリニューアルが続きます。

さて、簡単なところでは、プロフォースの2020年モデル65%のローレットオフモジュールが付属します。2019年の出荷済みのモデルではローレットオフモジュールが付属し、2020年出荷のモデルでは、65%が標準搭載、ハイレットオフモジュールが付属という形になるようですが、まぁ、違いはないでしょう。また、写真では具体的には分かりませんでしたが、少し色味が2020年は異なるようです(少しマット調)。もう売ってます!

HOYT PRO FORCE | JPアーチェリー


次に主力のインビクタ(Invicta)ですが、見てわかるとおり、ロングハンドルが採用されています。上記の写真の比較は完全に正しい長さにそろえてはいませんが、ハンドルとリムの比率を見ることはできます。どれもATAは37インチです。ホイットの発表では、2.5インチハンドルを長くしたとのことです。近年成功したマシューズのPro Compに近い長さになっています。ハンドルデザインもより直線的になっています。ハンドルを長くして、リムを短くし、ブレースハイトを3/8″短くしたことで、SVXカムで330fps(9fps増)とこちらもマシューズのプロコンプと同じ値になりました。

カムですが、SVXとともに新しくDCXというカムが登場します。こちらはX3カムのリプレイスですが、こちらも11fps速くなっています。ハンドルの違いで9fpsですので、カムのデザイン変更による実際の違いは2fpsです。来週初め入荷予定の在庫モデルはDCXで手配していますので、入荷後山田の方から詳しいレビューが出ると思います。

(ホイットのプロモーションビデオより)
他にはステルスショットのデザイン変更、レストを装着するためのホールが2つになり、より確実に装着できるようになったとのこと(なら使えよ…)。

評価が分かれるところはさらに豊富になったグリップオプションでしょうか。6種から選択できます。もちろん、オプション、セッティングは多いほどいいという考えの方からすべば最高のことでしょう。しかし、私の最初の弓はApex7でグリップは変更できるものではありませんでしたし、カムの位置も変更できず、ケーブルガードも可動式ではなく、それでも、全日本で戦えるレベルのチューニングに持っていくのに、3か月かかりました。エリートのエナジー35は4か月かかりました。

個人的には、最終的なレベルで選択肢が増えるほどチューニングがしやすいとは考えていません。特にグリップのポジションはその弓の性質を一番伝えてくれるもので、それを6種類も選べるとなったら、しかも、ドローレングスを変化させるモジュールもあるとしたら、ちょっと半年でもチューニングを終える自信がないです。チューニングが完成しないという意味ではなく、完成しても、もしかしたら、あっちの方がより点数出るかもという迷いを消すのが難しいという意味です。

このあたりが、いまだにほぼいじるところがないコンクエスト4がマーケットに残り、売れ続けている理由かもしれません。

個人的には選択肢が多すぎる弓は初心者にはお勧めできないです。特にグリップは他の部分と違い正解がないチューニングです。コンパウンドはポンドの調整幅が大きいので、初心者でも最上位のターゲットモデルをお勧めできますが、この弓はちょっと違うかもしれません。まぁ、いじらなければいいだけなのですが、私なら我慢しきれないです(笑)

カラーはすべてsatin finish(つや消し)となります。色の名前には変更はないようです。

もう一つのFX Compはちょっと異色です。DCXカムで28.5インチ、SVXカムでは27インチまでしか対応していません。まぁ、この部分は使用者が限定されるだけですが、ATAは33インチしかなく、ハンドルは非常に短いです。


Invictaは、これまでに設計した中で最も長く最も安定したライザープラットフォームで構築されています。 ライザーの長さを2½インチ増加させることで、Invictaはより低い重心と大きな慣性モーメントで設計され、これまでに構築したターゲット弓の最も効果的な照準と堅固なホールドを実現します。
(グーグル翻訳)

この弓がミドルレンジならいいのですが、価格もホイット側の宣伝も競技用として売りたいようです。しかし、インビクタの宣伝文句では、上のように書いているし、私の経験からも、それには納得なのですが、ショートドローでは、ハンドルが短い方がより安定するという理論は聞いたことがないです。違うメーカー同士、宣伝文句が異なるのはありますが、同じメーカーで、一方で長いハンドルのもたらすメリットをうたいなら、もう一つの競技用ハンドルを逆向きに設計するのは、あまりない経験です。

本当に限られた選手、例えば車いす用に来年のパラリンピック向けに特別に製造されたモデルかもしれません。今のところ、パラアーチャー以外で、これを自信もってすすめられる方が思いつきません。トップの選手でこれを採用する人がいたら、追ってみたいと思います。

以上、新しい2モデルは間もなく販売開始します。


ホイット2020、グランプリタイプでベアボウ競技に対応を。

近年アーチェリー業界でベアボウについて多く聞かれるようになり、対応できないようではだめだと、自分も1年前にベアボウ競技に挑戦し始めましたが、2020年、想定よりもかなり早く(笑)最大手のホイット(HOYT)がベアボウ競技に対応するアイテムを発表しました。ただ、個人的には、もう少しブラッシュアップしてほしい感じがします。

追加それた機能はベアボウのサイドプレート。これはGilloなどのハンドルで採用されているのですが、機能としては、重量を付加しつつ、ブッシングを生かしておくことが求められますが、この丸みでは、径が大きいウェイトと干渉しないか心配です。アメリカで普及している31mmならいけるのかな?YOSTウェイトなどは難しいでしょう。届いたら試してみますが、もう少しスペースがあったほうが良いかと思います。

アルミバージョンのフルセットで425g、ステンレススチールのフルセットで907gです。

もう一つは、近年ベアボウで人気のCDアーチェリーのハンドルデザインのように、リムポケットに重量を付加できる機能です。ベアボウではスタビライザーは使用できないので、ピボットから離れた場所にウェイトを置くことで振動の減衰を狙います。1つ43gで、上下に最大4つ約200gの重量を追加できます。リカーブでも使用できますが、リカーブならウェイトの追加よりもモジュラータイプのタンパーを上下に付けたほうが効果が大きいと思われます。


また、ベアボウのアーチャーの多くは、視界の邪魔になるので、クリッカープレートを使用しませんが、このハンドルでは、クリッカープレートがプランジャーの位置を決定するので、その選択肢ができません。

まぁ、新しいハンドルでベアボウに対応するオプション出してみたといったレベルですが、アメリカには多くのすぐれたベアボウアーチャーがいるので、その方たちからのフィードバックを得て、何年かのうちには競技的なベアボウオプションを完成していくものと考えます。少なくともホイットがベアボウに対応することをアナウンスしてくれたことは喜ばしい限りです。今後が楽しみです。

続く(次回はハンドル入荷後に)


ホイットのハンドルは最速に合わせてあるのでご注意を。

(USA Archeryより – 自分で撮るの?? – リムボルトもう変えてるw)

このブログを書き始めて計12年となりましたが、現在497万回アクセス、10月には500万に達しそうです。いつも読んでいただき本当にありがとうございます。

日ごろから心がけていることは、客観的な記事を書くことです。某アーチェリーメディアは広告主に好意的な記事しか書きませんが、それはそれで仕方ないのかもしれませんが(私たちは広告なしで書いているので圧力は特にない)、それでお客様に正しい事実を伝えられるのでしょうか。ずっと書いていますので、良くないものはよくないと言わないと、次の年、メーカーが不具合対応した時に指摘できないのでは。物事には流れがあるのです。なぜ、そうなったのかを書くためには、前の年に客観的な記事がないと繋がりません。

さて、ホイットから新しく登場したストリングテンション調整が、どのような状況に役に立つのか、他のチューニングとどう違うのかは昨日の記事に書きましたが、昨年の2019年ラインについて、当時私は「謎」と書きました。その時の私の予想は、


タイトルには謎と書きましたが、正直、マーケットに出して、新しいシステムの評価を試して2020年(オリンピック)に向かう感じかなと感じています。なので、通常はホイットのリカーブ上位モデルは2年ごとの更新ですが、来年の2020年(19年秋発表)にも、フォーミュラーXを踏まえての何か出る気がします。


しかし、すべてのアーチャーが矢速のみを求めるものではなく、だからこそ、ウィンは6以上も競技用上位モデルをそろえていますが、矢速が速いというリムの一本勝負に最大手のホイットが打って出ます。なぜそんな必要がという疑問でいっぱいです。

と、2点について書きました。両方ともホイットは答えを出してきましたね。ハンドルに関しては、そのままズバリ予想が的中したと思います。しかし、リムの方に関しては、まさかの結果に。

ホイット2020、ストリングテンション調整はいつ使われるのか?

ホイット(HOYT)の2019年リカーブ、大改革ですが、謎も。

リムはホイットは「1種だけ」「矢速が速ければいいってものではない」と書きましたので、新しい性質の「リム」ができるものと予想していましたが、まさかの、ハンドル側を調整することで、リムにバリエーションを出すという機能でこの問題を解決するは全く思いませんでした。本当に感心しています。お客様にとってもメリットですし、私たちにとっても在庫・流通上、助かることになります。

さらに大事なことは、これはリムではなく、ハンドルに搭載された機能ということです。つまり、ホイットのハンドルを使用すれば、リムは他社のものでも3種類のクリッカーゾーンの感覚をチューニングで得ることができるということです。

ただし、注意していただきたいのは、このシステムはホイット史上最速のVelosリムに合わせて作られたもの、つまり、基本的には最速のリムを落とす(引きをスムース)方向にするものであるということです。ですので、基本的には他社のリムでも速さ重視の硬めのリムが合うと考えます。他のハンドルで矢速があまり出ないようなリムを、このハンドルのパフォーマンスポジションにつけたら、すごく性能が出るといった期待はしないほうがいいでしょう。

競合他社はどうするのか。ホイットは可動式のリムボルトを導入し、リムをねじるシステムを導入しました。が競合他社はどこも追随しませんでした。まぁ、結果を見ればその必要がなかったのでしょう。

しかし、このシステムは、発売されたばかりなので、断言はできませんが、安定性の面でだけ問題がなければ、多くのアーチャーに恩恵をもたらすシステムです(*)。同様なシステムが可能がどうかはわかりませんが(**)、同様にポンド調整、ブレースハイト以外の第三の方法でリムの性質を変更できる仕組みを、競合も考えるのではないかと思います。

*例えばリムをねじるシステムは、リムがねじれている人にしか恩恵はない。可動式リムボルトはリムから音が出る人にしか恩恵はない。
**このシステムがホイットの特許かわかるのは基本18か月後。

続く(ベアボウ編)


ホイット(HOYT) 2020年の新しいリムはGPが大幅な値上げ。


新しいホイットのハンドルについては続きの記事の構成が終わったところですが、いったん休憩して、完成させますので、まずはリムについて。

2020年も競技用リムとしてはVelosの1種類のみです。理由は次の記事で。新作としては安定した品質の840リム(記録では破損ゼロ)のリプレイスとして、インテグラ(Integra)リムが発表されました。代理店にはもう在庫が豊富にあるようで、販売開始します。価格ですが、840リムでは、フォーミュラータイプとGPタイプでは(弊社価格で)5000円以上の違いがありましたが、2020年の価格表ではGPタイプが値上げされ両方とも同じ価格に統一されました。それに伴い、フォーミュラータイプの方は840リムのリプレイスといっていいほぼ同じ価格ですが、GPタイプは1万円近くの値上げとなりました。ご理解ください。

最近、10月の増税に向けて価格の見直しをしているのですが、大手プロショップがうちの価格を参考にしているような??こちらのリム、さっそく大手さんでは昨日から56,160円(ポイント1%)で販売が始まっています(12月14時19分時点)が、弊社が価格を発表したら、変わるのかな(-_-;)まさか、発売してすぐ1万円以上の値下げはないと思うが。。

HOYT 2020 Integraリム – JPアーチェリー


ホイットの新しいシステムは面白いですね!


今日の朝にホイットの2020リカーブラインが発表されましたが、新しい「ストリングテンションテクノロジー(String Tension Technology)」はなかなか面白そうです。来週に届くので、詳細は届いてから測定して書きますが、まずは概要についておさらいしておきましょう。

近年、ホイットはなぜか2度(角度)もリムをねじるシステムや、音の対策として可動式のリムボルトを導入しましたが、多くのトップ選手、仕舞いには自社のカタログを飾るエリソン選手にすら、リムボルトをソリッドタイプに交換されてしまう事態に至りました。ホイットが近年そのような歓迎されない技術を採用した理由は、確実には分かるわけないのですが、個人的には、どんなもんだろうと新技術を投入しないと既存の選手がGMXのような完成されたハンドル(今年のワールドカップファイナル4位の選手もまだ使用)を使用し続け、消耗品のリムと違い、ハンドルの買い替え期間が延びるためだと推測します。

ホイット(HOYT)の2019年リカーブ、大改革ですが、謎も。

しかし、そのような状況に至り、2019年にはついに方向転換をし、競技用ハンドルはすべてソリッリムボルトに切り替え、大幅にハンドルの種類を削減し、新しいフォーミュラーXハンドルはインドアシリーズで4勝、ターゲットでも1位と3位を獲得しました。

ベガスシュート(ワールドシリーズファイナル)でもホイットが、惜しい。

面白いというか、設計にかかわるメインエンジニアが交代になったのかと思うくらいに、明らかな2019年に続き、2020年もかなり保守に、成功したハンドルのデザインをほぼそのままに(写真で見た限りでは同じ)、リムポケットの設計だけを変えて、Xiときました。しかも、Xモデルも新モデルで結果が出るまで当面は販売を続けるという、安全策に安全策で確実にオリンピックイヤーに結果を出そうとしています。

そして、新しく追加された機能は「ストリングテンションテクノロジー」と「ベアボウ対応」の2つです。ちょっと先にベアボウ始めてよかったです(笑)おかげでこの機能もそれなりに正しく説明できます。


ストリングテンションテクノロジー(笑)英語にすると凄そうです。どんな機能かといえば、ハンドルの実効的な長さを調整できるようにしたものです。日本のベテランアーチャーにとってはなじみがあるヤマハがかつて採用していた機能に極めて似ています。違いはヤマハがジオメトリーが変わることでリムのポンドも変わってしまっていたのに対して、今回ホイットが採用したシステムではリムボルトの位置を調整することで、ポンドを変えずにジオメトリーを変更でき、その時、ポンドは変わらないが、グリップに対してテンションがかかる角度(赤いライン)が変わることで感覚が変わることを、ストリングテンションという新しい概念として名付けています。

最適リム差し込み角度という謎の概念のはじまり。

上は以前書いた記事ですが、この概念が再度アーチェリー業界に戻ってきそうです。続きはまた明日。販売開始は今週末の予定です。


先週末のJVDオープンでホイットのフォーミュラーXが初優勝。

(Dutch Targetから)

先週末ヨーロッパで行われた大規模なインドア大会JVDオープン。韓国や日本などアジアの選手がほぼ出場していいので、世界レベルの大会とは言えませんが、登場して、さっそくフォーミュラーXが出荷された状態(改造されていない状態)で1位を獲得しました。

いい出だしですね。

今週末はGTオープン(WAインドア初戦)と、近所での江戸川オープンです。


ホイットの新しいプロシリーズリムアライメントシステム。

新しいフォーミュラーXハンドル届きました。発表当時にも評価は難しいと書きましたが、実物見ても評価は難しいです。

評価できるのはリムボルト。これまでのボルト式のリムボルト(エリソン選手どが使用)、その後、騒音対策として導入された可動式、かつ、リムとボルトとの摩擦を低減するためにボルト裏にテフロンを貼ったボルト、安定性を高めるために導入されたコレット式と来ましたが、新しいものはテフロンを排して、リムとボルトとの摩擦を出し、もともとのソリッドタイプのボルトをコレット式にしたものです。

つまり、一週回って、これまでの”改良”とされたものをほぼ排して、コレット式のみ引き継いだということになります。また、リムボルトが装着されるハンドル側もかなり分厚く設計されていて、リムボルトの安定性という面での心配はなくなったと考えます。


しかし、今回はリムが装着されるベースも全面的に刷新されています。リムポケット全体が小さくなり(写真の通りぎりぎり)、シム式から、ウィンのようなねじ式になり、リムとの接点が点(●)から面(■)になり、その2点間の距離も2mmほど広げられました。悪い変更ではないと思います。

ただ、これまでのホイットのダボ(Dowel)では、リムと接する面の角度の調節をダボを回すことで調整できましたが、新しいシステムでは、あらかじめ設計された角度だけとなります。これはセッティングの幅を狭めることとなりますが、一方で、この仕組みを正しく理解せずに、正しく調整していないことによるパフォーマンスの低下を防ぐことになります。

リムポケット全体しては、良いと思いますが、逆に言うと、ウィンと差別化できるポイントも減りました。カーボンハンドのCXTでは最終的にリムポケットの精度を出すために、ハンドルを測定して金属のプレートを貼るという仕様ですが、これがそのまま、ただ、フォーミュラーXでは、その部分をユーザーが調整できるようにしたということでしょう。CXTで実績ある設計なので、問題はなくなったが個性が減ったのかなと。

そして、名前は同じプロシリーズリムアジャストメント…これは変えてほしかったです。プロシリーズ2とか、プロシリーズ+とか、区別してほしかったです。

今週販売始めます。


ホイット(HOYT)の2019年リカーブ、大改革ですが、謎も。

コンパウンドに続き、ホイットの2019年リカーブです。2017年以来二度目の大改革ですが、フォーミュラーモデルは2018年全廃盤で、新規モデルは1つのみ。また、チューニングシステムは新規のものですが、満を持しての登場であれば、GPモデルにも同じものを搭載すると思いますが、エピックには現状のシステムを残すという異例のラインナップ(*)となりました。アレーロを除くとすると、2019年のホイットのリカーブ競技用モデルはハンドルで2モデル、リムは1つのみでバンブーコアのみ、3つだけという、私がアーチェリーを始めて以来の限定されたモデル数となります。

*エピックも順次切り替えていく可能性はあります

タイトルには謎と書きましたが、正直、マーケットに出して、新しいシステムの評価を試して2020年(オリンピック)に向かう感じかなと感じています。なので、通常はホイットのリカーブ上位モデルは2年ごとの更新ですが、来年の2020年(19年秋発表)にも、フォーミュラーXを踏まえての何か出る気がします。

さて、新しいチューニングシステムですが、簡単に言えば、ウィンと同じ方式です。20年近くシムシステムを採用し、かつ、この部分でのトラブルもなく、一度セットしたら、理論的には絶対ズレないことで、評価されていたと感じていますが、ここをウィンと同じねじ式にしてきた理由が正直思いつきません。もちろん、ねじ式に欠点があるわけでもないので、シムシステムからの切り替えは悪いことではありませんが、変更する理由が謎という意味です。

リムボルトはホイット以外のほぼ全メーカーが採用しているソリッドタイプに戻されました。これで、エリソン選手始め、改造されないで使用されるのではないかと思います。ジオメトリーは結局GMXと同じです。ですが、いつものホイットであれば、同じ設計で、ジオメトリーだけ変更して、2-3モデル揃えますが、今回は1本のみで勝負。このあたりも謎です。

リムポケットにウェイトを追加できるシステムも廃止されました。現在、多くのトップ選手に評価され、生産が終了した1年後の今年のワールドカップファイナルでも半数以上の選手が使用していたウッドグリップも選択できません。ウッドグリップのオプションくらい、大したコスト・手間ではないと思うのですが…謎です。

さて、リムのベロス(Velos)ですがバンブーコアだけの選択です。ホイットがリードして来たフォームコアの流れですが、ホイット自身によって絶たれました。正直意味が…。矢速はホイット史上最速とのことで、まぁ、偽りはないでしょう。しかし、すべてのアーチャーが矢速のみを求めるものではなく、だからこそ、ウィンは6以上も競技用上位モデルをそろえていますが、矢速が速いというリムの一本勝負に最大手のホイットが打って出ます。なぜそんな必要がという疑問でいっぱいです。

カーボン840リムは継続です。なので、競技用はバンブーコア、低価格モデルはウッドコアの2モデル、フォームコアリムはホイットのラインから消えます。フォームコアの優位性を散々宣伝してきた、一時は上位モデルはフォームコアのみもやった、このホイット自身の自己否定は、個人的に理解ができないです。

ということで、

・なぜこれだけモデル数が少ないのか
・なぜウッドグリップを廃止するのか
・なぜフォームコアを排除したのか
・なぜセンター調整のシムシステムを廃止したのか

謎ばかりで正直ホイットらしさを感じられないラインナップとなっています。他のプロショップがどう思っているのかわかりませんが、戸惑っています。11月入荷しますが、現状、リムは言葉通り速いでしょうし、バンブーコアも評価はよく、成功しています。ベロスは良いリムとなるでしょうか。対して、フォーミュラーXはホイットの歴史の下でもアクシスのような非常に実験的なハンドルではないかと思います。

今後は実際の実物を見て、来たるインドアシーズンでトップ選手がどう向き合っていくのか見守りたいと思います。GMX使い続けている選手たちは…2019年も使うのかな??


ホイット(HOYT)の2019年コンパウンドは特に大きな変化なし。

発表されましたね、2019年のホイット。まずはコンパウンドを整理していきます。ターゲットモデルのメインラインでは新しいモデルはなく、プロフォース(Pro Force)を短くしたモデル、プロフォースFXが出ます。332fpsですが、32-1/4インチとかなりATAが短いので、ターゲット競技で適応するフォーマットは限られそうです。

その他には新色のみです。リカーブ側では大きな変化がありましたが、コンパウンドでは現行のモデルの評価は良いので、まぁ、これでよいかなとは思います。

アメリカ国内では人気のASAやIBOといった団体での存在感は最近乏しいホイットですが、今年のラインナップと方向性を見ると、もうそのあたりのマーケッティングや開発はせず、世界的に人気のあるWAのフォーマットに注力して、そこでの存在感を固めていこうという感じですね。対して、エリート(1月発表予定)やマシューズ(14日予定)はどうそろえてくるのか楽しみです。