スタビライザーで戦う 真田広之さん

真田広之さん、エミー賞のドラマ部門、作品賞受賞おめでとうございます!! と、一緒に流れてきたのか…長年脳内でシミュレーションしていた、近接戦になったら、剛性が高いロッドでなら戦えるのではないかという想像ですが、まさかの真田広之さんによって実写化されていました。

*先輩方の間では誰もが知るネタかも知れませんが、自分は初めて知りました。

こちらは、超電子バイオマンというドラマの第13話 「ジュンよ」というエピソード。私の環境下では、U-NEXTで追加課金無しで見ることができました。

接近戦で向かってくる敵に対して、アッパー+センター+Vバーというセッティングで、思いっきり、スネを狙っていきます…痛そうだぞ。。

吹っ飛ぶ敵…あらためてスネは痛そう。。

なるほど、おっしゃる通り、スタビライザーの長さだけではなく、それが装着されている弓の長さもあるので、横にして振り回すという使い方が一番実戦向きかもしれません。クイックデタッチがないとスタビライザーの取り外しにも時間かかりますしね。

勉強になりました。戦闘には剛性の高いものをおすすめします。バイターロッドのようなタイプでは大したダメージは与えられないと考えます。

@odds_kunさん、@IndigoroseHiroyukiProjectさんより

2019-2024年 アクセス数ベスト5

弓は作るのが難しい。もう何本も材をだめにしていますが、少しずつ掴んできました。

さて、もうすぐ850万アクセスに到着しそうです。ありがとうございます。ということで、この5年間でアクセスが多かった記事ベスト5 です。個人的にはアクセス数が、読者さんの反応のコメント数と全く関係性がないのが興味深く…どういうことなのでしょう?

1.【追記】私たちのお客様”以外”のアーチャーに対する責任。 35,118 アクセス

2. イーストン(Easton)の2021年大改革です! 23,487 アクセス

3. 一流になるために、まだないもの 21,411 アクセス

4. 我々は技術で負けたのか。国産アーチェリーがベガスで発表。 20,195 アクセス

5.それ、センターショットじゃないんです。 17,242 アクセス

PSEアーチェリー 2025年 DUO X 発表

PSEが2025年ターゲットモデルとして、ドミネーターDUO Xを発表しました。コンセプトとしては、ドミネーターDUOに、今年度2024年モデルのスープラXの特徴を取り入れたものになっているとのことです。

一番左がドミネーターDUO Xで、真ん中がスープラX、右がドミネーターDUOです。スペックがで0.2ポンド(90g)の軽量化、スープラの固定ケーブルガードシステムと、0/4/8/12度のモジュラーグリップシステムの導入を新規導入。引き尺も38インチモデルで23インチから、40インチモデルで24インチから対応できるようになりました。

ドミネーターDUO X 38
ドミネーターDUO X 40

スペック表になります。2020年頃までは結構熱心に新商品情報についての記事を書いていたのですが、最近の自動翻訳・AI翻訳が優秀すぎて、英語を理解して日本語で情報発信するのはほぼ価値がもうないですからね…しばし、新しいカタチを模索していきたいと思います。

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PSE2025、TLAにて取り扱いますのでぜひお問合わせください。

伝説の原糸452X販売終了、452Xtraへ移行

長年コンパウンドアーチャーにとって最良の選択であるとされ、性能とコストパフォーマンスによる評価で、多くのコンパウンドメーカーが出荷時の搭載弦として選択されてきた452Xの販売が終了し、ブレンドされているベクトランをアップグレードして、452XtraとしてアップグレードすることがBCYより発表されました。

452Xの後続モデルはたくさん発表されてきましたが、(高価なカスタム用素材を除けば)結局452Xがベストという評価を変えることはできませんでした。452Xtraは452Xとほぼ変わらない価格で出荷が始まっているので、今後、こちらの弦がまずはコンパウンドメーカーに採用されるかが注目されます。

452Xはすでに多くのショップで在庫処理販売が始まっていますが、人気なのか、想像よりも早く在庫がはけていっている印象です。今後発表されるコンパウンドメーカーの来年モデルに452Xtraが採用されるか楽しみです。

452XtraはTLAにて取り扱いますのでぜひお問合わせください。

*452X原糸の一般販売が終了しても、慎重な姿勢のメーカー向けには供給していく可能性はあります。

久々の新しい原糸メーカーBlood Line Fiber

@ella.gibson_archery

事業譲渡によって日々のルーティンが大きく変化しました。まだ慣れていませんが、新商品紹介記事を久々に書きたいと思います。2020年頃からあったメーカーだと思います、アメリカのBlood Line Fiberという原糸メーカーさんです。販売している原糸の構成はBCYとは大きく違わず、また、価格についてもBCYと大きく変わらなかったので、取り上げることもなく現在に至ってしまったのですが、現在世界ランキング一位のElla Gibson選手が前から使用していて、7月に718点の世界記録を更新しました。

使用している弓はダートン(Darton)のExodusという非常にコストパフォーマンスの良いモデルです。

https://bloodlinefiber.com/pages/string-builders

こちらが現在Blood Line Fiberが原糸を提供している完成弦メーカーさんですが、日本との取引があるメーカーはないと思うので、国内での入手はまだ困難かもしれませんが、ほぼBCY一社の独占になってしまっても…(以外にBCYは値上げをせず特に弊害はないのですが)…ので、ぜひ、今後、Blood Line Fiberさんにご注目ください。

Bloodline Bowstring Fiber

今後はこんな感じて情報発信していきたいと思います。よろしくお願いします。

パラスポーツとルール

ルールとは何かについての質問をいただきました。回答を書いていたら長くなってしまったので、記事にしました。ただ、アーチェリーにとってルールとは何かという一般論は難しいので、今回の事件を前提とした記事になります。

ルールはつくられたものです。ルールを作っている人の頭の中では完璧な運用が見込まれていると思いますが、ルールは言語を介して表現されており、さらに、日本に入ってくるときには翻訳も介しています。言語ですら完璧な体系ではない以上、ルールは理論上完璧にはなりえません。では、どうするのか。WAが発行している審判のガイドブックはこのように考えています。

審判はどういう意味でしょうか。私のコンピューターの辞書と類語辞典には、JUDGEという単語の12以上の解釈が載っています。 検証、証明、確立、試行、立証、学習、確認、考慮などです。 その中で私が特に気に入っているのは、「正義」と「仲裁者」です。「審判はただルールを引用し適用するだけ」とはどこにも書かれていません。

盲目的と常識的なルールの適用における違いについて、簡単な例を挙げてみましょう。警察官が時速100キロ以上でスピード違反をしているドライバーを停止させた場面を想定してみましょう。ドライバーは飲酒運転をしていたことが判明し、警察官は職務を遂行し、そのドライバーに手錠をかけ、刑務所に連行しました。10分後、同じ警察官が同じエリアでまたも時速100キロ以上でスピード違反をしている別のドライバーを停止させます。2人目のドライバーは、トラックにはねられ、後部座席に重傷を負って意識不明の子供がいること、そして病院に急いで連れて行かなければならないことを説明し、見せました。同じ法律がほぼ同時に破られたのです。同じ罰則が適用されるべきでしょうか? もちろん違う!と皆さんは言うでしょう。

しかし、判事たちは時にそのようなことをします。①ただ本を開いて、射手のスコアを減点する罰則を見つけようとするのではなく、可能であれば、選手のスコアを救うルールを見つけましょう。もし選手が他の競技者に対して有利になるようなルール違反を犯していた場合、距離、時間、矢の本数、スコアなど、②その選手に有利になるようなルール違反を犯していた場合、厳格かつ即座に処罰しなければなりません。これは、ルール違反を犯していない他の選手の権利を守るためです。

このガイドブックは、審判や大会主催者が仕事をし、③アスリートが競技を楽しむのを助けることを目的としており、WAルールブックに代わるものではなく、また完全であると主張するものでもありません。 疑問がある場合は、ルールブックと④現在の解釈を参照してください。

WORLD ARCHERY JUDGES’ GUIDEBOOK V1.2024 意訳

さすが審判のトップの意見です。もう論点がすべて含まれており、私がお伝えしたいこともすべて含まれているのですが、解説しながら話を進めていきたいと思います。下線を引いた部分は4点です。まずは③と④、記事の最初に書いた通り、ルールブックも審判のガイドラインも完璧ではありません。そのためにWAに質問して解釈(Interpretations)を求めることができます。

https://www.worldarchery.sport/rulebook/article/82

今回にからめて言えば、WAのルールに関するページでは、オランダの協会からのパラアーチャーがパラ競技以外(つまりは一般の70mwラウンド等)でも1.25m以上のスペースを要求できるかという質問があり、パラアーチェリー委員会から、パラアーチェリーの規則はパラアーチェリー競技のみに適用されるという回答を得ています。

パラ競技ではなく、一般の競技にも適応されるパラアーチャーに関するはものは、一般大会のルールの中に盛り込まれています。例えば、上記の項目はパラアーチェリー競技に関する第19章ではなく、第12章にあります(全ア連競技規則)。

つまり、パラアーチャーの場合

→ パラ競技に参加する 第19章のルールが適応される

→ 一般大会に参加する 第19章のルールは適応されない

となるわけです。下線①(スコアを減点する罰則を見つけようとするのではなく、スコアを救うルールを見つけましょう)の精神にあるように、アーチャーは自由であるべきであり、危険でない限り、自由に大会に参加する権利がありますし、大会主催者側も私が知る限りは、多くの選手に参加してほしいと思っていますので、パラアーチャーが一般の大会に参加することを不快に感じる人はいないでしょう。

一方で、下線②(自身に有利になるようなルール違反を犯していた場合、厳格かつ即座に処罰する)の精神から見た場合、一般の大会でパラアーチャーがクラス分け時に使用して良いとされた補助具以外を使用したとき、一般の審判が、例えば、スツールから車椅子に変更した時に、この変更が選手にとって有利になるかどうか、判断基準が存在しません。なので、その大会での点数を非公認記録とすることで、他の選手の権利は守られると考えられます。

以上をルールがどうなっているのかと言えば、問題になっている第19章はWAの見解によれば、パラ競技だけに適応されるので、一般大会に参加するパラアーチャーには適応されない。パラアーチャーは健常者と同じレベルで自由に競技に参加する権利を持っている。しかし、他の競技者との公平性の担保のため、一般競技に一般の競技規則(第19条の除くもの)で参加したときの記録は、ランキング等には使用できず、非公認記録として記録されるが、私の理解するルールです。

WAがパラアーチェリーの章はパラ競技のみに適応されると判断している以上、その傘下の全ア連も当然同じ解釈を共有します。一方で、正式な資料を見つけることはできませんでしたが、日身ア連は全ア連の傘下にないという組織図が見つかりました。全ア連のホームページでも確認しましたが、加盟団体事務局一覧には日身ア連はありません。つまりは、日本身体障害者アーチェリー連盟はWAとは上下関係になく、WAのルール解釈を共有すべき立場ではないわけです。なので、独自の思想に基づいてアーチェリー競技のルールの解釈することは立場的には可能ですが、同じ内容の通知に対して、2つの解釈があるのはいかがなものでしょうか。

そして、これに巻き込まれたAさんBさんは…残念です。

【加筆】2つの通達 パリパラリンピック・アーチェリー日本女子代表辞退事件について考える

【加筆】友人に長いと言われたので最初に要約を入れました。

報道されている事 :  BさんがAさんのブログに匿名で誹謗中傷した。悪質とされ約120万支払う。

裁判記録によって明らかになったこと : Bさんは雑アを見てAさんが車椅子で試合に出ていることを知る。日身ア連にルール違反か確認する。該当の試合は全ア連の主催であり、日身ア連にはルール違反か決める権限がないのに、ルール違反と回答する。Bさんはルール違反だと思い込む。以下、報道のとおり。

日身ア連は第三者ではなく当事者。だから、でたらめな発表を世間にしている。

論点は、日身ア連が全ア連の公認試合での「ルール違反疑惑」を判断する権限があるのか、です。

加筆ここまで。


きっかけはパリ・パラリンピックに迎えるにあたって、とある記事へのアクセスが急増したことでした。特にこの時期に当時の事件が蒸し返される必要性も感じなかったのですが、調べてみたら、新しい事件が発生していました。

例えばルール関係で注意をされた際には、司法に訴えたりする前にまずは審判の指示に従うといったスポーツ界における然るべき順序と手段を以て対処してゆかないと

昨今の報道案件について(連盟コンプライアンス委員会)

連盟の当初の発表ではルールについて注意された際に審判のの指示に従わない選手の存在を示唆する表現があり、長年アーチェリーの競技会に参加してきた人間として、そもそも審判に従わない選択が選手に存在するのか疑問だったので、実際の裁判記録を閲覧してきました。2000ページ以上はある10cm以上の資料でした。

この記事ではこの事件がどんなものだったのかについて迫っていきたいと思います。

裁判にもなった事件なので、長くなりますが、分かりやすさよりも、正確性を重視した記事にすることを心がけています。この事件の中心人物は下記の三人です。

・原告 Aさん 東京・神奈川を中心に競技している選手

・被告 Bさん パリオリンピック日本女子代表選手(辞退)

・日本身体障害者アーチェリー連盟 クラス分け担当理事 O氏(当時)

原告AさんのブログにBさんが「ルール違反してない?してるから言ってるんですけど」等と書き込んだ事に対して、それが名誉毀損に当たるかどうかという裁判だったのですが、裁判の中でBさんはAさんが競技団体や勤務先に裁判のことを伝えたことは逆の名誉毀損・プライバシーの侵害であると反訴し、最終的にはBさんによる名誉毀損が認められ、Aさんに対する約124万円の支払いが確定した事件です。この流れはいろいろなメディアにあるので、この経緯について詳しく知りたい方は新聞とか読んでください。

前の記事で書いたように、双方「ルール違反について」ではなく、裁判の争点は名誉毀損についてでしたが、ここではその部分には触れず(立派な裁判官判断済みだし)、裁判記録をもとに「ルール違反」とされたものは何だったのかについて、解説していきたいと思います。

以下長くなるので、すぐの答えを知りたい方向けに結論から言えば、全日本アーチェリー連盟と日本身体障害者アーチェリー連盟の理事間・審判間に存在するパラスポーツに関する思想の違いが根源にあり日身ア連の思想の影響を大きく受けたBさんが、一方的に自分が正しいと信じてしまったことが原因だと考えられます。


以下、詳細です。長くなります。

まず、この裁判はAさんととBさんの間で争われていますが、競技規則の解釈とAさんがルール違反をしていたかについて、調査嘱託(裁判において第三者に回答を求めること)が多くのアーチェリー競技団体に送付されています。全ア連、東京都アーチェリー協会、千葉県アーチェリー協会、日本身体障害者アーチェリー連盟、公認審判員の方などが回答しています。

その回答の中にはルールの運用の対立が見られます。しかし、私が前の記事で日身ア連の問題を提起したように、それらは連盟関係者間の意見の対立であり、AさんとBさんという選手の問題ではありません。連盟間でよく話し合って解決すべき問題を、選手の裁判に押し付けている状態になっています。

どのような意見の対立か簡単に言えば(*)、

・日身ア連 : ルールはルールだ。守れないならルール違反である

・全ア連 : それは自分の主催大会でやってください。

・裁判所 : 地方競技団体の一般試合における、ルールに厳密でない運用は障害者が健常者との比較において有利ではない限り、事実上許容されていた。

*日身ア連の証言(乙第10号証)はクラス分け担当理事のO氏であり、彼の意見が連盟を代表とする。全ア連や地方一般競技団体の意見・回答に多様な方法で提出されていて、代表的な意見を取り上げています。裁判所の意見は判決より。

まず、ここで議論になっているルールとは全ア連の競技規則の19章のパラアーチェリーの部分です。最新のものは全ア連のホームページよりダウンロードできます。ここで理解すべきは、19章にあるルールはパラアーチェリー競技について定めたもので、各地で地元のアーチェリー協会において、一般的に行われているアーチェリー大会についてのルールではないのです。

例えば、

競技会場および練習会場は、IPC規則に定義されるとおり、車椅子使用者に必要な施設を備え、支障なく出入りできなければならない。会場の入り口からウェイティングラインおよびシューティングラインまで、補助なしで車椅子が移動できなければならない。

全日本アーチェリー連盟競技規則2024-2025, P.95

と書かれています。バリアフリー社会を目指すに正しく真っ当なものであることはその通りなのですが、ルール通りの運用では、バリアフリーが完璧に整備された競技場を確保できない都道府県では、パラアーチェリーの試合は開催できないことになります。

一方、そもそものパラスポーツの目指す一つの形は、障害のある人々が社会の一員として活躍できる場を提供し、共生社会の実現を目指すものである以上、競技場のバリアフリー改修が終わっていないからとパラアーチャーの参加を拒否していては、本末転倒もいいところでしょう。

実際の歴史的な経緯が裁判で検討されることはなかったわけです(争点ではない)が、全ア連側の意見としては、厳密なルールの運用はさておき、パラアーチャーが一般のアーチェリー競技大会に参加申込したとき、それぞれの地域のアーチェリー協会では、ルールにある理想的なバリアフリー環境の提供ができるないから断るのではなく、どうしたらパラアーチャーに競技に参加いただけるかで運用が考慮されてきました。

ただ、近年バリアフリー環境が整いつつある中、いつまでの選手ファーストの運用では混乱が生じるとの問題提起があり、全日ア連競技第 20-031号が、2020年9月26日に出されます。内容としては、一般の公認競技会について、パラアーチャーはこれまで通り参加を認めるが、記録を公認記録とするかは厳密に運用する。というものです。これが現在まで続いています。

原告のAさんは全日ア連競技第 20-031号が発出されてからは、ルールに従い競技をしていると思われます(裁判では触れられていないので不明)。ただ、2020年9月26日以前には、自身のパラアーチャーでのクラス分けで許可されていない車椅子を使用して、一般の試合に参加したことがありました。これはルール違反なのか。または、一般の試合で、会場がバリアフリーとは言い難い状況で、車椅子からスツールに都度移動する事などが試合の進行に与える影響で黙認されていたのか…。

しかし、現実的にはルールの話にならずに、翌年(2021年)の1月に、BさんはAさんをブログにおいて匿名で攻撃します。このことについて、裁判所の判断は

・競技規則に基づいてルール違反を通報した事実はなく、原告のブログで指摘することが問題提起であるとは言えず、原告に対する反感・攻撃が全面に出たものである。

・「何度も注意されたのに聞かない」なとどと全くの虚偽の事実を摘示してした上に、挑発的、嘲笑的に言及し、悪質性は相応に高い。

として、名誉毀損としました。

ルール関係で注意をされた際には、司法に訴えたりする前にまずは審判の指示に従う

昨今の報道案件について(連盟コンプライアンス委員会)

裁判の重要な争点のひとつである「パラアーチェリーのルールにおいてルール違反かどうか」は司法が決めるべきものではないと考えること

一般社団法人日本身体障害者アーチェリー連盟コンプライアンス委員会

ですので、8月21日と28日の日身ア連による発表は、後者は噓であり、前者は解釈に困りますが裁判記録でBさんがAさんに注意をしたという記述は見つけられませんでした(*)。

*10cm以上ある記録なので私の見落としの可能性は否定してませんが、↓↓少なくとも裁判でも同様に認定されている。

裁判所はルール違反であるかは判断せず、ルール関係で注意するなら競技規則に基づいて団体に通報すべきであり、それをせずブログにおいて匿名で攻撃することは悪質だと司法判断をくだしたに過ぎません。

裁判所はルールに関しては、一般論として、パラ選手が一般の試合に参加する状況で、審判の関心はパラ選手と健常者との比較において公平性にあったとしただけです。


では、Bさんは何をルール違反だとしたのか。裁判においてBさんは「ルールの解釈に最も信頼のできる日身ア連から、ルールの解釈を聞いており、確実な根拠をもとに、誤信していた。」と主張しています。つまり、日身ア連にルールの確認をし、その上でAさんはルール違反をしていると思ったとしています。実際裁判でも、Bさん(九州)はAさんのルール違反と判断したのは、雑誌アーチェリーの記事で関東で行われた試合で車椅子に座って射る写真を見たからだとしています。 

では、その日身ア連の証言はどういったものだったのか。これが一番攻撃的で、驚きました。

1.全日ア連競技第 20-031号/日身ア連第12号は新しい解釈ではなく、従来ルールの周知である

2.証言している全ア連の公認審判員である Hさん Yさんは 健常者団体の審判であり、パラのルールを熟知しているか疑問である。

3.全ア連の健常者団体の審判がパラのルールの運用を誤っていたのであれば、誤った審判に沿ったパラ選手の行動も誤ったものである。ルール違反はスポーツマンシップに関わる倫理的問題

と、こんな感じでした(乙第10号証)。

実は2020年9月26日のクラス分けのルールの変更については、全日ア連競技第 20-031号だけではなく、日身ア連第12号という通達も存在しているのです。上の写真とおり、全ア連と日身ア連の上下関係が逆転しています。この2つの内容が同一である通達が私の思う問題の核心です(*)。

*全ア連版は(2022年コンプライアンス違反により処分された津田正弘氏が)2020/09/25 10:38:50に作成、日身ア連版は2020/09/25 13:33:49に作成(プロパティより)。

全日ア連競技第 20-031号通知に対して、日身ア連の役員の立場でその解釈について、自身の解釈の正当性を主張するのは明らかに越権行為ですが、日身ア連第12号通知に対して、その解釈を日身ア連の役員が主張するのは、当然のことです。同じ日、同じタイトル、同じ内容で、違う解釈(厳密には解釈する母体団体が違う)の通達が発生するわけです。

Bさんは日身ア連のどなたかに全日ア連競技第 20-031号通知か日身ア連第12号を指定せずに、「9月26日の通達の解釈」について訪ねたのだと想像します。当然、日身ア連は自身の発出した日身ア連第12号の通知についての解釈をBさんに伝えたことでしょう。それを持って、BさんはAさんに対して、スポーツマンシップに則っていないと確信したのかもしれませんが、その後の流れはすでに伝えたとおりです。

クラス分けカード所持者が、競技会出場時にクラス分けカードに記載されている補助用具以外を使用した場合は、ルール違反です。

クラス分け(補助用具)に関する再確認

日身ア連は自身の連盟のホームページにこのようなことを書いていますが、当然のこのながら、これは日身ア連の主催する競技会に限ったことです。もし、日身ア連に全ア連主催の競技会を公認する権限があり、実際に公認しているのであれば、その試合において、日身ア連の解釈が全ア連の試合に及ぶことは考えられますが、個人的にはその例を知りません。間違いであれば訂正します。

一方で、Aさんが問題となった試合は通達前の全ア連傘下団体が開催したものです。そこでのAさんの行為をスポーツマンシップに欠けるとした関係者は、私が裁判記録を見た限りでは全ア連側にはいません。全ア連としても、これがブログでの匿名の誹謗中傷ではなく、内部通報などで大事となったとしても、瑕疵が無く一般の競技会でのパラ選手のルール運用について大声で責められる日身ア連と違い、当時その判断を行った審判員が所属する全ア連は、「記録の公認取り消し」「オープン記録とする」あたりで手打ちにしたと推測します


今回の「ルール違反」問題は、根本的には全ア連と日身ア連の思想の対立、または、「公平性」についての見解の違いだと考えます。公平性について、全ア連は今回その意見を公にしていないので、以下、長年全ア連のWA/全日本/東京(地方)/新宿区で競技してきた私の意見を述べさせていただきます

競技の規則は膨大であり、細部にわたっています。一方で、地域の競技団体は10-20人程度のところもあり、完璧に正しくルールを全員が理解し、正しく運用することは、現実として無理です。なので、(〇〇市・〇〇区)の地区大会というものは結構適当に運営されています。

その根底にある思想は、そこで多少不適切な点数が記録されても、獲得した選手はそれをもって、一気に世界チャンピオンとなるわけではなく(そもそもWA非公認)、その点数を使って、国体選手の選考会に参加したりするわけです。このレベルになると、関係者の数も経験も一気に上がり、ルールもより、厳密に運用されます。ただ、このレベルでも、例えばコンパウンドであれば、60ポンド以下であるかのすべき計測を弓具検査では行わなかったりします。

都道府県代表の上は、全日本選手権であり、このレベルに達すれば、WA公認試合になり、WAの完璧なルールに則って試合が運営されます。厳密な弓具検査とドーピング検査もあります。当然トップを目指す選手はこのレベルの大会で結果を出す事を求められます。

つまり、地方大会で、完璧なルール運営を怠って、選手が多少ルールを逸脱したところで、趣味アーチャーは楽しく試合すればいいし、本当に上を目指す選手は、通用しない事を知っているので悪いことをするメリットがないという性善説で小規模な競技会は運営されます。

一方で、どんな小さな競技会でもWA公認試合と同じルールに則って厳密に運用すべき原則論が存在することも理解はできます。しかし、「すべきである」と「それができる」の間には相当な距離があり、2020年まで全ア連ではある程度ゆるーく、それ以降であっても、現実として、その距離が埋まることはないので、パラスポーツの精神に則って、広くパラ選手が参加できる現状を改悪せずに、かわりに記録の非公認(オープン記録)とすることにしたわけです。

当該案件に関しては一部事実誤認や、おそらくアーチェリー界における双方の過去を含めた事実関係を調査確認していないこと等から、事実と著しく異なることまでがあたかも事実のように流布されてしまうことにより、当該選手が過度な社会的制裁を受けている現状があります。

一般社団法人日本身体障害者アーチェリー連盟コンプライアンス委員会

以上、長くなりましたが、ここまでの経緯をご理解いただいたうえで、日身ア連の発表を改めて読んでいただくと理解が進むと思います。少なくとも私はここに至って、この日本語を理解しました。

Bさんは「日身ア連からルールの解釈を聞いており、確実な根拠をもとに、誤信していた。」と主張しているとおり、問題の試合が全ア連主催であるにも関わらず、日身ア連はBさんに自分たちが主催する試合の場合における判断・解釈のみを説明、その場合はルール違反であると説明し、Bさんに誤った理解をさせた。

ネット上で一部、日身ア連はBさんをなぜここまでかばうのか、との声がありますが、私としてはいちパラアーチャーであるBさんの責任よりも、当時、日身ア連が連盟として責任ある行動をとっていれば、そもそも誹謗中傷は発生しなかった可能性すらあります。

そのために、連盟の公式発表でルール違反が裁判の争点だとか、ルールが司法によって判断されてはならないなどと、意味不明な主張でもって、連盟自身の責任が露呈しないように、事件を本質が公に露呈しないようにしているのだと推測します。

2024年の日本スポーツ界で、その主張で日本身体障害者アーチェリー連盟が逃げ切れるのか、見守っていきたいと思います。

*裁判記録 東京地裁 令和4年 ワ 3002xに基づく。どなたでも150円で閲覧いただけます。

フェイクニュースを発表するアーチェリー連盟って…

一般社団法人日本身体障害者アーチェリー連盟(日障ア連)コンプライアンス委員会が8月28日に、まるっとフェイクニュースを発表したことに驚いています…こんな事があっていいのでしょうか…嘘と無知のハイブリッドで早急に撤回すべきです。

詳細に裁判記録を読み込んできました。厚み10cm以上ある3冊もの裁判記録で、裁判記録は閲覧(メモ)することしか許可されていない、下記一言一句間違いないとは言えませんが、連盟の嘘と無知に比べれば、多少の不一致はお許しください。また、裁判の詳細に関しては、別途、後日整理して詳細に書きます。

裁判の重要な争点のひとつである「パラアーチェリーのルールにおいてルール違反かどうか」は司法が決めるべきものではないと考えること

パリパラリンピックに関する当連盟の判断について(連盟コンプライアンス委員会)

まずは嘘から。連盟は「裁判の重要な争点であるルール違反」と発表していますが、そんな事は裁判記録には全くない嘘です。連盟は裁判の関わる裁判官・弁護士・原被告すべてが争点を理解していないとでも言いたいのでしょうか??

この裁判はざっくり言えば、ルール違反と勘違いした選手が名誉毀損をしたことの裁判ですが、被告は裁判における自身の真実相当性について「ルールの解釈に最も信頼のできる日障ア連から、ルールの解釈を聞いており、確実な根拠をもとに、誤信していた。」とあります。

真実相当性と誤信についてのAI回答

原告がルール違反していないというのは当然の主張ですが、被告側もルール違反と勘違いした(ただし、勘違いしたのには理由があるから悪くない)と主張している以上、ルール違反かどうかが争点であるはずがないのです。

ルール違反かどうかは司法が決めるべきものではないと考えること

パリパラリンピックに関する当連盟の判断について(連盟コンプライアンス委員会)

嘘の次は無知について。連盟さん、ルールブックって知っていますか??

ルールブックの最初のページには「This edition contains all current laws and bylaws approved and in effect on the date shown below.」と書いてあります。

Lawに違反しているかどうかをLawyerが決めるべきではないって…本気で言ってますか。

日本スポーツ仲裁機構などというスポーツと司法の関係について書く以前に、じゃ、ルール違反は誰か決めるべきだとお考えか、コンプライアンス委員会の皆さんの法思想を是非伺いたいです(*)。

*「スポーツ紛争と司法権の限界」での指摘等、”高いレベル”では議論があることは理解しています。

店舗の譲渡について

この度、9月よりアーチェリーショップ「あちぇ屋」の事業を長年、大久保・川崎店長として営業してきた山田に譲渡します。私は今後、こちらのアーチェリー情報サイトとアーチェリー場事業の運営に専念いたします。

今後とも宜しくお願いします。

2024.9.3 山口 諒

マット・スタッツマン選手が優勝、どうする??

昨日の応援記事を書いて、朝起きたら優勝してました!! おめでとうございます。私がちょっち気にかけていた二回戦の予選三位との対決をシュートオフで制し、準決勝もシュートオフの激戦だったようです。

さて、彼のスタイルで競技する選手が増加している状況で、41歳のスタッツマン選手は次回の自国開催のロスオリンピックに選手として出場するのか、それとも、足で射る彼のスタイルの先駆者として指導者に転向するのか決めかねている状況とのことで、この金メダルは彼にとって到達点になるのか、それとも、自国開催のロスでの連覇を狙うモチベーションになるのか、彼の判断が気になるところです。現状、WAの記事だと指導者になるのかな??

Paris to be fourth and final Paralympic Games for Matt Stutzman