GilloからGT25ハンドル入荷、約30%ポンドが調整できます。

Gilloの非常にユニークな設計のGT25ハンドルが入荷しました。個人的に見て、多くのチャレンジングな要素があり、昨年11月発売だったのですが、しばらく様子見をしてました。約半年間、特にトラブルもなく評価もよいので販売を決めました。念頭にはベアボウでの使用が想定されていますが、リカーブでも楽しんめるハンドルだと思います。ただ、パーツを非常に多く使用していますので、男子のトップレベルの45ポンド以上での使用には向かないと思います。

1.ハイブリッド設計

まず、ハンドルとリムポケットで異なる素材を使用しています。ハンドルとリムポケットを別々に作ってボルトで固定するという製法は昔からありますが、自分が知る限りでは、同じハンドルでライザーに6061アルミ合金、リムポケットに7075アルミ合金を使用するという設計は初めてです。このような設計の理由としては、ベアボウではスタビライザーが使用できないので、ライザー部分をしならせて振動を吸収させようという考えがあります。しかし、一方でリムポケットには耐久性と高い剛性が求められるので、このハンドルではそれぞれに適切な素材を選択して組み上げています。

2.ILFとFormulaで共通のライザー

写真を見ていただければわかる通り、このハンドルでは同じライザーでリムポケットを交換することでILF(GP)とFormulaの両方に対応します。ただ、個人でやることは許可されていなく(改造行為・補償対象外)メーカーの工場送ることが必要なので、イタリアから遠い日本では、費用的なあまり価値のある機能ではないかもしれません。ユニークな点はMKなどのハイブリッドハンドルでは、ILFでもFormulaでも同じ弓の長さになりますが、このハンドルでは2インチ長さが変わります。

この設計の意味は、ベアボウでは同じ弓の長さの場合、ハンドルが長い方がシューティングは安定しますが、ハンドルが短い方がストリングウォーキング時の5mと50mでの差異を最小限にできます。ベアボウターゲットは2020年に始まったばかりなので実践的なノウハウではなく、理論上での話となりますが、ターゲット競技でフィールド競技よりも長いハンドルが有効かもしれません。

3.フローティングリムポケット機能

リカーブの方でも楽しめる機能としてはこの設計となります。通常のハンドルではリムボルトを上下することでポンドを調節しますが、このハンドルでは、リムポケット自身を上下(傾ける)させることでポンドを調節します。リムとリムボルトの位置関係は変化しませんので、幅広い調整が可能です。その回転幅は9回転、標準位置は一番緩めたところ(ラバーが伸び切ったポイント)から4回転締めこんだところです。+-15%のポンド調整が可能で、36ポンドのリムの場合、おおよそ30ポンドから40ポンドまで10ポンド調整が可能です。ただ、リムにおいては効率性が最も高い部分が限られていますので、そこから角度が変わるほど効率性は落ちます。ですので、効率性(大雑把に言えば=矢速)を重視する場合には有効な機能ではありません。


商品ページにこの記事を紐づけていますが、調節方法は独特です。まず、箱だしそのままでは使用できません。2つの固定ねじが付属していて、リムポケットを調整後、このねじでボルトシャフトを固定することが必要です。

ポンド調整のやり方も独特です。まずは黄色のねじを緩めてリムポケットが動くようにして、黒の矢印のリムボルトを回して(このとき必ず赤い矢印のねじが連動して動いていることを確認)調整し、調整後黄色のねじを締めこみ、再度に赤の矢印に上下1つずつ固定ねじを入れて固定します。ねじが多いので、使用前にはねじにゆるみがないか確認してください。

コンパウンドでは一般的なチェックですが、このホールにねじが貫通していれば安全に使用できます。ここに隙間がある場合は、ねじを緩めすぎでいるので、危険です。

色の表現はあまり得意ではないですが、塗装もちょっと変わっています。PSEのハンドルみたいな色です(表現が下手で申し訳ない)。、

GT25ですが、非常にユニークでいじるところも豊富にありますが、その分初心者の方には向かないと思います。可動部が多い分チューニング・チェックしないいけないところも多いので。

なぜか黒がカラーオプションにないので青を在庫しています。

Gillo GT25 ハンドル

ベアボウ用の弓を組み上げる。社会人に優しいベアボウ。

昨日、弓を組だてて完成させ、射場で練習してきました。概ね、50メートルでターゲット80cm的で黒以内でしたので、フィールドコースに出られるくらいのレベルにはなっていると思います。
写真はアバロンが出しているベアボウ用のケースですが、デカいクイーバーを選択しない限り、一式全部これにコンパクトに入ります。持ち運びが楽なのは助かります(笑)

実際、私はコンパウンドから転向していますが、現実的に考えて、やってみたいと考えている方はリカーブの方のほうが多いと思いますので、リカーブから転向する視点で下記記事を書きたいと思います。また、書かれている知識は現時点での自分の理解です。正しいとは限りません。成長していく流れ含め、共有することに意味があると思いますので、そのまま書きます。また、本当の初心者がベアボウを始めるためのガイドではありません、ある程度のアーチェリー経験者を想定しています。

さて、ベアボウの弓についてですが、楽しむだけであれば、タブだけ買って、距離ごとの目盛り(引く位置)を射場で記録すれば、すぐにでも楽しむことは可能です。しかし、ここでは目標は全日本選手権大会ですので、競技用、勝つための弓を組んでいくこととします。

*Erik Jonsson(スウェーデン代表選手), john demmer(アメリカ代表選手), vittorio frangilli(ベアボウハンドルデザイナー)さんからの情報をもとに構成しています

ハンドル

まず、ハンドルですが、正直なんでも大丈夫です。世界のトップでもWNSのフォージドなどで大会に出ています。ただ、ハンドルにはスタビライザーなどをつけることができないので、ハンドルにウェイトをつけることが必要です。今回はそのウェイトオプションが豊富でベアボウのために設計されているGilloのG1ハンドルを選択しました。

ベアボウのための設計というのはセンターが写真の通り、反対側に1mmオフセットされていることです。リカーブでもセンターブッシングはスタビライザーを取り付けるためのブッシングとして考えられますが、ベアボウでは、ウェイトをつけるためのブッシングです。ここをオフセットすることで、ハンドルのウィンドウ側によった重心を真ん中に持ってくることができ、かつ、左右の重心ずらすことで振動吸収性を高めることを目指しています。また、価格も高くはありません。エントリーモデルのG2フォージドと同じくらい、塗装の仕上げは高め、オプションをつけたG1でWINEXと同じくらいです(今後販売予定)。ベアボウはお金がかからないのです!

リム

リムですが、基本何でも大丈夫です。選択のポイントは引きたいポンドと矢のバランスです。リカーブの方はびっくりすると思いますが、ベアボウでは高いポンドは基本的に使いません(使えません)。2016年の世界大会で優勝したエリック選手は36ポンド、今年の世界フィールドに選ばれたアメリカ代表のジョン選手は38-39ポンドです。

なぜ、高いポンドを使用できないのか。それは多くの選手が使用しているストリングウォーキングという射法にあり、高いポンドを使えば使うほど、アンカーと矢の距離が離れてしまいます。その距離は短いほどチューニングしやすく、また矢飛びもよいのです。ですから、多くの選手はこの距離がほぼない状態で50m(再長距離)を射ちたいと考えます。この距離を決めるのはリムの性能(高いほど離れる)、リムのポンド(高いほど離れる)、矢の重さ(重いほど近づく)の3つです。

つまり、リムは体力との相談というより、この3点とギャップ(矢と50mの時の引く位置)のバランスで各選手が決めます。私の場合、アバロンの600/90grの36ポンドで、1.5cm程度のキャップでした。

全日本選手権に出た時、リカーブでは44-46ポンド、コンパウンドでは59ポンドでしたが、ベアボウでは36-38ポンドで程度で行けると思います。3種目の中でベアボウが一番体力的には楽で、練習量のとれない社会人にはかなり適しているのではないでしょうか。

また、ストリングウォーキング(以下全部この射法前提)では、引くのは弦の真ん中ではなく、弦の下の方です。そのため、下リムが早くブレースに戻ってしまいます。基本両方のリムが同時に戻るのが望ましいので、逆ティラー(上リムを強くする)をつけたり、リカーブのためのリムで最初からティラーがあるリムの場合は、上下を逆に装着したりします。私は現在+6mmに設定しています。ブレースとノッキングポイントはリカーブ設定のままです。

レスト

よくチューニングされていれば金属レストで十分ですが、ベアボウの射法ではシャフトに上下のストレスが発生します。特にチューニング途中ではかなりのストレスがかかる場合があります。自分はゼロからのチューニングですので、上下のストレスがかかっても、破損の可能性が低い頑丈なバーを持つレストを選択しました。

タブ

タブですが、目盛りがついているものを使用します。みんな36ポンド程度を使うからでしょうか。ぴったり1目盛りで5mでした。こればかりは、新規に買うしかないのではないかと思います。

ストリング

これは射ってはじめてわかりました。太いものが良いとされているのですが、自分は弦の感覚を感じたいのでリカーブと同じSノックがはまる弦(8190)を選択しましたが失敗しました。太い弦が良い理由はチューニング・シューティングではなく、射つとき、引く場所を目盛りで決め、その位置に手を置いてタブをそこに移動させるのですが、弦が細いと滑る…。太い弦(Lノックサイズ)をお勧めします!!

プランジャー


3分15秒ほどからで、一番左の選手に注目してみてください。私は採用するか決めていませんが、ベアボウではプランジャーを試合中に調整するのです!!

というのも一定に引いた(ピボットから親指までの位置)場合、矢は短距離になればなるほど引かれなくなります(リアルドローレングスと呼ぶ)。そのため、短距離ほど、矢は硬くなり、左に飛びます。それに対処する方法はいくつかあるのですが、道具側で対処するには、試合中、距離が変わるごとにプランシャーを調整するという方法がとられます。自分がどうするかは決めていませんが、アバロンの調整可能なものを選択しました。

リカーブから移行する際にはリアルドローレングスの関係で、硬く振る舞います。自分は新しく作りました。また、ポイントをサイトとして使うことになるので、ポイントはタングステンポイントのような丸いものではなく、トップハットのような尖がっているものが適しています。

チューニング

結果だけアップしておきます。チューニングとは基本理論はありますが、そう簡単に終わるものではないので、全日本レベルまでもっていくには1-2か月かかります。

ベアボウチューニングの基本は妥協です。距離によって矢にかかるテンションの方向もリアルドローレングスも違うので、同じセッティングでと飛びを全距離でよくすることは不可能です。左右は試合中にもプランジャーのテンションを変更することで調整できますが、上下は妥協となります。一番よく知られた方法では5mから10mは捨てる(インドア同様短距離は矢飛びとグルーピングの相関は低い)、15m-50mの間の中間、例えば30mで矢飛びがきれいになるようにする方法です。

動画のように、短距離では矢はプランジャー上を通り、長距離では下を通ります。30mで真ん中を通る予定です。ということで、ここまでやって、射場に行きました。

以上、ベアボウ道具選択についてでした。

これからはチューニングと射形を固めていきます。


参考 世界チャンピオン(2016世界フィールド) エリック・ジョンソン(Erik Jonsson)選手の道具

ハンドル: Win&Win wiawiz nanomax
リム: WiaWiz ONE Foam M-36 limbs
矢: Easton ACE-520 / 100gr Tophat SL points / BJORN DragonFlight vanes #225 / Beiter nocks

自分の現在の道具

ハンドル: Gillo G1 ディスクウェイト6枚 + アルミベアボウカバー(270g)
リム: SF エリート+ M36
矢: Avalon Tec one 600 / 90gr Tophat ポイント / XS Wing / Avalonピンノック

Gilloウッドグリップのボールタイプが届きました。

DSC_1005待ちに待ったボールグリップが届きました。非常に面白い設計で、上半分がハイグリップ、下半分がローグリップになっているような感じです。
gillo_ballgrip
DSC_1001ハンドルに装着して実際押してみるとこんな感じのグリップになります。生命線にグリップが少し食い込むイメージで、ミドルタイプのグリップに比べると少し強く親指を意識して押す必要がありそうな気がします。

非常にユニークな形状ですので、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ハイリストに近い形状でありながら、手首はミドルに近いイメージで押せるのは面白い発想だと思います。

Gillo G1ハンドルが入荷しました。

DSC_07846月に発表されたフランジィーリが開発したG1ハンドルが入荷しました。発表時との違いはグリップで、ウッドグリップではなく、3Dプリンタによって製造されるプラスチックグリップに変更されています。少しざらつきがあります。
DSC_0788センター調整機能はスタンダードなものです。ウィンのハンドルと同じような手順で調整できます。
DSC_0787クリッカープレートは2種類付属していて、メモリがついています。クリッカーはMKなどで使用されているM4ねじ用のものが必要です。
DSC_0785

DSC_0791このハンドルで一番の特徴は6か所にウェイトを装着できることで、これによってハンドルの重さだけではなく、装着場所を変更することで、ハンドルの重心を変更することも可能です。ただし、ベースの1350gに追加していくことになるので、なかなか重いハンドルになってしまいます。追加ウェイトは別売りです。ウェイトを追加後、上からカバーをします。
Gillo_grip_ballそして、オプションでウッドグリップに交換できるのですが、スタンダートデザインに加えて、フランジィーリが設計したボールグリップを装着できます。このグリップはのグリップ上でのプレッシャーポイントが変化することによるミスを最小限に抑えることを目標に、開発されたものです。独特なフォルムを持っております。ちなみにこう書いていますが、これまでこのグリップはイタリアのBest社向けのものしか存在しなかったので、自分は触ったことがあるものの、ハンドルにつけて実射したことはありません。現在発注はしていますが、ハンドルとともには入荷しませんでした。入荷が楽しみです。
IMG_20141212_210933イタリアにはBestやベルナルディーニなどいくつかの名の知られたメーカーがありますが、いずれも日本では受け入れられていません。理由は一つではないとは思いますが、大きな要因としては、手作りの工程が多く、かつ、”イタリア人感覚”で作業しているので、メーカーとして何の問題もないハンドルでも、日本人には不良品に見えるためです。今回入荷したものもセンターブッシングがド・センターにはありません。メーカーは顧客に育てられるとも言いますが、このあたりイタリア人はあまり気にしないので、メーカーもこのレベルで問題ないと出荷してきます。

以前のこのことで某メーカーと長く議論したことがありますが、結局「うちはこれで問題ない。日本人がそれを受け入れないなら、買ってもらう必要はない」的な結論にたどり着きました。販売ページにも書きましたが、G1ハンドルは興味深い特徴がいくつもあるので、取り扱わないよりも、注意書きを入れて、気にされる方は店舗で実物を確認して購入してもらう方がよいのではないかと思いましたので、この売り方を試してみたいと思います。うまくいかない場合は再度検討します。よろしくお願いします。