本題の前に小ネタを二つ。今月の雑誌アーチェリーにWIN&WINの新しいHMC22スタビライザーについて、5色のカラーが存在すると書かれていますが、確認したところ、12月に発表されたカタログ通り、カーボンブラックの1色しかないです。ゴールドなどのカラーが出る予定はありません。
次に、SCOTT(スコット)アーチェリーから「侍」という名のリリーサーが出るようです…確認しましたが、どこら辺が侍なのかはわかりませんでした…でも、せっかくその名を付けていただいたのですから、日本のプロショップとしては、少量発注しないといけないような気に。販売価格5,000円前後のエントリー向けのリリーサーです。3月~4月の入荷予定です。
さて、これから書く記事は今年の初めには考えていたことで、それに向けて準備をして、今週の月曜日にはすべての用意が整ったのですが…昨日の夜に驚きの発表があり、書く内容の価値が半減し、ちょっとショックですが、読んでいただけたら幸いです。
以前に
こんな記事 を書きましたが、今年のドインカーの新作はさらに剛性を高めているとはいうものの、販売するとしたら、センター一本で3万円を超えてしまう価格です(Doinker Elite Estremo Platinum Hi-Mod 30インチの場合)。定価をつけて、そこから25%引きで販売する大手の慣習から考えると、国内での定価は4万円になります。センター一本の価格です。
そのドインカーの2013年の発表を年始に聞いたときには、びっくりしました。ロッドのスペックは業界をリードする会社ですが、ひたすらに高価な材料から高価なスタビライザーを製造する近年のドインカーの方針には少し失望しました。
例えば、WIN&WINはカーボンハンドルにフィットするようにHMC Plusを開発し、売れ行きは好調ですし、HOYTはプロコンプエリートという弓を特定のスタビライザーセッティングを想定して開発し、発売以来、すごい勢いで実績を上げています。
近年の、商品単体のスペックではなく、その商品をシステム全体(弓全体)に組み込んだ時の性能を見ながら開発していく方向性の方が正しいと思いますが、ドインカーの方向性はちょっとずれていると考えています。
おまけに今年ドインカーではAボムというダンパーがカタログに加わりましたが、ほぼ以前のAボム(2007年ごろにカタログ落ちした商品)を復刻しただけのものです。まぁ、それでも十分にいいダンパーだったので、こちらは販売を考えていますが(4月ごろに入荷予定)、この間、5年以上の時間があったのですから、進化した商品を提示して欲しかったです。
NIMESでもドインカーの人と少し話ししましたが、ドインカーの商品単体でのスペック強化と、それによるラインナップ全体の価格のインフレには、もうついていけないと思い、これから書くのですが、アメリカで現在急成長しているB-Stinger(Bスティンガー)と1月に代理店契約をして、今週の初めに初めての荷物が届いたのですが、なんと、昨日のドインカー社のフェイスブックで驚きの発表がありました。
Doinker’s NEW sister company line of products Precision Balance, to be launched next month. It will be a completely separate line of Target and Hunting stabilizers. It will have a Non-Doinker dampener on it, and include two 1oz weights on a nice looking glossy finished carbon rod with machined Aluminum and anodized flat black ends, at a retail for about $140.00 on a 33″. The Hunting products will be similar in configuration… just shorter and Dipped in full camo.
All the rest of the details to follow next month 😉
簡単に意訳すると「2013年の3月に小売価格で1万円前半の新しい商品ラインを発表します。」ということです…早く言ってくれよ…と。。。
この想定外の展開にどう対応するかは、詳細の発表を待って、今後考えます…どういった商品を出してくるのか、140ドルの新しいラインナップと、330ドルの現行の上位ラインとをどう共存させるのか見守りたいと思います。まだ、コメントできる段階にはないのでしょう。
さて、戦略が迷走し(*)ている様に感じるドインカーですが、リカーブではFIVICSやWIN&WINにシェアを奪われていますが、コンパウンドの世界でのシェアを急激な勢いで奪っているのが、1月に代理店契約をしたB-Stinger社(とFUSE)です。
*昨日の低価格の新ラインナップの発表でドインカーはより良い方向に向かうと思いますが、ここからの部分はそのニュースを知る前に書いたものです。
VIDEO
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本当に世の中便利になったもので…上の動画は2007年の世界選手権のコンパウンド決勝です。団体を選んだので6人の選手が出てきますが、多くの選手がドインカーのスタビライザーやダンパーを使用しているのが確認できるかと思います。この頃がドインカーの最盛期でした。
下の動画は、最新の世界戦(ベガスシュート)の様子ですが、使用している選手が激減しているのがわかるかと思います。別に意図的に選んだわけではありません。リンクは張っていませんが、検索していただければ、2012年後半の世界戦の映像がいくつもあると思いますが、どの試合でも同じ傾向です。
B-Stingerという会社の特徴はドインカーと違い、ゴムダンパーを使用しないことです。ロッドの性能だけで振動を取り除きます。下にカタログのリンクを張っておきますが、カタログにもウェイトとロッドの間に装着するタイプのゴムダンパーはのっていません(ウェイトの先端につけるタイプのエンハンサーはラインナップにあります)。あくまでも、ロッド単体で振動を吸収するという設計をしています。
B-Stinger(Bスティンガー)アーチェリー カタログ 2013
https://archery.co.jp/catalog_CP/BeeStinger2013.pdf
写真はカタログに掲載されている主な使用選手ですが、見ての通り、ほぼコンパウンドです。ロッド単体だけで振動吸収する設計はもしかしたらリカーブには向いていないのかもしれませんが、コンパウンドの世界では多くのトップ選手がドインカーからB-Stingerに変えました。
振動をしっかりと吸収するために、剛性の高いロッドを使用していますが、それでも価格はある程度に抑えられています(それでも2万円を少し切るくらいなので安いとは言いませんが…)。B-Stingerの関連会社はGold Tipという大口径シャフトでは有名なカーボンシャフトメーカーです。カーボンシャフトメーカーと一緒に原材料の仕入れを行うために、高性能のカーボンを安く仕入れることができ、それによりスタビライザーの価格を抑えています…というわけで、カーボンスタビライザーは他社の同クラスのものに比べて安いのですが、金属製品(Vバーやウェイト)は特に安くなく、競合他社と同じか逆に少し高いくらいになっています…。。。
Gold Tip
http://www.goldtip.com/
ドインカーがここ近年失っていたもの、新しい設計方針(ダンパーなしのロッド)、ラインナップのこまめな更新、価格を抑えた高剛性ロッド…これらを、今一番アメリカで持っているのがB-Stingerです。
*↑ただし、昨日突然発表された新しいラインナップはまさにこの3つを満たしています…1月から準備してきたのに…
と、まぁ、B-Stingerの商品の宣伝というよりは、メーカーの宣伝です。B-Stingerのスタビライザーはコンパウンドの通販を始めた時から販売していましたが、知る人ぞ知るメーカーで、弊社としても、あくまでも代理店の在庫を仕入れて販売するだけでしたが、今後はドインカーにかわるトップメーカーとして成長するのではないかという期待も込めて、今年から直接取引する代理店として新しく契約をしました。
今週、第一便が入荷したばかりですが、いろいろとテストをして、よりいい形でメーカーとともに成長していけたらと思っています。現在はまだコンパウンドの方にしかお勧めしていませんが、リカーブの方も新しいモデルを開発するようですので、リカーブ・アーチャーの方もこの
黄色の蜂がトレードマークのB-Stinger (ビー・スティンガー)、覚えていただけたら幸いです。