発表時の記事で入荷は来年初めと書きましたが、もう入荷してきました。順調に生産できているようです。初見、このハンドルはいいと思います。伝統的な設計を踏襲しながら、軽量化に成功しており、1130g。7075ジュラルミンを使用しています。価格が高いことを除けば、かなりお勧めしたいハンドルです。
カウンターブッシングの高さはセンタースタビライザーと同一線上にあります。水平に対して約40度下向きです。
グリップの反対側の握りこむ方のラインはエッジがカットされており、より手にフィットします(自分の好きな加工の一つです)。
そして、最大の特徴であるリムポケット。リムボルトの位置を変更することでILF(グランプリ)とフォーミュラタイプのリムの両方を使用できます。また、ILFタイプのリムを使用するときは黒のパーツを装着することでアッパーダンパー、ロアダンパーを装着できます。フォーミュラリムで使用するときは取り外す必要があります。なくさないように気を付けてください。
リムボルトの取り外しですが、リムボルトをロックするねじは反対側から取り外しはできません。適度に緩めたところでリムボルトを抜き取り、そして、ロックねじを取り出してください。取り付けはその反対の順番です。無理に後ろからリムボルトを固定するねじを取り出そうとしないでください。
まぁ、このあたりまでは発表時で知らされていた情報でした。手にしてみて初めて分かったことは、リムボルトの設計です。写真の左がアルファのリムボルト、右がウィンが使用している(2000-2011年あたり)リムボルトです。全く長さが違うことがわかるかと思います。このハンドルが伝統的な設計にのっとりながら、ジュラルミン合金を使用しても、1,130gという軽量化に成功した理由はここにあります。リムポケットが極端に薄いのです。
MKコリアの多くのメンバーはもともとサミックの人間です。なので、サミックのハンドルで一番成功した(アギュラ)ウルトラと比較してみました。諸条件により、正確な値ではありませんが、ウルトラのリムポケットの厚みは28mm(ILF)なのに対して、このアルファのリムポケットは18mm(ILF)と、1/3も薄くなっているのです。これによって、大きくハンドルの重さを削減することに成功しています。
もちろん、この設計は良い面だけではありません。リムポケットを薄くし重量を削減したした代償は、上のウィンのリムボルトとの比較でもわかるとおり、ネジ山の数です。ウィンのリムボルトが14のねじ山を持っているのに対して、アルファのねじ山はわずか7です。7つのねじ山で5回転リムボルトを緩めると、リムボルトはわずか2回転だけでとまっていることになります。これはとても危険なことです。
なので、このハンドルの説明書にもありますが、このハンドルの調整幅は他のハンドルと比べ、狭く設定されており、3回転です。ポンド調整は2ポンドちょっとしかできません。その理由は説明しました。形状上、3回転以上緩めることは可能で、その状態でもリムを付けて使用できますが、絶対にそれは行わないでください。2-3回転だけでリムボルトが固定されている状態は非常に危険です。
このハンドルはフォーミュラとILF(グランプリ)の両方に対応しています。使用するリムがもうある人はそのリムを使用してください。では、「ハンドルはアルファに決めたけど、リムはクアトロにする」という人の場合、フォーミュラのクアトロをお勧めするか、GPのクアトロをお勧めするかと言われれば、フォーミュラの方が良いと思います。リムポケットは奥に向かって、多少は幅(2mm程度)を持つようになり、その方が安定して使用できると考えます。
レビューとしてまとめれば、ジュラルミン合金を使用したハンドルの中で最も軽いアルファハンドルは、そのリムポットを薄く設計することで軽量化を達成しており、代償はポンド調整範囲が限定されてしまっていることです。すでに自分の使用したいセッティングが明確に決まっている方にとっては、何の問題にもなりませんが、初心者や成長途中のアーチャーにとっては、リムの買い替えを早期に迫られる可能性がありお勧めできません。自分のセッティングが明確に決まっていて、軽量でも剛性があるハンドルを求めているアーチャーにとっては、最適なハンドルではないかと思います。
山口 諒
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このハンドルの購入を考えています。現在使っているクアトロリムですが、下のリムが強いようで、上リムに比べ1.5回転ほど緩めています(ハイト差3mm)
以前、リムボルトは締め込んだ状態で使わない方がよい。2回転ぐらい緩めた方がよい。といったようなことを聞いたことがあります。(間違えていたらすみません)
このハンドルですと、リムの状態によっては完全に締め込んだ状態で使っても問題ないでしょうか?
>以前、リムボルトは締め込んだ状態で使わない方がよい。2回転ぐらい緩めた方がよい。
一般論としてそんな話はありません。
リムボルトはリムの角度を定めます。そして、リムの角度は最終的にフルドロー時のチップの角度(クリッカーゾーンでの感覚)を決める要因となります。
ベストの感覚が68インチで28インチ引きとした時としたら、
(ポンドを無視すると)あなたが27インチ引きなら、よりリムボルトを締めこんだほうがフルドロー時により良い感覚を得られます。
29インチ引きなら、よりリムボルトを緩めてリムを寝かせることで理想に近づけます。
2回転ほど緩めるというのはホイットがその位置を基準位置としているからだと思いますが、
その基準位置がよいのは、あなたの”引き尺も基準的な長さ”の時です。
過去記事に失礼します。prodigy XT(ロング)からこちらのハンドル(ミディアム)の移行を少し考えてます。理由としては、軽い弓、テックなしという面からです。
お聞きしたいのは、prodigy(テックなし)と比較するとどうか、という面です。
やはり射ち感は双方でかなり変わりますか?
他にもあればよろしくお願いします。
>過去記事に失礼します。prodigy XT(ロング)からこちらのハンドル(ミディアム)の移行を少し考えてます。理由としては、軽い弓、テックなしという面からです。
27インチハンドルから25インチハンドルへの乗り換えでしょうか。
であれ、軽量化と、テックなしという目的に、このハンドルはぴったりだと思います。
>お聞きしたいのは、prodigy(テックなし)と比較するとどうか、という面です。
>やはり射ち感は双方でかなり変わりますか?
プロディジーのノーマルバージョンは(グリップ以外)HPXハンドルとほぼ同じ設計のハンドルです。
それはXTにも共通します。
MKのアルファはGMX/プロディジーRXに近い設計です。
射ち感という点ではスタビライザーのセッティングによる部分が多いですが、アルファのほうが少しゆったりした感じの感覚になるかと思います。
フォーミュラタイプの弓のように、25インチハンドルだとインドアでサイトが取りにくいとかありますか?
高いポンドを引いている場合には起こりえます。その場合は、MKX10のほうがよいかと思います。
このハンドルについて2つ質問させてください。
1つ目。フォーミュラのリムを使用する際にグランプリのリムボルトをロックするネジが緩んだままの状態で使用することになるのでしょうか。その場合、うった時にスタビライザー等が緩んでいる時のような異音がするということにはならないのでしょうか。
2つ目。このハンドルのリムをグランプリからフォーミュラに替えた場合、ストリングの長さやストリングハイトの変更をする必要はありますか。
よろしくお願いします。
>1つ目。フォーミュラのリムを使用する際にグランプリのリムボルトをロックするネジが緩んだままの状態で使用することになるのでしょうか。その場合、うった時にスタビライザー等が緩んでいる時のような異音がするということにはならないのでしょうか。
リムボルト(およびロックボルト)は1つしか付属せず、その位置を変更することで使用します。
>2つ目。このハンドルのリムをグランプリからフォーミュラに替えた場合、ストリングの長さやストリングハイトの変更をする必要はありますか。
リムの長さの問題ですので、リム次第です。たとえば、WinexとFormula Quattroを使うのであれば、交換です。G3とF3なら交換はいりません。
このハンドルの購入を考えている者です。
このハンドルでフォーミュラリムを使用した時のポンド調整幅は何ポンド程度でしょうか。
教えて頂ければ幸いです。
>このハンドルでフォーミュラリムを使用した時のポンド調整幅は何ポンド程度でしょうか。
安全幅を十分にとるのであれば、5-7%程度、40ポンドであれば、2.5-3ポンド程度です。