この記事は2021年7月16日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

我々は技術で負けたのか。リムセンター調整の悲劇。

2003年 - ヤマハ フォージド2ハンドル & Nプロ ZX ウッドカーボンリム

自分がアーチェリーを始めたときの最初のハンドルはヤマハのフォージド2でした。非常に優れたハンドルで、対応するリムが手に入らなくなるまでは使っていました。今回の記事とは関係ありませんが、下記の記事をあわせて読んでいたたければ、営業面と技術面の両軸で理解が進むかと思います。

昨日の記事と直接の繋がりはあまりありませんが、順番としては先にお読みください。

昨日も記事をアップしたところ反響があり、いろいろと話をしたところ、この話をまとめるには1996年のヤマハの日本語版説明書があれば十分ということがわかりましたが、難しいでしょうね。今回はヤマハのセンター調整機構の話。

ヤマハのセンター調整システム

一般的には、そして、チューニングとしてもリムアライメントが正しい作業が、日本ではセンター調整を呼ばれている理由はやはり、ヤマハの姿勢にあることまでは把握できましたが、その前にヤマハ最期のセンター調整機構を理解する必要があります。

*以下、アーチェリーの仕入れ担当としてのネタです。全部読んでも、アーチェリーが上手になったりはしないので、ご注意を。

1960年代からアーチェリーハンドルは大きな進化を遂げてきました。WAのユーチューブチャンネルに1960年代からの世界選手権のダイジェストがアップされていますが、1960年代と1980年代の20年間では使用されているハンドルが全く違います。別物です。それに比べて、1980年と2000年の20年間では使用されているハンドルはそこまで大きく変わりません。そして、2000年と2020年では使用されてハンドルの違いはもはや細部だけです。

1960年代からの劇的な進化に比べてる、近年ハンドルの性能の進化が少しずつ停滞してきていることは明らかです。かつては、新モデルが開発されるたびに劇的に性能が向上(*)し、選手が一斉に新モデルに移行するというサイクルがありました。しかし、性能の向上が停滞するにつれて、この販売手法が困難になっていきます。

*もちろん、失敗した新作ハンドルも存在します。

ハンドルはリムと違い消耗品ではありません。同じモデルでは買い替え需要は基本的に期待できません。メーカーがハンドルの売上を維持するためにはハンドルのデザインと、細部の設定を定期的に少し変えて、短いサイクルでハンドルをもモデルチェンジしていくことが求められるようになりました。この販売方法に最も適した製造方法が現在のほとんどのハンドルに採用されているNC加工です。

これは私見ですが、2000年前後でハンドルの性能の向上は止まりました。2001年頃だっと記憶していますが、このときに開発されたサミックのウルトラハンドルは2004年にWA1440で1405点を記録します。現在はシングルではなく、70mが一般的になりましたが、その世界記録351点もウルトラハンドルによって達成されています。この記録は17年間のハンドル・リムの進化によっても破られていません。

自分も使用していましたが、スリムな設計がありなが、しっかりとした重量・質感があり、いいハンドルです。1990年辺りまでは鋳造ハンドルが一般的でしたが、初期投資が高く付き、一度作ってしまうと売り続ける必要があります。つまり、長期間モデルチェンジできないのです。これがヤマハが作り出し、最期のリムとなってしまった「リム側に搭載されるセンター調整機構」を生み出す原因となります。

センター調整機能の搭載されていないイオラはヤマハの最期のロングセラーモデルとして数々の実績を残していきますが、当時のヤマハの開発者の気持ちまではわかりません(下に続く)が、これを最期にヤマハもモデルチェンジが容易なNCハンドルへ切り替えを行います。それが初代のフォージドハンドルです。

イチから設計するハンドルですので、フォージドハンドルにセンター調整機構を搭載することには、特許を除けば、なんの問題もありませんが、しかし、イオラには搭載されていません。更にイオラは設計の変更が容易でない鋳造ハンドルです。フォージドはリムポケットをNCで加工しますが、鋳造ではリムポケットまで金型で作ってしまうので変更は困難です(*)。結果、新しいハンドルと実績のあるイオラハンドルの2モデルを次年度に併売するには、リム側にセンター調整機能を搭載するしか選択肢がなくなってします。

*コメント欄にお客様からの質問が寄せられていますが、その回答と誤解を修正するために加えられた一文です。コメント欄の流れを読むときには、この一文は加えられていない前提でまずは読んでください。

結果がこれです。現在ではワッシャー式にしてずれないように、ネジを二重にして両側から固定したり、更にそれに加えて、ロックボルトを入れて強固に固定しているセンター調整システムを、この小さなワンポイントに搭載するしか選択肢がなくなります。実際の開発者の気持ちはわかりません(上のを承ける)が、マーケティング的な制約のもと開発した、するしかなかった機構を酷評されるのはいたたまれないものだと思いますが、こんなものでしっかりとセンターが固定できるはずはありません(*)。

*この機構が開発者主導で導入されたという話を聞いたことがありません。もし、あれば、コメントください。

そして、その解決策としてヤマハが提示したのは、しっかり固定できないなら、接着剤で止めてくれという…だったら出荷時にセンター出して接着剤で止めれば良くないか?それではハンドルの個体差に対応できない?だったら、手持ちのリムも接着してしまったら、もう特定のハンドルでしか使えないじゃ?

どう突っ込むかはおまかせするにして、その後フォージド2ハンドルを発表して、ハンドル側では、意図通りの短期間のモデルチェンジをしたものの、このリムを最期にヤマハはアーチェリーマーケットから退場することとなりました。そして、私達はセンター調整機構はしっかり固定されるべきであることを学んだのです。

*私は開発ではなく仕入れ担当ですので、営業側の証言が多い状態で構成されています。開発者側にはまた違う意見があったのかもしれません。


The following two tabs change content below.
アバター画像

Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

19 thoughts on “我々は技術で負けたのか。リムセンター調整の悲劇。

  1. フォージドはモデルチェンジが容易なNCハンドルではありません。
    鍛造ハンドルのためマグネシウムハンドルと同じく型が必要なので、モデルチェンジは容易ではありません。
    NC旋盤は使いますがバリ落としに使う程度だったと思います。


  2. 型というのがピンときていませんが、どの工程のどんな型でしょうか?初期の鍛造用(SP3)の金型の話でしょうか?

  3. 上記の工程ではSP3の金型ですが、こちらを読めばよく分かるかと思います。

    NC旋盤は使いますが、少なくともフォージドをその他と同じNCハンドルと同一視するのは無理があります。

  4. リンク先のサイトは悪質なので削除しました。

    (SF時代の)フォージドは弊社でも扱いました。このモデルのおおよその形に整えるのに金型は使用します。私もこの間チョコを作るのに金型を使いました。問題はそのコストと耐久性です。ハンドルを整形する時の金型が100回で精度が保てなくなれば、100個作ればモデルチェンジのタイミングが来ますし。100万回金型が持てば、1万個作ってもモデルチェンジのタイミングは来ないのかもしれません。

    この金型の耐久性はどの程度だと考えていますか?

    >鍛造ハンドルのためマグネシウムハンドルと同じく型が必要なので、モデルチェンジは容易ではありません。
    >少なくともフォージドをその他と同じNCハンドルと同一視するのは無理があります。

    工程が異なることには同意します。ただ、記事ではモデルチェンジが容易かの話です。

  5. リンク先は悪質って、よく言えますね(笑)

    それにSF時代のフォージドとヤマハのフォージドは全くの別物ですし、工業製品の金型とチョコ作りの金型を同じレベルで話をするのも無理がありますよ(笑)

    金型の寿命ですが専門ではないですが、500度の温感鍛造では、いいとこ1万回位でしょうか?プレス圧によってはもっと短いかもしれませんね。
    また、逆に伺いますが、金型がいくらぐらいかお分かりになってますか?金型一個の作成費用ではなく、開発から製品用の金型まであわせたトータル費用です。おそらくそれが分からないためこう言った記事になっているんだと思います。

    なお、ホイットはヤマハがフォージドからフォージド2発表までの間に、容易にモデルチェンジが可能なNCの魅力を生かしてか、アバロン、アバロン+、エラン、アクシスと4製品、左右サイズ違いで14モデルを投入しています。
    ヤマハはどうでしょう?フォージドはSハンドル右用のみ、フォージド2も右用のみで、サイズはS、L 合計3モデルじゃなかったでしょうか?
    モデルチェンジが容易であれば、左ハンドルを切り捨てず、フォージド投入当時要望の大きかったLハンドルも投入し、わざわざフルート用にNCハンドル版の左用フォージドなんて作ることはなかったんじゃないでしょうか?
    この当たりもヤマハの鍛造ハンドルのモデルチェンジが容易ではない証左かと思います。

  6. >リンク先は悪質って、よく言えますね(笑)

    私としては、「いまさら言う」といった感じでしょうか(笑)

    現在では特に問題にもなっていないようなので、もう関わらずに、指摘せず、放置することにしていますが、このサイトの初期には10年前注意喚起の記事を何本か書いています。
    例えば、「飛行中のハネが変形することを常識的に考えて不自然といった記事」には、どの尺度の常識が使われている理解できません。根拠が提示されていません。私の常識では飛行中にハネが変形するほうが常識的です。おかしいとは感じませんか?

    また、昔から誤ったアーチェリーの知識を広めているのは、日付のない記事です。知識には鮮度があり、いくつかのホスティングサービスが終了したことで、30年前には正しかったが、今ではもう正しいとは言えない知識の多くが、ネット上から消えましたが、過去にさかのぼって、古い記事のメンテナンス(もう正しいとは言えないものを削除・訂正)しないのであれば、必ず、せめても書いた日付をともに提示する必要があると考えています。

    >それにSF時代のフォージドとヤマハのフォージドは全くの別物ですし、

    販売価格(1/3)が違う以上、使ってい素材のグレードや塗装のレベルが全く違うという話であれば、そのとおりですが、基本的には同じものです。ウィンはヤマハの撤退時に設備を引き継いでいます。

    >金型の寿命ですが専門ではないですが、500度の温感鍛造では、いいとこ1万回位でしょうか?プレス圧によってはもっと短いかもしれませんね。
    また、逆に伺いますが、金型がいくらぐらいかお分かりになってますか?金型一個の作成費用ではなく、開発から製品用の金型まであわせたトータル費用です。おそらくそれが分からないためこう言った記事になっているんだと思います。

    このあたりは話が、どうつながり、「こういった記事」になるのかわかりません。詳細は下記の回答を。

    >なお、ホイットはヤマハがフォージドからフォージド2発表までの間に、容易にモデルチェンジが可能なNCの魅力を生かしてか、アバロン、アバロン+、エラン、アクシスと4製品、左右サイズ違いで14モデルを投入しています。
    >ヤマハはどうでしょう?フォージドはSハンドル右用のみ、フォージド2も右用のみで、サイズはS、L 合計3モデルじゃなかったでしょうか?

    記事の中身とは噛み合っていないように思います。記事の流れは、

    1.センター調整機構が必要になってきた
    2.しかし、実績があり売れているイオラを切ることができなかった、イオラに手を加えるのも難しかった
    3.そこでリム側に搭載することにした
    4.あまりうまく行かなかった
    5.撤退した

    ざっくり書くとこんな感じです。

    開発能力以前に、リム側に問題を抱えているメーカーが、逆にハンドルを次々に発表することは考えられません。

    対して、当時ホイット側はどちらかといえば、ハンドル側に問題を抱えていました。そのことから次々にハンドルを発表していった経緯があり、これらのモデルで採用している機構はほぼ現在のモデルには引き継がれていません。

    この記事の趣旨は、なぜ、リム側センター調整が搭載されたのかについてです。フォージドハンドルのモデルチェンジが”どれほど”容易だったかは本筋には関わっていません。ホイットのように2年ごとは難しかったと思いますが、3-4年ほどであれば、十分に可能だったと思います。お客様がそうではなく、10-20年以上と言われるようでしたら、もう少し具体的な説明をしていただきたいですが、5-6年ほどだというのでしたら、そこまで違いがあるとは思わないので、記事にその意見を併記しても良いです。お客様の主張を併記しても、記事の中において齟齬はないと考えていますので。

    例) 純粋なNCハンドルに比べると、プレスを必要とするフォージドNCハンドルは、良く複雑な工程で製造されており、NCハンドルほど簡単に設計することはできない。

  7. こちらはリムの調整機構についていっさい触れていませんよ。(論点のすり替えですね(笑))
    一貫して鍛造ハンドルのモデルチェンジが容易かどうかのみですよ。そして容易と言う認識は誤りだと指摘しています。

    回答いただいた、
    工程が異なることには同意します。ただ、記事ではモデルチェンジが容易かの話です。

    への回答として、あくまで容易ではないと回答したまでです。(ご質問いただいた金型の寿命も添えてです。)もっと言ってしまえば、モデルチェンジの難易度は金型製造が必要なため、マグネシウム鋳造とほぼ変わらないと推察しています。(質問させていただいたコストは回答をいただいていませんが、当時の開発に関わった方の話では、高級車一台分だそうです)

    また、記事の中で
    その後フォージド2ハンドルを発表して、ハンドル側では、意図通りの短期間のモデルチェンジをしたものの
    と記載がありますが、アルファEXが確か88年、イオラが91年、フォージドが96年、フォージド2が2000年と概ね4年でモデルチェンジしており、フォージド2が短期間でモデルチェンジした事実もありません。(ご存知ないかと思いますが、当時はオリンピックに合わせて、新モデルを投入するサイクルでしたので概ね4年ですね。)
    製造工程においても、リリースサイクルにおいてもモデルチェンジが容易でないと思いますが、いかがでしょうか?

    また、こちらの趣旨から外れますが、下記の書き方もどうかと思いますよ。
    当時ホイット側はどちらかといえば、ハンドル側に問題を抱えていました。そのことから次々にハンドルを発表していった経緯があり、これらのモデルで採用している機構はほぼ現在のモデルには引き継がれていません。

    問題のあったのはアバロンの破損のみでこれに対応する為にリコール対策の意味も含めてアバロン+を投入しましたので、実質投入されたのは96年にアバロン、97年にエラン、2000年にアクシスと、次々というのは言い過ぎでしょう。(なお、私がモデル数を出したのは、NCがいかに短期間でモデルチェンジが可能かを示すためですので)
    現在に引き継がれている機構はほとんどないというのも、どうかと思います。
    ワッシャー式のリム調整機構はアクシスから採用されたもので、今のモデルには採用されてませんが、数年前まで使われていた機構ですし、他社ではまだ現役の機構ですよね?

    あっ、記事で併記などしてくださらなくても結構ですよ。
    モデルチェンジが容易かどうかご回答いただければ。

  8. 論点のやり替えとは何でしょうか。ディスカッションをする場合、論点を決めます。それにそって話を進めます。こちらの記事にコメントされた以上、記事の中身が基本的に論点です。リムについて書かれた記事「リムセンター調整の悲劇」の本筋が論点となります。こちらのサイトは掲示板ではないので、投稿されたお客様が自分で論点(スレッドのタイトルに該当するでしょうか)を決められるルールにはなっていないことをご理解ください。

    >一貫して鍛造ハンドルのモデルチェンジが容易かどうかのみですよ。そして容易と言う認識は誤りだと指摘しています。
    >あっ、記事で併記などしてくださらなくても結構ですよ。

    さて、話を戻してハンドルの話にすると、以前のコメントで、”容易”という言葉はもうやめましょうという話をしました。

    (自分の回答の引用)
    ホイットのように2年ごとは難しかったと思いますが、3-4年ほどであれば、十分に可能だったと思います。お客様がそうではなく、10-20年以上と言われるようでしたら、もう少し具体的な説明をしていただきたいですが、5-6年ほどだというのでしたら、そこまで違いがあるとは思わないので、記事にその意見を併記しても良いです。お客様の主張を併記しても、記事の中において齟齬はないと考えていますので。

    と書かせていただきました。容易という語感によって理解される言葉ではなく、具体的な年数で会話しましょうというお誘いでしたが、いかがでしょうか? 今後、容易という言葉は使わず、年数で書いていただければ幸いです。ちなみに、上にあるように私は3-4年を容易を表現しましたので、3-4年と読み替えて頂いて結構です。

    残りの部分に関しては、よくおっしゃりたいことがわかりません。


    >(ご存知ないかと思いますが、当時はオリンピックに合わせて、新モデルを投入するサイクルでしたので概ね4年ですね。)
    →昔は4年毎に新モデルを投入する習慣があった という意味ですよね?

    >実質投入されたのは96年にアバロン、97年にエラン、2000年にアクシスと、次々というのは言い過ぎでしょう。
    →4年間の間に4モデルを導入しても、次々とは言わない という意味ですよね?

    この2つの日本語の間には矛盾があると私には思えます。4年間に1つが普通なら、1年に1つは次々ではないでしょうか??
    まぁ、こちらも語感による「次々」という言葉を使用した自分にも責任はありますね。

    >現在に引き継がれている機構はほとんどないというのも、どうかと思います。
    >ワッシャー式のリム調整機構はアクシスから採用されたもので、今のモデルには採用されてませんが、数年前まで使われていた機構ですし、他社ではまだ現役の機構ですよね?

    その通りですけど…

    >現在に引き継がれている機構はほとんどないというのも、どうかと思います。

    現在(ホイットにて)引き継がれている機構はほとんどないと書くのが、正確であることは確かです。はい。

    >モデルチェンジが容易かどうかご回答いただければ。

    ですので、私はサイクルは3-4年と考えています。5-6年でも大きくは変わらないと考えていますので、それでも良いです。この質問が3-4年/5-6年という期間に、「容易」という日本語を当てるべきではないという表現の仕方の問題でしたら、少し考えさせてください。

    最期にお客様の熱量は感じています。が、正直、私はこの問題にあまり興味がありません。「我々は技術で負けたのか」という一連の記事は、なぜ、同じ小規模マーケットで、コストが同じように高いイギリス、イタリア、フランスには国産ハンドル・リムが残ったのに、日本には国産モデルがなくなってしまったのかという問題を考えるシリーズです。そして、その反省が未来に生きれば良いと思っています。

    その本質にフォージドNCハンドルのモデルチェンジの期間が関わっているとは思えないので、このことを詳しく論じることに価値を感じることができません。申し訳ございません。

  9. 匿名さんへ
     「俺は知ってるんだぞ」という発言はやめてください。私は、YAMAHAに潰された中小メーカーの弓具を使っていたユーザーです。匿名さんはYAMAHA信者なのかもしれませんが、貧乏人はアーチェリーをする資格はないという、当時のYAMAHAのセールススタイルを嫌った者もいたことを知るべきなのではありませんか。

  10. お客様(匿名様)に対する前のコメントは、もう読まれているのかもしれないので、そのまま残しておきます。ただ、そちらは履歴程度に参照してください。

    例えば、金型の費用の話など、この話を根本的に理解できていなかった自分がいました。自分の書き方が間違っているかはさておき、もし、間違っているとしたら、どこをお客様は直してほしいのかという点です。悩みながら一晩寝たら、少し全体が見えてきたようにおもいます。

    お客様が問題としている文書を読み直しましょう。


    センター調整機能の搭載されていないイオラはヤマハの最期のロングセラーモデルとして数々の実績を残していきますが、当時のヤマハの開発者の気持ちまではわかりません(下に続く)が、これを最期にヤマハもモデルチェンジが容易なNCハンドルへ切り替えを行います。それが初代のフォージドハンドルです。

    イチから設計するハンドルですので、フォージドハンドルにセンター調整機構を搭載することには、特許を除けば、なんの問題もありませんが、しかし、イオラには搭載されていません。更にイオラは設計の変更が容易でない鋳造ハンドルです。結果、新しいハンドルと実績のあるイオラハンドルの2モデルを次年度に併売するには、リム側にセンター調整機能を搭載するしか選択肢がなくなってします。

    この文書では、モデルチェンジが容易なNCハンドルに対して、鋳造ハンドルはモデルチェンジが容易ではないために、センター調整を搭載できず、リム側に取り付けられたというを記しています。

    ここで使用されているモデルチェンジとは、まるっとハンドル全体を新規開発することだけを示していません。

    >問題のあったのはアバロンの破損のみでこれに対応する為にリコール対策の意味も含めてアバロン+を投入しましたので、実質投入されたのは(略)

    おそらく、話が噛み合わない点はここです。お客様がハンドルの設計の根本を大きくいじらずに、プラス(+)モデルとして、マイナーチェンジをモデルチェンジを数えない考えなのに対して、販売店では、これをモデルチェンジと数えます。こちらの手間というか、新しい写真を撮り、価格を決め、仕入れ数を計算して、カタログを作りと…やるべき仕事は、プラスモデルへのモデルチェンジでも、まるっとした新規モデルでも変わらないためです。


    さて、フォージドハンドルでは、加工初期のプレスでしか金型を使用しません。この時点でセンターブッシング周りやウィンドウ部分はぼぼ完成していますが、リム接合部などはNCによって加工されます。ですので、同じ金型で製造するイオラに比べて、リム接合部に修正を加えることは容易です。ですので、そもそも金型と容易という点は対立していません。

    細かく説明すればこういうことです。

    ですので、一文(太文字)を加え、


    センター調整機能の搭載されていないイオラはヤマハの最期のロングセラーモデルとして数々の実績を残していきますが、当時のヤマハの開発者の気持ちまではわかりません(下に続く)が、これを最期にヤマハもモデルチェンジが容易なNCハンドルへ切り替えを行います。それが初代のフォージドハンドルです。

    イチから設計するハンドルですので、フォージドハンドルにセンター調整機構を搭載することには、特許を除けば、なんの問題もありませんが、しかし、イオラには搭載されていません。更にイオラは設計の変更が容易でない鋳造ハンドルです。フォージドはリムポケットをNCで加工しますが、鋳造ではリムポケットまで金型で作ってしまうので変更は困難です(*)。結果、新しいハンドルと実績のあるイオラハンドルの2モデルを次年度に併売するには、リム側にセンター調整機能を搭載するしか選択肢がなくなってします。

    *コメント欄にお客様からの質問が寄せられていますが、その回答と誤解を修正するために加えられた一文です。コメント欄の流れを読むときには、この一文は加えられていない前提で読んでください。

    と修正します。これでお客様の違和感はなくなるのではないでしょうか?

    (追記) 7/21 11:07 に追記修正しました。

  11. 匿名の匿名様。

    以前、最適なリムの接合角度も知らないのかといったメール(かコメントか忘れました)を頂き、何度かやり取りした結果、

    最適リム差し込み角度という謎の概念のはじまり。

    という記事を書き、自分の中でももやもやしている部分を解消することができました。

    どういった知識か不足しているか、どういった知識をお客様が勘違いしているのか、どのような書き方をすれば、より幅広いお客様に伝わるのかを知る上で、どういったコメントでも学びの糧となります。

    今回の場合は、お客様(匿名さん)の知っている知識は正しいと思いますが、それが、現実問題(記事の中身)につながっていないと考えているので、コメントのやり取りで、現実と知識が収まるポイントが見つかればと思っていまので、もう少し見守っていただけたらと思います。

  12. 議論が起こることは素晴らしいことですが、何故かヤマハネタになると半ば炎上してしまうアーチェリー界が悲しいです。
    山口さんの記事も、最近話題のUnitubeさんでもなぜかヤマハネタはコメント欄が炎上しています。
    ヤマハ世代とその後の世代とでは認識の齟齬が大きいのだと思います。
    ヤマハがアーチェリー界にいた時代はまだSNSも発展しておらず、ネットにもメーカーが公式に発表した記事が少なかったのかもしれません。
    そしてヤマハ以降の世代もヤマハのことは良く知りませんし、迂闊にヤマハのことを語るとヤマハ世代の方々と確執を生んでしまう経験が有ります。
    因みに私は山口さんよりも恐らく数年後にアーチェリーを始めた人間です。
    そして山口さんにもヤマハにも、こうしてコメントをしてくださる方々にも一切敵対意識は無いことをご理解下さい。
    毎回コメント欄の第三者の意見も含めて山口さんのブログは楽しみにしております。
    ショップとして都合の良いことばかりでなく、ユーザー目線で中立的な記事を書いてくださってるので。

  13. 炎上てすか…Unitubeの存じ上げませんでして、検索し、「アーチェリーYAMAHA ヤマハ、フォージドハンドル撃ってみた!」「アーチェリー 世界を驚かせたハンドルYAMAHA「αEX」 大ハプニング発生」の2本とコメント欄は確認しましたが、炎上しているということはないと思うのですが…検索上位を見ただけなので、違うものを見よということでしたら教えて下さい。

    >ヤマハ世代とその後の世代とでは認識の齟齬が大きいのだと思います。

    個人的には認識の違いではなく、時代の違いだと思います。例えば、20世紀学生だった人は1192年が鎌倉幕府の成立だと習っていますし、21世紀にはそれは1185年であると習っています。どちらが正しいくてどちらかが間違っているということではないと思います。そう習っただけです。前のコメントでも”悪質なサイト”としてリンクを削除しましたが、知識には日付が紐付けられなければなりません。天才科学者として評価されているアリストテレスは天動説を信じていましたが、紀元前という時代によって免罪されています。

    次の記事では。1960年代の認識(日本人に合う弓が必要)と、今の認識(日本人に合う弓って?)の違いについて触れましたが、それも認識そのものの違いではなく、もそのもととなる日本人の体型が変化したからだと考えています。時代の変化がポイントだと考えています。

    >そして山口さんにもヤマハにも、こうしてコメントをしてくださる方々にも一切敵対意識は無いことをご理解下さい。

    「敵意」というのもドラスティックな表現ですけど、そういう方はそもそもアクセスしないと思うので、そんなことはコメントをくださる方に思ったことはありません。安心(?)して辛口のコメントもください。

    また、このような記事を書く理由は、むかし日本にヤマハがあって、すごく良いメーカーだったという歪んだ美化されたイメージでは、前進はなく、日本製のアーチェリーが蘇ることはないと考えているからです。昔は良かったでは前に進めません。ヤマハが失敗したこと、だめだったことを認識し、なぜ失敗したのか分析し、それ反省することこそが、21世紀に日本製アーチェリー、日本メーカーが蘇ることにつながると考えています。それこそが、未来のために私達の世代かするべきことではないかという気持ちです。過去を褒め称えるだけでは誰も幸せにならないではないかと。

    私にも思い出補正があり、Dos系ワードより遥かに一太郎(9821)のほうが使いやすいと思っていましたが、先日、使う機会があり、もう思い出は思い出なのだなと少し悲しくはなりましが、受け入れ…ます…かな。

  14.  以下の部分について、激しく同意します!
    “むかし日本にヤマハがあって、すごく良いメーカーだったという歪んだ美化されたイメージでは、前進はなく、日本製のアーチェリーが蘇ることはないと考えているからです。昔は良かったでは前に進めません。ヤマハが失敗したこと、だめだったことを認識し、なぜ失敗したのか分析し、それ反省することこそが、21世紀に日本製アーチェリー、日本メーカーが蘇ることにつながると考えています。”

  15. ありがとうございます。どうすれば、国産メーカーが再度誕生できるか、そういった建設的な議論ができればと思っています。

  16. 2021年7月19日 AT 6:15 PMの山口さんのコメントで10年前に注意喚起の記事を書かれたとのことですが、該当する記事が見つけられませんでした。ぜひ読んでみたいので、どの記事か教えていただけませんか

  17. あまりに古くに書いた記事は自分の記憶も曖昧で、また、管理もできていないので、定期的に10年を目処に削除しています。記事はもうないと思います。

    ただ、この関連は覚えていて、たぶん、2009-10年頃のコンパウンドへの参入を悩んでいた時期だと思うのですが、当時はまだ共通の友人がおり、その方とはコンパウンドなどで関わっていましたが、コンパウンドに対して間違った知識をネットで広めているので、その方を通して抗議をしたところ、そこから音信不通はなりました。内容としては、

    (引用 間違った知識なのでリンクは貼りませんが、下記の文言を検索エンジンに入力すれば見つかると思います)

     (スコープの3軸調整は)しかし実際には、コンパウンドにおいても不要な機能とはいいませんが、コンパウンドの場合はピープサイトを使いストリングの中(弓の中心)からサイトを見るため、サイトベースが真っ直ぐにハンドルにセットされていればこの軸の微調整はほとんど必要ありません。そのためコンパウンドにおいてもリカーブ同様に、1軸と2軸でレンズはほとんど視線に垂直に固定できます。

    (引用以上)

    https://archerreports.org/2015/11/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E7%AB%B6%E6%8A%80%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B3th-axis%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%BA%E8%AA%BF%E6%95%B4%E3%81%AB/

    サイトで3軸調整は必要ないと書いています。こちらはわたしが書いた3軸調整の意味と重要性について記事です。どちらが正しいかの判断はおまかせします。

    そして、該当記事では「この軸の微調整は””ほとんど””必要ありません」とうまく責任逃れしているのは情報発信としていかがなものか。必要あるならある、ないならない。

    または、「ガスを元栓を締める必要はほとんどない」という情報発信は情報自体の誤ってはいませんが、悪質性はあると思います。必要ないの例外(地震や長期不在時など)が存在するなら、その例外を、締めるべき時を情報発信すべきです。実際ネット検索すると、その例外時がいつなのかを発信している良質なサイトが上位に表示されます。

    この場合の例外は、フィールドにおける打ち上げ・打ち下ろし時になるわけですが「フィールドのときには必要になります」という情報発信をすべきで、「ほとんどないから無視していい」とも受け取られる記事を書くべきではない

    という流れの記事だったと思います。

  18. PCかスマホかどこから書き込みしたのか忘れてしまったのでもしかするとIPアドレスが違うかもしれませんが、2022年11月1日 at 12:45 PMにコメントした者です。

    私はリカーブアーチャーでコンパウンドのことはよく知らないので、おそらく山口さんが指されているサイトを読んだ際に”そうか”思ってしまいました。
    しかし、山口さんが書かれた記事を拝見しましたところ、当該サイトとは比較にならないほどの納得感がありました。(私の感想ですが)
    私は程度情報の取捨選択はできるつもりではありますが、初心者の方が最初に間違った情報に触れてしまい、それを信じてしまうと危険ですよね。
    アーチェリーに限らずネットの気をつけないといけないところですね。

    山口さん、貴社にはこれからも正確な情報を多く発信していただけることを期待しております。

  19. アーチェリーの弓術としての技術には感覚的なものもあり、正しい情報というものは定義が非常に難しいですが、
    道具は感覚的なものではなく、物理的・理論的なもので、セッティング、チューニング方法は、
    モダンリカーブ・コンパウンドが登場してから、代々の先輩方が理論として積み上げて進化してきたものですので、根拠や文献、リンクの裏付けなく、
    「俺の意見を語る」のようなものに気をつけていただければ、と思います。

    自分もまだまだ勉強不足ですので、よりよい・より正確な情報発信ができるように努力いたします。
    また、自分も勘違いや間違っているところもありますので、コメント欄を公開にして、
    いただいたコメントでミスに気づくこともあり、読者の皆様にも助けていいだいております。ありがとうございます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です