この記事は2020年10月22日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

イーストンの2021年と今後のリカーブアーチャー。

2021年イーストンの新モデルAVANCE / AVANCE Sport シャフト

2021年のイーストンのカタログは確か火曜日くらいに配布が始まったのですが、日本で売れている多くのモデルが削減されたのにはびっくりしました。それを脳内で2晩寝かせて。

(ここから話を分かりやすくするためにイーストンが強いリカーブ市場絞ります)イーストンの競争相手として、スカイロンが近年好調で、それまでイーストンしか販売してこなかったプロショップも次々に取り扱いを始めています。VAPやFivicsもそれぞれイーストンの競合シャフトよりも1万円以上、安い価格で競合しています。

私としては最大手のイーストンが競合しないで”逃げた”ことに驚いていますが、しかし2晩考えてみると、なるほどと思えます。イーストンのリカーブ市場での圧倒的な競争力の源は”実績”にほかなりません。近年ではCXやFivicsも少しは実績を残しつつありますが、何年にもわかり、リカーブに限って言えば、世界大会でメダルを獲得しているシャフトはほぼイーストンです。

実績に関して言えば、イーストンの圧勝ですが、しかし、逆に言えばそれをセールスポイントとして売れるのはX10とACEくらいのもので、A/C/G以下はただイーストンのブランドであるだけで、Paragon同様に国際大会で実績はありません。

リカーブの現状に対して、コンパウンドでは近年多くの大会でイーストン以外のシャフト、しかも、X10プロツアーよりはるかに経済的なシャフトが実績を残してきました。私が全日本で準優勝した時のシャフトも1万円台です。これに対して、イーストンはA/C/プロフィールドやA/C/プロコンプといった2万円台の比較的価格競争力のあるシャフトを発表してきました。それは性能的には一定の成功を収めていますが、プロショップの視点からは、それらを発表したことで、GT/VAP/BEなどのユーザーにアピールし、乗り換えしてくれたというより、既存のX10/プロツアーのユーザーを共食いし、イーストンユーザーの購買単価を引き下げただけに終わったように思います(ユーザーには良いことですが)。

リカーブマーケットにおいて、スカイロンなどの新興メーカーに対して、コンパウンド同様に、価格競争力のある新商品の投入や、ACEの価格引き下げなどで正面対決することは当然イーストンとして選択肢にあったと思いますが、Paragonの13,800円を考えると、相当の値下げが必要であり、その結果が、スカイロンユーザーからの乗り換えではなく、イーストンユーザーの購買価格の引き下げにつながってしまっては、勝った分だけ負けです。

マーケットシェアを捨ててでも、アイテム単価の維持のため、2021年イーストンは価格ではなく、実績で勝負できるシャフト以外の生産を終了したものというのがたどり着いた個人的な見解となります。

さて、イーストンのシャフト削減についてはここまでにして、新しいカーボンシャフト・アバンス(AVANCE)についてみていきましょう。精度は0.025のスタンダードモデルと0.05の低価格のスポーツモデルの2つとなります。多分スタンダードモデルしか扱わないと思います。

仕様としては非常に旧のカーボンワンに近く、1400番からはアバンスの方が軽量です。硬めのスパインでは10-20grと有意に差があります。外径はほぼ違いません。最大でも0.002″しか違わないので、重さと違って逆に差はないと考えてよいと思います。カーボンワンからの乗り換えではポイントの重さにだけ気を付けていただければよいかと思います。

イーストンでは換わりがなくなってしまうのが、A/C/GとA/C/Cとアポロです。A/C/Cに関しては設計されたのもかなり前の当時の技術ですので、これほど、スパインによって径が大きく変化するようなシャフト(1.5倍にもなる)は存在しません。お使いのスパインのデータから移行するシャフトを選択していただくほかないかと思います。

610番からが拡大されたスパインです。

A/C/Gの受け皿は、少し高くなります(理由は上記)、同じアルミコアのプロコンプシャフトが570番までにしかなかったスパインを610-1150番まで拡大されたので、同じ構造にこだわるのであれば、プロコンプです(610番以降の入荷日は未定)。

また、同じ構造のシャフトはありませんが、スカイロンのブリクソン(Brixxon)シャフトが同じストレートシャフトで、外径・重さが近似しています。一度確認してみてください。注意点としては、オールカーボンシャフトですので、ポイント接着時にシャフトを暖め過ぎないなど気を付けてください。

アポロは1400番まではInspire/Radiusに、1200番からはブリクソンをお勧めします。同じイーストンのInspireは1200番でガラッと仕様が変わるため、1200番より硬めのスパインではかなり重くなるのでお勧めできません。

*Inspire 1400 4.2GPI 1200 7.2GPI(71%重くなります)

以上、廃盤となってしまったシャフトのユーザーの参考になれば幸いです。

AVANCEの入荷日は未定、現行のInspireの硬めのスパインは11月後半の見込み、柔らかめのスパインは11月前半の見込み。X10/ACEは順次入荷してきます。遅れは特にありません。

X10/X10プロツアーに関しては変更は一切ありません。ACEについては一部部品の名称と仕様が変更される予定です。ただ、新しい部品の入荷日は確定していないので、入荷までは現行のパーツを販売します。

新しく低価格の新しいスタビライザーも出ていますが、こちらは取り寄せとして扱います。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。

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