この記事は2018年9月27日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

数値で見るCarbon Paragon / Brixxon シャフト。

来週の後半に入荷する、SKYLONのシャフトですが、スペックでその性質を見てみたいと思います。Paragon(パラゴン)の方ですが、外径は市場で最も細いXtremeとほぼ同じ値です。一番差が大きい500番でも、その差は0.006″= 0.15mmなので、髪の毛1本分ほどですので、同じといってもよいかと思います。

Brixxonの方ですが、最も近いのはVAPです。コンパウンドで主に使用される400-550番はVAPのほうが細いですが、リカーブなどの600番以降で差がなくなります。

次に重さの比較です。この時通常はGPIを使いますが、それでは実感が難しいと思うので、左のグラフはシャフトにした時の違いです。軽さの比較ですので、軽い事を売りとしたACEとVAPを比較に使いました(X10などはそもそも軽いのが売りではない)。

Paragonは先ほど定義したコンパウンドスパイン帯では、VAPよりも20gr程度重く、ACEと同程度、しかし太さは先ほどグラフ通り、ACEより13%細い(400番)ので、その性質はX10やXtremeに近い「細く、かつ、重さ」のあるシャフトであると言えます。リカーブスパイン帯では、細く、かつ、軽いシャフトです。

Brixxonですが、こちらは太さはVAPと近いのですが、重さはあります。コンパウンドスパイン帯では軽くはないシャフトですね。ACEよりも60gr近く重いのですから。数字を見ていくとBrixxonはX10プロツアーと同じような数値となっています。

リカーブスパイン帯では一気に軽くなり、ACEと同じ程度ですので、低価格で、ACEと同じくらいの軽さを持ち、高い耐久性を期待できるシャフトであると言えます。

最後に細さを価格で割るという、細さコストパフォーマンスなの数値を掲載してみました(参考価格)。数値が高いほどコストパフォーマンスが良いです。

Brixxon 61.2
Paragon 38.0
VAP 27.7
Nano SST 16.2
Nano Xtreme 12.6
X10(参考値) 11.9

ダントツでBrixxonが高く、次いでParagonとVAP。このあたりが軽くてお買い得なシャフトです。

Brixxonは価格で選択される(予算あるならわざわざ選ぶモデルではない)と思います。アバロンのテックワンとの比較では、耐久性を欲しい方はこちらになるでしょう。インスパイアよりはかなり高いですし、対アポロではすべての点で優れていると感じます。イーストンのブランド力以外の観点でアポロを選択する価値はないかもしれません(*)。

*シャフトの話です。矢全体では、ポイントの方がアポロは安かったり、インサートノックvsピンノックといったように大きな違いはあります。

そして、SKYLONの最上位モデルParagonは、700番台以降では、かなり競技に適したシャフトだと考えます。700番より柔らかい、つまり、低ポンドでは、ほぼすべての場合において、細く、軽いことは絶対的な正義です。

中ポンド帯では最も軽いシャフトではないので、その圧倒的な細さに魅力を感じる方に適したシャフトであると言えます。低速で70メートル飛ぶリカーブでは、Paragonの方が多くのシャフトより風の影響を受けにくいと思います。高速で50メートルのコンパウンドでは、ちょっと断言は難しいです。

高ポンド帯では、その性質は安いX10と考えてよいと思います。ただ、全く違うのは安い分、ただのストレートシャフトであること。このことはコンパウンドでは大きな影響がないので、安いX10プロツアーと考えても、がっかりしないと思います。

対して、リカーブではその性能はX10やACEと競合することは困難でしょう。ただ、同価格帯のACCや、カーボンワンから移行する場合には、明らかに矢速と風の影響の少なさは実感できると思います。ACGクラスでは絶対的な矢速の向上は実感できるはずです(500番で約80grも軽いので)。逆に移行して違いを感じにくいのはSSTあたりだと思います。

X10もですが、多くのスパインではACEより重いですが、柔らかいスパインでは、ACEよりも軽いです。スパインによって性質が異なるシャフトは多くあります。以上の数値で、気になっているスパインでの、これら新しいシャフトの性質をご確認いただければと思います。

初入荷は全スパインで1ダースとなります。ご理解ください。

通常販売はこれを2回行った後の予定です。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。

10 thoughts on “数値で見るCarbon Paragon / Brixxon シャフト。

  1. CPでピークポンドが50ポンド位の場合
    重い矢(スパインが固くて長い)と軽い矢(スパインが柔らかくて短い)とどちらが良いのでしょうか?

  2. 私が質問の要旨が把握できていない可能性もありますが、チューニングされた弓がある場合には、まずレストの位置を決めてから、そこから長さを決めるので、同じ弓に対して、なんパターンもの最適な矢の長さがあるとは思いません。

    もちろん、他のバランスを犠牲にしても、矢速を上げたいなどの特殊な場合は別です。

    なので、矢尺、スパイン、重さの3つを天秤にかけてのシャフト選択という概念はないかと思います。

  3. レストの位置+1.5インチ位が矢尺ということでしょうか?
    最適なレストの位置はどの様にきめるのでしょうか?
    たびたびですいません。

  4. 1-1.5インチ程度が通常のセッティングだと思います。

    レストの位置ですが、いろいろ意見があります。一番丁寧なやり方はトルクチューニングというのがあり、レストの位置を前後させて、最も左右のばらつきが少ない位置を探るというものです(ただしその前にセンターショットチューニングを終えている必要があります)。

    その位置は弓によって異なりますが、ホイットの場合、ピボットから後方1と3/4インチ程度の位置の間にあると言われています(トップ選手のコメントより)。

  5. Paragonなどのオールカーボンシャフトの場合、EASTON社のアルミニウム/カーボンシャフトに比べてポイント抜けが発生しやすい気がします。
    コンパウンドなどはオールカーボンシャフトが多いようですが、高ポンドで放たれる矢は深く刺さり、当然ポイントも抜けやすい気がします。
    オールカーボンシャフトのポイント抜け対策(シャフト内部の洗浄などはしています)は何かありますか?
    また、ホットメルト等でおすすめのものがありましたら教えて下さい。

  6. >Paragonなどのオールカーボンシャフトの場合、EASTON社のアルミニウム/カーボンシャフトに比べてポイント抜けが発生しやすい気がします。コンパウンドなどはオールカーボンシャフトが多いようですが、高ポンドで放たれる矢は深く刺さり、当然ポイントも抜けやすい気がします。
    オールカーボンシャフトのポイント抜け対策(シャフト内部の洗浄などはしています)は何かありますか?

    これと言った対策は特にありません。ですがせっかくなので当店で行っている要点をご説明いたします。
    脱脂作業にはアセトンを使用します。シャフト内部だけでなく、ポイント表面も脱脂します。
    シャフト内部に使用するのは綿棒、その他の面にはティッシュです。特にシャフト内部作業は汚れて真っ黒になったらすぐ新しい綿棒に交換です。なににせよ脱脂作業はしつこいぐらいに行います。手の脂分がつくのもNGなほどに。
    次に大事なのがホットメルトもしくはエポキシ接着剤の塗布です。塗りもれや不足があっては接着強度が生まれません。グルーポケットには確実にメルト(接着剤)が埋まるように塗り付けましょう。ポイント装着がうまくいったかどうかの確認は、入れた後少し冷ましてから硬めのカーペットの上でポイントの先で床を優しくコンコンと叩いてみるとシャフト全体が澄んだ音で「コォン、コォン」と気持ちいい音がします。
    一方、塗布に不足があったりしますと何とも言えない「シャラーン、シャラーン」と言う雑音がします。経験が少ないうちはシャラシャラと音がしますが塗布する感覚がつかめてくればやがて澄んだ音になると思います。ただ入れ直し作業には細心の注意が必要です。カーボンシャフトはとてもとても熱に弱いので、やり直しが回数がひどいとシャフトがもろくなりダメになります。なので当店ではやり直しは1度だけしかしません。もしダメな場合はもう諦めます。(そのようなケースは殆どありませんが)
    後日、もしポイントが抜けるような事があったとしても、熱ダメージによるシャフトの破損よりはマシ、と判断するからです。

    >また、ホットメルト等でおすすめのものがありましたら教えて下さい。

    オールカーボンシャフトに当店で使用するホットメルトは「ボーニング フリーエルタイト(黄色い方)」です。
    *「クールフレックス(青い方)」ではありません。黄色い方は融点が高いので溶けにくいですが接着力は高いです。青い方は「カーボンシャフトに適しています」とありますが、元々は屋外作業を行う事が多いハンティングシーンにおいて、融点の高い溶けにくいホットメルトよりも融点の低いホットメルトの方が作業効率が上がります。まして寒冷地の屋外で作業をするとなると尚更です。融点が低いと言う特性が転じて熱ダメージにつながりにくい根拠になり、さらに転じてカーボンに適しているとされています。

  7. ホットメルトまでの解説ありがとうございました。
    フリーエルタイトを試してみたいと思います。

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