この記事は2013年11月16日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

プレシジョン・バランス(Precision Balance)のダンパーウェイト

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この記事は昨日の記事の続きです

昨日入荷したプレシジョン・バランスのスタビライザーは、何といっても、このPBT(Precision Balance Technology)という内蔵型ダンパーウェイトが特徴的ですが、その説明の前にまずロッドのほうについて解説します。

スタビライザーのロッド部分は軽いカーボンロッドを使用しています。27インチで135gとアメリカ製のスタビライザーの中では最も軽いグループです。軽いことで有名なACEスタビライザーで27インチはありませんが、29インチのACEが134gですので、同等の軽さを実現しています。

また、レブン社のもう一つのブランド・ドインカーは、大口径のロッドを得意としていますが、このロッドは直径が0.64インチ(1.63cm)と、風の影響を受けにくい細身のロッドとしてデザインされています。細さという点では、今年の6月にアークテック(Arctec)が発売した直径16mmのクロスチューブカーボンと同等のレベルで、市販されている競技用のロッドの中では最も細い部類のサイズです。

*今年の世界選手権でリカーブ部門において最も使用選手の多かったHMC+の直径は20.5mmです。

「軽い剛性のあるカーボンロッド + 独自の振動吸収構造・振動吸収機能」というのが、ここ近年のトレンドのようですが、まさにそのトレンドの設計になっています。わざわざこのスタビライザーを購入して、先端のダンパーを外してシューティングする人はいないと思いますが、その場合は、剛性のあるACEスタビライザーのような感覚です。

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さて、先端のダンパーについてですが、説明書には、

「この特許申請中のPrecision Balance(ステンレススチール)内蔵型ダンパーウェイトシステムはショット後に発生する不必要な潜在的振動を取り除くのに非常に有効です。それぞれのウェイトに対して内蔵型ダンパーは中に滑り込ませて装着します。このデザインによってウェイトをロッドから独立させることができます。そのためこのウェイトは指で押すことで簡単に動かすことができます。なのでウェイトが自由に動かせなくなるまでネジを締めないでください。ダンパーが正しく機能しなくなってしまいます。

と書かれています。

通常の状態で力いっぱい締め付ければ、間にダンパーが入っているといっても、ウェイトは押しつぶされたダンパーによって動かなくなりますので、そうならないように、このロッドではウェイトを通す側のねじの長さを調整できるようになっています。ねじの長さによって取り付く向きが変わってしまうので、ねじの長さを調整できるようになっているカーボンブレードと同じです。

しっかりとエンドキャップを締め付けても、ダンパーが押しつぶされず、ウェイトが余裕をもって、手で触ると少し矢印の方向にぐらつく程度の余裕があるようにしてください。この状態でエンドキャップ(写真の黒いキャップ)を最後まで締めこんで固定しても、ウェイトは手で触ると動きます。Aボムダンパーなどの先に取り付けられたウェイトくらいの動きがベストのようですが、自分に最適にテンションはチューニングしてみてください。

シューティング時にこの独立した構造によって、大きな振動も小さな振動もとるということのようです。

テストした感じですが、びっくりするほどまっすぐ弓が飛び出します。ロッドの剛性といったことではなく、普通のスタビライザーでダンパーを使用すると先端のウェイトが全方向に動いて振動をとるとともに、その動きが飛び出しを邪魔しますが、このスタビライザーでは、ウェイトの中をロッドの軸が貫通しているので、ウェイトが上下・左右方向に動くことはなく、前後(バック面~フェイス面)のみに動いて振動を吸収するので、飛び出しの邪魔をしません。

ただし、そのことによって、さらに飛躍的に振動吸収能力が増している感はないです。

現在、HMC+などの高剛性のスタビライザーをすでに使用していて、センターにダンパーを取り付けているのであれば、「ダンパーを取り付けた状態での振動吸収能力」と「センターにダンパーを取り付けずにアッパーを取り付けた時の飛び出し」という感覚の平均値に近いです。

今回はスタビライザーと5オンスウェイトが入荷しています。次回の荷物(入荷日はまだ未定)で、サイドとダンパーウェイトが入荷する予定です。

サイズによって値段が違います。また、なかなかに高いスタビライザーです。コストパフォーマンスを考えると、やはり1万円を切るHMC+スタビライザーに敵うものはなかなか登場しないですね。

以上、リカーブの話です。

前回、プレシジョン・バランスについて触れたのは、コンパウンドのスタビライザーについて書いているときでしたので、次の記事でコンパウンドの面からも少し書いてみたいと思います。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。

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