この記事は2015年6月9日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

WIAWIS ACS Nanoスタビライザーは重いです

DSC_1124ウィンのWIAWIS ACS Nanoスタビライザーが入荷しました。手にしてみると誰もが重いと感じると思います。

HMC + センター 28インチ 120g サイド 11インチ 160g(80g x 2) エクステンダー 5インチ 67g CX2バー 85g(SA含む) トップウェイト 3つ 114g = 546g

WIAWIS センター 28インチ 185g サイド 11インチ 190g(95g x 2) エクステンダー 5インチ 69g CX2バー 45g(SA含まない) トップウェイト 3つ 150g = 639g(+93g)

*すべて実測値
**新しいACSシステムでは、センタースタビライザーのねじを長くすることで、センターがVバーを通って直接エクステンダーにつながるようになっています(SAボルトを必要としない)。

トップウェイト1つずつ装着した場合で93g増、HMC+からの移行の場合最低ウェイト2.5個分ほど重くなります(最低限各ロッドに1つはウェイトをつける場合)。HMC+と比較するとこのスタビライザーシステムの第一の特徴は大幅な重量の増加です。メーカーの事前の説明ではHMC+との比較において、振動吸収機能の強化ということでしたが、このスタビライザーのレビューをHMC+との対比することは困難です。

スタビライザーの性能を語るときは、ざっくりと「振動吸収性」と「剛性」で書いていますが、厳密に書けばスタビライザーの重さあたりの「振動吸収性」と「剛性」です。使用するアーチャーにかかる重さを無視して単純にロッドを太くすれば簡単にどちらの数字も高くすることは可能ですが、そのような商品は望まれていません。

HMC22 センター 28インチ 177g サイド 11インチ 214(107g x 2) エクステンダー 5インチ 85g CX2バー 85g(SA含む) トップウェイト 3つ 114g = 675g

WIAWIS センター 28インチ 185g サイド 11インチ 190g(95g x 2) エクステンダー 5インチ 69g CX2バー 45g(SA含まない) トップウェイト 3つ 150g = 639g(-36g)

もう一つのウィンのスタビライザーシステムHMC22との比較であれば、ウェイト1つ分の違いですので、こちらをベースに見ていきます。ロッドの径は22mmから、WIAWISではセンター・サイドは18.3mmに、エクステンダーのみ20.4mmとなっています。全体の重さはほぼ同じでロッドは大幅に細いものになっています。WIAWISのロッドの特徴として細くて重いロッドであると言えるかと思います。

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DSC_1127もう一つの特徴はSIMSなどから発売されているスタビライザーに追加するロッドに装着するタイプのゴムダンパーをセンタースタビライザーとサイドスタビライザーの根元に標準装備している点です。これによってスタビライザー根元部分での振動吸収性の向上を見込むことができます。さらに細いのに重いロッドを使用していることからも、実際にセンター1本だけでテストしてみると、HMC+とHMC22に比べて実感できるほどの振動吸収性の向上があります。細い分、風に対しても有利になっています。

DSC_1129ただ、残念な点もあります。それはゴムダンパーがぴったりとロッドに装着されていないところです。写真のように簡単にめくれます。ロッドの振動を吸収するのであれば、より密着しているほうがよく、この部分を交換するシチュエーションもないと思いますので、購入後はこの部分を接着してしまったほうがよいかもしれません(自己責任でお願いします)。

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DSC_1131今回、ロッド単体ではなく、Vバーシステム全体で紹介したのは、このロッドのセンタースタビライザーには非常に長いねじが装着されており、Vバーでの使用を前提として設計されていることです。Vバーで使用する時でSAボルトを介することなにく直接エクステンダーに装着でき、システム全体の重さを軽くすることができます。

ただ、最初の比較で説明したように、これはあくまでも重いロッドによって全体的に重くなってしまったWIAWISシステムを少しでも軽量化するための工夫であり、このスタビライザーが軽さを目指して開発されているということではありません。SAがいらないWIAWISって軽いスタビだと思って購入すると間違えます。

以上の特徴を踏まえると軽量なスタビライザーを求める方には、今後もHMC+は最適な答えになるでしょう。

HMC+を使用していて重さが気にならない体力がある場合、HMC+から移行すると重心が前方(的側)に移動することによって飛び出しの向上と振動吸収性能の向上が見込めます。

問題はHMC22との比較ですが、正直WIAWISは重さを除けばよいスタビライザーだと思います。風対策にもなる小口径ロッドで振動吸収性が高く、ロッドの剛性も十分です。かつ値段もそこまで高くはないので、WIAWISと比較して明確に優れている点があるHMC+と違い、WIAWISとHMC22を比較すると、多くの場合でWIAWISのほうがよいと思います。少し考えたくらいではプロショップでWIAWISよりもHMC22のほうがお勧めできる場面が思いつきません。

この特徴的な長いセンターロッドのねじによってお客様が望むスタビライザーのセッティングが困難な場合、お客様がアタッチメントに抵抗を持っている場合くらいでしょうか。

リカーブだけではなく、コンパウンド(27.5インチ 58ポンド)でもテストしましたが、そのケースにおいてもWIAWISのほうが優れています。コンパウンドでも小口径で剛性があるロッドが流行っていますので、コンパウンドアーチャーにとっても、今後はHMC22よりもWIAWISのほうがお勧めできます。

本日よりリカーブ店で販売を開始します。間もなく、コンパウンド店の方にも登録予定ですが、32インチ黒の入荷日がまだ未定です。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。

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