VertaTuneシステムについては解決しましたが、実はもう一つ、あまり大きく宣伝していませんが、新しいハンドルにはリムをねじるシステムが搭載されています。上の写真はねじれてしまったリムの一つです。リムに対して、チップが左を向いていることがわかるかと思います。今まではこの状態では、絶対にセンターを出すことができないので、メーカーに返品するしかありませんでした。
右、または、左にワッシャーを入れて、リムを傾けます。リムチップ側の弦溝はまっすぐ入っている状態で、リムが根本(リムボルト側)で傾いているのなら、これはリムがねじれている状態です。ワッシャーは1枚で0.005インチ(0.127mm)で、ホイットでは最大4枚を片側に入れるチューニングをするように言っています。二つのポイントの正確な距離がわからないのですが、写真から推測するに30mm程度離れているとすると、最大でリムの角度を2度傾けることができます。
リムのねじれを修正する方法はありません。そこで、ホイットの新しい説明書では写真の上のようにリムがねじれている状態のとき、リムの根元を逆にねじってあげることで、センターを出せるようになっています。つまり、このシステムがあれば、1度までであれば、ねじれているリムを使用することができるのです。上下1度ずつ逆向きに傾ければ、2度です。
今まで使い物にならなかったリムを使えるようにするシステムとしては非常に価値がありますが、これを機にねじれたリムの返品・交換基準をホイットが引き上げるのであれば、まことによろしくない事態だと思います。どうなるのかは、今後のホイットがこのシステムをどう運用するかにかかっているのでしょう。
山口 諒
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この機能を前提にリムの品質を見直されると気持ちが悪いですね。
そもそも生産工程ではそんなに捻じれが多発するものなのでしょうか?
>そもそも生産工程ではそんなに捻じれが多発するものなのでしょうか?
長い目で見れば、ホイットは2005年に作ったG3がほぼすべて折れるというミスをしており、900CXでもねじれが多発して、1年で生産中止をしました。ウィンでも、2006年ごろだったと記憶していますが、XQ-1を全部リコールをしています。
その時代から考えると、最近では驚くほど品質は向上しています。破損が飛躍的に減ったので、不良品に占める「ねじれ」の割合が増加しているというのは確かです。
30過ぎのアーチャーですが、センター調整機能はもともと生産過程での歩止まりを製品として販売する為=利益優先のメーカー都合の機能であり、それがさらに悪化して今回のねじれ調整機能までが登場したと思っています。
G3リムは何本も目の前でボキボキと折れました。900CXも信じられないくらい簡単に捻じれました。ハンドルで言うと、旧アヴァロンの折損・リコールが有名でしょう。
昔聞いた話では、生産したリムのうち製品として耐えうる精度は50~60%(もちろん今は向上していると信じたいですが)と聞きました。メーカーや代理店、ショップでない一般人が先輩アーチャーから聞いた話なので、数字としては非常に根拠が弱いです。しかし、言いたいことは、生産過程で不良品として廃棄された分のコストが販売されている製品にのっかっているわけであり、今回の捩れ調整システムはその過程で生まれたシステムではないかと考えます。
「多少捩れたリムでもプロディジーを使ってくれれば大丈夫」とか言い出さない事を願いたいですね。
>30過ぎのアーチャーですが、センター調整機能はもともと生産過程での歩止まりを製品として販売する為=利益優先のメーカー都合の機能であり、それがさらに悪化して今回のねじれ調整機能までが登場したと思っています。
はい、そうですが、リムの性能というのは、まっすぐで(捻じれてなくて)、まっすぐ返り、しなって、高い効率性を発揮ることと思います。ですので、接合部分が多少ずれて、例えば、リムのU字部分が0.1mm左にずれているものをセンター調整機構で逆に1mmずらして販売しても、顧客に対して不利益なことをしているとは思いません。
製造時にリムのU字部分が0.1mm左にずれて入ったものをセンター調整機構で逆に1mmずらした弓と、U字部分がぴったり入っているものとでは性能は同じです(厳密なレベルでは違いはあるかもしれません)。
ただ、今回の機構はリムの性能に関わるねじれを、しかも、ねじれを解消するのではなく、根元から逆にねじって修正しようとするもので、これはリムの性能を損なうと考えています。実射していないので断定は控えますが…普通に考えれば
>G3リムは何本も目の前でボキボキと折れました。900CXも信じられないくらい簡単に捻じれました。ハンドルで言うと、旧アヴァロンの折損・リコールが有名でしょう。
はい。ただ、破損すれば当然メーカーに確認なしで交換対応ですが、ねじれても、プロディジーの機構で修正すれば使えるじゃないか、だから交換できないよとなると…そういうメーカーと交換を主張する顧客の間に立つ私たちプロショップの人間は…考えるだけで胃が痛いです。
>昔聞いた話では、生産したリムのうち製品として耐えうる精度は50~60%(もちろん今は向上していると信じたいですが)と聞きました。メーカーや代理店、ショップでない一般人が先輩アーチャーから聞いた話なので、数字としては非常に根拠が弱いです。
今、働いている場所の関係で手元に資料がないですが、たしか、弓具の修理屋のRick Rappeさんが書いたビンテージボウの1と2巻で、初期のラミネートリムの歩止まりはもっと悪かったと書かれていたと思います。もしかしたら、Dan BertalanのTraditional Bowyer’s Encyclopediaで読んだかもしれないです。根拠があやふやで申し訳ございません。
Traditional Bowyer’s Encyclopedia
ビンテージボウ-1 / 2
>しかし、言いたいことは、生産過程で不良品として廃棄された分のコストが販売されている製品にのっかっているわけであり、今回の捩れ調整システムはその過程で生まれたシステムではないかと考えます。
まぁ、製造業の今の技術をもってすれば、高い精度のものはいくらでも作れると思います。最後はコストとのトレードオフになるかと思います。
>「多少捩れたリムでもプロディジーを使ってくれれば大丈夫」とか言い出さない事を願いたいですね。
はい、この機構自体は有益です。問題はホイットがどういう運用をするかということなのでしょう。
>はい、この機構自体は有益です。
個人的には、要らない機能かな・・・と思っています。
捩れたリムは使わない、ということで。
>問題はホイットがどういう運用をするかということなのでしょう。
今でも、新品のリムが「捩れた!初期不良!」とショップに持ち込むユーザーが増加の一途だと思います。自分の扱い方が悪くて捩れたとは疑わずに・・・(簡単に捻じれるリムが増えたのも問題ですが)
そんなユーザーとメーカーの間でさらにこのシステムが生まれてしまったことは、ショップにとっては間違いなく負担の増加だと思います。
若いユーザーが、道具を見る目をしっかり養う機会になれば、このシステムにも意味があるのかなと・・・
>捩れたリムは使わない、ということで。
独自保障をやっていない限り、F3/F4リムは保証期限が過ぎているものがほとんどなので、それらの資産の活用のためには良い機能と考えます。ダメなリムから最高のパフォーマンスを引き出すには良い機能ですが、まぁ、できればダメなリムをまず使うべきではないのは確かですね。
>若いユーザーが、道具を見る目をしっかり養う機会になれば、このシステムにも意味があるのかなと・・・
プロショップとしてより積極的に正しい情報の発信をしてまいりたいと思います。