この記事は2014年4月5日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

UUKHAのVX1000リムが入荷しました。

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UUKHAの2014年の最新モデルVX1000リムが入荷してきました。実射はテルフォードでしましたが、リムの設計について、わかりやすく表現するため、10年前の設計のエクストリーム(2004年)と比較してみました。

パッと見同じサイズに見えないかもしれませんが、どちらもMサイズのリムです(ポンドは違うのでリムの厚みは比較対象ではありません)。

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リムボルトに装着するU字の部分を揃えた写真が上で、リムチップの位置を揃えた写真が下です。エクストリームと比べて、リムのリカーブの設計が全く異なることがわかるかと思います。

今度のリムのコンセプトは、より静かで振動が少なく、より軽く、より矢速の速いリムです。リムは(ブレース状態での)長さが短い方がより振動が少なくなり、大人しくなります。写真からこのリムがかなり短いことが確認できるかと思います。


ただ、リムを短くしても、それはリムの設計ではなく、Mサイズのリムの代わりにSリムを使えばよいだけになってしまうので、高性能なリムではリカーブを強調して、より強いリカーブにすることで、弓の長さを短くしながら、リムのストローク(ドローレングスに対してのなめらかに引き心地)を確保しています。そして、より強いリカーブはより速い矢速を生み出します。

VX1000リムでは、ついに90度の垂直に切り立ったリカーブを製造することに成功しています。リカーブを強くすることはリムのストレスが増えることになります。いくら設計でリカーブを強くしても、リムがそれに耐えられなければ、意味がないことですし、また、リムの重さを重くすれば、そのストレスに耐えるリムを作ることは簡単ですが、反発力のためではなく、耐久性のためにリムの厚みを設計してしまっては本末転倒です。

UUKHAはこのリムで初めてカーボンを90%以上から、完全なるフルカーボン、100%のカーボンリムをコンポジット製法で製造することに成功しますが、100%カーボンコンポジット構造だからこそ、この強くしなやかで軽量なリカーブを持つことができたといえます。

HoytLimb
これは対するホイットのリムのリカーブの変移です。990TXは2009年モデルですので、この間5年経過していますが、新モデルのたびに2-3度ほどリカーブを立ててきます。ホイットはコンポジットではなく、ラミネート製法ですが、この感じで行くと、2018年ごろ(次の次の新モデル)ではUUKHAのような垂直なリカーブを持つリムが出てくるかもしれません。大げさに言えば、UUKHAの設計はホイットの4年先を行っています。

VX1000
せっかくなので、先日にベータ版が完成したKinoveaで比較してみました。10年前の設計であるサミックのエクストリームリムと比べ、16度も強調されたリカーブを持っています。

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そして、UX100で使われていたグラスファイバーとアラミドファイバーをなくし、100%のカーボンファイバーでリムを構成する(Monolith C evo 2)ことで、リムの軽量化にも成功しました。

2014 UUKHA VX1000 リム M38 364g(182-182)

(参考値)
2012 HOYT 990TX M38 415g(207-208)
2012 HOYT CARBON 550 M38 442g(220-222)
2014 HOYT GP クアトロ フォーム M38 386g(192-194)
2009 WIN&WIN INNO POWER M38 370g(184-186)
2010 WIN&WIN INNO EX POWER M38 346g(172-174)

現在市場で最軽量のINNO EXシリーズ、RCX-100リムには及びませんが、HOYTのリムよりも5%以上は軽く、最軽量とは言えなくとも、軽量リムといえる位置づけになっています。

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また、ラミネートリムではできない設計として、リムを台形型に加工することで、わずかにでもリリース時の空気抵抗を減らす設計になっています。ラミネートリムの場合はチップ部分にさらに別の素材を張り付けることで、チップ部分だけであれば、同じような設計はできますが、リム本体ではこの設計は実現できません。

さて、UX100リムが登場した時に、次のリムで期待したいこととして依頼したすべての条件を満たしていて、本当に良いリムです。小さいメーカーなのに本当に努力したなと感心します。

ユーロ高で販売価格が高くなりましたが…このリムの良さを頑張ってお伝えし、この技術と性能の良さを分かっていただける方にはぜひ使っていただきたいです。

また、このリムの引きは非常に柔らかいので、硬い引きが好きな方にはおすすめできないです。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。
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9 thoughts on “UUKHAのVX1000リムが入荷しました。

  1. とても気になるリムです。
    引き続きレポート期待します!
    ところで従来品のフォーミュラ用アダプタは使用できますか?

  2. いつも読ませていただいてます。
    あちぇ屋さんでも他社さんでも、ブヨンの的紙が軒並み品切れになっているようですが、なにか理由があるのでしょうか。
    JVDのものはなんとなく色が薄い気がします。

  3. >あちぇ屋さんでも他社さんでも、ブヨンの的紙が軒並み品切れになっているようですが、なにか理由があるのでしょうか。

    他社というのは代理店ではなく販売店のことだと思いますが、販売店はいくつかあると思いますが、輸入代理店は確か日本に一社しかなかったと思います。その代理店に在庫がないので、どこの販売店も自社の在庫がなくなったら、どうにもできない状況です。ブヨンとは直接取引していないので、何が起こっているかはわかりませんが、予定されていた1月の入荷は本当にわずか量で、予約分ですべてなくなりました。

    次回の入荷は未定です。お急ぎでしたら、バラで30枚ほどあったはずです。

  4. 返信ありがとうございます。急ぎで購入する予定は無いのですが、リーグ戦で使われている的が軒並み変わっていたので気になりました。
    ありがとうございました。

  5. uukhaのリムは特に優れたカーブをしているようですがそれ専用のストリング等も必要になるのですか?
    また必要な場合取り扱っていたりしますか?


  6. エンゼルのもので対応できると思いますが、フレックスタイプのほうが使いやすいという方もいるようです。

  7. 返信ありがとうございます。長文で失礼しますがuukha
    のリムは非常に柔らかいリムと聞きますがリムの返りはどのような感じで返りを感じますか?自分はクアトロ、SFプレミアムカーボン、F7のようなリムしか射ったことがないのですがどれに近い感じでしょうか?

  8. UX100は結構長くテストしましたが、その3つだとF7に近いと思います。VX1000は少ししかテストしていませんが、もう少し奥が柔らかい感じです。

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