3月はじめての新商品は ブロードバンド・リムセーバー

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2月はあっという間に終わってしまいましたね…整理すると遅れているのはKAYAのタブです。最終工程(確か塗装)で修正があり、入荷は3月の中旬にリスケジュールされました。
さて、3月になって最初の入荷品はSVL(シムス)のブロードバンドリムセーバーです。特徴を一言でいえば、柔らかいダンパーと硬いダンパーをしっかりと接合させて、大きくゆっくりとした振動と小さく速い振動の両方(カタログ値では20-20,000Hz)を吸収してしまおうというものです。
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SVLの久しぶりの新商品ですが、今回の商品はいいです。個人的に一番感心したのは、この部分です。以前に同じようなコンセプトの商品がありましたが、全く振動吸収性能に優れていませんでした。原因は違う振動を吸収するために、2つのダンパーがバラバラに動いてしまうことです。
この商品の優れているところは、2つの素材をかなりしっかりと接合させているところです。2つの素材をサンドイッチするだけではなく、柔らかいゴム(黒・これまでのリムセーバーと同じ素材)に穴が開いており、その部分にブロードバンドリング(赤・手触りはシリコンのようなゴム)の突起を差し込むだけではなく、差し込む部分の先端が太くなっていて、差し込み穴にしっかりと固定されます。
ブロードバンドとは周波数(振動)の帯域幅(幅)が広いことを意味しますが、硬いダンパーと柔らかいダンパーをしっかりと結合させることで、発射時の振動を受けても、2つの硬さのダンパーがバラバラにならずに、交互に作用しながら、異なる幅の振動(ハンドル・リムの振動とそれ以外のパーツの振動)を吸収する構造です。
*これについては、3月にハイスピードカメラで、実際の映像を撮る予定です。
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包み込むだけではなく、さらに差し込んで固定する独特な構造が一番のポイントです。単一素材のダンパーと比較すると、一番の違いは振動吸収のスピードだそうです。
上の資料は同じSVLのUltramaxリムセーバーとの比較ですが、ノックが弦からリリースされた後、弦が5~7回振動している間の振動はほぼ変わりませんが、その後の振動のおさまりが断然違うことが分かるかと思います。
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取り付けはこれまでのリムセーバーと同じく、3Mの両面テープ。貼り付け部分をアルコールできれいにしてから少し乾燥させ、両面テープに触らないようにして貼り付けて、5分ほど時間を置けば完了です。
貼り付け位置もこれまでのリムセーバー同様にお客様のドローレングスまで引いた時にギリギリしなっていない場所に貼り付けるのが、一番効果的です。友人などに見てもらって、テープでマーキングするとやりやすいと思います。その位置よりもリムボルト側に貼ることには何の問題もありませんが、その位置よりもチップ側に貼ると、リムが重くなり、サイトが落ちるので気を付けてください(振動吸収性能は向上しますが)。
また、上下必ず、リムチップからの距離が同じ位置に貼ってください。本日入荷、8色、1ペア1,480円、1つの重さは13g、直径は42mmです。
あ、この記事を書いている間に一つ売れました!! 緑のリムセーバーをお買い上げのお客様、さっそくありがとうございます。


INNO CXTとINNO MAXの外見比較

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前回は性能・設計について書きましたが、今回は外見の比較です。本日、実射テスト用のハンドルが入荷しました。まだ、セッティングはしていませんが、今週中にはいろいろと実射データを取れればと思います。
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HOYTのION-XとHPXのように大きな設計変更はありませんが、いくつか設定が変わっています。
まず、1の距離(ハンドルのフェイス側~プランジャーホール)ですが、CXTハンドルに比べて、MAXハンドルでは2.5mm長くなっています。2の距離(プランジャーホール~センターブッシング)は5mm短くなっています。同じ長さのセンターを装着しても、CXTハンドルに比べると若干重心がハンドル寄りになりますが…5mmなので大きな差ではないです。
また、ハンドルのウィンドウサイドの幅が1.8mm太くなっています。CXTハンドルではバイターの17-23mmでも使用できますが、MAXハンドルだとハンドルの幅だけで17.6mmもあるので、21-27mmプランジャーでないと厳しいと思います。WIN&WINのWK500プランジャーだと29mmが対応サイズになります。
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ハンドル全体で一番変わったところはこの部分の太さです。CXTハンドルでは細く曲線的なデザインだったものが、MAXハンドルでは直線的で骨太なデザインになっています。
また、2012年モデルで一番問題だったリムポケットのモジュールの問題が、Tブロックシステムになったことで解決されました。
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わかりやすく写真が撮れなかったので、スペアパーツに矢印を付けましたが、新しいMAXハンドルでは矢印の方向にスペースが大きくとられています。わずかに0.2mm程度ですが、矢印方向に0.2mm長くなったので、HOYTとSAMICKのリムがまた取り付けられるようになりました。
ということで、MAXハンドルではHOYTとSAMICKのリムが使用できます。それ以外では、特に大きくCXTから変更になったところはないです。次は実射テストです。


新しく取り扱いを開始したINFITEC(インフィテック)が入荷しました。

1月のNIMESの展示会で見つけて発注をかけたINFITECの荷物がやっとどきました。簡単に紹介しますとエントリー向けのプランジャーと、競技向けのVバーとアッパーとサイトピンです。
どんどん新商品が届いているのですが、時間がなく紹介しきれません…当分紹介記事が続く予定です。また、現状の弊社のキャパシティの問題で、あまりに商品が増えると商品を管理しきれなくなるので、新商品が増えた分、いくつかの商品を販売終了にします。ご理解ください。対象商品は特価品のコーナーに追加しました。LEGENDのバックパック、WINのクイーバー、WINのプランジャー、カーテルのプランジャーなどです。今後、状況を見て、もう少し商品絞る予定です。
さて、INFITEC(インフィテック)の取り扱いを開始したのは、他社が作っていない面白い商品に興味があったためです。簡単にいうと、Vバー6段階調節、アッパーは組み合わせ自由、サイトピンは大きく、プランジャーはしめやすいです。アイデアはいいと思います。また、品質はとても良いという事はありませんが、悪くはないと思います。

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まずは、Vバーですが、カーテルのパーフェクトVバーが無段階で自由に調節できるのに対して、このVバーは0~90度の間で6段階、18度ずつ調整できます。開き角とダウン角を0度→18度→36度→54度→72度→90度と調整可能です。自由度はカーテルのものよりも劣りますが、写真の様に2つのパーツが噛み合って固定される仕様ですので、ネジを締めてしまえば、緩むことはまずないです。また、チューニングを変更したときに無段階調整では、Tゲージなどを使って元のセッティングを再現するしかないですが、このVバーであれば、再現性もばっちりです。自由に調整したい方はカーテルのもの、再現性やしっかりとした固定を求める方にはこちらのチャレンジャーVバーをお勧めします。
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次にアッパーですが、ゴムのダンパー部分は普通のダンパーですが、特徴的なのはサイズと組み合わせが自由であること。まず、長さは3インチと一般的ですが、直径は23.5mmもあります。3月に登場する太いHMCでも、22mmですので、かなり太いです(重さは124gなのでそこまで重くはないです)。5つのパーツからなるのですが、自由に組み合わせることができます。写真上がパーツすべてを使用した状態、その次がロッドとウェイトのみの状態(50g)です。ロッド・ゴムダンパー・ウェイト3つがついて、1,800円ですので、かなりお買い得ではないかと思います。
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次にサイトピンですが、展示会で見た時にはファイバーは付属していませんでしたが、ファイバー付きのようです。しかし、このファイバーは明らかに長すぎて、公式競技ルールの2cmに抵触します。もともとは、ファイバーなしの普通のサイトピンで、既存の他社商品は丸型だと小さいものしかなく、12mmというのがなかったので、取り扱おうと思ったのですが、ファイバーサイトピンなら、12mmの渋谷のものがあります…ファイバーはおまけくらいに考えて、ファイバーなしでの使用がいいかと思います。ファイバーサイトピンとして使用するなら、渋谷のものの方がお勧めです。また、こちらのファイバーを実際に使用するのであれば、2cmにカットする必要があります。ご注意ください。
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最後はエントリー向けの低価格のプランジャーです。どこの会社からも出ていますが、このプランジャーはボディが六角形になっており、工具がなくても、しっかりとプランジャーを占めることができるので、カーテルのものの販売を終了し、今後低価格のプランジャーはこのプランジャーを取り扱うことにします。
今回の荷物には入っていませんが、今後、クリッカーとスタンドも仕入れる予定です。
こちら、2013年のカタログです。INFITEC、よろしくお願いします。
INFITEC ARCHERY 2013 カタログ
https://archery.co.jp/catalog/INFITEC2013.pdf


WIN&WIN INNO MAX入荷しました。

予定よりも早く、本日、INNO MAXハンドルが入荷しました。予約を頂いたお客様への発送が終了し、”ブラックカーボン”の在庫数が残り少ないです。それ以外の色は代理店にはまだたくさんあるのですが、青は木曜日に次の1本が入荷したら当分は入ってこないので、ご注意ください。

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さて、INNO MAXですが、INNO CXTと比べると圧倒的に違うところは重さです。CXTは重りを追加することで1,300gにすることも可能ですが、ハンドル単体の重さは1,150gしかありません。カーボンはアルミに比べると圧倒的に軽いので、同じデザインで製造するとハンドルはどうしても軽くなってしまいます。イタリアのファイバー・ボウ社のハンドルはフルカーボン(純粋にカーボン繊維だけ)で、重さはわずか600gです。これは、ウッドハンドルよりも軽いです。
それに対して、MAXハンドルはハンドル単体で1,300gの重さがあります。現在、CXTを使用している方で重りなしの1,150gで使用している方がMAXを検討される場合、150gの違いというのは重り付きのサイドロッド1本分にもなるので、MAXハンドルにした場合には、スタビライザーのセッティングの再検討をお勧めします。GMXなどの1,250gあたりのハンドルからの乗り換えの場合は、同じセッティングでいいと思います。
これは具体的にメーカーから製造方法のレクチャーを受けたわけではないので、WIN&WINの人の話を聞いての個人的な推測ですが、フルカーボンで作ると軽すぎるハンドルになります。この対策は主に二つあり、WIN&WINではハンドルの3~4割にフォームを入れて重さ・重心の調整をしていて、UUKHAでは多重カーボンレイヤー構造で使用する接着剤(エポキシなど)の重さでハンドルの重さを作っていますが、MAXではその両方のやり方を併用して、1,300gという重さを作っているようです。


今回のMAXの一番の目標はハンドルの剛性です。高級な高速カメラではなくても、1000fps程度のカメラ(3万円くらいで買えます)で見ても、シューティング時にハンドルが変形していることを見ることができます。それだけ大きくハンドルは変形します。上の動画はGMX/44ポンドですが、ハンドルで5mm程度変形しているのが確認できるかと思います。このハンドルの変形を最小限になることを目的にMAXが設計されています。
そのためには剛性を高めることですが…注意してほしいのは剛性を高めることが振動の減少につながるわけではありません。高ポンドではイコールと言えますが、30ポンド前半や、セッティング次第では、剛性が高くない、ハンドルも一緒になって同調して振動するハンドルの方が振動がないこともあります。今回、INNO CXTもラインナップに残りましたが、ポンドが低いのであれば、MAXの方がよいとは言えません。低ポンドではCXT、高ポンドではMAXをお勧めします。
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ハンドル自体の重さ・バランスと剛性を高めるための多重カーボン構造の次の特徴としては、Tブロック・センターショット・システムです。現状の技術では、カーボンハンドルはリムポケットをあまり高い精度を作ることができないので、このパーツの精度がハンドル全体の精度を決めることになります。
CXTの2012年モデルではここの部分の精度をぎりぎりまで自社のリムに合わせたため、HOYTのリムを装着ではなくなりましたが、2013年モデルではさらに進化し、リムポケットのパーツが1つになりました。CXTでは金属プレートをハンドルの両サイドに張り付けて精度を高めていました。結果、精度を高めるためにパーツを3つ使用し、かつ、それぞれの精度のすり合わせが必要になったため、例えば、金属プレートを1個だけ落としてなくしてしまった場合の修理はちょっと大変な作業でした。
今回のMAXハンドルではこの部分のパーツを1つに統合したので、プロショップの都合と言われるかもしれませんが、メンテナンス・保守は大幅に楽になりました。次に、Tブロックの部分に丸みを持たせました。丸みを持っていないハンドルとの違いは、スムーズにチューニングできることです。
リムのリムボルトではなく、ハンドルに当たる側の接触点はリムボルトの位置を変えると多少変わるのですが、場合によっては、一気に変わる場合があります。チューニングでいうと、ある点までにリムボルトを1/8変えるとティラーが1mm変わっていたのが、特定の場所を過ぎると、1/8回転で2mmもティラーが変わるようになってしまうことがあります。この部分に丸みを持たせることで、チューニングがスムーズになり、チューニングしやすくなります。
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次に、1月にメーカーサンプルを見た時の1番の心配だった点について。グリップのフィッティングです。上の写真は赤が英語版カタログのグリップ、下が日本語リリースでの写真ですが、どちらもピボットがリフレックスしています。この点を確認したところ、良く写真を見るとピボットの問題ではなく、グリップがハンドルにフィットしていないのが原因でした。特に、青のグリップはハンドルの縁から2mmほども隙間が空いている事が確認できるかと思います。
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WIN&WINでは2012年の前半にCXTのウッドグリップを発売しましたが、HOYTのウッドグリップが2,500円程度なのに対して、5,000円以上という価格で登場しました。問題はかなり手間がかかる作り方で作っていたことなのですが、MAXハンドルではHOYTのウッドグリップと作り方になりました。別売りでこの後、MAXのウッドグリップも入荷してきますが、価格は2,000円台後半で出せると思います。写真の左がMAXのウッドグリップで右がCXTのウッドグリップです。作り方が違うため、木目が全然違うのがわかるかと思います。作り方が違っても、高い作り方の方が性能がよくなるという話はないので(耐久性は少し高い方がいいです)、それなら安い方がいいと思います。
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このようにグリップの作り方が変わったのが原因かなと思っていますが、ともかく、グリップの位置はハンドル全体に影響を与える最重要ポイントの一つで、この部分が不安定では、とうてい良いハンドルにはなりえないという話をメーカーに伝えましたが、納品された完成品(上の写真が本日納品された現物)ではしっかりと修正されてきました。本当に良かったです…安心しました。
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写真の左がMAXハンドルのグリップ、右がCXTハンドルのグリップになります。ちなみに互換性はありません。ネジ穴の位置も違いますが、まず、CXTグリップの方が狭いので、MAXハンドルに取り付けることもできません。ご注意ください。
グリップの形はCXTに比べてスリムになっています。さらにグリップの丸みもあまりなく、直線的なデザインで、でコンパウンドのグリップに似ているデザインです。高さはCXTグリップと大きく違いません。
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これまでのINNOシリーズとの大きな違いだと以上の重さ、剛性、Tブロック・センターショット・システム、グリップです。残ったところでは、光沢があるモデルでも、シューティング時に目に入るサイド(フェイス側)はトーンを変え、光沢を抑えたデザインになっています。
また、INNO AL1と同様にグリップの下にダンパーを取り付けできるようになりました。リムボルトは黒・白・青・赤ではCXTと同じ銀、マットブラック・カーボンブラックは黒になっています。後は、メーカー推薦ハイトが2012年の比較すると、5mm低くなっています。
まずはこんな感じです。全体的な印象としてはかなり出来がいいハンドルです。想定ターゲット(販売するときにこういう人におすすめ)もしっかりと高ポンドで剛性が高いハンドルを求めている方と、しっかり決まっていて、ハンドルの設計もぶれていないので、かなりおすすめできるハンドルであると思います。GMXや、CXTでウェイトをいっぱいつけている方はぜひ検討してみてください。後は、少し数を販売してから、再度評価してみたいと思います。