この記事は2016年11月24日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

柔らかいリムとは何か、リムの特性評価について

courbes713x4882017年、多くのリカーブメーカーがリムを発表しましたが、リムの特性の評価について少し書きます。

リムを評価するときに「硬さ」「柔らかい」という表現がありますが、その定義があいまいなために、人によって意味が違い誤解が生じている部分があると感じるときがあります。

上はウーカ(UUKHA)社のリムの特性表です。右肩上がりのラインは多くの方が見慣れたドローフォース曲線(fx曲線)です。対して、右肩下がりなのが、リムの硬さの指標です。目盛りは右側のものを使用し、「6#(lbs)/inch」は1インチ引くと6ポンドリムが重くるという意味です。これを見ると、赤のライン(UX100)は引き始めが硬さ(3インチ引いたところでインチ当たり4.3ポンドの増加)、青のライン(一般的なラミネートリム)はき始めが柔らかい(3インチ引いたところでインチ当たり3.4ポンドの増加)です。

それが、9インチ引いたところで逆転し、その後クリッカーゾーンまで引いたところでは、赤のライン(UX100)は柔らかく(17インチ引いたところでインチ当たり2ポンドの増加)、青のライン(一般的なラミネートリム)は硬さなり(17インチ引いたところでインチ当たり2.4ポンドの増加)です。

上位モデルのリムであれば大抵このようになります。当然の話ですが、28インチ引いた時に異なるリムで同じ40ポンドの力が蓄えられているのであれば(*)、それは前半に蓄えられたか(引きは始めが硬さ)、後半に蓄えられた(クリッカーゾーンが硬さ)かのどちらです。リムはアーチャーが引いた力以上のエネルギーを持つことは不可能ですので、引き初めからクリッカーゾーンまですべてにおいて柔らかく、かつ、同じだけのエネルギーを持つリムは物理的に存在できません。2つのリムを比較した時、相対的にどこかに柔らかいゾーンがあるリムは、どこかに相対的に硬さゾーンを持つ必要があるのです。

*厳密には運動エネルギーで単位はft-lbs

ちなみに、クリッカーゾーンでの硬さ2lbs/inch程度が標準と言われています。ここを基準に各メーカーいろいろと表現をしていますが、UUKHAのような20%程度違うと顕著に違いを感じます。10%程度で高ポンドなら実感できる程度、5%程度になると…私では感じられないくらいになります。

グラフの通り、(あるドローレングスにおいての)リムの硬さというのは個人の感想・感覚ではなくグラフとして科学的に定義できるものですが、それが個人によって感覚が変わるのは、多くのアーチャーはドローサイクルの中においてリムの感覚をつかむためだと考えられています。つまり静的硬さは定義されていますが、実際にアーチャーが感じるのは動的な硬さであるということです。

引き初めの硬さをリムの硬さとして感じる方はあまりいませんが、その中盤の引き心地をリムの硬さとしている方もいれば、クリッカーゾーンをリムの硬さとして感じる方もいれば、硬い部分(High lbs/inch)と柔らかい部分(low lbs/inch)の差異が大きいと柔らかいと感じる方もいます。

リムの(あるドローレングスにおいての硬さ)が価格的に定義できるのに、評価は個々人によって変わることがあるのは、以上の問題が存在すると考えられていて、矢速と違い、個人によって感じ方が変わる以上、その数値の測定には価値がないと考えています。


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Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

8 thoughts on “柔らかいリムとは何か、リムの特性評価について

  1. 一つ教えていただきたいのですが、
    ストリングハイトを高めにしたときと、低めにしたときでは
    fx曲線はどのように変化しますか?
    あるいはあまり変わりませんか?

  2. 同じ種類・サイズのリムを使用するとして、違うポンドのリムをそれぞれハンドルのポンド調節機能を使用して同じポンドに揃えて使用した場合、引き心地になにか違いはあるのでしょうか?


  3. ストリングハイトは振動とリムの初期状態を変化させます。ストリングハイトを少し低くすると立ち上がりのカーブが急になりリムを硬くします。低くするとより穏やかになりリムを柔らかくします。硬さのカーブの傾きが水平になる点(*)までは概ねどのリムでもそうなります。

    その後におこる変化はリムによって異なるので、一概には言えません。

    上記、アーチェリー教本に載っているヤマハのデータによると、実験に使用されたAのリムでは8-3/4″あたりが最もスタッキングが起こらないポイントです。なので、このリムでは8-3/4″を基準に最も柔らかくなり、その点を中心としてハイト上げても下げてもリムは硬くなります。Bのリムでは9-1/8″を中心にどちらにいじっても硬くなります。

    *UUKHAのUX100のグラフで23インチの地点。

    記事の趣旨通り、ここでも硬さというのはフィーリングを指すものではなく、科学的に定義された値のことです。

  4. 上の回答同様、23インチのポイントまではリムを立たせることは引きを硬くします。なので、40ポンドをねじ込んで42ポンドにしたリムと、もともと42ポンドだったリムとでは、40ポンドをねじ込んだほう(リムが立っている方)が硬くなります。

    この効果はリムの差し込み角度によるものなのでどのリムでも同じです。

    ただし、その後の変化においてはリムの設計とハイト次第です。あるティラーボルト位置までは柔らかくなり、その点を境に締めこんでも緩めてもリムを硬くなります。また、リムは立たせるほどスタッキングポイントまでの距離が短くなります。

  5. ご返答有り難うございます。

    ストリングハイトが高くても低くても硬くなる、ということで宜しいでしょうか。

    この場合、引き始めからフルドローまで、満遍なく硬くなるものか
    もしくはどこか硬くなるポイントがあるのか、
    どうでしょうか。

    リムの銘柄にもよりますか?

  6. >ストリングハイトが高くても低くても硬くなる、ということで宜しいでしょうか。

    特定のハイトを中心としてどちらにいじっても硬くなります。その値はリムによって異なりますが、おおよそ、推薦ハイトの上限と下限の中央値だと思います。

    >引き始めからフルドローまで、満遍なく硬くなるものか

    引き初めから値(傾き)が逆転する点までは影響を受けません。

  7. >引き初めから値(傾き)が逆転する点までは影響を受けません。

    右肩下がりの曲線の方の事ですね。
    有り難うございました。

  8. UUHKAから新しいリムが発表されましたが、レビューや取り扱いの予定はありますか?

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