この記事は2016年5月24日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

アメリカのVICTORYと3DHV

ビクトリー3DHVシャフト3DHV(3D High Velocity)についてコンパウンド担当の山田ともミーティングし、販売方針を決めました。350番発注していなかったのですが、需要のある番手であると知り…申し訳ございませんでした。すぐに手配し、在庫します。

aldilaその前にひとつ。ビクトリー(VICTORY)社はアメリカアーチェリーシャフトメーカーで、ベトナムの工場で製造しています。あるところでは”日本”のメーカーとして宣伝されているようで、そういったナショナリズムをあおるミスリードによるマーケティングのほうが売れるかもしれませんが、私としてはあまりに美しくない行為だと思います。メーカーにも失礼だと考えます。

ビクトリーの親会社のアルディラ(ALDILA)社の会社紹介です。

「2014年4月よりカーボンゴルフシャフトメーカー大手の三菱レイヨンと経営を統合。」

と書かれています。三菱レイヨンの傘下に入ったというよりも、あくまでも統合という理解です。まぁ、本当は株式の100%を握られての完全子会社化なのですが、そのスキームも”買収される側”を存続会社とするやり方であり、メーカーのプライド(ブランド)に対する配慮があります。変な情報を流している人がいるので勘違いされていますが、

資本力 三菱レイヨン >>> アルディラ

ブランド力 三菱レイヨン <<< アルディラ

という形です。ATA(展示会)のビクトリーのブースで三菱レイヨンとの話を聞いて時もエンジニアの人は「??」という感じでした。「日本??私たち(アメリカ人)が設計しているのですよ」と。

彼らはアメリカの会社としてブランドをもって仕事をしています。使う方にはそういった点を理解していただきたいと考えています。

私の高校のアーチェリー部の同期でシャープで仕事している友人がいますが、資本は鴻海(台湾)に握られましたが、彼は、彼らは日本のメーカーとしてプライドを持って仕事をしています。私はシャープは台湾のメーカーだとは思いません。ですので、ビクトリーの商品を”日本”に結び付けて売ろうという考えはありません。ご理解ください。

シャフトと関係のない話が長くなりましたが、もう一つ。先日、ボーニングの社長が来日した時もビクトリーの話になり、ボーニングはノックを供給している関連でエンジニア同士は親密な関係にあり、ICEコーティングがフレッチングに悪影響をもたらすので、羽を貼る場所だけはコーティングをしないなどのアイデアが共有されているそうです。

ビクトリー3DHVシャフト3さて、3DHVにはV1グレード(真直度 +-.001)とV6グレード(真直度 +-.006)があり、これはシャフトの精度の差です。黄色がV1グレードで弊社はこちらのみ在庫します。赤ラベルのV6はV1に対して2000円安いだけなので…取り寄せは可能です。

3DHVの特徴はとにかく軽いこと。500番では5GPIで、これはACEの1250番(5.08gGPI)と同じという驚異的な数値です。外径は0.224″(500番)で、ACE(520番 0.216″)より太く、ACG(480番 0.226″)とほぼ同じです。なので、細めのシャフトという分類に当てはまるかと思います。

ビクトリー3DHVシャフト2内径は0.204″でACCの04シリーズと同じ内径ですが、付属の柔らかめのユニブッシング(6061-T6)を装着して、0.166″径用のノック、ピンを装着する形式です。ボーニングのFノックが付属しますが、同じBeiter121インサートやイーストンのGノックが使用可能です。ACCと違ってユニブッシングは最初からは装着されておらず、自分で接着する必要があります。

ビクトリー3DHVシャフト4どれほど実用的かは不明ですが、シャフトのラベルの後方に書き込めるところが追加され、ここにシャフトの番号やイニシャルを入れることが可能です。試合前にマジックペンでちゃちゃっと名入れができます。

圧倒的な軽さというユニークな特徴のあるシャフトですので、フィールド競技などで人気が出るかもしれません。出荷され始めたばかりなので、まだ競技会などでの実績はありませんが、9月の世界フィールドでどのような選手が使用し、どういった結果となるか楽しみです。自分が把握している限りでは、近年のWAの世界大会で金メダルを獲得しているメーカーはイーストン、ゴールドチップ、CXの3社のみです。ビクトリーはここに加わる新しいメーカーとなれるでしょうか。

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13239488_1578443565787501_3461882886496402133_n先週末、アメリカでは新しいコンパウンド競技イベントOPAシュートの第一回目が開催されました。チャンス選手(使用シャフトはゴールドチップ)が優勝したようですが、優勝賞金30,000ドル、メーカー賞金2,500ドル(計358万円)という…一試合で年収を。すごい世界です。


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Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

4 thoughts on “アメリカのVICTORYと3DHV

  1. こんにちは。
    このシャフトは国内某社で取り扱っている◯P204と同等のものと考えて良いのでしょうか?

  2. >このシャフトは国内某社で取り扱っている◯P204と同等のものと考えて良いのでしょうか?

    把握していませんが、ビクトリーのシャフトをベースとして、生産されたOEM品だと聞いています。OEM生産時に変えたのがラベルだけなのか、もっと変えたのかは作らせた人にしか答えられない(作った側のビクトリーは契約上回答できないと思われます)、売っているところで確認してください。

    シャフトメーカーは100ダース単位ではラベルの変更程度のOEMにしか応じませんので、そのシャフトの在庫数を聞いてみてもよいかもしれません。2000-3000ダース以上の在庫があれば、素材に及ぶ変更があるかもしれません。

  3. オンライン性能と風への対抗能力じゃトレードオフですよね?
    上の方が仰っている某所では良いとこ取り見たいに宣伝していますが、実際は中途半端で終わる気がしませんか?

  4. >オンライン性能と風への対抗能力じゃトレードオフですよね?

    長期で見れば、ある程度はトレードオフの関係にありますが、スポットでは違います。たとえば、目標とする競技会に向けて風対策をあきらめて(当日風が吹かないことに賭けて)、ラインカットに徹するセッティングを組み上げていくことは、”特攻”戦略として有効と考えることも可能です。

    >上の方が仰っている某所では良いとこ取り見たいに宣伝していますが、実際は中途半端で終わる気がしませんか?

    どんな宣伝をして売っているのか詳しくは知りませんが、明らかなことは、15,000円を切る値段でACGとほぼ同じ直径の細めのシャフトが+-0.001精度(X10とほぼ同等)で手に入ることです。この価格でこの精度のシャフトが購入できるのは3DHVだけで、このコストパフォーマンスによる優位は当分続くと考えます。価格にこだわる方には確実にニーズがあると思いますので、中途半端に終わる可能性はないと考えています。

    このシャフトの細めの軽量シャフトというこのアイデアですが、これが成功するかはテストしてみないと何とも言えないです。個人的にはACE1250よりも低いGPIのシャフトを使いこなすのはかなり難しいと考えていますが、結果が出るまでには時間がかかると思っています。

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