この記事は2015年3月4日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

【更新】ティラーって何でしょうか

8499先日、お客様からティラーハイトについての質問がありました。問題自体は山田に引き継いで解決したという連絡がありましたが、ティラーとは何かについて記事にしたいと思います。

グーグルでティラーハイトとは何かを調べてみると、適切な説明をしているページを見つけることができます。しかし、ティラーハイトとは一つの言葉ではなく、ティラーの高さ(ハイト=Height)という2つの言葉です。ノッキングポイントがノッキングをする点(ポイント=point)を意味するのと同じです。ノッキングというのは、矢をつがえることだということは知られていると思いますが、ティラーとはどういう意味でしょうか。

冒頭の写真。この写真に写っているのが「ティラー(The Tiller)」というものです。ティラーとは弓のチューニングに使う道具の名前なのです。ご存知でしたか?

さて、この道具はどう使うのでしょうか。

image019(↑http://www.projectgridless.caより)
ティラーという道具はこのようにして使います。簡易型のドローイングマシンといったところでしょうか。古くからの弓というのはハンドルとリムが明確にはわかれておらず、このティラーという簡易型のドローイングマシンに弦をひっかけたとき、弓の任意の点から弦までの距離をティラーハイトと呼び、どこかの点だけを取って測定するのではなく、全体のバランスを見ながらチューニングを行っていました。この作業はティリング(Tilling)と呼びます。実際にはチューニングというよりも、ハイトを高いしたいところを削っていくという弓の製作の一環と考えたほうがよいかもしれません。

その後、リムとハンドルが2つのパーツとなり、ILF(HDS/GP)規格などによって、ティリング作業がリムを削って行うものから、ハンドルに対するリムの角度を変更することで行うようになったのに伴い、このティラーという装置の出番はなくなっていき、ティリング作業はティラーボルトでリムの角度を操作することで行われるようになります。


ティリング(Tilling) 弓を削りながら全体のカーブを整える作業
ティラー(Tiller) その時に使用する道具
ティラーハイト(Tiller Height) ティラーという簡易型のドローイングマシンに弓をひっかけた時の弦から弓までの距離

というのが正しい言葉の意味です。

その中で、競技アーチェリーでは、まず上下リムの形状の同一性は確実に確保されています(*)。なので、上下、各一か所だけティラーハイトを測定してやれば十分です。なので、現在のチューニング手順では上下一点だけを測定。その場所の高さをティラーハイトとし、その値を調整して弓の状態を改善していきます。

image0109
*上下のリムが同じ形状という意味。自分で弓を作ったり、ジグや金型を使用しないで削り出す手作り弓の場合はチェックが必要。以上、小ネタでした。

ティラーハイトという言葉は有名でよく知られていても、ティラーが知られていないのは、ティラーボルトの登場によって、ティラーが必要のない道具(*)となってしまったのが原因かと思います。

Brace_web
*Beiter Braceという同様の機能を持つチューニングツールがバイターから出ているので必要がないというのは言い過ぎかもしれません…。


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Ryo

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

7 thoughts on “【更新】ティラーって何でしょうか

  1. てっきり『弓から弦の音まで(till)の高さ(hight)』のことだと思ってました。

  2. >てっきり『弓から弦の音まで(till)の高さ(hight)』のことだと思ってました。

    弓から弦の音ですか?

    ティラーは装置の名前です。ティラーハイトはもともとその装置を使用した時の値です。現在ではティラーを使用せずにティラーボルトで調整できるようになったので、「ティラー」の名を冠した、ティラーハイト、ティラーボルト、ティラー差、動的ティラーハイト(引かれているときのティラーハイト)などは使われ続けていますが、ティラーはもう使われなくなっていますね(もちろんティラーハイトを略してティラーと呼ぶことはありますが)。

  3. 『の音』は誤字ですね…。スマホから投稿しているのでたぶん、『弦』と打ったら『弦の音』と予測がでて、誤字に気付かずに投稿してしまったようです。
    お騒がせいたしました(^^;;ゞ

  4. どーも。日本のアーチェリー事情がどんなモノかと検索してたどり着きました。米国でリカーブボウハンティングしているモノです。(↑のサイトで同ハンドルで時々息抜きをしています)。

     画像の”Tillering Stick”はSelfbow(一本の木材などから作る弓)で曲がり加減を調整する為に使われる道具です。

    “Tiller”は弓の曲がり具合を表す言葉として使われています。

    例えばカスタムボウメイカー(ワンピース/テイクダウンのリカーブ/ロングボウ)がクライエントの射ち方(3アンダーかスプリット)に合わせて上部リムの柔らかさ(+3/8Tiller=上部リムは下部リムの曲がり具合、同一でリムから弦までの長さに3/8インチ程加えるように上部リムを柔らかく形成している、など)を調整する時などコミュニケーションに使います。

  5. >“Tiller”は弓の曲がり具合を表す言葉として使われています。

    アメリカから貴重な情報ありがとうございます。ターゲットアーチェリーでは、弓の曲がり具合は”limb deflection”などといった言葉を使用しますが、そのような言葉は使用しますか?

  6. >そのような言葉は使用しますか
    コンパウンドサークルだと”Limb Deflection”を「一定のロードがかかった時のリムの曲がり具合を指す数字」としてディスカッションが進んでいるようですね。「カムを変えてドローウエイトを調整する時に必要なリムを割り出す為にLD値をわざわざ毎回Hoytに電話しなきゃ聞き出せない」なんてのを多く見ました。

    コンパウンドに疎い私には正直馴染みが無い使い方です。(ターゲットアーチェリーでも使われているとしたら完全に無知ですがwww)

    原始弓/リカーブ/ロングボウハンターサークルだと”Limb Deflection”はツリースタンドなどから矢を放つ時にリムが枝やスタンドの囲いなどに当たって’軌道が逸れる’事を指す場合が殆どです。(結果として矢は明後日の方向へとんで行くので)。

    ワンピース/テイクダウンでもトラディショナル系のハンター達はコンパウンドに比べれば遥かに原始弓に近い使い方をしますし、LDは上の使用例があるので原始弓を制作する時の基本となる「Tiller」で曲がり具合を表現しているのかもしれません。

  7. >コンパウンドサークルだと”Limb Deflection”を「一定のロードがかかった時のリムの曲がり具合を指す数字」としてディスカッションが進んでいるようですね。

    コンパウンドボウでは弓によってハンドルの形状と長さが大きく違いますが、
    リムの種類は多くないので、リムはポンド数表示ではなく、”Limb Deflection number”表示で販売されています。

    >「カムを変えてドローウエイトを調整する時に必要なリムを割り出す為にLD値をわざわざ毎回Hoytに電話しなきゃ聞き出せない」なんてのを多く見ました。

    メーカーでは必要なポンド数とハンドルの形状から、購入すべき数字(LD値)を割り出すチャートがありますが、
    これはメーカーとディーラー用でお客様には公開されていません(中古のリムが市場で出回らないためなどの意図があるようです)。
    なので、お客様はいちいちホイットに電話して確認する必要があります。日本の場合、代理店に確認が必要です。

    >コンパウンドに疎い私には正直馴染みが無い使い方です。(ターゲットアーチェリーでも使われているとしたら完全に無知ですがwww)

    アメリカでは言葉の使い方が違うかもしれませんが、ターゲットアーチェリーにはコンパウンドも含まれています。
    全日本ターゲット選手権にはリカーブ部門とコンパウンド部門があります。
    世界ターゲット選手権も同様です。

    >原始弓/リカーブ/ロングボウハンターサークルだと”Limb Deflection”はツリースタンドなどから矢を放つ時にリムが枝やスタンドの囲いなどに当たって’軌道が逸れる’事を指す場合が殆どです。(結果として矢は明後日の方向へとんで行くので)。

    これは知りませんでした。ありがとうございます。

    >ワンピース/テイクダウンでもトラディショナル系のハンター達はコンパウンドに比べれば遥かに原始弓に近い使い方をしますし、
    >LDは上の使用例があるので原始弓を制作する時の基本となる「Tiller」で曲がり具合を表現しているのかもしれません。

    そうですね。Tillerという言葉のほうが古いので、逆にその言葉(意味)から明確に距離を置くために、70年代後半から生まれたコンパウンドではLDといった言葉が使用されるようになったと思います。

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