センターショットの見方についてのお知らせです。
ネットの管理されていないページで、センターショットについての間違った(不十分な)知識を得て、正しくないセッティングにしているお客様が増えています。正しいセンターショットの見方について再度の案内です。
また、注文したリムがねじれているのではないかとお考えの場合は、一度センターショットを確認してから、ご連絡ください。弊社に交換要求があり、確認した弓のうち8割のリムはねじれではなく、センターショットがあっていないだけでした。
センターショットとは何か。「弦がリム・ハンドルの中心を通っている状態」という風に表現されている場合がございます。これは間違った知識ではありませんが、「弓が前を向いた状態で」という暗黙の条件が含まれています。
「弓が前を向いた状態で、弦がリム・ハンドルの中心を通っている状態」
の事をセンターショットが正しいと言います。
上の写真を見てください。この状態では、弦が弦溝の中心をとおっておらず、リムがねじれています。リムがねじれていることは間違いないのですが、リム自体がねじれているのか、セッティングが正しくないために、リムが”ねじられている”のかを確定することはできません。
どちらであるかを確認するためにはセンターショットを確認することが必要です。
センターショットを確認すると、弦が全くハンドルの中心をとおっていないので、セッティングが正しくないためにリムがねじられていたことが分かります。リムの問題ではなく、セッティングの問題です。
しかし、この時にハンドルをまっすぐにした状態でセンターショットを確認せずに、ハンドルを右に向けてみる(頭を右に移動させる)と、上下リムともに同じ程度センターからずれている場合、センターショットが通っているかのように見える位置が必ずあります。
上の写真は2枚目の大幅にセンターがずれた写真から、何もいじらずに、見る視点を変えただけの写真です。
センターロッドの向きを見れば、ハンドルが大幅に右を向いている事が分かるかと思いますが、しかし、ハンドルの位置を気にしなければ、つまり、ハンドルとリムと弦の位置だけに注意をすれば、センターを通しているように見えるはずです。
しかし、弓(ハンドル)が真ん前を向いていない状態で、弦が弓の中心を通っていたとしても、それはセンターショットは呼べるものではなく、全く正しくない状態です。センターショットを「弦がリム・ハンドルの中心を通っている状態」とだけ理解していると、多くの場合で弓はこの状態になっています。
ここから、センター調整機構でリムの位置を正しい位置に戻し、センターショットが通る状態にすると、当然リムのねじれは解消されます。
もちろん、まれにねじれているリムもあるので、正しいセンターショットの状態でも、リムがねじれている(リムチップが左右のどちらかを向いている)のであれば、遠慮なく相談してください。ただ、その前に一度センターショットが正しいかを確認していただけると幸いです。
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山口 諒
熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。
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いつも楽しく拝見させていただいております。
センターショットの見方について、ベテランアーチャーの方に教えて頂いたのですが、センターロッド(ブッシング)が真っ直ぐに向いているという保証はないから、センターロッドの見え方は気にしなくてもよいと言われました。確かに納得できます。
しかし、この記事に書かれていることも納得できます。
なので、「センターロッドが正確に真っ直ぐ向いているという保証はないが、その誤差は小さなものなので、弓の向きの見え方優先で、センターロッドも中心を合わせた方がよい」という認識でよろしいでしょうか。
ちなみに、当方、ホイットネクサス+サミックエクストリーム です。
よろしくお願いいたします。
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まず、大前提として、弓がまっすぐ前を向いた状態でセンターショットを調節しないと意味がありません。
次に、この記事では、弓の向きを判断するのにセンターショットを使用しています。
>センターロッド(ブッシング)が真っ直ぐに向いているという保証はないから、
>センターロッドの見え方は気にしなくてもよいと言われました。
お客様の友人であるベテランの方がどの程度本気で話しているのかわかりませんが、このままのことを言っているのであれば、ちょっと理解できない発想です。
癖がついているかもしれないから、その癖を考慮してチューニングすべきという意見なら、わかりますが、癖がついているかもしれないから、そこは目をつぶろう("見え方は気にしなくてもよい")といっているなら、その意見は理解できません。
当然新品の弓でセンターブッシングが傾いているのであれば交換対象です。
また、長年の相棒でセンターブッシングが傾いてきているのであれば、それを把握しないで射つ心境は理解できかねます。この記事のハンドルは10年ほど前に購入した長年の自分の相棒ですが、幸いセンターブッシングは傾いていないものの、傾いていたなら、「ウェイト1個分右に傾いているな」や「28インチロッドで左にウェイトで半分傾いている」などのように、自分のハンドルの癖をまず把握せずにはいられないでしょう。把握すべきです。
その上で、その癖を考慮してチューニングします。
お客様がその意見を聞いて、納得して、今でも「このハンドルのセンターブッシング傾いているかもな…」と思いながら射って射るなら、それはとても不幸なことだと思います。自分の道具を信頼できないことはあたらない原因のひとつにもなります。
直接、そのベテランの方の言葉をきいていないので、本当は違うことを言いたかったのかもしれませんが、長年の相棒だからと、癖がついているハンドルで射っているトップアーチャーはいても、その癖を把握しないで、「古いハンドルだから曲がってるかも…でも、まぁいいか」で射っている人がトップ層にいるとは思えません。
> なので、「センターロッドが正確に真っ直ぐ向いているという保証はないが、
>その誤差は小さなものなので、弓の向きの見え方優先で、センターロッドも中心を合わせた方がよい」
>という認識でよろしいでしょうか。
さて、癖の把握から、今度は記事に内容についてですが、大事なポイントは弓がまっすぐ前を向いていることです。そのベテランアーチャーの方が、センターをチェックポイントにする必要がないということは理解できますが、だからといって、弓の向きをチェックしなくていいという話にはなりません。
センターが最もわかりやすいので使いましたが、ほかにはウィンドウ面からののオフセットを使用する方法がございます。センターが傾いている場合はこれを使います。ただ、もちろん、どんな方法でも、弓が正しく製造されていることが前提条件で、この話もウィンドウが傾いているかもしれないというのであれば、成立しません。ただ、それでも、さらに別の方法はあります。
さて、ウィンドウを使う方法ですが、まずは、ハンドルのウィンドウのサイトを取り付ける部分から、ハンドルの中心までの距離を測定します。ハンドル単体で測定すれば、よいでしょう。次に弓を張って、Tゲージを使って、ハンドルのウィンドウのサイトを取り付ける部分から弦までのオフセットを測定します。この2つの値が一致すれば、ハンドルはまっすぐになっています。ハンドルのサイトを取り付ける部分がまっすぐでないとサイトが曲がって取り付けられるので、この部分がまっすぐではない可能性は低い(ゼロではない)ので、さらに信頼性があるやり方です。
昔の弓の精度はよくなかったので、ベテランさんの言いたいこともわかりますが、しかし、癖があるからといって、その癖を把握しないで目をつむったり、精度が低いチェックポイントだからといってチューニングの中で無視することのメリットがあるようには思いません。
大事なのは、弓をまっすぐにした状態でセッティング・チューニングを開始することです。
その状態に至る方法はセンターの向きを見ることだけではありません。
しかし、信頼性が高い方法のひとつです。
この方法を採用しない場合であっても、別の方法を採用する必要はあります。たとえば、ウィンドウのオフセットを見ることです。
でも、そんなことよりももっとも大事なのは、まず自分の弓の状態を把握することです。心配であれば、センターブッシングが傾いていないかをまず調べましょう。そして、相棒を信頼してあげることは大切なことだと思います。
> いつも楽しく拝見させていただいております。
>
> センターショットの見方について、ベテランアーチャーの方に教えて頂いたのですが、センターロッド(ブッシング)が真っ直ぐに向いているという保証はないから、センターロッドの見え方は気にしなくてもよいと言われました。確かに納得できます。
>
> しかし、この記事に書かれていることも納得できます。
>
> なので、「センターロッドが正確に真っ直ぐ向いているという保証はないが、その誤差は小さなものなので、弓の向きの見え方優先で、センターロッドも中心を合わせた方がよい」という認識でよろしいでしょうか。
>
> ちなみに、当方、ホイットネクサス+サミックエクストリーム です。
> よろしくお願いいたします。
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丁寧なご回答ありがとうございました。
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センターショットなのですが、センターロッド、弓、リムの中心を通すことであるという解釈であっていますか?自分の弓はハンドル、リムのセンターがあっているのですが、センターロッドをみると、センターが少し傾き、センターの左側を弦が通っていました。ブッシングに問題はありません。センターも中心を通るよう再チューニングをするべきでしょうか?よろしくお願いします。
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> センターショットなのですが、センターロッド、弓、リムの中心を通すことであるという解釈であっていますか?
センターショットの概念で一番大事なのは、ハンドルがまっすぐ前を向いているということです。これはすべてのチューニングの前提になります。極端な話、古い弓でどうしてもセンターショットを得られない場合、リムのねじれよりも、ハンドルの向きを重視したセッティングにする方が良い結果が得られることが多いです。
正しいセンターショットとはハンドルがまっすぐ前を向いた状態で、弦が弓のセンター(真中)を通っていることを指しています。もちろん、センターロッドに問題がない限り、センターロッドの真中も通ります。
>自分の弓はハンドル、リムのセンターがあっているのですが、センターロッドをみると、
>センターが少し傾き、センターの左側を弦が通っていました。
自分でチューニングされているのであれば、再チューニングをお勧めします。プロショップでやってもらったのであれば、何かしらの理由でわざとそのようにセットした可能性もあるので、理由を聞いてみましょう。
お客様の認識で「ハンドル・リムは真中を通っている」と書いていますが、通ってはいません。ハンドルが傾いている状態でそう見えるだけで、ハンドルをまっすぐ前に向ければ、弦はハンドルの右側よりを通っているはずです。再チューニングすべきです。
スタビライザーが傾くと書かれていますが、スタビライザーが傾くことは特に大きなトラブルを起こしません。ただ、スタビライザーが傾いていることは、ハンドルが傾いていることを示しています。こちらの方は重大な問題ですので、特に理由がない限りは再チューニングをお勧めします。
> センターショットなのですが、センターロッド、弓、リムの中心を通すことであるという解釈であっていますか?自分の弓はハンドル、リムのセンターがあっているのですが、センターロッドをみると、センターが少し傾き、センターの左側を弦が通っていました。ブッシングに問題はありません。センターも中心を通るよう再チューニングをするべきでしょうか?よろしくお願いします。
弦を張った状態では弦はリムの溝に入っているのですが、引いてきて戻した時に弦が溝より少し横にずれて溝に戻ります。チューニングの問題でしょうか?
アジャストメントダボで調整すれば問題は解消されるのですが、センター調整用のワッシャーの枚数をこれ以上減らせないため、センターが合わなくなります。
書かれていることをそのまま読むと、チューニングすれば問題は解消されるが、枚数を減らせない事情があるのでチューニングがそもそもできない」ということですか?
でしたら、チューニングの問題ではなく、「いかにそのチューニングができない原因を取り除くか」が課題かと思います。