昨日、人類学の院試を控えたスタッフと話し、アーチェリーの古い本の収集を始めることにしました。
日本で現在のアーチェリーがはじまったのは戦後ですが、日本には現在の弓が完成した形で伝わってきたようで、アーチェリーの弓具の進化の歴史についての、(知っている人はいると思いますが)完成された形の記録が日本にはありません。
個人で所蔵している方はいらっしゃるかもしれませんが、国立国会図書館でも戦前に出版されたアーチェリーの本はないです(何冊かありますが、どれも文化的な視点からみたアーチェリーの本です)。
もちろん、今の弓は突然完成されたものではなく、30~40年代のロングボウ安定性の改善(ハンドルが生まれる)、材料工学の点からのリムの合理化(平たいリムの誕生)、トルコ弓の”発見”(イスラム文化学者には昔から知られていたが、ついに弓職人がそれに気づく)によってコンポジットとリカーブという2つのトルコ弓の特徴を取り入れて、やっと現在の弓が完成します。
日本にない本を世界中からかき集めて、このあたりの歴史をもう少し詳しく理解できたらと思っています。
写真はアーチェリーの業界団体(ATAの前身、AMDA)を作ったラリー・ウィフェン(Larry C. Whiffen)さんの本から。「自分の弓を作ってみよう」という授業。読んでいると自分でも弓が作りたくなってくる…しかし、一番左の彼、木工作業しているのに、ほぼ正装??…作るところから紳士のスポーツだったようです。木くずだらけになって奥さんに怒られないのだろうか。
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山口 諒
熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。
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トルコ式複合弓を研究する過程で、短弓化への動きは無かったのか気になります。後のコンパウンドがそれだとも言えますが、リカーブにも小型化を望む声はあったのではないかと。取り回しの良さはもちろん、機械一般の原則からは小さい方がエネルギー効率がいい筈ですし、メリットは多いと思うのです。
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トルコ弓の研究はフライトボウのメーカーによって進められ、その意図はパワーアップ(飛距離の向上)と効率性の向上でしたので、弓が短くなることはありませんでした。
トルコ弓の正確性は低いです(グルーピングが悪い)。現在のコンパウンドもそうですが、パワーを重視する弓は正確性が低く短いです。逆にターゲットで使用する弓はパワーが劣りますが、正確性は高いです。
単純に効率性だけ考えれば、弓は短い方がいいです。精度よりもパワーが重視される軍事用(現在ではハンティング用)の弓はみな短いです。ただ、スポーツとしての弓はパワーだけでなく、グルーピングの良さも重視されます。
また、以前の記事でも書きましたが、「弦が鼻につく」ことを重視して、わざと効率性の悪い大きさの弓を選択するトップ選手もいます。鼻につくことを一つのアーチャーにとっての重要なチェックポイントとすれば(鼻に弦をつけないアーチャーで1400点アップした人はまだいません…1350点アップくらいならいるかもしれません)、今後、弓が短くなる可能性はないと思います。
http://jparchery.blog62.fc2.com/blog-entry-1251.html
> トルコ式複合弓を研究する過程で、短弓化への動きは無かったのか気になります。後のコンパウンドがそれだとも言えますが、リカーブにも小型化を望む声はあったのではないかと。取り回しの良さはもちろん、機械一般の原則からは小さい方がエネルギー効率がいい筈ですし、メリットは多いと思うのです。