本日、明日は弊社全部門営業部門が休みです。自分は午後に出社して海外の営業しているメーカーさんのメール処理して、4時半にはすべての仕事終わりました。アマゾンから趣味で作る予定の熟成庫用のデジタルサーモスタッドが届いたのでいろいろといじっています。
以下、あまりアーチェリーとは関係ない話。
昨日、いろいろと試してきて、やっと正しいステーキが完成しました。写真は黒毛和牛のイチボ(お尻の先っちょ)を低温調理したものです。肉は少し熟成させてから70度のコンベクションオーブンで70度にして焼く位置をこまめに変えながら焼き、一度アルミホイルで肉を休ませてから、塩コショウして和牛の牛脂を敷いたフライパンでさっと焼き目をつけて、今度はアルミホイルに包まないでオーブンの予熱(40-50度)で温度を落としていって、40度くらいで切り分けてサービスというレシピです。うまく焼けたと思っています。
細かいところは自分の持っている器具の性能によって違うので何度も微調整して、このレシピにしましたが、これは別に自分で考え出したものではなく、“科学的に”美味しいステーキをどのように焼くかというのは、分子ガストロノミーなどの研究によって、概ね明らかになっていて、科学的に正しいステーキのレシピのパターンはそう多くありません。
焼けたステーキは本当においしかったのですが、多くの議論というか、”科学的においしい”と実際においしいというのは違うのではないかと思わせる結果でした。伝統的なレシピではこの逆、まず塩コショウして強火で火を入れていき、焼き目がついてから、火入れをコントロールして、同様の焼き加減にしていきます。簡単に言うと逆です。しかし、これは科学的に言うと間違いです。まず、最初にコショウしてしまえば焦げて苦みの原因になりやすく、最初に塩をすることで肉から水分が出て行ってしまいます。どちらもよい結果をもたらしません。
科学的にはその通りです。しかし、実際に両方の作り方をしてみると、(私みたいな素人の調理レベルでは)科学的に焼いた方が出来上がったものはおいしいのですが、伝統的に焼いたステーキのほうが満足感があります。工程の最初でフライパンに入れた瞬間から、その音と香りから肉を焼いている気分になり、興奮してきます。ステーキソースづくりのイメージも膨らみ、料理が楽しくなってきます。
一方、科学的に正しい作り方では、最後の工程まで肉を焼いているというよりも、物作りをしている感じです。音はなく、香りも味付けしていないので少し肉汁のニュアンスがあるだけです。要は最後の最後まで肉を焼いている気分にならないのです。
科学的に正しいステーキの対極にあるのは…おそらくバーベキューです。使用できる器具も限られており、外気によって調理する火の温度も安定せず、湿度は風が吹くままに。味付けも適当で、ソースはかなり濃い。どう考えても、管理された環境で作ったステーキのほうがおいしいはずなのですが、バーベキューの肉は理論を飛び越えておいしいように感じます。
今年で31歳になりましたが、完成したものだけが料理なのではない、それを作るまでのプロセスも含めての料理だと今更気が付いたようです。
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たまに業界で聞く「授業料」という言葉があります。いまだにその意味がよくわからないのですが、どういう意味で使っているのでしょうか。いや、まぁ、言葉はその人のものですので好きに使っていただきたいのですが、自分が興味があるのは、その反対語です。失敗したとか、うまく行かなかった時に授業料というのでしょうが、成功したら何になるのでしょうね?
例えば、矢。ACE 570を選択して3万円で購入、うまく行かず、X10 550を5万円で購入してうまく行かず、ウルトラライトを3万円で購入していい結果が出た場合、最初の8万円を授業料として、最後の3万円は…正しい出費とか、そんな風にとらえるのでしょうか。興味があります。
個人的には、失敗した分含め楽しんでいるのですべて趣味の出費ですね。
あ、そうすると、4人目の彼女と結婚した時、3人目までの交際費が人生の授業料で、4人目が正しい交際費となるのでしょうかw すべてがいい思い出だと思うのですけどね。
Ryo
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脂身が溶けてしまった状態から40度に落としたら科学的に見てもおいしくないですよ。
素人でもそこそこの味に仕上がる方法でしかないです。
高級店で切り分けながら調整して焼いていくのにはちゃんと理由があるのです。
食べやすくするためではありません。
おっしゃるとおりです。上の写真はプロの鉄板焼きの方の土居さん(ホテルグランヴィア京都)に黒毛和牛サーロインを低周波IHグリドルの鉄板で焼いた時の温度変化です。肉の中心は最終的には42.5度です。
日本鉄板焼協会認定試験一級では、肉の芯温を42-44度を合格としています。
しかし、この温度では明らかに雑菌には十分ではありません。
>高級店で切り分けながら調整して焼いていくのにはちゃんと理由があるのです。
>素人でもそこそこの味に仕上がる方法でしかないです。
殺菌に十分ではない42度に仕上げる。理由はありますが、私のような素人からするとその理由は、使用している肉に対して十分に信頼性を確保しているからです(これは信頼関係なので科学的に正しいとは言えません)。芯温を十分にしなくても、そこに雑菌はしないと信頼しているからこそ、この温度で加工できます。信頼できる所から入手した生肉なら食えるのと一緒ですね(科学的・法令的にはダメです!)
対して私はスーパーでしか牛肉を入手できない状態なので、素人でそこそこの味に仕上げるところが限界です。
現在、知り合いのオーナーシェフに肉の横流しを依頼しようかなとたくらんでいるところです。それか新宿伊勢丹でバカみたいな値段を払って買うか…。信頼できるルートで表面にしか細菌がいないと信じられる肉が手に入れば、もっと攻めたいとは思っていますよ。
>食べやすくするためではありません。
地域差もあるかもしれませんが、どのあたりで食事されていますか?少なくとも東京では違います。しっかりとした店では、同じ肉の量でも、私と同席の女性では、違うカット数にしてくれることがあります。シェフは大きくカットしたほうがおいしいと考えますが、小柄な女性にはより食べやすい方を優先してカットを増やして小さく切ります(帝国ホテルの嘉門で修行されうちの近所で独立した方です。エルジンガー選手も連れて行ったことがあります)。お年寄り、食べるペースなども考慮するそうです。
切り分ける理由が食べやすくするため”だけ”ではないことは賛同しますが、「食べやすくするためではない」というのであれば、私が食べ歩く範囲では違うようです。