【追記あり】新しいPSEのLASシステムについての解説

20151118_173152先日に入荷したPSEのエクスプレッション(XPRESSION)とエクスプレッション3Dですが、新しくLAS(Wedge lock)というシステムが搭載されました。それについての解説です。

これがどういうシステムかというと、リカーブではおなじみのセンターショット調整機構、ボルトでリムを左右に振るという調整機構です。ただし、センターショットといってもリカーブのセンターショットとコンパウンドでは大きく違います。

リカーブではセンターショットで一番大事なのは正しいアライメントのリムの真ん中に弦があること。逆に、フィンガーリリースによるパラドックがあるために、矢はセンターショットのライン上にはありません。コンパウンドにおいてのセンターショットでは、複雑な機構の中において一意的にセンターショットを定めることは難しく、メーカーがおおよその目安を公表しています(ラリーによればそれはおおむねハンドルの重心の中心)。なので、センターショットが弓の見た目の真ん中にないかわり(自分の弓は3/4″-13/16″)に、リカーブとは違い、矢はセンターショットのライン上にあります。これを調整する時、このLASシステムは新しい調整機構ではなく、既存の調節方法に加わる第5の方法です。

LASシステム_PSEこれ以外にもやり方があるかもしれませんが、レスト、ケーブル、ケーブルガード(トルク量)、ワッシャーの4つが一般的だと思います。

レストの調整方法はレンチで左右を調整するというものです。たいていの弓では最終的な微調整のために使われます。

ケーブルガードを調整することでフルドロー時の弓の傾きが変わり、センターショットが変わり、カムの傾きも変わります。調整は簡単ですが、あまりにも多くの部分に影響を与えるので多くのチューニングがやり直しになります。

ケーブルの調整方法については、以前にApex7を調整した時の記事が参考になるかと思います。この弓ではこの手法を使いました。

ワッシャーの調整方法については、以前にEnergy 35を調整した時の記事が参考になるかと思います。この弓ではこの手法を使いました。

そして、第5の方法がLASです。

さて、正直この4つの方法でチューニングできないことはないと思います。それでも矢がまっすぐ飛ばないのであれば、ほかの部分に問題がある可能性が高いです。このLASの一番のメリットはこれらの調整を射場などで簡単にできるようにすることです。

ケーブルではプレスしてケーブルを外すこと、ワッシャーに至っては、カムを解体する必要があります。時間とともに環境的な制限も多く、近くにボウプレスがない出来ないものです。対して、LASシステムではこれをレンチ1つで出来るようにしました。便利なシステムではないでしょうか。また、長期間の使用において、クリープによって少しずれてくるケーブル調整に対して、このシステムの方がより堅牢性が高いと考えられます(それでもケーブルのクリープは発生しますが)。

エクスプレッションを手に入れた時には、ぜひこの新しいチューニング方法をお試しください。

追記

最初にアップした記事ではケーブルガードによる調整がリストから漏れていました。加筆しました。