SVL 2013 AWSモジュラー・スタビライザーが入荷しました。

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リムセーバー(SVL)社の2013年の新商品、ブロードバンド・リムセーバーに続き、AWSモジュラー・スタビライザーが入荷しました。
ニューモジュラー・スタビライザーの後続モデルではなく、姉妹モデルという位置づけですので、ニューモジュラー・スタビライザーも販売は継続です。
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まずは、商品の説明の前に「AWS」について説明します。AWS(Adjustable Weight System )という意味ですが、日本語にするとウェイト調整可能システムという感じですが、これ単体では説明になりません。
このモジュラースタビライザーですが、実は、この一つ一つはノードと呼ばれています。もともとはハンティング用として開発された商品で、通常は、このノードをいくつか連結させることによって、写真の上の様なスタビライザー(写真は3ノード)を自分で作っていくものです。
ハンティング用で人気になった後、HOYTのフォーミュラシステムのリムスタビライザーやアッパーとしても、ターゲットの世界で人気になり、ターゲットでも使われるようになりました。ただ、リカーブで連結させて使う人はあまりおらず、そのため1ノードのスタビライザーがリカーブでは一般的ですが、元々はノードを連結させて、チューニングしながら、適切な長さを決めるのがこのシステムの最大の売りです。
元祖モジュラー・スタビライザーから、マイナーチェンジし、現在二代目(ニューモジュラースタビライザー)が販売されていますが、このノードの種類を豊富にすることで、さらなるチューニングの可能性を広げようというのが、AWSのコンセプトです。剛性があり重いノードがニューモジュラースタビライザー(64g)、軽く比較的柔らかい構成のノードがAWSモジュラースタビライザー(40g)です。
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2つ以上のノードを組み合わせることで、従来は連接させて長さが調整可能だったのが、重さが異なるノードが加わったことで、重心の調整も可能になります。
A. ハンドル + ロッド + NMS(ニューモジュラースタビライザー) + AWS +AWS = 重心がフェイス側にあり、先端が細かく振動して振動吸収
B. ハンドル + ロッド + AWS +AWS + NMS = 重心がバック側にあり、先端が大きく振動して振動吸収
といった、いろいろとチューニングを可能にします。
説明が長くなりましたが、それがAWSの中のアジャスタブルの意味です。ノード単体で何かアジャスタブル(調整可能)なわけではないのでご注意ください。ノード1つだけをスタビライザーとして使用するターゲット競技において…AWSシステムは関係ないかなと思います。ただのカッコいい名前だと思っていただければよいかと思います。


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商品の説明に戻ります。もう書きましたが、既存のモデルに比べて、38%軽くなっており重さは40g、直径は3.8cmでブロードバンド・リムセーバー同様の柔らかいゴムのボディを、コンプレッション・リングが締め付けているという構成です。ネジ穴は5/16、先端には次のノードをくっつけるための5/16のネジ穴があります。
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とここまで書けば、ブロードバンド・リングを装着できるかが気になるところですが…物理的には可能です。ただし、コンプレッション・リングよりも、ブロードバンド・リングの方が細いために、少し隙間ができてしまいます。性能に大きな影響を与えるほどのものではないですが、気になる人は気になるかもしれません。
色はカーボンブラック1色のみ。本日入荷です。


次世代サイト AXCEL(アクセル) アチーブ(Achieve)サイト

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次世代のリカーブサイト、アメリカのアクセル社製のアチーブサイトが入荷しました。入荷自体は2週間前にしていたのですが、価格の問題で、ずっとメーカーと話し合いしていました。
はじめに書きますが、このサイトはかなり高いです。高くなってしまった一番の理由は、高度な加工をしているためです。最軽量の競技用サイトを開発するため、設計を頑張ってしまって、組立てと加工がかなり複雑になってしまったようで、原材料費は他のサイトと大きく変わらないのですが、パーツの加工時間(加工するための機械を占有するので原価高騰の原因になります)と組立てにかかる時間が長いのが、高騰の理由のようです。
このサイトはロック(後述)があるRXLと、ロックのないRXの2種類があります。メーカーの地元のランカスター・アーチェリー(アメリカの大手アーチェリーショップ)では、RXが36,000円(359.99USD)、RXLが37,000円(369.99USD)となっています。日本で販売する場合には消費税と日本までの国際送料がかかるので、4万円を超えます。
この価格の問題についてメーカーとずっと話し合って来ました。高性能のサイトですので、多くのお客様に選んでいただきたいのですが、アルティマサイトが23,000円程度なので、40,000円もしてしまうのでは、あまりにコストパフォーマンスが悪くなります。
今回、メーカーから特別にオファーを頂き、1年間限定でかなり安い価格で提供させていただきます。それでも、他社のサイトと比べると安いとは言えませんが、精いっぱいの努力です。RXサイトが33,800円、RXLが34,800円となります。期間限定価格が延長されるかは、2014年までの販売量で決まります。好評であれば、延長していただけるそうです。よろしくお願いします。
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では、商品の話に入ります。現在、競技用のリカーブサイトで最もシェアがあるのは、アメリカ大陸(アメリカ・カナダ・メキシコなど)とオーストラリアではアクセルのAX4500サイト、アジアとヨーロッパでは渋谷のアルティマサイトかなと思います。HOYTを使うアーチャーがアクセル、WIN&WINやSAMICKを使う人が渋谷のサイトを使うことが多いです。もちろん、この2つのサイトには性能差がありますが、それよりも、この傾向が強いのは流通の問題(代理店としてどこのメーカーに強いか)が大きく関係しているかと思います。
アチーブサイトの開発のコンセプトは、今のお客様を満足させつつ、新しいヨーロッパ・アジア市場を開拓するということです。そのためにサイトをとにかく軽くしながらも、重くでき(ウェイトを追加)、力を入れずに操作できるし、レンチひとつで、これまでのアメリカ製サイトのようにしっかりとしたテンションにもすることができます。
特徴をまとめると、
素晴らしい点
・重さはとにかく軽く、調整可能(エリソン選手は軽すぎるのかウェイトを足して使っているそうです)
・組立ては正確に可能(エクステンダーバーとエレベーションバーの接合が3点式)
・調整するときのテンションは自分の好みにセットできる
・サイトボックスを完全にロックできる(RXLのみ)
悪い点
・値段が高い
お客様によって変わる点(アルティマとの比較)
・振動吸収をもとめるお客様はアルティマサイトの方がお勧め
 (カーボンバーを使用・サイトは重いほど振動吸収が良い)
・軽いサイト、弓のバランス、ソリッド感を求めるお客様はアチーブサイトの方がお勧め
 (全体にアルミを使用・軽い・サイトボックスを強く固定、またはロックできる)
という感じかと思います。ソリッド感については、あまり聞きなれない言葉だと思うので、改めて記事を書く予定です(3時間書きましたが、わかりづらい記事なのでボツにしました…書き直し中です)。
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出来上がった重さですが、比較として、カーボンエクステンダーを採用する渋谷のアルティマサイト(RC520カーボン)と比べて、8.5%軽くなっています。数字では17g…ウェイト3/4個程度です。上の写真を見た印象では、どう見てもアルティマの方が軽そうですが、実際は逆です。


全体で 8.5% (219g vs 202g)
サイト本体 6% (174g vs 164g)
マウント・ノブ 18% (45g vs 38g)


アルミを採用しながら、この重さを達成したのはかなり素晴らしいことだと思います。高性能の競技用サイトの中ではこのアチーブサイトが最軽量のサイトです。
*パーツにアルミ合金やカーボン樹脂出来なく、たっぷりとプラスチック樹脂を使った韓国・中国製の1万円以下の低価格サイトではもっと軽いものがあります。
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このサイトは持ってみると驚くほど軽いです。しかし、ちょっと残念なことに、ずっとアクセルのサイトを愛用しているエリソン選手(写真はベガスシュート)には、このサイトは軽すぎるようで、サイトに重りを付けています(エレベーションバーの上下)…。。。
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組立てですが、エクステンダーバーとエレベーションバーの取り付けが、より正確に、よりしっかりと、三点(写真のボッチと2本のステンレスネジ)で固定する方式になっています。また、ボッチはガイドにもなっており、このぽっちを穴に入れれば、自動的にステンレスネジのネジ穴に合わせることができます。他のサイトにはない機能その一です。
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上の写真はサイトブロックを上から(写真上)と下から(写真下)から撮ったものです。上の銀のボタンはサイトボックスを大きく調整するときに使用するものですが、下の銀のアジャスターはサイトボックスとエレベーションバーとのテンションを調整するためのものです。RXLサイトでは、ワンタッチで調整できますが、RXサイトでは、アジャスタースイッチがついておらず、左側のレンチでのみ調整可能です。
アルティマサイト同様に微調整はサイト上部のノブを回ることで行うのですが、この時のテンションが強いほど、エレベーションバーとサイトボックスはしっかりと接合しており、サイトの振動が減少します。しかし、このテンションが強すぎると、調整するときにかなりの力を要します。
女性のお客様からは、アメリカ製のサイトではノブが硬いという意見は以前からありました。しかし、トップアーチェリーの多くは硬い方を好みます(まぁ、40ポンド後半の弓を楽々引く人にはそれは硬くないのだと思いますが…)。ということで、このサイトでは、この部分のテンションをお客様の好みで調整できるようになりました。
振動を減らしたい方はテンションを強く、軽く調整しやすいようにしたい方はテンションを弱めに設定してください。他のサイトにはない機能その二です。
さらに、上位モデルのRXLサイトでは、ロット機能がついています。このロックをかけることで、サイトボックスはがっちりとエレベーションバーに押し付けられ、この部分で生じる振動を最小にします。ただ、ロックをかけたまま調整しようとすると、サイトボックスが故障するので、動かす時は必ずロックを外してください。他のサイトにはない機能その三です。
ロックをかけるかどうか。世界選手権の予選を見ればわかるように、予選や練習場ではトップアーチェリーの多くはサイトの調整を行いながら射っていますが、ワールドカップや世界選手権の決勝ラウンドでサイトを調整するアーチャーはあまり見られないと思います。
12~20本程度で勝敗が出る試合でスので、サイトをいじっていたら、試合が終わってしまいます。それなら、サイトボックスを動かさないのであれば、サイトボックスをしっかりとエレベーションバーにロックし、振動を最小限にすることでサイトとハンドルの一体感をより強くします。
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後は、サイトチャート・ステッカー・パッチがおまけでついてきます。こんな感じです。一つ、このサイトのキーワードになっているソリッド感に関しては、別途記事にします。また、今回はテスト入荷で5台しか入荷していません。次回は5月にまとまった量が入ってくる予定です。

追記、コメントの返信です。サイトピンはコンパウンドのスコープ同様、ナットで固定する形になります。


MK KOREA(MK コリア)のVERA(ベラ)2 リムが入荷しました。

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MKコリアの最新作 VERA(ベラ)2 リムが入荷しました。発売後すぐに世界記録を更新し、一気に有名になったVERAリムの良さを生かすために、基本設計を大きくいじらず、カーブの見直しと素材構成を新しくしただけのリムです。既存のVERAリムも好評のため、引き続き販売は継続します。
今回は高ポンドだけ入荷しています。在庫するラインナップは基本的に38ポンド以上にしようと思っています。それ以下であれば、コストパフォーマンスのよいVERAの方がいいのではないかと思います。また、現在韓国でVERAを使用している選手でも、VERA2に移行する選手は未知数です。VERA2の方がコストがかかっているので高いというだけで、VERA2の方が上位モデルということではないです。
性能と関係がない点では、ロゴの印刷が逆になりました。これは…1月にフランスのブースで見た時には普通に気が付きませんでしたが…よく考えるとVEAR2の印刷の方が一般的かと思います。

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性能に関係するところでは、1点目はカーブの変更。990TXとF7でもそうですが、最近はチップあたりのカーブをきつくするのが流行りのようで、VERA2でもこの部分をより強調するものになっています。写真は手前がVERAで、奥がVERA2リムです。
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写真で分かりづらいかもしれませんが、チップの部分(頭ではなく肩に相当する場所)が少し小さくなっています。また、素材の変更などもあり(後述)、リムの重さはVERAリムに比べて、1%程度、わずかですが軽くなっています。
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素材の変更については、詳細のパーセンテージまではわかりませんが、見て確認できるほどにカーボンなどのファイバー素材の量が増え、コアに使われているウッドの使用量が減少しています。一番わかりやすいチップ部分の写真を撮ってみました。写真の左が新しいVERA2です。2枚のウッドコアが入っているのは同じですが、厚みが明らかに違うことが確認できるかと思います。リムは両方ともにM44の下リムで、リムの厚みからくる違いではありません。
まとめると、
・ロゴの反転
・カーブをより強いものに変更
・チップの軽量化
・リムの軽量化
・素材構成の見直し
と書き出してみるとたくさんありますが、実際どの変更は大きなものではなく、マイナーチェンジ程度の違いです。VERAリムを大きく進化させたというよりも、手堅く開発したような印象を受けるリムです。
…MKコリアはだいぶ成長しましたが、まだ、生産はゆっくりとしたペースです。今回納品されたVERA2リムは1月の発注分。。。。お待たせしているお客様、申し訳ございません。MKコリアではありませんが、以前、急がされて、ウッドの乾燥が不十分なままリムを出荷して、大変なことになったメーカーがあったので、リムメーカーの場合、急がせるというのもなかなかのリスクがあって怖いです。今、2月の発注分を作ってくれているはずです。


新規取り扱い LeBrunet(ルブルネ) アームガード

最近読んだ漫画に面白い一文(三文か??)がありました。
いつの時代も新たな潮流は古きを押し流し、算盤に合わない物は、ドライに切り捨てられてきました。しかし、人間の本質が変わらない以上、生み出されるものには限界があります。時代はどこかで過去を必要とします。
アーチェリーの道具屋で仕入れを担当していますが、古き良きなんてものが存在したためしはないし、逆に、新しければいいというものでもないことを、日々実感しています。その中で、良い商品を見つけて、皆様にお届けできるよう努力しています。ちょっと、心に響いた文書でした。
さて、本日の新入荷はフランスのLeBrunet(ルブルネ)社です。長い付き合いというわけではないですが、4年前から注目し、いろいろとコンタクトをとっていたメーカーです。下が、2009年3月、ちょうど4年前の記事です。
プロの職人が作ったアームガード(2009-03-27)
http://jparchery.blog62.fc2.com/blog-entry-54.html

覚えてくれている読者の方がいたらすごいと思いますが、当時は価格が20ユーロ以上で日本で販売すると3,200円以上、利益をとろうとしたら4,000円近くになってしまう商品で、とても、アームガードとして販売できる価格ではありませんでした。
それからの4年間、このメーカー少しずつ成長をし、コストも毎年下がり、自分としては現在の価格であれば、日本のお客様にも受け入れられるようになったのではないかと思い、本日より取り扱いを開始しました。アームガードとしては、まだ高い部類だと思いますが、職人が木からハンドメードで作った作品として考えれば、この価格なら十分価値ある商品だと思います。

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サイズは2種類、大きめのクラシックと小さなスモールです。素材は9種類あり、7種類の木材と、レッド・ブルーという集成材を使ったものがあります。ほかにはカーボン製のものも取り扱いします。耐久性については、カーボン、プラスチック、ウッドの順になります。木目の美しさと実用性(=薄い)を重視した設計で、厚みがあまりないので、アームガードを一度買ったら買い替えたくない耐久性重視の方にはお勧めできません。では、素材を紹介します。紹介文の一部はウィキペディアと木材図鑑を参考にしました。
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マホガニー – 辺心材の区分は明瞭で、辺材は黄色っぽく、心材は淡紅褐色から淡橙褐色を呈し、金色の光沢がある。 長い間、光にさらすと色合いが濃くなる。また、柾目面にはリボン杢が現れることがある。(木材図鑑)
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メイプル – 辺材は淡い灰白色、心材は灰色を帯びた黄褐色。(木材図鑑)

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バリオーク – 北アメリカ中部と東部の中型から大型の落葉性のオーク。高級車の内装などに使用されている。

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クルミ – 辺心材の区分は明瞭で、辺材は灰白色、心材は褐色を呈す。年輪はやや不明瞭。 (木材図鑑)

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ワイルド・チェリー – 辺心材の区別は明瞭で、辺材は黄白色から乳白色、心材は淡い紅褐色から濃い紅褐色を呈する。使い込むほどに飴色に変色し、高級感がある。 (木材図鑑)

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チーク – 辺材は黄白色で比較的狭い。心材は濃い黄金色で、しばしば暗色の縞をもつ。材面にロウ状の感触がある。 (木材図鑑)

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エルム – 辺心材の境界は明瞭で、辺材は黄白色、心材は灰色を帯びた淡褐色。木目は明瞭で美しい。 (木材図鑑)

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以上の7種の素材に2つの集成材(写真上がレッド・下がブルー)を加えた9種類からお選びいただけます。


W&W INNO EXのグロッシーとマットについて

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INNO EX POWER/PRIMEのグロッシーとマットの違いについて。マットカラーモデルはは本日入荷しました。フェイト側に化粧カーボンを使っている影響か、グロッシーよりも値段が高くなっています。
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フェイト側の写真はカタログなどで多くの方はすでにみたと思いますが、バック側はグロッシーとマットで同じデザインです。金具の部分に光沢があるか、つや消しになっているかが違うだけです。
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両側はしっかりとグロッシーとマットで違っています。細かく確認しましたが、本当にフェイト側のデザインが異なるだけで、チップの形状から、重さに至るまで違いはありません。メーカーの説明通り、商品の性能に違いはないと思います。お好きな方を選んでいただけたらと思いますが、まぁ、同じ性能なのでコストパフォーマンスがいいのは言うまでもなく、グロッシーの方ですね。


ドイツの新しいシャフトメーカー

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Beiterのノックが対応するということで初めて知ったシャフトメーカーさんです。ドイツのAurel Archeryというメーカーで、アルミシャフトとカーボンシャフトを作っています。
最新モデルはOryXというフルカーボンシャフトで、小売価格だとACGとACEの中間くらいの価格帯のものを作っているようです。このシャフトが最上位モデルになります。ホームページをじっくり見てみましたが、まだまだ、イーストンシャフトと競争できるレベルにはないように思います。
昨年のオリンピックだと、イーストン以外の矢でメダルを獲得できたのはCXだけでしたが、新しいシャフトメーカーは次々に生まれている状況です。現状でイーストンと競争できるメーカーはほぼないと思いますが、将来が楽しみです。順調に競合メーカーが成長していけば、10年くらいで状況変わるかもしれません。
Aurel Archery
http://www.aurel-archery.de/


道具に関してのまとまってない話…


お客様からの質問に答えていて、思ったことがあるので少し。最後まで書いて思ったのですが…全然まとまっていない記事になってしまった。でも、削除するのはもったいないほど書いてしまったので、暇があれば読んでみてください。
上の動画は韓国のパク選手(Park Sung-Hyun)です。トップ選手の方やナショナルチームのコーチの方と話している中で、今世紀で一番すごい選手としてよく名前が挙がる方です。
実績としては、シングル1405点(更新される前の記録は1388点)と70mwと70mと50mの世界記録、2度のオリンピック出場で金メダル3に銀メダルが1つ、世界選手権は4度出場し、毎回個人か団体で金メダルを取り、とれなかったときは銀か銅メダルというすごい選手です。
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そんなすごい選手ですが、こちらの写真を見てみてください。奥の選手がパク選手です。
何か違和感を感じませんか。


そうです。弓が長いのです。パク選手の身長は170cmですが、弓は彼女の身長とほぼ同じです。66インチの弓は長さにすると、158~160cmほどですので、こんなに長いはずがありません。写真から見ると168~169cmほどの長さがあるかと思いますが、これは70インチの弓です。
では、170cmのパク選手は矢尺が特別に長かったから、70インチを使っていたのかというと、2枚目の写真。
フルドローに入った時のリムチップを拡大したものですが、リムチップは立ち上がってすらいません。今お持ちの弓を引いてみてください。”常識”で弓を選んでいれば、必ずリムチップは垂直よりもノック側に傾くはずです。このスナップの効果によって、はじめてリカーブが活きて来るので、必ずリムはそう設計されています。
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この写真の状態が正解です。
しかし、パク選手が使っているリムチップの状態から矢を発射しても、リムの性能を生かすことは全くできません。パク選手の引き尺はちょっと覚えていませんが…すみません…このリムチップの位置から推測するに、後3インチほどひかないといけない位置にあるので、27インチ前後だと思います。
では、なぜパク選手が70インチを選んだのか、しかも、それをオリンピックという大舞台で使用したのか、その結果は個人・団体での2つの金メダル。
本人から直接話を聞いたわけではないので、まわりのコーチたちの推測ですが、矢速、リムの性能よりも、弦が鼻につくことにこだわった結果だといわれています。これだけの選手ですから、要望すれば、メーカーはいくらでも特注の道具を作りますが、弦を鼻につけるためには、弓を長くする以外に方法は存在しません。その結果、一般論では考えられない、リムの一番性能が発揮されるリカーブ部分を使わないで、オリンピックに出ることになったのです。
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写真を見ると、確かにしっかりとアンカーした状態でも、ぎりぎり鼻についているくらいなので、68インチだとだめだったのでしょう。
パク選手の選択が正しかったことは、その実績が証明していますが、これは今の時代だからできる選択です。十分に弓具の性能が向上し、リムの性能を生かさなくても、十分な性能を確保できるようになったからこそです。グラスリム・ダクロン弦・アルミ矢で70mを射っていた時代で、鼻につけるためだけに、ここまでリムの性能を犠牲にしていたら、同じ実績を残すのは到底無理だったと思います。

みんな鼻につけるの大事だから、そこで弓のサイズを選んでねという話ではありません。上達するために大事なことは、常に考えるということです。そして、常識に縛られないこと。常識の多くは生まれた時代には正しかったことですが、道具に関していえば、道具は常に進化していますので、1~2年もあれば、変わっていきます。
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まえがきが長くなりましたが、伝えたかったことは、リムの柔らかさは「リムの柔らかさ」にすぎないということです。リムの柔らかさが語るのは引き味だけの問題です。
例えば、リムの柔らかさをリリースのミスを拾いやすい、拾いにくいといった話を関連付ける説は、UDカーボンをはじめとする新しい素材が出てから、あまり意味を持たなくなっています。ミスを拾うかというのはリムチップやリムの硬さのうち、写真でいうと、左右にストレスを与えた時の反応と関係します(もちろん、それだけじゃないですが)。しかし、引き味というのは、写真でいうとリムの前後にストレスを与えた時の反応と関係します。
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アーチェリーのリムにカーボンが使われ始めた時には、リムの反応は全方向に対して同様だったから、そのような説ができたのかなと個人的には思っていますが、現在のリムには方向性があるカーボンが使われています。簡単にいえば、ある方向のストレスにだけ反応する素材です。例えば、U/Dカーボンは単一方向性カーボンという意味で、漢字の通り、並べられた繊維の方向にしか力を発揮しません。
*実際のUDカーボンの写真はこちらに
https://archerreports.org/?page_id=33

そのために、以前と違いリムの硬さは引く方向とねじれる方向とでは、全く別にテスト・測定する必要があります。単一方向や三軸カーボンが使われ始めたことで、リムの引きの柔らかさは、引きの柔らかさ以外の意味を持たなくなってきまいます。引きが柔らかいことは、他の部分の柔らかいことを意味しません。

言いたかったのはそれだけです。長くなりました。
こちらの知識とお客様の知識が食い違ったりすることもあるので、お客様からの質問に対しては、まずお客様の考えている事、実現したいこと、求めていることをしっかりと確認してから、返信するようにしています。やり取りが長くなったりしてしまいますが、ご理解ください。
追記、USA ARCHERYの翻訳が終了しましたので、今日から編集作業に入ります。3月中に終わるといいなぁ~。


新しいテーパーロッド CX-350 HMカーボン

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入荷しテスト終了しましたので本日から取り扱いします。現在、市販されているスタビライザーはほとんどがストレートロッドを使用していますが、以前には、テーパーロッドが流行った時期がありました。ロッドの太さ(直径)が一定ではなく、先端に行くほど細くなっているスタビライザーです。
*正確には「直径」だけではなくHMC Plusのような先端に行くほど「厚み」が薄くなるものもテーパーロッドに入るようです。
テーパーロッドの中でも、極端なもの、例えば根元が20mmで先端は10mmしかないようなスタビライザーは、現在の軽いリム・軽い矢・軽く伸びない弦でセッティングされた弓では、まったくといっていいほど振動を吸収してくれません。部室などに転がっている場合には、試していただくと、弓具の進化が体感できるかと思います。あくまでも重いリム・重さ矢・重く伸びる弦でセッティングされた弓が活躍していた時代の設計です。
そのために、現在ではほとんどのメーカーはテーパーロッドを作ることを止めてしまいましたが、2000年頃に発表されたテーパーロッドのトリプルスタビライザーを、最新の素材(ハイモジュラスカーボン)で再設計し、かつ、テーパーをかなり抑え(30%程度)、根元を太くすることで、テーパーロッドを最先端の弓でも使用できるようにしたのが、このスタビライザーです。
ハイモジュラス(高弾性)というのは一般的にいうと強い(変形し難い)素材なのですが、それをたわみやすい(変形しやすい)テーパーロッドに採用したのは正解かどうかはともかく、面白い選択だと思います。
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43ポンドのINNO CXTハンドルにX10シャフトでテストしましたが、全く問題がありませんでした。ただ、価格は4,800円で、価格からもわかるとおり、けっして、最上位のモデルではありません。
今回、あちぇ屋でこのスタビライザーの取り扱いを開始したのは、テーパーロッドの独特なシューティング感(太く剛性が高い根元までは接続されたハンドルとの一体感があり、柔らかい先端部は別のロッドかの様に振動します)が好きなお客様のためです。トップアーチャーの選択を見てもわかるように(初心者でもトップでもCXTの43ポンドをうった時に発生する吸収すべき振動は大きくは変わりません)、現在の弓との調和を考えると、やはり一般的に優れているのはストレートロッドだと思います。
ただし、セッティングによってはテーパーロッドの感覚の方がいい場合も確実にあるのです。
ですので、このロッドはエントリー向けにお勧めするものでもなく、競技用としてお勧めするわけではなく、取り扱いの意図としては、シューティング時の感覚を変えて気分転換したり、新しい可能性に挑戦したいときにお勧めする一本になると思います。

ちなみに、僕はテーパーロッド(FB S3 30インチ)を使用しています。


新規代理店契約 Bee Stinger アーチェリー

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本題の前に小ネタを二つ。今月の雑誌アーチェリーにWIN&WINの新しいHMC22スタビライザーについて、5色のカラーが存在すると書かれていますが、確認したところ、12月に発表されたカタログ通り、カーボンブラックの1色しかないです。ゴールドなどのカラーが出る予定はありません。
次に、SCOTT(スコット)アーチェリーから「侍」という名のリリーサーが出るようです…確認しましたが、どこら辺が侍なのかはわかりませんでした…でも、せっかくその名を付けていただいたのですから、日本のプロショップとしては、少量発注しないといけないような気に。販売価格5,000円前後のエントリー向けのリリーサーです。3月~4月の入荷予定です。
さて、これから書く記事は今年の初めには考えていたことで、それに向けて準備をして、今週の月曜日にはすべての用意が整ったのですが…昨日の夜に驚きの発表があり、書く内容の価値が半減し、ちょっとショックですが、読んでいただけたら幸いです。
以前にこんな記事を書きましたが、今年のドインカーの新作はさらに剛性を高めているとはいうものの、販売するとしたら、センター一本で3万円を超えてしまう価格です(Doinker Elite Estremo Platinum Hi-Mod 30インチの場合)。定価をつけて、そこから25%引きで販売する大手の慣習から考えると、国内での定価は4万円になります。センター一本の価格です。
そのドインカーの2013年の発表を年始に聞いたときには、びっくりしました。ロッドのスペックは業界をリードする会社ですが、ひたすらに高価な材料から高価なスタビライザーを製造する近年のドインカーの方針には少し失望しました。
例えば、WIN&WINはカーボンハンドルにフィットするようにHMC Plusを開発し、売れ行きは好調ですし、HOYTはプロコンプエリートという弓を特定のスタビライザーセッティングを想定して開発し、発売以来、すごい勢いで実績を上げています。
近年の、商品単体のスペックではなく、その商品をシステム全体(弓全体)に組み込んだ時の性能を見ながら開発していく方向性の方が正しいと思いますが、ドインカーの方向性はちょっとずれていると考えています。
おまけに今年ドインカーではAボムというダンパーがカタログに加わりましたが、ほぼ以前のAボム(2007年ごろにカタログ落ちした商品)を復刻しただけのものです。まぁ、それでも十分にいいダンパーだったので、こちらは販売を考えていますが(4月ごろに入荷予定)、この間、5年以上の時間があったのですから、進化した商品を提示して欲しかったです。
NIMESでもドインカーの人と少し話ししましたが、ドインカーの商品単体でのスペック強化と、それによるラインナップ全体の価格のインフレには、もうついていけないと思い、これから書くのですが、アメリカで現在急成長しているB-Stinger(Bスティンガー)と1月に代理店契約をして、今週の初めに初めての荷物が届いたのですが、なんと、昨日のドインカー社のフェイスブックで驚きの発表がありました。
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Doinker’s NEW sister company line of products Precision Balance, to be launched next month. It will be a completely separate line of Target and Hunting stabilizers. It will have a Non-Doinker dampener on it, and include two 1oz weights on a nice looking glossy finished carbon rod with machined Aluminum and anodized flat black ends, at a retail for about $140.00 on a 33″. The Hunting products will be similar in configuration… just shorter and Dipped in full camo.
All the rest of the details to follow next month 😉


簡単に意訳すると「2013年の3月に小売価格で1万円前半の新しい商品ラインを発表します。」ということです…早く言ってくれよ…と。。。
この想定外の展開にどう対応するかは、詳細の発表を待って、今後考えます…どういった商品を出してくるのか、140ドルの新しいラインナップと、330ドルの現行の上位ラインとをどう共存させるのか見守りたいと思います。まだ、コメントできる段階にはないのでしょう。
さて、戦略が迷走し(*)ている様に感じるドインカーですが、リカーブではFIVICSやWIN&WINにシェアを奪われていますが、コンパウンドの世界でのシェアを急激な勢いで奪っているのが、1月に代理店契約をしたB-Stinger社(とFUSE)です。
*昨日の低価格の新ラインナップの発表でドインカーはより良い方向に向かうと思いますが、ここからの部分はそのニュースを知る前に書いたものです。


本当に世の中便利になったもので…上の動画は2007年の世界選手権のコンパウンド決勝です。団体を選んだので6人の選手が出てきますが、多くの選手がドインカーのスタビライザーやダンパーを使用しているのが確認できるかと思います。この頃がドインカーの最盛期でした。
下の動画は、最新の世界戦(ベガスシュート)の様子ですが、使用している選手が激減しているのがわかるかと思います。別に意図的に選んだわけではありません。リンクは張っていませんが、検索していただければ、2012年後半の世界戦の映像がいくつもあると思いますが、どの試合でも同じ傾向です。
B-Stingerという会社の特徴はドインカーと違い、ゴムダンパーを使用しないことです。ロッドの性能だけで振動を取り除きます。下にカタログのリンクを張っておきますが、カタログにもウェイトとロッドの間に装着するタイプのゴムダンパーはのっていません(ウェイトの先端につけるタイプのエンハンサーはラインナップにあります)。あくまでも、ロッド単体で振動を吸収するという設計をしています。
B-Stinger(Bスティンガー)アーチェリー カタログ 2013
https://archery.co.jp/catalog_CP/BeeStinger2013.pdf

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写真はカタログに掲載されている主な使用選手ですが、見ての通り、ほぼコンパウンドです。ロッド単体だけで振動吸収する設計はもしかしたらリカーブには向いていないのかもしれませんが、コンパウンドの世界では多くのトップ選手がドインカーからB-Stingerに変えました。
振動をしっかりと吸収するために、剛性の高いロッドを使用していますが、それでも価格はある程度に抑えられています(それでも2万円を少し切るくらいなので安いとは言いませんが…)。B-Stingerの関連会社はGold Tipという大口径シャフトでは有名なカーボンシャフトメーカーです。カーボンシャフトメーカーと一緒に原材料の仕入れを行うために、高性能のカーボンを安く仕入れることができ、それによりスタビライザーの価格を抑えています…というわけで、カーボンスタビライザーは他社の同クラスのものに比べて安いのですが、金属製品(Vバーやウェイト)は特に安くなく、競合他社と同じか逆に少し高いくらいになっています…。。。
Gold Tip
http://www.goldtip.com/

ドインカーがここ近年失っていたもの、新しい設計方針(ダンパーなしのロッド)、ラインナップのこまめな更新、価格を抑えた高剛性ロッド…これらを、今一番アメリカで持っているのがB-Stingerです。
*↑ただし、昨日突然発表された新しいラインナップはまさにこの3つを満たしています…1月から準備してきたのに…
と、まぁ、B-Stingerの商品の宣伝というよりは、メーカーの宣伝です。B-Stingerのスタビライザーはコンパウンドの通販を始めた時から販売していましたが、知る人ぞ知るメーカーで、弊社としても、あくまでも代理店の在庫を仕入れて販売するだけでしたが、今後はドインカーにかわるトップメーカーとして成長するのではないかという期待も込めて、今年から直接取引する代理店として新しく契約をしました。
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今週、第一便が入荷したばかりですが、いろいろとテストをして、よりいい形でメーカーとともに成長していけたらと思っています。現在はまだコンパウンドの方にしかお勧めしていませんが、リカーブの方も新しいモデルを開発するようですので、リカーブ・アーチャーの方もこの黄色の蜂がトレードマークのB-Stinger(ビー・スティンガー)、覚えていただけたら幸いです。


WIN&WIN INNO MAX入荷しました。

予定よりも早く、本日、INNO MAXハンドルが入荷しました。予約を頂いたお客様への発送が終了し、”ブラックカーボン”の在庫数が残り少ないです。それ以外の色は代理店にはまだたくさんあるのですが、青は木曜日に次の1本が入荷したら当分は入ってこないので、ご注意ください。

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さて、INNO MAXですが、INNO CXTと比べると圧倒的に違うところは重さです。CXTは重りを追加することで1,300gにすることも可能ですが、ハンドル単体の重さは1,150gしかありません。カーボンはアルミに比べると圧倒的に軽いので、同じデザインで製造するとハンドルはどうしても軽くなってしまいます。イタリアのファイバー・ボウ社のハンドルはフルカーボン(純粋にカーボン繊維だけ)で、重さはわずか600gです。これは、ウッドハンドルよりも軽いです。
それに対して、MAXハンドルはハンドル単体で1,300gの重さがあります。現在、CXTを使用している方で重りなしの1,150gで使用している方がMAXを検討される場合、150gの違いというのは重り付きのサイドロッド1本分にもなるので、MAXハンドルにした場合には、スタビライザーのセッティングの再検討をお勧めします。GMXなどの1,250gあたりのハンドルからの乗り換えの場合は、同じセッティングでいいと思います。
これは具体的にメーカーから製造方法のレクチャーを受けたわけではないので、WIN&WINの人の話を聞いての個人的な推測ですが、フルカーボンで作ると軽すぎるハンドルになります。この対策は主に二つあり、WIN&WINではハンドルの3~4割にフォームを入れて重さ・重心の調整をしていて、UUKHAでは多重カーボンレイヤー構造で使用する接着剤(エポキシなど)の重さでハンドルの重さを作っていますが、MAXではその両方のやり方を併用して、1,300gという重さを作っているようです。


今回のMAXの一番の目標はハンドルの剛性です。高級な高速カメラではなくても、1000fps程度のカメラ(3万円くらいで買えます)で見ても、シューティング時にハンドルが変形していることを見ることができます。それだけ大きくハンドルは変形します。上の動画はGMX/44ポンドですが、ハンドルで5mm程度変形しているのが確認できるかと思います。このハンドルの変形を最小限になることを目的にMAXが設計されています。
そのためには剛性を高めることですが…注意してほしいのは剛性を高めることが振動の減少につながるわけではありません。高ポンドではイコールと言えますが、30ポンド前半や、セッティング次第では、剛性が高くない、ハンドルも一緒になって同調して振動するハンドルの方が振動がないこともあります。今回、INNO CXTもラインナップに残りましたが、ポンドが低いのであれば、MAXの方がよいとは言えません。低ポンドではCXT、高ポンドではMAXをお勧めします。
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ハンドル自体の重さ・バランスと剛性を高めるための多重カーボン構造の次の特徴としては、Tブロック・センターショット・システムです。現状の技術では、カーボンハンドルはリムポケットをあまり高い精度を作ることができないので、このパーツの精度がハンドル全体の精度を決めることになります。
CXTの2012年モデルではここの部分の精度をぎりぎりまで自社のリムに合わせたため、HOYTのリムを装着ではなくなりましたが、2013年モデルではさらに進化し、リムポケットのパーツが1つになりました。CXTでは金属プレートをハンドルの両サイドに張り付けて精度を高めていました。結果、精度を高めるためにパーツを3つ使用し、かつ、それぞれの精度のすり合わせが必要になったため、例えば、金属プレートを1個だけ落としてなくしてしまった場合の修理はちょっと大変な作業でした。
今回のMAXハンドルではこの部分のパーツを1つに統合したので、プロショップの都合と言われるかもしれませんが、メンテナンス・保守は大幅に楽になりました。次に、Tブロックの部分に丸みを持たせました。丸みを持っていないハンドルとの違いは、スムーズにチューニングできることです。
リムのリムボルトではなく、ハンドルに当たる側の接触点はリムボルトの位置を変えると多少変わるのですが、場合によっては、一気に変わる場合があります。チューニングでいうと、ある点までにリムボルトを1/8変えるとティラーが1mm変わっていたのが、特定の場所を過ぎると、1/8回転で2mmもティラーが変わるようになってしまうことがあります。この部分に丸みを持たせることで、チューニングがスムーズになり、チューニングしやすくなります。
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次に、1月にメーカーサンプルを見た時の1番の心配だった点について。グリップのフィッティングです。上の写真は赤が英語版カタログのグリップ、下が日本語リリースでの写真ですが、どちらもピボットがリフレックスしています。この点を確認したところ、良く写真を見るとピボットの問題ではなく、グリップがハンドルにフィットしていないのが原因でした。特に、青のグリップはハンドルの縁から2mmほども隙間が空いている事が確認できるかと思います。
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WIN&WINでは2012年の前半にCXTのウッドグリップを発売しましたが、HOYTのウッドグリップが2,500円程度なのに対して、5,000円以上という価格で登場しました。問題はかなり手間がかかる作り方で作っていたことなのですが、MAXハンドルではHOYTのウッドグリップと作り方になりました。別売りでこの後、MAXのウッドグリップも入荷してきますが、価格は2,000円台後半で出せると思います。写真の左がMAXのウッドグリップで右がCXTのウッドグリップです。作り方が違うため、木目が全然違うのがわかるかと思います。作り方が違っても、高い作り方の方が性能がよくなるという話はないので(耐久性は少し高い方がいいです)、それなら安い方がいいと思います。
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このようにグリップの作り方が変わったのが原因かなと思っていますが、ともかく、グリップの位置はハンドル全体に影響を与える最重要ポイントの一つで、この部分が不安定では、とうてい良いハンドルにはなりえないという話をメーカーに伝えましたが、納品された完成品(上の写真が本日納品された現物)ではしっかりと修正されてきました。本当に良かったです…安心しました。
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写真の左がMAXハンドルのグリップ、右がCXTハンドルのグリップになります。ちなみに互換性はありません。ネジ穴の位置も違いますが、まず、CXTグリップの方が狭いので、MAXハンドルに取り付けることもできません。ご注意ください。
グリップの形はCXTに比べてスリムになっています。さらにグリップの丸みもあまりなく、直線的なデザインで、でコンパウンドのグリップに似ているデザインです。高さはCXTグリップと大きく違いません。
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これまでのINNOシリーズとの大きな違いだと以上の重さ、剛性、Tブロック・センターショット・システム、グリップです。残ったところでは、光沢があるモデルでも、シューティング時に目に入るサイド(フェイス側)はトーンを変え、光沢を抑えたデザインになっています。
また、INNO AL1と同様にグリップの下にダンパーを取り付けできるようになりました。リムボルトは黒・白・青・赤ではCXTと同じ銀、マットブラック・カーボンブラックは黒になっています。後は、メーカー推薦ハイトが2012年の比較すると、5mm低くなっています。
まずはこんな感じです。全体的な印象としてはかなり出来がいいハンドルです。想定ターゲット(販売するときにこういう人におすすめ)もしっかりと高ポンドで剛性が高いハンドルを求めている方と、しっかり決まっていて、ハンドルの設計もぶれていないので、かなりおすすめできるハンドルであると思います。GMXや、CXTでウェイトをいっぱいつけている方はぜひ検討してみてください。後は、少し数を販売してから、再度評価してみたいと思います。