令和のスタビライザー理論 – 1.重心位置

2021年に下記の記事を書きました。当時、自分の理解では(リカーブターゲットでの)スタビライザーセッティングは、重心はハンドル前方の下部にあるのが絶対条件で、その範囲内において、実射しながら調整していくものであるというものでした。

今回、リカーブボウチューニングマニュアルの更新において、個人的にもっと情報量を増やしたいのはスタビライザー選択理論のパートです。そこで、WA世界ランキングトップ5の男性選手のセッティングを読み込んで、セッティングの重心位置を推定しました。使用しているウェイトの素材は写真から判断できるものではないので、完璧に正しい計算結果ではないですが、概ね正しい結果が得られたかと思います。

その結果がこちらです。原点(0.0)はピボットポイントです。ドローフォース軸とは弓が手に押し付けられる力です。押す方のグリップは当然ピボットポイントにありますが、引く方の引手はその反対側4.5cm程度ほど上方にあるノッキングポイントを引くので、このラインは水平ではなく、角度を持ちます。

ピポットされている点はそれぞれの選手の重心位置です。Baptiste Addis選手はほぼ同一線上にいます。つまり弓をまっすぐ押していることを意味します。これは理論上最も正しい重心位置です。一方で、多くのトップ選手は理論上あるべき位置よりも下に弓の重心を押しています。なぜ、ドローフォース軸よりも下に重心を置くのか、その理由を解き明かして行きたいと思います。

*ここでしているのは重心位置だけの話で、そもそも論として、弓の重量に対して十分な体力がなければ意味がありません。すべての議論はあなたに十分な体力があることを前提としています。

おまけ: これは以前の全ア連発行のアーチェリー教本に掲載されていた図です。私もなんとなく眺めて理解したつもりでいました。しかし、ちゃんと見ると何かがおかしいことに気が付きますよね。ピッチングとはなにかは説明できていますが、矢の位置がおかしいです。Z軸はピボットポイントを通っていますが、一方その線は矢のノックに伸びいています。これは絶対的におかしいです。

Z軸が平行ならば、矢のノックエンドはピボットポイントから4-5cm上方にあるプランジャーホールの延長上にあるはずです。このパートは当時のヤマハが図を提供していると思うのですが、なぜ、こんなでたらめな図を作ったのか気になるところです。1988年に最初に出版された初版はもっていないので、次回国会図書館に行くときに確認してみたいと思います。

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山口 諒

熱海フィールド代表、サイト管理人。日本スポーツ人類学会員、弓の歴史を研究中。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、ベアボウ競技歴5年。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は準優勝。

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