
久しぶりにNHKを見たら思い出しました。先日まで心の何処かで考古学って適当な学問だなという印象があったのですが、小さいときのテレビの影響でした。

写真は1992年のNHKスペシャルです。始まって19分半のところで、何の説明もなく、ナレーションがいきなり、「この漢字の上は目である」「下は蚕である」「だからこの漢字は王を表しているのである」と言い切り、前後には専門家のインタビュー・引用もなく、エンドロールには監修者の名前すらない。
上が目なのはまだわかるとして、下は本当に蚕なのか? どのようにロジックで蚕だとするのか、一切説明はなく、それは誰の説なのかだけでもわかれば、調べようはありますが、何の説明もない。テレビが適当なのは当然だとしても、関係する学者の人も抗議しないなんて、適当な学問だなと思った記憶が蘇りました。

いま、読んでいる本・論文の多くで弓矢(投射技術)によって、人類(ホモ・サピエンス)はネアンデルタール人との競争に勝ったとされていますが、どれほど定説になっているのかを知りたく、契約しているU-NEXTで2019年に同じNHKスペシャルとして制作された「人類誕生」を見たら、投射技術による競争優位が取り上げられていたので、世間的にも一般的な説になっているのを確認できたと言っていいかなと。

プラス、真面目に番組が制作されていることにびっくりしました。まずはナレーションから入りますが、そこでは「と考えられています」「新しい証拠が発見され」「従来の説と異なり」と、紹介する説を正しいと断定しません。その後、専門家が登場し、自分で自分の説を語り、あくまでも一学説を解説しているという姿勢です。

その後はこの学説に関する論文を表示バックグラウンドに表示されて、そのいくつかの内容を詳細に紹介していきます。当然、論文の文字が見える大きさではありませんが、少しは知識があれば、これらの論文にたどり着くのは難しくないです。
私の子供の頃は「蚕である」とナレーターが根拠も示さずに決めつけていた番組が、
・説の一つに過ぎないという提示
・誰の説かわかるように提示
・関係論文の提示
これだけやってくれれば、昔のように私が「それは蚕に見えない」と思ったとしても、何を根拠として、誰が主張しているのか、調べてればわかります。NHKさんの今のスタイルのほうが私は好きです。

山口 諒

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