
自分は最近知った情報なのですが、ウィキペディアは去年の10月には更新されていました。こういう情報のアップデートをいち早く知るにはどういたらいいのだろうか。これまで最古の矢じりはアフリカの7万年前のもの1とされていましたが、昨年の論文で54,000年前のフランスのマンドリン洞窟から矢じりが発見されたそうです2。ヨーロッパ地域では最古の矢じりとなります。これまでヨーロッパの弓矢の最古の証拠は約10,000〜12,000年前のものとされていて、多くのアーチェリー関係の本でも、1-2万年前を採用していますが、こうなってくるとやはり、弓矢の歴史を7-5万年前とする説が有力になってきましたね。

発見された213個の矢じり(仮)はサイズによって分類されて、写真下の数字1は弓矢、2は投槍器、3はやり投げ、4は両手で突くを示していますが、10mmは未満のものはそのサイズから矢として使用されたと断言して良いとしています。
そして、あとはやることといえば、前の記事で紹介した再現してヤギを射ることですね。

こちらのチームも再現して、いろいろな投射方法によって吊るされたヤギに当てて、その結果を統計分析しています。今回の論文の写真3はヤラれる前のヤギだったのでモザイクをする必要がなく助かります。

こちらは2021年の段階でのおおよその弓矢の証拠の分布です。ちなみにKaは1000年(kilo annum)という意味です。ここのフランスが大幅に更新されたということになります4。
論文の最後には参考文献が書かれているのですが、それをなんとなく眺めていたら、「日本における最初の人類による弓矢技術の使用5」という面白そうな論文を発見しました。ちょっとちゃんと読む時間がなかった&この記事とは直接関係ないので、AIに要約させてみたのですが
本研究は、日本の初期後期旧石器時代の台形石器が狩猟用の矢じりとして投射されていたことを示しています。これにより、人類が日本列島に到達した時点(38,000年前)で、すでに弓矢技術を持っていた可能性が示唆されます。この技術は、森林が豊かな環境での狩猟において重要な役割を果たしていたと考えられます。
https://www.perplexity.ai/ with GPT4-o
と38,000年ほど前から日本で弓矢が使用された可能性があるとのことでした。これに関連する記事を書くかはわかりませんが、心に留めておきます。
- Marlize Lombard, Quartz-tipped arrows older than 60 ka: further use-trace evidence from Sibudu, KwaZulu-Natal, South Africa, Journal of Archaeological Science, Volume 38, Issue 8, 2011, ↩︎
- Laure Metz et al. ,Bow-and-arrow, technology of the first modern humans in Europe 54,000 years ago at Mandrin, France.Sci. Adv. ↩︎
- Laure Metz, Supplementary Materials for Bow-and-arrow technology of the first modern humans in Europe 54,000 years ago at Mandrin, France ↩︎
- Lombard, Marlize & Shea, John. (2021). Did Pleistocene Africans use the spearthrower‐and‐dart?. Evolutionary Anthropology: Issues, News, and Reviews. 30. 10.1002/evan.21912. ↩︎
- Katsuhiro Sano, Evidence for the use of the bow-and-arrow technology by the first modern humans in the Japanese islands, Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 10, 2016, ↩︎

山口 諒

最新記事 by 山口 諒 (全て見る)
- 【第5回】訳あり品をヤフオクにて放出します - 2024年12月25日
- GASボウストリングから新作ライン「SystmX」を発表 - 2024年12月15日
- SCOTT アーチェリー 2025年リリーサー - 2024年12月15日