この記事は2021年10月6日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

久しぶりの業界昔話3 – 定価の異常

記事の内容をまとめるために、副題つけました。前の2つも内容を見直して、副題つけます。先日、ふと従業員のメモを見たら、会社に対するクレームが…昨日、Windows 11への無料アップグレードが開始されましたが、会社にある一番性能の良いPCでも最小要件を満たしていないので…Wi-fiとPCのSSD化かな…がんばります。

さて、これまでに書いてきましたが、総合商社や国産メーカーが代理店業務から撤退したことで、大手のプロショップが代理店業務をすることとなりました。

プロショップの通常業務はメーカーや(直接お客様に販売していない)専業代理店(Distributor)から仕入れをします。それをコストと利益を載せて、定価としてお客様に販売します。弊社であれば、送料のかからない店頭納品では定価から割引をさせていただきます。通常の小売業、コンビニとか、スーパーとかはこの形になっています。新しいスーパーを作る時に近隣のスーパーから仕入れることはなく、メーカーか卸業者から仕入れるでしょう。

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上のFLEXボンドを例にすれば、私達が500円で仕入れて、50%の利益を乗せて、750円で販売します(以降数字はすべて仮)。しかし、前の記事で書いたようにプロショップが代理店業務もするとなると話が変わってます。ルール(マナー)は2つあります。

1.代理店価格はお客様に販売する価格(小売価格)よりは安い。

2.代理店価格は率での契約。例) 定価 x 40% = 卸価格

ここで500円で仕入れたボンドを40%の利益をのせて、700円で卸販売したい場合、逆算すると、1750円を定価とする必要が出てきます。さらに、卸で買ってくれたプロショップに自分たちと同じ値段で販売すれば、100%の利益はとれますという営業(*1)をするために、自社の販売価格もそれにあわせなければなりません。なので販売価格は卸の倍の1400円とします。

しかし、実際の市場で流通している価格は750円ですので、この部分を独自のポイント還元で割戻することで、代理店業務と小売業務の両方を可能とする日本独自のシステムが誕生し、代理店業務も兼務するプロショップでは、定価と実質の価格が大きく乖離することとなります

海外のプロショップの見れば分かる通り、

通常 - 卸価格(500円) 実売価格(750円) メーカー希望価格(*1より 1000円) (*2実際は9.99ドル)

日本 - メーカー卸価格(同) 実売価格(同) メーカー希望価格(同) 

     プロショップ間卸価格(700円) ポイント還元後の実質負担額(750円) 販売価格(1400円) 定価(1750円)

というあまり正常ではな構造となっています。国産メーカー・専業代理店の撤退という歴史がない国では、このようなシステムが生まれる必然性がなく日本独自です(*3)。

*3 厳密に言えば海外にもあります。納品すべき一式の99%が揃って、1つだけメーカーにも代理店にもない時にプロショップ間取引は存在します。ただ、利益率はゼロに近いので、納期のための最終手段としてのみ存在します。

2000年以降に誕生したプロショップの多くはメーカーとの直接取引、専業代理店との取引がメインなので、あと10-20年も経てば、このような変な構造はなくなっていくのではないかと思っています。

続く。


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Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

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