4年間を振り返る 栄養・栄養学について考える 9

栄養・栄養学について考えるシリーズの9回めです。記事だけでも理解していただけるようになっていると思ってはいますが、より理解するためには上記の本をおすすめします。

これまでの話は下記のリンクからご覧いただけます。

記事カテゴリー - 栄養学 

さて、9回目で長いシリーズで前回の記事が4年前なので、一度短く振り返ってみます。この一連の記事は栄養学という学問に不信感を持ったことがきっかけです。高校でアーチェリーを始めた当時は、本に書かれた内容をそのまま信じていましたが、大人になってみると、不信感が出てきたのです。

これは個人的に不信感を”持っていない”数学の本(ABC予想入門)です。”入門”と書かれているだけあり、実際の内容をかなり噛み砕いて書かれています。まぁ、それは当たり前なのですが、その分十分な中身が含まれていないので、入門を理解できた・解説に疑問を持った・入門レベルの上に進みたいという人のために、より詳細な内容、内容の根拠が書かれているのが、本として当たり前です(知勇学生とかが対象なもの以外)。数学だけではなく、物理学や化学も同じです。

しかし、これは、「決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典」という大人を対象とした本の資料リストですが、入門(=基本)とはいえ、初めて見たときは正気なのかと目を疑いました。薄い本ではありません、240ページもある本です。

例えば、この本には「痴呆症の予防に地中海食」というトピックが登場しますが、参考となる論文すら書かないのは…学問の本として体をなしているのか…理解ができません。これが栄養学に対する不信感の始まりです。

ちなみにこれが今回の記事のベースとなっている本の根拠となる論文類です。クリックすると拡大しますが、60本程度の論文が主張の根拠とされています。論文が存在するから正しいとは限りませんが、裏付けとなる論文が存在するかすらわからないより、遥かにまともです。

さて、栄養学に不信感を持ちながらも勉強していくうちに、たどり着いた結論は、栄養学は研究をしておらず、「栄養に関わる」科学者の研究結果を、まとめる学問ではないかという結論です。

例えば、物理で最近グループによって観測された重力波ですが、その研究によって、ノーベル賞を受賞したのは当然物理学者です。物理が物理学者によって研究されている証拠です。

しかし、栄養学においては、例えば、多くの栄養学の本に引用、管理栄養士の試験にも出るという日本人の食事摂取基準(2020 年版)は何人もの学者が参加して報告されたものですが、座長の専門は「腎・高血圧・内分泌学」、副座長は「地域在宅医療学・老年科学」、ワーキンググループの座長は「疫学保健学講座 社会予防疫学分野」だそうです。いずれも医学博士で、専門は栄養学ではありません。

栄養学は科学なので、絶対どこかで研究はされているのですが、栄養学という枠組みの中では研究されていないというのが、私の結論です。これが栄養学の専門家という人の書く本に対する自分の不信感の原因だったと今では考えています。

長くなりましたが、今回の記事のベースとなる本の「食欲」紹介する本は現在栄養学での課題とされている下記の問題に対する医学ではなく、生物学の専門家によって行われた研究です。

エネルギー産生栄養素バランスは、他の栄養素の摂取量にも影響を与える。これらの栄養素バランスと食事摂取基準で扱っている他の栄養素の摂取量との関連を、日本人の摂取量のデータを用いて詳細に検討する必要がある。

日本人の食事摂取基準(2020 年版)、P168より

簡単に言えば、適切なカロリー量は概ね疑いの余地がないほどにわかっているが、そのカロリーの供給源であるタンパク質・脂質・炭水化物をどのようなバランスで摂取すべきか、それがまだわかっていないので研究しましょう。ということです。これは各国共通の課題です。それを生物学の観点から研究し、一つの答えを出したわけです。

続く


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Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

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