シャフトは精度だけではない-ゴールドチップ耐久性テスト

何度も書いてきましたので、こちらの記事を読んでいただけている方であれば、理解していただいていると思いますが、スポーツ用品において、性能と耐久性は違います。

競技用の上位モデルでは性能を高めるために耐久性を犠牲にしているものもあります。上位モデルがエントリークラスのものよりも耐久性があるという理屈は成り立ちません。シャフトの場合、その性能や精度は数値として表現することができますが、耐久性となるとなかなか知ることは困難です。

一応、使用しているカーボンのグレードなどから推測することは可能ですが、それはあくまでも耐摩耗性などの点であり、製造時の精度をどの程度保持できるかは、製造方法などとのかかわりもあり、与えられた情報だけから計算・推測することは困難です。実際に使ってみないと分からない状況です。

こちらはゴールドチップ社がATAショーで実演しているテストで、理論とかそんなことは抜きにして、実際に曲げてみて、どのくらいで壊れるか見せるという何ともアメリカらしいセールス手法です。それにしてもこんなに曲がるんですね、売っている方もびっくりです(笑)。

いろいろなメーカー試してみませんか?

*アバロンのTEC ONE V1シャフト入荷待ちスパインはほぼすべて1月末に入荷するとの連絡がありました。発売3週間程度で30ダース以上販売しています。ありがとうございます。

シュルード(SHREWD)からエッセンシャルスコープの新色が発表されました。

ATAで、シュルード(SHREWD)からエッセンシャルスコープの新色が発表されました。使用しているレオ・ワイルド選手とアレックス・ウィフラー選手の要望を受けての製造とのことです。

また、新しいリカーブ向けのスタビライザーシステムも発表されました。こちらに関しては価格等がまだ届いていないので、届き次第取扱いを考えたいと思っています。

*好評で現在売り切れサイズがいくつかあるFLEXスコープに関しては、来週の初めに出荷があるそうです。ただし、含まれているサイズ・色の連絡はまだ来ていません。

また、昨年の4月に出荷が開始し、弊社でも高く評価していたONYX(オニキス)スダライザーをチャンス選手が使用する事なったようです。いいスタビライザーだと思います。機会がありましたら是非試してみてください。

“I’ve been able to get close in the past but with the Onyx bars I’ve been able to really feel the difference and see the difference when I’m aiming”.
-Chance Beaubouef

チャンス選手においては、エイミング時のフィーリングがこちらのスタビライザーの評価ポイントのようです。

シュルードからOnyx(オニキス)スタビライザーが入荷しました。いろいろといい感じです。

ミッション(MISSION)の2017年モデル発表、HYPE DTXにマイナーチェンジ

マシューズ傘下のミッションから2017年ラインナップが発表され、現行のHYPE DTがマイナーチェンジし、DTXとなりました。

Mission HYPE-DTが入荷しました

変更点としては、カムに上位モデルにも採用されているウェイトが追加されたことと、ハーモニックダンパーの位置がよりリムポケットに近い位置に変更されました。ウェイトの追加に伴い弓自体も若干重くなっています。本日より、販売モデルを2017年のものに変更しました。

MISSION HYPE DTX
http://cpbow.cart.fc2.com/ca42/821/p-r-s/

ファイビックス(FIVICS)から2017年商品が届きました。

ファイビックスから2017年の商品がどきました。まずは、リプレイス商品について。写真のモデルはフェニックス1500Dエクステンダーです。10層構造のカーボンチューブとアルミフレームの2重構造で、高い剛性を持つエクステンダーです。

新商品の発表に伴い、2016年までのSQエクステンダー(アルミとダンパーの2重構造)は生産終了で在庫限りとなります。特価品に追加しました。

新) FIVICS PHEONIX 1500D エクステンダー

旧) Fivics SQエクステンダー

もう一つ、アップグレードし、色展開が3色なったシューズプロテクターも入荷しました。こちらも2016年モデルを値下げし、特価品に追加しました。

新) FIVICS シューズプロテクター

旧) FIVICS シューズプロテクター 2016

イーストン(EASTON)は間に合うのか…2月に新しいインドアシャフトの出荷を開始。

2017年の新モデルとしてイーストン(EATSON)から新しいインドアシャフト、スーパードライブ23(Super Drive 23)が発表されました。

…って、シャフトの出荷が1月、ポイントの出荷が2月の予定だそうですか…今インドアシーズンに間に合う気がしないのですが…間に合わないと思います。

先日もアメリカのナショナルチームの選手が1名、他のシャフトメーカーへの移籍を発表しましたが、この特徴はライバルのCXやゴールドチップなどが採用しているウェイト追加システムを採用したことです。

2017年はブラックイーグルか・アレックス・ウィフラー選手移籍。

2017年度での発売開始を向けてゆっくり動いていこうと思います。スパインは325/375/475ですが…2017年のカタログチャートには載っていません。やっぱり次のインドアシーズン向けだと思うのですが、この時期の発表になったのは謎です。

早くほしい方はご相談ください。

Superdrive 23 - イーストンアーチェリー
https://eastonarchery.com/target/superdrive-23/

ヒューズ(FUSE)アーチェリー 2017年 カーボンブレード廃盤に

現在、アメリカではATA2017が開催されており、新しい商品が次々に発表されています。順次お伝えする予定です。まずは何もないヒューズ(FUSE)の2017年。

最新のカーボンXラインがそのまま継続ですが、カーボンブレード/カーボンブレードESシリーズが生産終了します。弊社では現在残在庫を確認し、在庫限りでの販売となります。

ほかの代理店に残っている分は取り寄せも可能かもしれませんが、必要な方はお急ぎください。今後、薄型のスダライザーはエリートシリーズのみとなります。

FUSE カーボンブレード ES / パーツ類(コンパウンド店)

2017年はブラックイーグルか・アレックス・ウィフラー選手移籍。

2017年。ベガスシュートの最年少チャンピオンで、2016年のアメリカコンパウンドチーム代表として数々の国際大会に出場したアレックス・ウィフラー選手が、イーストンから、第5の競技用シャフトメーカーとして成長を遂げている、ブラックイーグル(Black Eagle Arrow)に移籍することが発表されました。

近年、アウトドアの世界大会で実績があるのはイーストン/ゴールドチップ/カーボンエクスプレスの3社のみで、ビクトリーがヨーロッパ大会などのレベルで実績を積み上げているという状況の中で、ビクトリーよりも先にブラックイーグルのほうが先に世界レベルで使える4社目になる可能性が急浮上です。

写真は昨年のATAのブラックイーグルのブース。結構熱気のある感じでした。まだ海外には代理店がないようで、当然ながら、インターナショナルセールスデポもないという事で、エンジニアの方と名刺交換だけしてきました。

価格は安くはありません。ビクトリーより少し高く、ゴールドチップよりは少し安く位になります。2017年注目していきたいと思います。世界大会で実績を残せば、取り扱いに向けて動くつもりです。

栄養価計算の方法 栄養・栄養学について考える 4

理論・考え方編が終わったので、実践編に行きたいと思います。その前にテクニカルな栄養価計算の方法について取り上げます。

前回の結論としては「自分で試してみるしかない」としましたが、そのためには、まずは自分が何を摂取したのかということを理解することが必要なのは言うまでもないでしょう。管理方法の一つに、PDCAサイクルというものがあります。計画→実行→評価→改善というサイクルを続けていくことで、より効率的に活動を改善していくやり方です。

この場合、「計画=何をどう摂取するのか決める」→「実行=実際に食べて、練習・試合に参加する」→「評価=パフォーマンスを発揮できたか評価する」→「改善=よかった・悪かった点を整理して、次の計画を改善する」という流れが必要になります。

計画を立てるとき、成分のわかっているプロティンを水で飲むのでない限り、自分が何を食事から摂取しているのかを栄養価計算で知る必要があります。

簡単なやり方は多くあります。アプリを使ったり、ウェブで管理したり、いろいろとあるようで、無料のものから有料のものまであります。自分は使用していないのでアドバイスができませんが、そもそものデータ(国の発表する食品成分表)ですら、誤差がそれりにあるのに、簡易化すればするほど、さらに誤差が大きくなるので、本当にそれで管理できるのか疑問です。やらないよりはマシでしょうが。

ここでは、栄養価計算の一般的なやり方について方紹介します。考え方としては、「何を」「どう調理したか」の2つから、完成した料理の栄養価を計算します。「何を」の部分は食品成分表(またはネットの食品成分データベース)を使用し、どう調理したかはいろいろな資料が存在しますが、ここでは「調理のためのベーシックデータ 第4版(女子栄養大学出版)」のデータを使用しました。

料理はサラダチキンの照り焼きです(*)。

*アスリートシェフのチキンブレスト レシピ -鶏むね肉でパワーアップ! 荻野 伸也 著 を参考にしました。


食材はヘルシーで高たんぱくで人気のセブンイレブンのサラダチキン(蒸し鶏)です。これ単体では自分には味が薄いので、照り焼きにします。

この食材は115gで成分は

カロリー:120kcal
たんぱく質:27.3g
脂質:1.0g
炭水化物:0.3g

となっています。まずは、これを小さく切り、塩とみりんに漬け込みます。漬け込むことでたれの塩分の70%が食材に入り込みます。

塩分 : 1.4g(もともとの食材の塩分) → たれに漬け込む たれの塩分量 2g → 2.8g(1.4 + 2 x 0.7)

となります。そして、漬け込んだチキンに片栗粉(15kcal)を適量つけて焼きます。焼くことで鶏肉はエネルギーが88%、脂質が78%、たんぱく質は98%となります。

よって、チキンは

カロリー:120kcal (120 x 0.88 + 15)
たんぱく質:26.7g (27.3 x 0.98)
脂質 : 0.8g (1.0 x 0.78)
炭水化物:0.3g

となります。

次にたれです。醤油・みりん・かぼす(果汁)・砂糖・水(30ml)を煮詰めて作ります。 成分の合計は上記の通りとなります。

煮詰めたたれは最後にチキンと絡めて完成です。ただ、たれはすべて使うわけではなく、この量ではおおよそ3割程度は残るので、たれは70%摂取したとして計算します。

よって、自分のレシピで完成したチキンの照り焼き(115g)の栄養価は

カロリー:120kcal (120 + 119 x 0.7)
たんぱく質:27.6g (26.7 + 1.3  x 0.7)
脂質 : 0.8g
炭水化物:18.1g (0.3 + 25.4 x 0.7)
- 糖質 推測値 17g程度
塩分 : 4.3g (2.8 + 2.2 x 0.7)

*写真撮るように仕上げにかけたコショウとパクチーは計算に入っていません。

となります。たんぱく質と炭水化物の量が多く、アーチャーにとっての必要性が高くない脂質が少ない理想的なレシピの一つだと思います。ちなみに、たれのカボスをクエン酸を含むレモン果汁に買えれば、クエン酸(グリコーゲンの回復を早めるとされる)も摂取できます。

また、糖質については次回に。

いちいち計算するのは大変ですが、自分の場合、自分用の「アスリートめし」のレシピは10個もないので、1つ計算するのに20分程度はかかりますが、2時間ちょっともあれば全部できるのでそんなに大変な感じはしませんでした。

また、アスリートとして管理しなくても、一度自分で栄養価計算をしてみるだけでもよい経験になると思いますので、ぜひお時間あるときにやってみてください。

続く。

デカット(DECUT)のプラチナムタングステンポイントが入荷しました。

デカットから新しく発表されたプラチナムタングテンポイント(X10用)が入荷しました。120-110-100grのブレークオフポイントです。

入荷したものの精度を測定しましたが、未ブレークオフ時点で+-0.5gr以内という良好な数値を持つよい商品です。価格は現状でイーストンのタングステンステンポイントのほぼ半分です。価値のある商品だと思います。今後在庫しての販売をすることとしました。

DECUT タングステンポイント プラチナム
http://archery.cart.fc2.com/ca27/1268/p-r-s/

栄養学は科学なのか? 栄養・栄養学について考える 3

食生活指針という文部省・厚生省・決定、農林水産省が策定しているガイドラインがあります。ウィキペディアによれば、これは「どのように食生活を組み立てればいいのかを示した指針である」とされています。では、そのトップにある項目は何でしょうか。

1.食事を楽しみましょう。

全くその通りだと私は思います。

さて、前回の記事では間違いについて書きましたので、今回は正しいことについて書きます。記事のタイトル「栄養学は科学なのだろうか」というのは、私の言葉ではありません。これは、佐々木敏さん(厚生労働省の食事摂取基準の策定などにかかわった医学博士)の著書に出てくる言葉です。皆さんはどう思われますか。

栄養学は科学なのかと問うた上で、彼は、

私たちの健康を守ってくれているのは、ヒトの研究の中でも、最新の数編の論文ではなくて、多くの研究者によって行われた、たくさんの研究によって築かれたおちついた情報です。

(佐々木敏の栄養データはこう読む! P.317)

と書いています。誤解を恐れずに言えば、栄養学の中身のほとんどは、正しいことではなく「仮説」なのです。ただ、仮説であってもそれは科学の一様態です(*)。

*科学とはなにかより詳しく知りたい方は「科学が作られているとき―人類学的考察  ブルーノ ラトゥール著」をお勧めします。「仮説」がいかに科学であるかについて書かれています。

ではなぜそのような状態であるのか、そのような状態でなければいけないのか。科学に興味がある方であれば、覚えている方も多いと思いますが、昨年の2月にアメリカのチームが「重力波」を検出したと発表しました。初めの直接的検出です。重力波とは何かを説明するのは難しいのですが、音波が音の波であるように、重力波はその重力の波です。実際に変換可です。

こんな音です。

重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/021200053/

この重力波は1916年にあのアインシュタインによって、その存在が予言されたものです。そして、その仮説が実際に直接的な検出という形で実証され、存在すると確かめられるまで、100年もかかっているのです。

仮説が正しいとされるまで…仮説ではノーベル賞は受賞できないので、1944年の研究が1983年、約40年後にやっと認められて、ノーベル賞を受賞したバーバラ・マクリントック博士(DNAの研究者)は「ノーベル賞を取る条件の一つは長生きする事(受賞時81歳)」とまで言っています。ただし、彼女の場合は女性研究者ということもあり、実証されるまで時間がかかるということ以外の意味も含んでいると思われます。

しかし、栄養学の場合はそうもいきません。重力波の検出であれば、検出するまで焦らず研究すればよいだけなのですが、食事は日々人々が摂取しているもので、仮説が実証されるまで100年間も気長に待っているというわけには行きません。仮説であっても、それで現在、健康問題で苦しいでいる方の健康状態の改善に役立つ(*)ならば、さっさと使ってしまおうという状態なのが、栄養学の実態です。

*実際にはマイナスのリスクが少ないといった基準だと思います

もちろん、仮説の状態で見切り発車して悲劇も引き起こすこともあります。有名例では日本での脚気という病気があります。陸軍が脚気について誤った仮説を採用したことで、10,000人近い脚気死亡者を出したと言われています。

日本の脚気史(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%84%9A%E6%B0%97%E5%8F%B2#.E8.84.9A.E6.B0.97.E6.83.A8.E5.AE.B3

さて、アスリートが摂取すべき食事・栄養というものの根拠である栄養学について書いてきました。そろそろ、具体的な話に切り替えていきたいと思います。

突然ですが、みなさん、ビタミンCはどの程度の摂取が良いと思いますか?

ビタミンCは、1927年と90年も昔に発見された栄養素の一つですが、この利用については現在でも答えが出ていません。同じ人類ですが(笑)、推奨量は英国食品基準庁の40mgを最低に、WHO(世界保健機関)の45mg、アメリカ科学アカデミーでは90mg、日本では100mgとされています。また、日本では成人という枠で100mgの推奨だけがされていますが、アメリカの科学アカデミーでは喫煙者は35mg多く摂取することを推薦しています。また、これはウィキペディアからの情報にすぎませんが、1,000mg(イギリスの25倍!)を推奨する論文(*)もあるようです。

*Vitamin C: Is Supplementation Necessary for Optimal Health?

1,000mgは別として、英国食品基準庁の専門家とアメリカの科学アカデミーの専門家で考え方が違うものについて、正直これ以上私の知識では太刀打ちできません。多くの方がそうではないかと思います。ではどうすればよいのか。

結局、専門家同士でも結論が分かれるものは、どちらも根拠に乏しいからだと考えられます。どちらの説も決定的な”正しさ”を持たないために、しかし、だからと言って「議論が決着するまでビタミンCの推薦量の発表は待て」とするわけにもいかないので、それぞれの国の主流派が推薦量を決めているのでしょう。

それに対して、私たちができることは、もっともっと専門知識をつけていくことではないと思います。そもそも最終的な”答え”が存在していないのであれば、実践レベルでは、自分でリンクを考えながら、いろいろと試してみるしないというのが私の結論です。

続く(次回から具体的な話になる予定)。

参考

佐々木敏の栄養データはこう読む! 佐々木敏 著
栄養学の歴史 (KS医学・薬学専門書) ウォルター・グラットザー 著