理論・考え方編が終わったので、実践編に行きたいと思います。その前にテクニカルな栄養価計算の方法について取り上げます。
前回の結論としては「自分で試してみるしかない」としましたが、そのためには、まずは自分が何を摂取したのかということを理解することが必要なのは言うまでもないでしょう。管理方法の一つに、PDCAサイクルというものがあります。計画→実行→評価→改善というサイクルを続けていくことで、より効率的に活動を改善していくやり方です。
この場合、「計画=何をどう摂取するのか決める」→「実行=実際に食べて、練習・試合に参加する」→「評価=パフォーマンスを発揮できたか評価する」→「改善=よかった・悪かった点を整理して、次の計画を改善する」という流れが必要になります。
計画を立てるとき、成分のわかっているプロティンを水で飲むのでない限り、自分が何を食事から摂取しているのかを栄養価計算で知る必要があります。
簡単なやり方は多くあります。アプリを使ったり、ウェブで管理したり、いろいろとあるようで、無料のものから有料のものまであります。自分は使用していないのでアドバイスができませんが、そもそものデータ(国の発表する食品成分表)ですら、誤差がそれりにあるのに、簡易化すればするほど、さらに誤差が大きくなるので、本当にそれで管理できるのか疑問です。やらないよりはマシでしょうが。
ここでは、栄養価計算の一般的なやり方について方紹介します。考え方としては、「何を」「どう調理したか」の2つから、完成した料理の栄養価を計算します。「何を」の部分は食品成分表(またはネットの食品成分データベース)を使用し、どう調理したかはいろいろな資料が存在しますが、ここでは「調理のためのベーシックデータ 第4版(女子栄養大学出版)」のデータを使用しました。
料理はサラダチキンの照り焼きです(*)。
*アスリートシェフのチキンブレスト レシピ -鶏むね肉でパワーアップ! 荻野 伸也 著 を参考にしました。
食材はヘルシーで高たんぱくで人気のセブンイレブンのサラダチキン(蒸し鶏)です。これ単体では自分には味が薄いので、照り焼きにします。
この食材は115gで成分は
カロリー:120kcal
たんぱく質:27.3g
脂質:1.0g
炭水化物:0.3g
となっています。まずは、これを小さく切り、塩とみりんに漬け込みます。漬け込むことでたれの塩分の70%が食材に入り込みます。
塩分 : 1.4g(もともとの食材の塩分) → たれに漬け込む たれの塩分量 2g → 2.8g(1.4 + 2 x 0.7)
となります。そして、漬け込んだチキンに片栗粉(15kcal)を適量つけて焼きます。焼くことで鶏肉はエネルギーが88%、脂質が78%、たんぱく質は98%となります。
よって、チキンは
カロリー:120kcal (120 x 0.88 + 15)
たんぱく質:26.7g (27.3 x 0.98)
脂質 : 0.8g (1.0 x 0.78)
炭水化物:0.3g
となります。
次にたれです。醤油・みりん・かぼす(果汁)・砂糖・水(30ml)を煮詰めて作ります。 成分の合計は上記の通りとなります。
煮詰めたたれは最後にチキンと絡めて完成です。ただ、たれはすべて使うわけではなく、この量ではおおよそ3割程度は残るので、たれは70%摂取したとして計算します。
よって、自分のレシピで完成したチキンの照り焼き(115g)の栄養価は
カロリー:120kcal (120 + 119 x 0.7)
たんぱく質:27.6g (26.7 + 1.3 x 0.7)
脂質 : 0.8g
炭水化物:18.1g (0.3 + 25.4 x 0.7)
- 糖質 推測値 17g程度
塩分 : 4.3g (2.8 + 2.2 x 0.7)
*写真撮るように仕上げにかけたコショウとパクチーは計算に入っていません。
となります。たんぱく質と炭水化物の量が多く、アーチャーにとっての必要性が高くない脂質が少ない理想的なレシピの一つだと思います。ちなみに、たれのカボスをクエン酸を含むレモン果汁に買えれば、クエン酸(グリコーゲンの回復を早めるとされる)も摂取できます。
また、糖質については次回に。
いちいち計算するのは大変ですが、自分の場合、自分用の「アスリートめし」のレシピは10個もないので、1つ計算するのに20分程度はかかりますが、2時間ちょっともあれば全部できるのでそんなに大変な感じはしませんでした。
また、アスリートとして管理しなくても、一度自分で栄養価計算をしてみるだけでもよい経験になると思いますので、ぜひお時間あるときにやってみてください。
続く。