この記事は2014年2月13日に書かれたものです。最新の情報とは異なる可能性があります。ご注意ください。

TECONからX10用のヘビーポイントが入荷しました。

SONY DSCSONY DSCイタリアのTECON社からイタリア製のX10ヘビーポイントが入荷しました。老舗のポイントメーカーで、こちらの設計に合わせてポイントを製造するメーカーです。

今回はX10のステンレスポイントをベースに考えました。X10よりも安いところを目指しても仕方ないので、より原価が高くても高性能なものにしました。ポイントの頭はX10のものよりも10gr重くしました。その関係で長さが4mm長くなったので、そのまま交換すると矢の長さは4mm長くなります。そして、X10のものよりも1段階多い4段階調整にしました。

製造上は5段階でも、6段階でも製造することは可能ですが、それだけシャフトの中に入るインサートが長くなるので、ポイントの取り外しの難易度が上がり、加熱のし過ぎでシャフトにダメージを与える可能性が増します。また長すぎるインサートはスパインへの影響も高く、シャフトの修正力も落とします。

ですので、今回はインサートを短くするためにもポイントを10gr重く設計し、インサートはX10よりも1段階だけ多い4段階にとどめました。インサート部分は140grのノーカットで使用する場合は、イーストンのもの(ノーカット120gr)と比べ7mm長いですが、同じ120grで使用する場合には、インサートが逆に16mm短くなります。

x10_tecon_point_chart
110/120grはイーストンの推奨範囲内のポイントの重さです。130grはイーストンのステンレスではありませんが、高比重のタングステンポイントではラインナップにある重さです。140grはイーストン推奨範囲内から外れ、130grと比べると0.5%ハイFOCに、120grと比べると1.5%ハイFOCとなります。

x10_tecon_point_energy_chart
また、FOCを上げた時、矢も重くなるので矢速もわずかに低下します。その詳細は上のチャートにまとめましたのでご確認ください。簡単に書くと、10gr矢が重くなると矢速が1%低下します。逆に、矢が重くなることによって、弓の効率性が向上するので、発射されたときに矢が持つ運動エネルギーは向上します(単位はft-Lbs)ので、ポンドが低い事によって1%矢速が遅い矢と比べると、サイトは落ちません。また、運動エネルギーが高いことは風に対しての抵抗量が向上することを意味します。


The following two tabs change content below.
アバター画像

Ryo

(株)JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、コンパウンド競技歴5年、2021年よりターゲットベアボウに転向。リカーブとコンパウンドで全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。次はベアボウでの出場を目指す。

8 thoughts on “TECONからX10用のヘビーポイントが入荷しました。

  1. ヘビーポイントへの質問です。
    イーストン推薦範囲内、例えば100gr-110grとなっている時120grや130grを選択する(矢のバランスを取る)ためには(現在使用中の矢の)スパインを硬くするか(現在使用中のリムの)ポンドを落とすという事になると思います。仮にそのようなセッティングで“矢のバランス”が取れて距離(70m)も問題なく届いたとして軽いポイントと重いポイントのメリット、デメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?素人的には単純に重いと風に流されにくくなると考えて重めでバランスが取れるようにしていたら某ショップスタッフより「なぜメーカーの推薦を守らない?重いと(リリース?)ミスを拾いやすくなる」という趣旨の意見を言われたことがあるので。
    また重いポイントのセッティングが生きてくるのは実質何ポンドぐらいとなるのでしょうか?70mまで届くのであれば(サイトが取れれば)弱いポンドでも試す(実証実験する)価値はあるのでしょうか?弱いポンドだとメリットよりデメリットの方が大きくなるなどが出てくるのでしょうか?

  2. お客様の質問に完璧に答えることは困難です。

    >素人的には単純に重いと風に流されにくくなると考えて重めでバランスが取れるようにしていたら某ショップスタッフより
    >「なぜメーカーの推薦を守らない?重いと(リリース?)ミスを拾いやすくなる」という趣旨の意見を言われたことがあるので

    自分と違って、実際にお客様の射形を見ているプロショップの人間がそういっているのであれば、その通りなのだと思います。最終的にアーチャーが欲しいのはより良いグルーピングです。リリースのミスを拾いやすいが、より高いエネルギーで飛び出し風に流されない矢と、リリースのミスに対して寛容だが、風に流される矢のどちらがよりグルーピングするかと聞かれれば、わからない(人による)としか答えられないです。シューティングマシンであれば前者でしょうし、無風であれば、後者でしょう。

    >70mまで届くのであれば(サイトが取れれば)弱いポンドでも試す(実証実験する)価値はあるのでしょうか?
    >弱いポンドだとメリットよりデメリットの方が大きくなるなどが出てくるのでしょうか?

    ないでしょう。問題はFOCです。ポンドの問題ではなく、低いポンドであれば、当然弱いスパインのシャフトが選択されているはずで、弱いスパインのシャフトは軽いです。110grでも、17%程度のFOCを得ることは容易にできることで、140grなど使ってしまったら、FOCが20%を超えてしまいます。FOCに関してはいろいろな意見があれますが、インドア以外で18%以上のFOCを勧める人はいないと思います。

    ヘビーポイントは重いシャフトと一緒に使用することが前提です。リカーブであれば、550番あたりから生きてくるものと思います。

    ちなみにイーストン近年ポイントを重くしました。2009年あたりまでは、ステンレスは110grまででしたが、(記憶が正しければ)2010年に120grまで引き上げました。個人的には今後、イーストン純正でも130grまで引き上げられる可能性もあると考えています(X10プロツアー、ACプロフィールドのような重心が後方にあるシャフトでハイFOCを得るため)。

  3. >問題はFOCです。ポンドの問題ではなく、低いポンドであれば、当然弱いスパインのシャフトが選択されているはずで、弱いスパインのシャフトは軽いです。110grでも、17%程度のFOCを得ることは容易にできることで、140grなど使ってしまったら、FOCが20%を超えてしまいます。FOCに関してはいろいろな意見があれますが、インドア以外で18%以上のFOCを勧める人はいないと思います。

    では、リカーブで70m、X10を使用している場合に最適なF.O.C.とは何%程度なのですか?

    >ハイFOC

    ハイの意味する定義(重さの範囲?)がわからないのですが。

  4. >では、リカーブで70m、X10を使用している場合に最適なF.O.C.とは何%程度なのですか?
    >ハイの意味する定義(重さの範囲?)がわからないのですが。

    標準的なFOCはアメリカの工業標準規格で9%と定義されています。影響力のあるシャフトメーカーはいずれもアメリカですので、通常のFOCは9%以上でが、個人的には8-10%を標準値として考えています。ぴったりと9%にそろえることに価値はないので、この範囲内であれば、標準的なFOCといっていいと思います。たまに、木を使ったシャフト職人などが違う定義で使用しますが、日本語のサイトを見ている限りではまず遭遇することはないです。

    最適なFOCは人によって異なります。ほぼすべてのチューニングマニュアルで、メーカー推薦のFOCよりも低い設定をすることは無意味であると書かれている反面、高いFOCについては、現状統一された意見は見られません。

    イーストン推薦では、28インチ550番の場合、ステンレスの120grを装着するとFOCは13.6%、110grを装着すると12.5%、100grを装着すると11.4%(簡易測定値)です。タングステンの使用を考慮すると11-15%前後がメーカー推奨値です。

    また、自分だけにとっての最適なFOCは近くのプロショップで射形など見てもらいながら相談することをお勧めします。道具はアーチャーに合わせて選択されるもので、これらの理論よりも、アーチャーがどのような射形であるのかのほうがよほど大事なことです。そのために弊社ではできるだけプロショップを多く持ちたいと考えています。アーチェリーはスポーツですので、理論よりも実践のほうが重要です。

  5. 詳しい解説ありがとうございます。勉強になります。

    >11-15%前後がメーカー推奨値です。
    >理論よりも実践のほうが重要です。

    今テストしている2種類の重さでF.O.C.を測定すると、軽いポイントは約17%、重いポイントは約18%となりました。どちらの重さでも先程の“メーカー推奨値”より大きく外れていますが、ベアでプランジャーを合わせ矢飛びを見てみると重い方(18%)がどちらかというとブレもなくきれいに飛んでいきます。このような理論よりも大きく外れたテスト結果(実践)をプロショップなどの知識・経験が豊富なスタッフでもない素人が「自分だけにとっての最適なFOC」として信じて良いのでしょうか?それともメーカー推奨値内(もっと軽いポイント)で矢飛びの良いセッティングを探すべきなのでしょうか?そこが不安なので理論的な裏付けを知りたかったのですが。

    >これらの理論よりも、アーチャーがどのような射形であるのかのほうがよほど大事なことです。
    射形によって(同じポンド、矢尺であっても)最適なF.O.C.は変わってくるという意味なのでしょうか?

  6. >ベアでプランジャーを合わせ矢飛びを見てみると重い方(18%)がどちらかというとブレもなくきれいに飛んでいきます。

    理論よりも大きく外れているわけではないと思います。前の返信でも書きましたが、

    >ほぼすべてのチューニングマニュアルで、メーカー推薦のFOCよりも低い設定をすることは無意味であると書かれている反面、高いFOCについては、現状統一された意見は見られません。

    ですので、高いFOCがよい結果をもたらすことが理論から外れているということはありません。

    >プロショップなどの知識・経験が豊富なスタッフでもない素人が「自分だけにとっての最適なFOC」として信じて良いのでしょうか?

    何の問題もないと思います。

    >射形によって(同じポンド、矢尺であっても)最適なF.O.C.は変わってくるという意味なのでしょうか?

    はい。ですので、18%のほうがよいと現状わかっても、今後練習し、上達する中で射形が変われば再度テストすることが必要です。

  7. >FOCに関してはいろいろな意見があれますが、インドア以外で18%以上のFOCを勧める人はいないと思います。
    >>ベアでプランジャーを合わせ矢飛びを見てみると重い方(18%)がどちらかというとブレもなくきれいに飛んでいきます。
    >理論よりも大きく外れているわけではないと思います。

    素人的には「インドア以外で18%以上のFOCを勧める人はいないと」と「重い方(18%)…ブレもなくきれいに飛んで…>理論よりも大きく外れているわけではない」とで一見相反するような解説だったので不安に思い色々と細かく質問させていただきました。
    「高いFOCがよい結果をもたらすことが理論から外れているということはありません」、「高いFOCについては、現状統一された意見は見られません」ということなので実射の結果を信じて練習したいと思います。ありがとうございました。

    あと矢に関してついでとなりますが、F.O.C.など矢のバランスを語る以前に「理論的には矢は長ければ長いほど直進性が増すので(的面に届く範囲の重さでベアが合えば)長い矢を使う」という考えの下で射っている人がいます。(実際に当たりは良いようです…しかし適切な長さの矢との比較ではありませんが)この事例もF.O.C.の時と同じように実射で当たるならば(通常のクリッカーでは届かずエクステンションクリッカーを使用しなければならないような)長めの矢を使うことも考え方としては“あり”なのでしょうか?

  8. >あと矢に関してついでとなりますが、F.O.C.など矢のバランスを語る以前に「理論的には矢は長ければ長いほど直進性が増すので(的面に届く範囲の重さでベアが合えば)長い矢を使う」
    >という考えの下で射っている人がいます。(実際に当たりは良いようです…しかし適切な長さの矢との比較ではありませんが)この事例もF.O.C.の時と同じように実射で当たるならば
    >(通常のクリッカーでは届かずエクステンションクリッカーを使用しなければならないような)長めの矢を使うことも考え方としては“あり”なのでしょうか?

    そちらのほうがグルーピングがよいのであれば、間違いなく有りです。

    同様の考えて、インドアでは太い矢のほうが有利と考える人たちがいます。インドア競技では、シャフトを性能ではなく太さで選択することが正しいという考えです。この考えはコンパウンドでは支持されていますが、それをそのままリカーブに当てはめてよいのかは疑問です。

    先日、ラスベガスでインドアのワールドカップがありました。コンパウンド部門では決勝戦の4名ともにルールぎりぎりの太い矢を使用していましたが、リカーブ部門では男子1名のみが太い矢を使用し、このる3名はX10を使用しました。

    Recurve Men Gold – Las Vegas – Indoor World Cup 2014

    Recurve Women Gold – Las Vegas – Indoor World Cup 2014

    インドア競技で、シャフトの性能で選ぶべきか、太さで選ぶべきかについて、それぞれに理論的な理由付けがされていますが、”実践”の結果を見れば、現状、言えることは「当たればどっちでもいい」という一言に尽きると思います。

    シャフトの長さの問題に戻ると、「理論的には矢は長ければ長いほど直進性が増す」という意見は正しいと思いますが、アーチャーが求めているのはグルーピングで、直進性ではありません。他のバランスを犠牲にしても直進性を高めることがグルーピングをよくするかは疑問です。でも、それで当たっているのであれば、何も問題はないと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です