この記事は2010年9月19日に書かれたものです。1年以上前の記事は内容が書かれた当時とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

日本のアーチェリー業界のこれまでとこれから その2

しばらく、いろいろなところへあいさつ回りに行っていました。
前にこんな記事を書きましたが、業界の話を書くのは久しぶりのような気がします。最近、業者同士で話しをすると「ここはブログには書かないでね」と言われるようになりましたが、まだ、そういうミスはしたことないのでご安心を。。。
話を戻しますと、今まで書いてきたのは、小売店(プロショップ)の人材不足。今すぐに何らかの問題が出るわけではないですし、現在のアーチェリー業界は、それなりには回っていますが、しかし、若い人が入ってこないで、高齢化していけば、5年後・10年後、いつになるかはわかりませんが、必ず回らなくなるものがでると思います。
今回は、卸の話を少し。インターネット時代になり、海外の情報に簡単にアクセス出来るようになった今では、海外より平均して40%高い「日本価格」はもう有名だと思います。その理由は日本の本当の卸が存在しないからです。例えば、SAMICKの代理店は自社で直営の小売店もしていますが、卸と小売では同じカタログを使っています。自分が知る限りでは、国内で、卸部門と小売部門で違うカタログを使っている会社はないと思います。
しかし、卸と小売とは相反する業態です。
まずは品揃え。現在、リムだけでも存在するブランドは自分が知っているだけでも、HOYT/SAMICK/WIN/BORDER/CARTEL/SF/KAP/SOMA/MK/KAYA/UUKHA/PSE…まだある気がしますが、12社以上はあります。小売でも品揃えが多ければ多いほどいいとは思いますが、これだけの品揃えをして、その違いを説明することは相当優秀な店員でも困難(*)です。通常は、HOYT+1~2ブランドの勉強・テストを重点的に行って、あとは聞かれたときに一応答えられるように知識を仕入れておく程度です。しかし、卸は逆に取り扱う商品が多ければ多いほど、小売店の要望には答えやすくなります。
*というよりも、優秀な店員ほど、逆によく言えば独自の意見、悪く言えばブランドへの偏見・先入観があるのでより難しいかも…
卸と小売が分離していれば、品揃えを分ければいいだけですが、上に書いたように日本では小売と卸は同じカタログを使っています。
また、今回の大宮店でも直面しましたが、新しい小売店が開店したときには、そのショップと取引することは卸にとっては売上になりますが、商圏が近い場合、また、自社で通信販売もしている場合には、自社の小売側の売上を取ることになり、そして、大抵の場合に利益が大きいのは小売側ですので…
ヨーロッパでは現在専業の卸が一般的です。つまり、卸だけをやって、自社では小売には手を出さずに、街の小さな小売店・プロショップにアーチェリー用品を供給するだけの会社です。
これは昔からの取り決めではなく、競争の結果だそうです。品揃え。これだけで考えても、小売と卸では利益が相反します。ヨーロッパでも専業の卸ではなく、小売兼業の卸がありましたが、彼らは小売側との兼ね合いで、自社の品ぞろえを増やすことができず、また、自社の小売部門と商圏が少しでも被る小売店とも商売がやりづらく、一方で専業の卸業者はひたすら大きな倉庫を作り、小売店とは全く競合しないので取引先を増やし、扱う商品を増やしていきました。扱う商品が多く、小売部門を持たずに自分たちと競合しない専業卸は小さなプロショップに歓迎され、取引が増えるとメーカーからの仕入れも増えて、価格が下がり、さらに取引先が増えるという好循環に入って行きました。
一方で、兼業の卸業者は取引先が減り、仕入れ価格もメーカーからあげられ、しかも、卸部門を簡単になくすこともできないので、在庫が回転が遅くなるという悪循環に入っていったそうです。
そして、卸の専業企業と小売の兼業企業が競争し、少しずつ兼業企業の売上が落ちていき、姿を消していったというのが、ヨーロッパでのアーチェリー業界の歴史です。
正直言えば、上記は完全に勝者が書き上げた歴史ですが、まぁ、YAMAHAがなくなった理由も、日本人ではなくHOYTやSAMICKの人間によって語られるしかないご時世。そもそも歴史ってそういうものなのでしょう。
日本ではどうなるのかなと最近よく考えます。
以前に書いたか忘れましたが、日本のアーチェリー人口の3倍あるフランスにはHOYTの卸(Distributor)は2社しかありません。対して、日本にはその3倍の6社です。フランスの9倍。これはYAMAHAと競争していたは時代に、日本の業者へDealerよりも利益率が高いDistributorライセンスを乱発した結果ですが、日本にハンドル・リムメーカーがなくなり、今後も現れそうにない今、HOYTはこの整理を本気で考えています。
そのあたりのHOYTの意向で日本の卸業界が大きく変わるのかなというのが個人的な予想ですがどうなるんでしょうか。


The following two tabs change content below.

Ryo

山口諒 - JPアーチェリー代表。担当業務はアーチェリー用品の仕入れ。リカーブ競技歴13年、2014年コンパウンドに転向、2018年よりベアボウに挑戦中。リカーブ・コンパウンド両方で全日本ターゲットに何度か出場、最高成績は2位(準優勝)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。