弓道(弓具用品)業界には全日本弓道具協会という団体があります。
加盟会員は35店。全国のアーチェリーショップより少し少ないくらいです。ホームページを見ると、加盟会員が「楽天市場に出店しました」というリリースが出ているので、ネットショップや通販店も会員として受け入れているようです。
この団体の役割は弓道普及の活動だそうです。また、歴史のページをのぞくと弓道用品の歴史について書かれています。
>昭和14年には戦争の影響で物価統制令が施行され…弓具も等級を付けられ、その価格で販売することを強いられた。
>羽に関して、弓道具協会に一括して売却され、それを組合員に配分する仕事を協会が引き受けていた。
>かけ(=タブ)の素材としては、戦前も地鹿(じしか;国内産の鹿)はほとんど使われず。中国からの輸入の鹿が使われていた。
などなどが歴史として書かれていて興味深いです。
さて、業界団体が存在することはメリットのひとつは責任の所在の見える化。
現在、競技的な事柄は全日本アーチェリー連盟をトップとする組織が判断しています。それが正しいかはともかく、判断している団体が存在していることに意味があります。不満があれば訴えればいいのです。
たとえば、ネットで「全日本アーチェリー連盟 平成21年度第1回理事会議事録」なるものが公開されていますが、誰がどんなことを言っているのか一目瞭然で、かつ、最後には責任者のサインがあります。議論の方向が自分の意見と同じかどうかは別として、誰が何を考えているのかは十分わかる資料です。
一方で、判断を下す団体がなければ、「ある人があなたのことが嫌いで、私たちも逆らえないからこうしてくれ」などということがおこり、不満があっても責任の所在はうやむやで誰を訴えることもできません。
自分が学連に所属しながらアーチェリーショップを営業していた時には、「学連の方で学生がアーチェリーショップをやるのはおかしいと言っている人がいる」という話を何度も大学の主将からも聞かされましたが、直接に言われることはなく、学連の幹部の友達に聞いても誰もそんな話は知らないという…。
この場合、関東学生アーチェリー連盟という団体があったからこそ、自分はアーチェリーができたと思っています。団体が存在したことで、「学生アーチェリーショップ店長」に処分を下すには、連盟での話し合いが必要で、その内容を議事録に残す必要があります。グレーな手段でライバル店をつぶそうとする人間にとってそれでは不都合でしょう。
もし、関東の学生アーチェリーがサークルのような議事録を必要としない緩い形で運営されていたら、書面もなく口頭で処分されていたかもしれません…
批判するのはいいことですが、匿名の裏の大物がいて、陰からいろいろな人間をつぶして行くことが続けば、業界は絶対に衰退します。
アーチェリー業界もボスが陰で話し合って決めるのではなく、関係者全員で話し合い、それを議事録に残し、それぞれの考えを形に残して責任の所在を明らかにすることが大事なのではないでしょうか。
今年、実質的にアーチェリー業界の価格カルテルは崩壊しました。
価格カルテル(価格統制)があるうちは、業界トップがみんなで違法行為をしているわけですから、その行為が議事論などで公になってしまう業界団体の立ち上げは不可能でしたが、それが違法行為がなくなった今、みんなで話し合う場の創設の可能性は増してきたのではないでしょうか。
アーチェリー市場自体は縮小していませんが、関係者の高齢化や後継者問題などの課題はたくさんあります。弓道業界に出来るのですから、アーチェリー業界だって…ねぇ。