先週末のJVDオープンでホイットのフォーミュラーXが初優勝。

(Dutch Targetから)

先週末ヨーロッパで行われた大規模なインドア大会JVDオープン。韓国や日本などアジアの選手がほぼ出場していいので、世界レベルの大会とは言えませんが、登場して、さっそくフォーミュラーXが出荷された状態(改造されていない状態)で1位を獲得しました。

いい出だしですね。

今週末はGTオープン(WAインドア初戦)と、近所での江戸川オープンです。


ホイットの新しいプロシリーズリムアライメントシステム。

新しいフォーミュラーXハンドル届きました。発表当時にも評価は難しいと書きましたが、実物見ても評価は難しいです。

評価できるのはリムボルト。これまでのボルト式のリムボルト(エリソン選手どが使用)、その後、騒音対策として導入された可動式、かつ、リムとボルトとの摩擦を低減するためにボルト裏にテフロンを貼ったボルト、安定性を高めるために導入されたコレット式と来ましたが、新しいものはテフロンを排して、リムとボルトとの摩擦を出し、もともとのソリッドタイプのボルトをコレット式にしたものです。

つまり、一週回って、これまでの”改良”とされたものをほぼ排して、コレット式のみ引き継いだということになります。また、リムボルトが装着されるハンドル側もかなり分厚く設計されていて、リムボルトの安定性という面での心配はなくなったと考えます。


しかし、今回はリムが装着されるベースも全面的に刷新されています。リムポケット全体が小さくなり(写真の通りぎりぎり)、シム式から、ウィンのようなねじ式になり、リムとの接点が点(●)から面(■)になり、その2点間の距離も2mmほど広げられました。悪い変更ではないと思います。

ただ、これまでのホイットのダボ(Dowel)では、リムと接する面の角度の調節をダボを回すことで調整できましたが、新しいシステムでは、あらかじめ設計された角度だけとなります。これはセッティングの幅を狭めることとなりますが、一方で、この仕組みを正しく理解せずに、正しく調整していないことによるパフォーマンスの低下を防ぐことになります。

リムポケット全体しては、良いと思いますが、逆に言うと、ウィンと差別化できるポイントも減りました。カーボンハンドのCXTでは最終的にリムポケットの精度を出すために、ハンドルを測定して金属のプレートを貼るという仕様ですが、これがそのまま、ただ、フォーミュラーXでは、その部分をユーザーが調整できるようにしたということでしょう。CXTで実績ある設計なので、問題はなくなったが個性が減ったのかなと。

そして、名前は同じプロシリーズリムアジャストメント…これは変えてほしかったです。プロシリーズ2とか、プロシリーズ+とか、区別してほしかったです。

今週販売始めます。


ホイット(HOYT)の2019年リカーブ、大改革ですが、謎も。

コンパウンドに続き、ホイットの2019年リカーブです。2017年以来二度目の大改革ですが、フォーミュラーモデルは2018年全廃盤で、新規モデルは1つのみ。また、チューニングシステムは新規のものですが、満を持しての登場であれば、GPモデルにも同じものを搭載すると思いますが、エピックには現状のシステムを残すという異例のラインナップ(*)となりました。アレーロを除くとすると、2019年のホイットのリカーブ競技用モデルはハンドルで2モデル、リムは1つのみでバンブーコアのみ、3つだけという、私がアーチェリーを始めて以来の限定されたモデル数となります。

*エピックも順次切り替えていく可能性はあります

タイトルには謎と書きましたが、正直、マーケットに出して、新しいシステムの評価を試して2020年(オリンピック)に向かう感じかなと感じています。なので、通常はホイットのリカーブ上位モデルは2年ごとの更新ですが、来年の2020年(19年秋発表)にも、フォーミュラーXを踏まえての何か出る気がします。

さて、新しいチューニングシステムですが、簡単に言えば、ウィンと同じ方式です。20年近くシムシステムを採用し、かつ、この部分でのトラブルもなく、一度セットしたら、理論的には絶対ズレないことで、評価されていたと感じていますが、ここをウィンと同じねじ式にしてきた理由が正直思いつきません。もちろん、ねじ式に欠点があるわけでもないので、シムシステムからの切り替えは悪いことではありませんが、変更する理由が謎という意味です。

リムボルトはホイット以外のほぼ全メーカーが採用しているソリッドタイプに戻されました。これで、エリソン選手始め、改造されないで使用されるのではないかと思います。ジオメトリーは結局GMXと同じです。ですが、いつものホイットであれば、同じ設計で、ジオメトリーだけ変更して、2-3モデル揃えますが、今回は1本のみで勝負。このあたりも謎です。

リムポケットにウェイトを追加できるシステムも廃止されました。現在、多くのトップ選手に評価され、生産が終了した1年後の今年のワールドカップファイナルでも半数以上の選手が使用していたウッドグリップも選択できません。ウッドグリップのオプションくらい、大したコスト・手間ではないと思うのですが…謎です。

さて、リムのベロス(Velos)ですがバンブーコアだけの選択です。ホイットがリードして来たフォームコアの流れですが、ホイット自身によって絶たれました。正直意味が…。矢速はホイット史上最速とのことで、まぁ、偽りはないでしょう。しかし、すべてのアーチャーが矢速のみを求めるものではなく、だからこそ、ウィンは6以上も競技用上位モデルをそろえていますが、矢速が速いというリムの一本勝負に最大手のホイットが打って出ます。なぜそんな必要がという疑問でいっぱいです。

カーボン840リムは継続です。なので、競技用はバンブーコア、低価格モデルはウッドコアの2モデル、フォームコアリムはホイットのラインから消えます。フォームコアの優位性を散々宣伝してきた、一時は上位モデルはフォームコアのみもやった、このホイット自身の自己否定は、個人的に理解ができないです。

ということで、

・なぜこれだけモデル数が少ないのか
・なぜウッドグリップを廃止するのか
・なぜフォームコアを排除したのか
・なぜセンター調整のシムシステムを廃止したのか

謎ばかりで正直ホイットらしさを感じられないラインナップとなっています。他のプロショップがどう思っているのかわかりませんが、戸惑っています。11月入荷しますが、現状、リムは言葉通り速いでしょうし、バンブーコアも評価はよく、成功しています。ベロスは良いリムとなるでしょうか。対して、フォーミュラーXはホイットの歴史の下でもアクシスのような非常に実験的なハンドルではないかと思います。

今後は実際の実物を見て、来たるインドアシーズンでトップ選手がどう向き合っていくのか見守りたいと思います。GMX使い続けている選手たちは…2019年も使うのかな??