クアトロカーボンリム・初のメダルを獲得

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先週から販売を開始したホイットのクアトロカーボンリムがさっそく世界戦でメダルを獲得です。

17日にモロッコで行われたワールドカップのインドア第一戦(1st Stage)で、世界ランキング7位のリック選手が、HPX+F7リムからHPX+クアトロリムに乗り換え、インドアの世界戦初戦を制しました。

おめでとうございます。

また、XSサイズのクアトロリムの出荷が始まったそうです。来週にはまず、XS-38/XS-40の2ペアが届く予定です。


ホイット・フォーミュラーの価値とは

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大久保店のほうでお客様から煎餅をいただいきました。ありがとうございます。やる気が出ますね!!

さて、クアトロリムのGP(グランプリ)リムのほうは販売を開始しました。さっそく購入いただいたお客様のうち、初期チューニング希望のお客様がおり、3度目のクアトロリムの検品・チューニングに立ち合いましたが、今のところ全部優秀な結果が出ています。益々、期待できるリムです。

ところで、フォーミュラーリムのほうですが、弊社だけではなく、国内で弊社以外ですでに販売用在庫を受け取っている他社でも販売がなかなか開始していないようです。

他社さんの具体的な内部事情までは分かりませんが、やはり、フォーミュラーの将来性について気になっている人が多いのではないでしょうか。

ヤマハがアーチェリー事業から撤退してから、国内で順調だったホイットは(2006年ごろ)G3リムでほぼ全量破損というトラブルを起こし、その次の900CXでは大量のねじれが発生しました。リムの生産がうまくいかない間に、ハンドルはアバロン以来大きなトラブルなく順調だったせいもあり、世界中でハンドルはホイット、リムはリムの品質が良い各地のメーカーという組み合わせのアーチャーが一気に増えました。そこで、2010年にホイットは他社と互換性のないフォーミュラーという規格を新たに発表します。

フォーミュラー規格が発表された当時には、多額の広告費がつぎ込まれて、この規格の素晴らしいさが宣伝されましたが、2013年ラインで既存の互換性があるグリンプリ(2009年までのHDS規格の呼び名を変えただけの旧規格)に再び尽力することになり、2014年にはION-Xハンドルの旧規格モデルGPXハンドルを発表し、フォーミュラー規格が「旧規格=のグランプリ」よりも優れているという宣伝をなくなりました。2014年モデルで、GPXハンドルとION-Xハンドルは同列の競技用最上位モデルとして宣伝しています。

ホイットは当時最新モデルのF7リムを開発した時には、フォーミュラーで優先的に販売を開始し、その一年後にやっとグランプリ規格でもF7リムを解禁しましたが、2014年は同時に2つの規格で発売を開始しました。ハンドルの設計においても、リフレックスデザインのハンドル・テックデザインのハンドルをグランプリで開発し、もちろん、お客様のお好みで選んでいただくのがベストですが、迷っていてアドバイスをもとめられた場合、積極的にフォーミュラーをお勧めする理由がなくなりつつあります。

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↑2014年のカタログでのホイットの旧規格(グランプリ)についての宣伝文句は、「Still the best and original = 私たちが開発した旧規格はいまだ最高である

 

今後も、ホイットが今年のようにフォーミュラーとグランプリと両方に最新の技術を使用した新モデルを投入するのであれば、フォーミュラーという排他的な規格を積極的にお客様に販売する理由がなくなり、グランプリという形で旧規格を復活させたホイットは、もはや以前のように旧規格に対するネガティブなキャンペーンはできないでしょう(上記画像参照)。それは、つまり、フューミュラーの優位性の宣伝もできないということです。

ホイットの2014年の商品力は非常に良いですが、今後の販売戦略は転換点にあるように思います。ホイットがフォーミュラーの生産をストップすれば、排他的規格ゆえにユーザーにできる対応はわずかです。UUKHAとMKのリムを特注することくらいでしょうか。

フォーミュラー・クアトロリムの「価格」を決められないという点では、申し訳なく思いますが、その「価値」に関しても、迷う点が多いのです。他社さんがどんな思いでその「価値」を判断し、どのような「価格」をつけるか見てみたいと思います。

 

*2-3年のうちにフューミュラーに何かあるとは考えません。5-10年単位先の話です。


ウィナーズチョイス、ホイットの2014年モデル向けの生産開始。

536581_320479521346009_167434430_a弊社のコンパウンド向けカスタムストリングを作ってくれているウィナーズチョイス(Winners Choice)から連絡があり、先日ついにホイットからスペック表の連絡があり、来週から2014年のホイットコンパウンド向けのストリング・ケーブルの生産を開始するそうです。

もちろん、すでに手元に2014年モデルがある方は、印刷されているサイズでこれまでも注文はできましたが、お持ちでない方でも、モデル名だけで注文できるようになります。

よろしくお願いします。


XS-Wingsから紫のベインを仕入れてみました。

先日の無錫の世界ユース選手権で優勝した選手が使用したことで話題になりましたが、それよりも、紫のベインを探していてたどり着きました。

ホイットが2014年から新色として紫(Purple)を採用しました。先日、入荷した紫のGMXを見ても、品質の良いアルマイトカラーで、とても良い色で人気が出ると思います。

これに合わせて、アクセサリーでも紫のニーズに増えるかなと思っています。それに対応するために、いろいろな商品の紫を探して、準備を進めているとことです。

 

1382332_204433329728235_867499810_n SONY DSC本日、実際に入荷したものです。パステルカラーの紫ですね。下にあるのは緑…毎度ですがヨーロッパ人の緑は、私には黄色に見えます。。

XS-Wingsについてはご存知の方も多いと思いますが、スロベニアのメーカーで、以前、一時期日本に入ってきていました。品質は非常によいのですが、硬さがあったため、チューニングがうまくいなかなかったり、リリースをミスしたりして、レストなどにヒットすると、クリアランスがうまくいかないことが多かった印象です。その分フィルムベインではおそらく一番硬かったので、畳を貫通しても、原形を保ち、耐久性はばっちりです。

その以前のものではなく、新しくより柔らかいミディアムが登場し、紫があったので再度テストしてみようと思います。

結果が上がり次第、再度記事にします。


ホイットのクアトロリム 評価テスト その2 - 良いリムです。

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まず、結論が書きますと、クアトロリムは非常に優れたリムです。矢速こそF7リムと同じレベルですが、引きが柔らかく、ねじれに強く、安定しており、非常にホイットらしい安定した完成度の高いリムです。矢速では上回ったとは言えませんが、安定性の面では、INNO EX POWERを上回りました。2014年にW&Wが新しいリムを発表しないとなれば、クアトロリムはかなりいいところまでホイットのシェアを挽回できる可能性のある素晴らしいリムです。990TXリムぶりに、プロショップの人間として本当にお勧めしたいホイットのリムです。

上の写真は昨日の採取したデータをわかりやすくグラフにしたものです。振動はX・Y・Zの3軸で発生しますが、人間が感知できるものではないので、3軸の振動(加速度)を公式に沿って合成したものです。

比較のために、W&WのINNO CXTハンドル+INNO EX POWERリム(*)のデータも入れてみました。ちなみに、前のテストではF7リムの矢速が202.6fpsで、クアトロリムの矢速が202.0fpsでしたが、INNO EX POWERリムの矢速は202.1fpsでした。

*同じ68インチ/28インチ引きの42ポンド

グラフを見ると発生している振動の大きさは大きく違いませんが、その収まりの速さが大きく違うことがわかるかと思います。

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それをグラフにしました。「振動の大きさ」はそのまま振動の大きさです。計算の仕方はピックアップ(計測)された合成加速度の量、折れ線グラフの面積です。振動時間は振動が収まるまでの時間です。発射時の振動は一定値以下になると、あとは少しずつ減衰していくので(テストでは振動吸収用品は装着していません)、その値に達した後は別の評価となります。リムの剛性や安定性のテストというよりも、ティラーバランスの適正やノッキングポイントのバランスなどが影響してくる世界ですので、それがリム自体の性能評価に影響を与えないよう考慮しないことにしています。

安定性ですが、それぞれ管理された同一環境で3射ずつでシューティングテストを行っておりますが、その時の計測されたデータのばらつきを評価したもので、数字が小さいほど優秀です。シューティングマシンでリリーサーでシューティングしていても、計測される値にばらつきが出ます。わかりやすい矢速のテストだと、INNO EX POWERでは、

1射目 201.9fps
2射目 202.1fps
3射目 202.2fps
4射目 202.1fps
5射目 201.9fps

といった感じでした。もちろん、リムが原因とは限らず、センサのばらつき、シューティングマシンの微妙な差なども関係していますが、同じセンサ、同じマシンと同じ環境でバラつきがより大きく出るリムがあるとしたら、それがリム自体のバラつきであると考えられます。

テストごとに「振動の大きさ」と「振動時間」の計測値のバラつきを計算したものです。ただ、グラフの大きさが隣の二つにフィットするように、計算値を10倍して表示しています。

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vib_04F7の値を100としてデータを整理すると上記のようになります。フォーミュラリムはともかく、会社の方針ではないので、店舗では違った対応になっているかもしれませんが、一般的なILFリムで予算関係なくお勧めのリムと聞かれたときは、今まで迷わずINNO EX POWER(またはプライム)をお勧めしてきましたが、F7はともかくとして、INNO EX POWERよりも良い値を出してきていることは驚きです。

リムが重い分、ドローレングスが短い方や、ポンドが低い方には軽いINNO EX POWERリムの恩恵は大いにあると思いますが、引き尺が27インチ以上あり、40ポンド以上であれば、INNO EX POWERから乗り換えても違いを感じることができると思いますが、ただし、振動の大きさ2%、振動時間で17%とでそこまで大きな差ではなく、チューニングして、スタビライザーセッティングを見直すだけで達成できなくもない数字ですので、INNO EX POWER/MK/RCX-100あたりのお客様に積極的に買い替えをお勧めはできませんが、ホイットのF3/F4/990TX/KAYAなどのリムをお使いの方であれば、きっと気に入っていただけるリムだと思います。違いも実感できるはずです。

 

(まぁ、INNO EX POWERはW&Wが2010年に送り出した商品なので、2014年モデルでやっと追い越したとも言えますが)

 

あとは、リムの破損が少なくなれば、INNO EX POWER登場からW&Wに奪われたシェアを取り返す力が十分にあるリムです。

…問題はリムの値段が高い事ですね…すごくいいリムなので、皆さんに使っていただきたいのですが、販売価格をどうするか、もう少し考えさせてください。リムの値段が高いだけではなく、何を迷っているかといいますと、グランプリのほうはメーカーから低価格でレンタルリムを提供してもらっていますが、フォーミュラのレンタルリムは価格がかなり高いのです。現行のフォーミュラF7リムとGP F7リムで販売価格に大きな違いがあるのもそういった理由なのですが…。。。

価格が決まっていなくとも、(価格未定でも良いといった常連のお客様へは)すでに5ペア以上納品しているので、射場に行ったら見かけることもあるかと思います。

GP(グランプリ)・クアトロリムのほうは間もなく販売開始します。


HOYT テックライトクイーバー … 気が付きませんでした。

img0244クイーバー本体の両側にホイットのロゴがあって、左右兼用のHOYT テックライトクイーバーですが、在庫分が全部売れてしまったので、再発注をしたところ、販売終了しているといわれました…確かにホイットの2014年のカタログからは消えています。完全に見逃していました。結構人気があったので、気が付いていたら、発注の時点で買い占めたのですが…申し訳ございません。販売終了商品のカテゴリーに移動させて、1か月後をめどにカートから削除します。

変わるものとして、新規に左右兼用のクイーバーはホイットからは発表されてません…。後続モデルなしです。残念です。


ホイットのクアトロリム 評価テスト その1.5 - 全テスト終了

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cxtすみません。1.5ということで。本日すべてのテストを10分前にやっと終了できました。分析もして本日中にすべて書き終えようとしましたが…無理して徹夜するよりも、一晩頭の中で熟成させて明日にその2を書きたいと思います。

写真は上からHPXにクアトロリム、HPXにF7リム、参考としてINNO CXTにINNO EX POWERリムのリムの振動データです。

 

IMG_20131113_195154センサーの位置はここです。すべて各メーカーの最新の上位機種ですので、見てわかるほどの明らかな違いはほとんどないように見えます。このグラフのもとになってい膨大な数字の羅列(CSV)がありますので、それを分析して結果を出します。

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これらは公式に手順が定められたテストですが、一つ参考値になればと思ってやってみたテストがあります。

今回、F7リムとクアトロリムでは、手でリムチップをねじってみればそれだけでわかるほどの剛性の違いがあります。と、口で言っても、店舗から遠くにお住いのお客様には伝わりに行くので、写真のようにリムと交差する位置にレーザーポインタを張り付けて(写真上)、そのドットを紙の上に落とし(写真下)、その状態でリムチップに対して回転する方向の力(トルク)をかけて、2kgの力をかけた時、レーザーの点がどれだけ移動したのかを測定しました。

聞いていてわかるとおり、いろいろな点で誤差が出そうなテストですので、厳密な結果とは言えません。参考値としてください。

 

リムチップを2kgの力でねじったとき、F7リムに生じたねじれを100とした場合、クアトロリムを同等の力でねじったとき、リム発生したねじれは49でした。つまり、少なくともリムチップまわりでは約倍ねじれ剛性があるといえます。(F7でドットは5.3cm移動した、クアトロでドットは2.6cm移動した)

誤差が多いのであくまでも参考値です。15%位の違いだったら発表しないでお蔵入りしようと考えてましたが、予想以上にはっきりとした差が出たので、このテストも手順を改善すれば、価値のある情報になるかもしれません。

 

続く。


ホイットのクアトロリム 評価テスト その1 - 設計と矢速

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ホイット(HOYT)のクアトロ(Quattro)リムが入荷しましたので、本日テストを行いました。その1です。

SONY DSCこのリムの売りは対F7リム比で40%も剛性が向上し、安定性が向上したこと…とカタログに書かれています。これに関しては、明日、再度テストし、その2に書きますので、本日、それ以外の話です。

リムにはSPEED(スピード)とも書かれています。剛性が向上し、スピードも向上していたら、かなりすごい事ですが、カタログを見ると、矢速も向上しているとは書かれていません。

IMG_20131112_120615ということで、まずは矢速をF7と比較しました。

結果は下記の通りです。

F7リム : 202.62fps

クアトロリム : 202.02fps

と2012年に登場したF7リムのほうが矢速が速いという驚くべき結果になりました。わずかな差ですが、およそ1ポンドで2fpsほど矢速が変わるので、0.3ポンドほどF7のほうが矢速が速いということになります。

*初速を計測。5射平均値。HPX25インチハンドル、8190弦(105.4gr)、X10 550(312gr)、実質42.0ポンド、ティラー差5mm、ハイト8.5インチ、ATA28インチ引き、イーストンの矢速計による計測。F7・クアトロいずれもMサイズのフォームコアリム。68インチ。バランスのため、センタースタビライザーのみ装着。シューティングマシンによるリリーサーリリース。

 

なぜ、F7リムのほうが矢速が速いという結果になったのかというと、リムの重さが全く違うからです。

F7リム(M38) : 383グラム(上リム191、下リム192)

クアトロリム(M38) : 415グラム(上リム207、下リム208)

とF7リムと比べて、8%もリムが重くなってしまっているのです。それでも、ほぼ同じだけの矢速を達成しているので、設計としては悪くないと思いますが、アーチャーが体感する矢速という点では、クアトロリムに変えて、矢速が上がったと思うことはないでしょう。その分、引きは柔らかくなり、触っただけでも、ねじれ剛性がかなり向上しているのがわかります。具体的な数値は明日に計測する予定ですが、今回のクアトロリムは重く・矢速が向上しなくても、剛性と安定性を重視したリムになっているといえます。

F7リムという軽く矢速が速いリムが登場した時には、多くのアーチャーがW&Wのリムっぽいという感想を抱きましたが、クアトロリムで矢速よりも安定性を重視した創業者ホイット氏の信念に回帰したリムといえます。

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細かい部分を見ていくと、リムチップまわりはF7リムと同じです。写真はともにクアトロリムのほうが左、右がF7リムですが大きな違いはありません。

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少しわかり辛いですが、上の写真の左側の手前がクアトロリムで、奥がF7リム。写真右の奥がF7リムで、手前が990TX(F4)リムです。リムチップを真横から撮影したものです。今回もリムのカーブはほぼ同じですが、新しいリムになるたびに、わずかにリムチップのカーブが強調されて、立ち上がってきているのがわかるかと思います。

 

SONY DSC多くのディーラーからクレームが上がっているリムロッドを取り付けるブッシングのすき間に関しては、改善がなされなかったのは残念です。弊社ではこのすき間が原因での故障、リムロッドブッシング交換・修理が3件発生しています。金具を変えてブッシングとリムの接する面しっかり密着させるというだけの話だと思うのですが…。その方が振動吸収性も向上するので、2015年に期待というところでしょうか。

SONY DSC改善がなされたという点では、リムとポルトの接合部の設計がW&Wと同じになりました。トラブルが発生してから、シールを貼ってみたり、リムボルト側の素材を変更してみたりしましたが、INNO EXシリーズのような設計が、結局このタイプが一番リムが安定すると思います。

次回に続く…


ホイットGPXハンドルのリフレックスについて

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ホイット(HOYT)の2014年のリカーブモデルがすべて入荷しました。コンパウンドは一部もう少し時間かかります。クアトロリムについては時間がないので明日になりそうです。

まず、GPX(グランプリ・エクストリーム)ハンドルについてのレビューを書きたいと思います。

発表があって、届くまでの3週間の間に最も多かった質問は、具体的なスペック等よりも、GPXとはいったいどんなハンドルなのかというものでした。毎年、ホイットのリカーブハンドルの設計を追い続けている人には、明白にION-Xの作り変えとわかりますが、「久しぶりに普通のリムが装着できるホイットハンドルが出た」と、何年ぶりかにカタログを見た方には、この設計がびっくりなのもわかります。まずはその説明からします。

エアロテックハンドル(2004年ごろ)から、ホイットが作った来た上位モデルのハンドルです。赤線をたどっていけば時間軸に、発売順にたどれます。ホイットの一番の特徴は基本設計をすぐに変えてしまうことです。これが好きな人もいれば、嫌いな人もいて、プロショップとしては…難しいところです。

デフレックスのハンドルの時代(へリックス・ネクサス)には、デフレックスハンドルが一番安定しているので、これが最高の設計だと宣伝し、次のスタンダード(ストレート)設計のGMXハンドルは、人気があり一時代を築いたゴールドメダリストの正当な後続モデルだから、すごく安定していると宣伝し、リフレックス時代のHPXでは矢速を向上させ、安定性も損なわないという宣伝文句…。この間ハンドルに関する特に特記すべき進歩はリムボルトくらいしかないのですが…。

デフレックス・ストレート・リフレックスに、テックありとテックなし。この10年で6つ種類の組み合わせすべてをホイットは作ってきたのです。ホイットの競合・ライバルたちは、W&W・MKコリア・SF・FIVICSに、かつて、一時代を築いたサミックまで、みんな基本設計のハンドルのみに専念しています。競合のアジアメーカーだけではありません。アメリカのPSE、フランスのUUKHA、イタリアのスピギャとファイバーボウも、最上位モデルでは基本設計のハンドルしか作っていません。

グラフでいえば、赤線が画面全体をうごいている間、他の競合メーカーはほぼ緑の枠内でしか、あくまでも基本の設計を変えずに、素材やリムポケットの設計・グリップの設計などに専念して来ました。

確実にその流れの中にこのGPXハンドルというものは存在し、そして、現在のホイットはリフレックス設計にぞっこんなのです。

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GPXハンドルはホイットでは、ILF(*)では4番目の競技用テックハンドルになります(エントリーモデルではエクリプスなどもありました)、これまでの設計の遷移が、上の写真でわかるかと思います。

*HDS・ILF・GP(グランプリ)…すべて同じ事ですが、ようはフォーミュラーシリーズではない、一般的なリム接合ハンドルのことです。

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上の写真は、ILFモデルでは一世代前に相当するGMXハンドルとの比較です。リムボルトの位置を揃えて写真を撮っています。写真の通り、実測で約2cm、GPXハンドルのバック寄り(左側)のプランジャーホールが、GMXハンドルのフェイス寄り(右側)のプランジャーホールと重なる位置に来ます。その分グリップの位置が後退しているのです。ポンドにすると、GMXハンドルからGPXハンドルに変えることで1ポンド強(40ポンドの場合)、実質ポンドが上がります。これがこのハンドル最大の特徴です。

また、このポンドアップはリムの差し込み角度が変化することによりポンドアップ(普通のポンドアップ)ではなく、実質的に引き尺が長くなることによるポンドアップですので、1ポンド強いリムに買いかえるのとは全く別の現象です。実質的に引き尺が長くなるので、引き尺が短く、かつ、ホイット以外のリムを使い続けたいという方には、ぴったりのハンドルと言えます。

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そのほかの特徴としては、リムポケットの軽量化がされ、ハンドルにも溝が入っており軽量化がはかられています。この溝はバック2か所、フェイス側3か所と計5か所に施されています。重さは実測での計測値は約1,360g、カタログ値は1,304gで、5%の誤差です。

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写真で伝わるでしょうか…グリップは2014年仕様のハイグリップが装着されているのですが、もちろん形は同じです。一点、テカりが半端ないです。ニスがかなり塗られていて、触り心地はむしろプラスチックに近くなっています。個人的にはあまり…シックでマットな感じがウッドグリップの良さだと思っているので…まあ、ニスを落とせばいいだけなのですが、今後登場予定のカラーハイリストグリップでは、色も一緒に落ちたりする可能性もあるように思います。

 

 

SONY DSCもう一点、カウンターブッシングは2か所あり、これまでGMXのカウンターブッシングがあったリムボルトの少し上に加え(リアブッシングと言う方が正式らしい)、W&Wなどで採用しているグリップ下にもカウンターブッシングが装着できるようになりました。

別のところの変化としては、ホイットのグランプリシリーズに対して推薦ハイトの範囲が低くなりました。

66インチでは 8.25~9インチ が 8.25~8.75インチに、68インチでは 8.5-9.25インチ から 8.5~9.0インチに変更になりました。短い方のハイトは変わりませんが、あまりハイトを高く設定しないようにという変更です。

 

以上

 

・リフレックス設計で引き尺を伸ばして矢速の向上がはかられる

・リフレックスデザインでW&Wなどの他社のリムが使える唯一のハンドルである

・カウンターを2か所で装着できる

 

が、このハンドルの大きな特徴でしょうか。矢尺が短い方、または、リフレックスに興味があったが、ホイットのリムしか装着できないION-Xは見送っていた方にはおすすめです。

 

ただ、GMXハンドルの基本に忠実なクラシックなデザインを愛する人間は世界中に多くいます。2013年の世界選手権でも、5代前のモデルに相当するGMXハンドルを使用している選手はかなりいました。W&Wなどのメーカーで5代前のモデルを使用している選手は、まず世界大会では見かけないので、GMXの設計がどれだけ評価されているかがよくわかる事実だと思います。

GMXハンドルをリプレイスするだけの力があるハンドルではないです。あくまでも、GMXに代わる選択肢としてご検討ください。


ホイット(HOYT) 2014商品 出荷開始

ホイットの2014年モデルの出荷が始まったという連絡が木曜日にあり、金曜日に無事出荷されました。

下記の商品が月曜日の予定で到着します。

Hoyt Handle GMX 2014 25″ RH Purple

Hoyt Handle GPX 2014 25″ RH Jet Black
Hoyt Handle GPX 2014 25″ RH Painted Pearl White

Hoyt Limbs Grand Prix Quattro Carbon/Foam
68″-38#
68″-40#
68″-42#

Hoyt Limbs Formula Quattro -Carbon/Foam
68″-38#
68″-40#
68″-42#

GMX/GPXは在庫に登録しました。

クアトロリムは月曜日到着後、テストしてから価格を決めて、在庫に登録し、水曜日までには販売を開始したいと思います。

ホイット自身は40%と言っていますが、実測で、クアトロリムがF7リム比でどれだけ進化しているか楽しみです。