FIVICSのDP Vバーが少量入荷しました。

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本日、FIVICSのDP Vバーが少量入荷しました。通常の開き角度のVバー機能に加え、センターから見て、90度方向・270度方向にも5/16のメスねじがついていて、5/16サイズのダンパー、270度の位置にある穴がちょうどサイトの反対側に相当するので、サイトの重さのカウンターウェイトを装着することができます。
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通常のVバーとして使用するとこんな感じです。
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ただ、横にあるネジ穴がデザインの制約で深くはありません。取り付けできるネジの長さは12mm程度です。弊社の在庫品だと、モジュラースタビライザーなどがぎりぎり取り付けできません(1mm程度のワッシャーを入れれば取り付けできます)。購入時は事前に使用する予定のダンパー・ウェイトのネジの長さを確認してからご購入ください。


FIVICSの新型ダンパーが少量入荷しました。


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昨日FIVICSから荷物があり、今回の荷物でDP・TRI Vバーが入荷するはずでしたが、生産の遅れで3月末になってしまうようです。
今回の荷物で唯一入荷した新商品は、LVTダンパーです。この商品自体はFIVICSブランドではなく、SOMAという現在はFIVICSのセカンドに相当するラインの商品ですが、卸価格自体はセカンドラインの価格ではなく、V-ZEROとほぼ同じ価格だったので気になっていた商品です。
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大きさはV-ZEROよりも少し短く。よりたる型になっています。重さはV-ZEROよりもわずかに重い程度(6g)。ゴムの硬さはほぼ同じです。
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FIVICSのラインナップにあるVZ-1500よりは小さく、WIN&WINのHMC+スタビライザーに装着するとこんな感じです。10個だけ入荷しています。よい感じの商品だったので、次回の入荷である程度まとまった数をとる予定です。
性能はV-ZEROダンパーなどと同様ですが、ダンパーのロゴはセカンドラインの「SOMA」となっていますので、ご注意ください。


B-stinger製品が充実!

 先日の本店ブログ記事で既報の通り、正規代理店契約を結んだ「B-stinger」。

多くの海外トップ選手や国内の選手に人気の高いB-stingerのロッドを展開。
ターゲット用スタビライザーとして最高峰の「プレミアプラスシリーズ」他、アクセサリーの種類や在庫を大幅に増やしました。

ぜひご注目ください!


新しいテーパーロッド CX-350 HMカーボン

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入荷しテスト終了しましたので本日から取り扱いします。現在、市販されているスタビライザーはほとんどがストレートロッドを使用していますが、以前には、テーパーロッドが流行った時期がありました。ロッドの太さ(直径)が一定ではなく、先端に行くほど細くなっているスタビライザーです。
*正確には「直径」だけではなくHMC Plusのような先端に行くほど「厚み」が薄くなるものもテーパーロッドに入るようです。
テーパーロッドの中でも、極端なもの、例えば根元が20mmで先端は10mmしかないようなスタビライザーは、現在の軽いリム・軽い矢・軽く伸びない弦でセッティングされた弓では、まったくといっていいほど振動を吸収してくれません。部室などに転がっている場合には、試していただくと、弓具の進化が体感できるかと思います。あくまでも重いリム・重さ矢・重く伸びる弦でセッティングされた弓が活躍していた時代の設計です。
そのために、現在ではほとんどのメーカーはテーパーロッドを作ることを止めてしまいましたが、2000年頃に発表されたテーパーロッドのトリプルスタビライザーを、最新の素材(ハイモジュラスカーボン)で再設計し、かつ、テーパーをかなり抑え(30%程度)、根元を太くすることで、テーパーロッドを最先端の弓でも使用できるようにしたのが、このスタビライザーです。
ハイモジュラス(高弾性)というのは一般的にいうと強い(変形し難い)素材なのですが、それをたわみやすい(変形しやすい)テーパーロッドに採用したのは正解かどうかはともかく、面白い選択だと思います。
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43ポンドのINNO CXTハンドルにX10シャフトでテストしましたが、全く問題がありませんでした。ただ、価格は4,800円で、価格からもわかるとおり、けっして、最上位のモデルではありません。
今回、あちぇ屋でこのスタビライザーの取り扱いを開始したのは、テーパーロッドの独特なシューティング感(太く剛性が高い根元までは接続されたハンドルとの一体感があり、柔らかい先端部は別のロッドかの様に振動します)が好きなお客様のためです。トップアーチャーの選択を見てもわかるように(初心者でもトップでもCXTの43ポンドをうった時に発生する吸収すべき振動は大きくは変わりません)、現在の弓との調和を考えると、やはり一般的に優れているのはストレートロッドだと思います。
ただし、セッティングによってはテーパーロッドの感覚の方がいい場合も確実にあるのです。
ですので、このロッドはエントリー向けにお勧めするものでもなく、競技用としてお勧めするわけではなく、取り扱いの意図としては、シューティング時の感覚を変えて気分転換したり、新しい可能性に挑戦したいときにお勧めする一本になると思います。

ちなみに、僕はテーパーロッド(FB S3 30インチ)を使用しています。


新規代理店契約 Bee Stinger アーチェリー

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本題の前に小ネタを二つ。今月の雑誌アーチェリーにWIN&WINの新しいHMC22スタビライザーについて、5色のカラーが存在すると書かれていますが、確認したところ、12月に発表されたカタログ通り、カーボンブラックの1色しかないです。ゴールドなどのカラーが出る予定はありません。
次に、SCOTT(スコット)アーチェリーから「侍」という名のリリーサーが出るようです…確認しましたが、どこら辺が侍なのかはわかりませんでした…でも、せっかくその名を付けていただいたのですから、日本のプロショップとしては、少量発注しないといけないような気に。販売価格5,000円前後のエントリー向けのリリーサーです。3月~4月の入荷予定です。
さて、これから書く記事は今年の初めには考えていたことで、それに向けて準備をして、今週の月曜日にはすべての用意が整ったのですが…昨日の夜に驚きの発表があり、書く内容の価値が半減し、ちょっとショックですが、読んでいただけたら幸いです。
以前にこんな記事を書きましたが、今年のドインカーの新作はさらに剛性を高めているとはいうものの、販売するとしたら、センター一本で3万円を超えてしまう価格です(Doinker Elite Estremo Platinum Hi-Mod 30インチの場合)。定価をつけて、そこから25%引きで販売する大手の慣習から考えると、国内での定価は4万円になります。センター一本の価格です。
そのドインカーの2013年の発表を年始に聞いたときには、びっくりしました。ロッドのスペックは業界をリードする会社ですが、ひたすらに高価な材料から高価なスタビライザーを製造する近年のドインカーの方針には少し失望しました。
例えば、WIN&WINはカーボンハンドルにフィットするようにHMC Plusを開発し、売れ行きは好調ですし、HOYTはプロコンプエリートという弓を特定のスタビライザーセッティングを想定して開発し、発売以来、すごい勢いで実績を上げています。
近年の、商品単体のスペックではなく、その商品をシステム全体(弓全体)に組み込んだ時の性能を見ながら開発していく方向性の方が正しいと思いますが、ドインカーの方向性はちょっとずれていると考えています。
おまけに今年ドインカーではAボムというダンパーがカタログに加わりましたが、ほぼ以前のAボム(2007年ごろにカタログ落ちした商品)を復刻しただけのものです。まぁ、それでも十分にいいダンパーだったので、こちらは販売を考えていますが(4月ごろに入荷予定)、この間、5年以上の時間があったのですから、進化した商品を提示して欲しかったです。
NIMESでもドインカーの人と少し話ししましたが、ドインカーの商品単体でのスペック強化と、それによるラインナップ全体の価格のインフレには、もうついていけないと思い、これから書くのですが、アメリカで現在急成長しているB-Stinger(Bスティンガー)と1月に代理店契約をして、今週の初めに初めての荷物が届いたのですが、なんと、昨日のドインカー社のフェイスブックで驚きの発表がありました。
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Doinker’s NEW sister company line of products Precision Balance, to be launched next month. It will be a completely separate line of Target and Hunting stabilizers. It will have a Non-Doinker dampener on it, and include two 1oz weights on a nice looking glossy finished carbon rod with machined Aluminum and anodized flat black ends, at a retail for about $140.00 on a 33″. The Hunting products will be similar in configuration… just shorter and Dipped in full camo.
All the rest of the details to follow next month 😉


簡単に意訳すると「2013年の3月に小売価格で1万円前半の新しい商品ラインを発表します。」ということです…早く言ってくれよ…と。。。
この想定外の展開にどう対応するかは、詳細の発表を待って、今後考えます…どういった商品を出してくるのか、140ドルの新しいラインナップと、330ドルの現行の上位ラインとをどう共存させるのか見守りたいと思います。まだ、コメントできる段階にはないのでしょう。
さて、戦略が迷走し(*)ている様に感じるドインカーですが、リカーブではFIVICSやWIN&WINにシェアを奪われていますが、コンパウンドの世界でのシェアを急激な勢いで奪っているのが、1月に代理店契約をしたB-Stinger社(とFUSE)です。
*昨日の低価格の新ラインナップの発表でドインカーはより良い方向に向かうと思いますが、ここからの部分はそのニュースを知る前に書いたものです。


本当に世の中便利になったもので…上の動画は2007年の世界選手権のコンパウンド決勝です。団体を選んだので6人の選手が出てきますが、多くの選手がドインカーのスタビライザーやダンパーを使用しているのが確認できるかと思います。この頃がドインカーの最盛期でした。
下の動画は、最新の世界戦(ベガスシュート)の様子ですが、使用している選手が激減しているのがわかるかと思います。別に意図的に選んだわけではありません。リンクは張っていませんが、検索していただければ、2012年後半の世界戦の映像がいくつもあると思いますが、どの試合でも同じ傾向です。
B-Stingerという会社の特徴はドインカーと違い、ゴムダンパーを使用しないことです。ロッドの性能だけで振動を取り除きます。下にカタログのリンクを張っておきますが、カタログにもウェイトとロッドの間に装着するタイプのゴムダンパーはのっていません(ウェイトの先端につけるタイプのエンハンサーはラインナップにあります)。あくまでも、ロッド単体で振動を吸収するという設計をしています。
B-Stinger(Bスティンガー)アーチェリー カタログ 2013
https://archery.co.jp/catalog_CP/BeeStinger2013.pdf

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写真はカタログに掲載されている主な使用選手ですが、見ての通り、ほぼコンパウンドです。ロッド単体だけで振動吸収する設計はもしかしたらリカーブには向いていないのかもしれませんが、コンパウンドの世界では多くのトップ選手がドインカーからB-Stingerに変えました。
振動をしっかりと吸収するために、剛性の高いロッドを使用していますが、それでも価格はある程度に抑えられています(それでも2万円を少し切るくらいなので安いとは言いませんが…)。B-Stingerの関連会社はGold Tipという大口径シャフトでは有名なカーボンシャフトメーカーです。カーボンシャフトメーカーと一緒に原材料の仕入れを行うために、高性能のカーボンを安く仕入れることができ、それによりスタビライザーの価格を抑えています…というわけで、カーボンスタビライザーは他社の同クラスのものに比べて安いのですが、金属製品(Vバーやウェイト)は特に安くなく、競合他社と同じか逆に少し高いくらいになっています…。。。
Gold Tip
http://www.goldtip.com/

ドインカーがここ近年失っていたもの、新しい設計方針(ダンパーなしのロッド)、ラインナップのこまめな更新、価格を抑えた高剛性ロッド…これらを、今一番アメリカで持っているのがB-Stingerです。
*↑ただし、昨日突然発表された新しいラインナップはまさにこの3つを満たしています…1月から準備してきたのに…
と、まぁ、B-Stingerの商品の宣伝というよりは、メーカーの宣伝です。B-Stingerのスタビライザーはコンパウンドの通販を始めた時から販売していましたが、知る人ぞ知るメーカーで、弊社としても、あくまでも代理店の在庫を仕入れて販売するだけでしたが、今後はドインカーにかわるトップメーカーとして成長するのではないかという期待も込めて、今年から直接取引する代理店として新しく契約をしました。
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今週、第一便が入荷したばかりですが、いろいろとテストをして、よりいい形でメーカーとともに成長していけたらと思っています。現在はまだコンパウンドの方にしかお勧めしていませんが、リカーブの方も新しいモデルを開発するようですので、リカーブ・アーチャーの方もこの黄色の蜂がトレードマークのB-Stinger(ビー・スティンガー)、覚えていただけたら幸いです。


WIN&WIN INNO MAX入荷しました。

予定よりも早く、本日、INNO MAXハンドルが入荷しました。予約を頂いたお客様への発送が終了し、”ブラックカーボン”の在庫数が残り少ないです。それ以外の色は代理店にはまだたくさんあるのですが、青は木曜日に次の1本が入荷したら当分は入ってこないので、ご注意ください。

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さて、INNO MAXですが、INNO CXTと比べると圧倒的に違うところは重さです。CXTは重りを追加することで1,300gにすることも可能ですが、ハンドル単体の重さは1,150gしかありません。カーボンはアルミに比べると圧倒的に軽いので、同じデザインで製造するとハンドルはどうしても軽くなってしまいます。イタリアのファイバー・ボウ社のハンドルはフルカーボン(純粋にカーボン繊維だけ)で、重さはわずか600gです。これは、ウッドハンドルよりも軽いです。
それに対して、MAXハンドルはハンドル単体で1,300gの重さがあります。現在、CXTを使用している方で重りなしの1,150gで使用している方がMAXを検討される場合、150gの違いというのは重り付きのサイドロッド1本分にもなるので、MAXハンドルにした場合には、スタビライザーのセッティングの再検討をお勧めします。GMXなどの1,250gあたりのハンドルからの乗り換えの場合は、同じセッティングでいいと思います。
これは具体的にメーカーから製造方法のレクチャーを受けたわけではないので、WIN&WINの人の話を聞いての個人的な推測ですが、フルカーボンで作ると軽すぎるハンドルになります。この対策は主に二つあり、WIN&WINではハンドルの3~4割にフォームを入れて重さ・重心の調整をしていて、UUKHAでは多重カーボンレイヤー構造で使用する接着剤(エポキシなど)の重さでハンドルの重さを作っていますが、MAXではその両方のやり方を併用して、1,300gという重さを作っているようです。


今回のMAXの一番の目標はハンドルの剛性です。高級な高速カメラではなくても、1000fps程度のカメラ(3万円くらいで買えます)で見ても、シューティング時にハンドルが変形していることを見ることができます。それだけ大きくハンドルは変形します。上の動画はGMX/44ポンドですが、ハンドルで5mm程度変形しているのが確認できるかと思います。このハンドルの変形を最小限になることを目的にMAXが設計されています。
そのためには剛性を高めることですが…注意してほしいのは剛性を高めることが振動の減少につながるわけではありません。高ポンドではイコールと言えますが、30ポンド前半や、セッティング次第では、剛性が高くない、ハンドルも一緒になって同調して振動するハンドルの方が振動がないこともあります。今回、INNO CXTもラインナップに残りましたが、ポンドが低いのであれば、MAXの方がよいとは言えません。低ポンドではCXT、高ポンドではMAXをお勧めします。
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ハンドル自体の重さ・バランスと剛性を高めるための多重カーボン構造の次の特徴としては、Tブロック・センターショット・システムです。現状の技術では、カーボンハンドルはリムポケットをあまり高い精度を作ることができないので、このパーツの精度がハンドル全体の精度を決めることになります。
CXTの2012年モデルではここの部分の精度をぎりぎりまで自社のリムに合わせたため、HOYTのリムを装着ではなくなりましたが、2013年モデルではさらに進化し、リムポケットのパーツが1つになりました。CXTでは金属プレートをハンドルの両サイドに張り付けて精度を高めていました。結果、精度を高めるためにパーツを3つ使用し、かつ、それぞれの精度のすり合わせが必要になったため、例えば、金属プレートを1個だけ落としてなくしてしまった場合の修理はちょっと大変な作業でした。
今回のMAXハンドルではこの部分のパーツを1つに統合したので、プロショップの都合と言われるかもしれませんが、メンテナンス・保守は大幅に楽になりました。次に、Tブロックの部分に丸みを持たせました。丸みを持っていないハンドルとの違いは、スムーズにチューニングできることです。
リムのリムボルトではなく、ハンドルに当たる側の接触点はリムボルトの位置を変えると多少変わるのですが、場合によっては、一気に変わる場合があります。チューニングでいうと、ある点までにリムボルトを1/8変えるとティラーが1mm変わっていたのが、特定の場所を過ぎると、1/8回転で2mmもティラーが変わるようになってしまうことがあります。この部分に丸みを持たせることで、チューニングがスムーズになり、チューニングしやすくなります。
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次に、1月にメーカーサンプルを見た時の1番の心配だった点について。グリップのフィッティングです。上の写真は赤が英語版カタログのグリップ、下が日本語リリースでの写真ですが、どちらもピボットがリフレックスしています。この点を確認したところ、良く写真を見るとピボットの問題ではなく、グリップがハンドルにフィットしていないのが原因でした。特に、青のグリップはハンドルの縁から2mmほども隙間が空いている事が確認できるかと思います。
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WIN&WINでは2012年の前半にCXTのウッドグリップを発売しましたが、HOYTのウッドグリップが2,500円程度なのに対して、5,000円以上という価格で登場しました。問題はかなり手間がかかる作り方で作っていたことなのですが、MAXハンドルではHOYTのウッドグリップと作り方になりました。別売りでこの後、MAXのウッドグリップも入荷してきますが、価格は2,000円台後半で出せると思います。写真の左がMAXのウッドグリップで右がCXTのウッドグリップです。作り方が違うため、木目が全然違うのがわかるかと思います。作り方が違っても、高い作り方の方が性能がよくなるという話はないので(耐久性は少し高い方がいいです)、それなら安い方がいいと思います。
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このようにグリップの作り方が変わったのが原因かなと思っていますが、ともかく、グリップの位置はハンドル全体に影響を与える最重要ポイントの一つで、この部分が不安定では、とうてい良いハンドルにはなりえないという話をメーカーに伝えましたが、納品された完成品(上の写真が本日納品された現物)ではしっかりと修正されてきました。本当に良かったです…安心しました。
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写真の左がMAXハンドルのグリップ、右がCXTハンドルのグリップになります。ちなみに互換性はありません。ネジ穴の位置も違いますが、まず、CXTグリップの方が狭いので、MAXハンドルに取り付けることもできません。ご注意ください。
グリップの形はCXTに比べてスリムになっています。さらにグリップの丸みもあまりなく、直線的なデザインで、でコンパウンドのグリップに似ているデザインです。高さはCXTグリップと大きく違いません。
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これまでのINNOシリーズとの大きな違いだと以上の重さ、剛性、Tブロック・センターショット・システム、グリップです。残ったところでは、光沢があるモデルでも、シューティング時に目に入るサイド(フェイス側)はトーンを変え、光沢を抑えたデザインになっています。
また、INNO AL1と同様にグリップの下にダンパーを取り付けできるようになりました。リムボルトは黒・白・青・赤ではCXTと同じ銀、マットブラック・カーボンブラックは黒になっています。後は、メーカー推薦ハイトが2012年の比較すると、5mm低くなっています。
まずはこんな感じです。全体的な印象としてはかなり出来がいいハンドルです。想定ターゲット(販売するときにこういう人におすすめ)もしっかりと高ポンドで剛性が高いハンドルを求めている方と、しっかり決まっていて、ハンドルの設計もぶれていないので、かなりおすすめできるハンドルであると思います。GMXや、CXTでウェイトをいっぱいつけている方はぜひ検討してみてください。後は、少し数を販売してから、再度評価してみたいと思います。


ベガスシュートから戻りました。

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ベガスシュートから戻り、たまっていた仕事をこなして、やっと少し落ち着いてきました。この1か月で15回も飛行機に乗り、さすがにちょっと体がきついです。。。頑張ります。
先日の記事の後、町から車で3時間ほどのところにあるマヤの遺跡(チチェンイッツア)に行ってきました。2012年で世界終了みたいなことを言ってる人いましたが、無事2013年を迎えられてよかったです。メキシコのカンクンは26度なので半袖です。
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さて、ワールドカップ・ステージ3と同時開催となったベガスシュートですが、当然、開催場所はラスベガス…正直、ラスベガスは苦手です。それで、これまで一度もベガスシュートに行ったことがなかったのですが、まぁ、仕事ですから、一度は行ってみることにしました。でも、まぁ…やっぱりこの町は苦手です。こういう試合のいいところは、トップアーチャーを間近に見ることができて、交流できることですが、ベガスは…タバコ吸いながら酒飲んで、みっともないような姿勢でスロットやっている女性アーチャーの姿を見たりすると、間近というか、逆に残念な気持ちになります。
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会場はNimes同様に2つに分かれていて、誰でも参加できる試合の会場(写真上)と世界戦が行われているメインの試合会場(写真下)があります。目的のメーカーのブースは世界戦が行われている会場の横のスペースにあり、出店しているメーカーの数はATAに比べるとわずかです。会場の広さもATAの1/20くらいだと思います。
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ベガスシュートにしか出店していないメーカーもありますが、基本的に1月のATAがプロショップ向けの展示会で、ベガスシュートは一般のアーチャー向けの展示会になります。HOYTは一番いい場所に陣取ってアパレルを頑張って売ってました。
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新商品はほとんどNimesで見てきましたので、新しいものはほとんどありませんでしたが、上は初めてお会いしたFIRST STRINGさん。急成長している完成弦メーカーです。
世界で最も評価の高い完成弦メーカーはウィナーズ・チョイスですが、ずっとここと契約していたコンパウンドの世界で現在一番勢いのあるレオ・ワイルド選手が、2012年にこのメーカーに乗り換えました。2013年に入っても結果を出し続けてるので、良い弦なのでしょう。取り扱うかは決めていませんが、継続的に話していこうと思っているメーカーの一つです。今後に期待です。
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こちらの会社はアーチェリーのセミナーなどをメインとしているところで、最近はいろいろと面白いアーチェリー用品を作るようになっています。こちらも、取引はしていませんが、定期的にチェックしているメーカーさんです。すごい軽いのが売りのスタビライザーや、ユニークな形のVバーなどが展示されていましたが、生産量が少ないためか、値段はかなり高めです。今後に期待しています。
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MKコリアのMKX10ハンドルの新色のペイントの白です。写真にはありませんが、1月に発表された新色のライムは発注していますが、この白はどうするか未定です。見た感じ、ちょっと心配なレベルの仕上がりです。HOYTでいうと、カスタムペイント(GMXなどに使われています)レベルではなく、パウダーコート(EXCELに使われています)レベルのペイントです。ただ、白は需要はある色なので、改善要求を出して、しばらく様子を見たら、取り扱いしようと思っています。
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こちらは最近ちょっと元気がなかったSKYアーチェリー。ホイットを引退したホイットさんが、トラディショナルボウのベテランJim Belcherさんと立ち上げた会社です。
老舗のアーチェリーメーカーにありがちな、世代交代などの問題だったと思いますが、取引がないメーカーにはあまり裏事情は聞けないので…詳しくは知りません。
SKYアーチェリー
http://www.skyarchery.com/

ともかく、いろいろとあってあまり積極的な営業はしていなかったのですが、新しいスタッフを迎えて、もう一回頑張るようです。写真はTR7というハンドルです。
ハンドルの方がなかなか良い出来でした。ただ、リムは…2000~2004年あたりのモデルからどの程度進歩しているのか疑問です。引いただけで実際にうってはいないので断言はできませんが、リムも新しいものを開発してくれれば魅力的なリカーブメーカーになるのではないかと思います。
製造の技術力には業界の中でも定評があります。リムでは一般的なフォームコアやウッドコア以外にも、バンブー(竹)コアのリムなどを作っています。製造には定評がありますが、ホイットさんが90年代に設計したリムのデザインをずっと使っていて、新しい素材や技術は試しても、リムのカーブ(リム全体の曲線)はずっと新しくしていません。もう20年近くになるので…そろそろ、新しいカーブに挑戦してもいいころ合いではないかと思うのですが。
SKYも取り扱いはしていませんが、定期的にチェックしています。最近元気な会社の一つで、あとは、元気に頑張った結果を今後出せるかどうかです。後、取引先のJagerアーチェリーの社長が仲良くしているメーカーで、SKYアーチェリーにグリップを供給しています。
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ここまで、取引していないメーカーの話でしたが、取引先ではSIMSが新しいリムセーバーを発表しました。
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振動の測定をすると、よく見るような振動のグラフを得ることができますが、さらにあるアルゴリズムを使用して、FFT解析をすると、どの周波数の振動が一番多いのかを知ることができます。ゆったりした大きな振動が多い弓なのか、細かい振動が多い弓なのか、いろいろなパターンがあります。
この分析から振動の大きい周波数に合わせて、その振動を吸収するために開発されたのが、ブロードバンド・リムセーバーです。
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なんかちょっとすごそうな商品ですが、開発と製造のチューニングにはすごいテクノロジーが使用されていますが、完成された構造は簡単に言えば、柔らかいゴムダンパーと硬いNAVCOM素材(手触りはシリコンの様な素材です)を組み合わせたハイブリット構造のリムセーバーになっています。2つ以上の素材を使用しているリムセーバーは初めてではないかと思います。
リンクが着色されていて、このリングだけの交換も可能です。この2つの素材をうまく組み合わせたことで、ピークの振動をうまく吸収できるそうです。2月後半か3月初めに入荷する予定です。
と、新商品はこのくらいでした。あまり見ごたえがある会場ではなく、また、メーカーも一般アーチャーを想定してブースを出しているので、プロショップ向けの価格表なども用意されていません。ちょっと残念な感じでした。

試合の方はあまりじっくりと観戦する余裕がありませんでしたが、もう、ArcheryTVにアップされているようなので、どうぞ。


Nimes 2013 / 世界インドア ステージ2 を見て


Nimes2013の会場で行われていたメーカー展示会に商談に、隣の体育館では、ワールドカップ・インドア2013 ステージ2が行われていました。
3時間くらいしか観戦する余裕はなかったのですが、道具屋という視点からの感想を少し。上のビデオがダイジェスト編になります。
まず、個人的に面白かったのは、ヨーロッパ(の北の方)では大人気でも、日本ではほとんどのプロショップで販売されていないスウィングVバーを使用している選手がリカーブの男子部門で優勝したことです。おめでとうございます。これを機会に検討されてはいかがでしょうか★
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写真は試合に勝った後にみんなのリクエストに応じて、弓を引くリカーブ男子優勝のROHRBERG選手。たまたま見つけて写真撮りました。
さて、リカーブの方では、特に目立った動きはありませんでした。価格でもわかるとおり、フォーミュラはRX/HPX/ION-Xの間では、特にどれが上位機種といった差はないので、ION-Xを使用している選手は特に多くありません。RX/HPXを使用していた選手の多くはそのままでした。
WIN&WINでは、韓国選手が新しいINNO MAXハンドルを使用して試合に出場しましたが、そのくらいです。確か、この時期は韓国選手はナショナルチームの最終選考をしている時期で、毎年ワールドカップのインドアには韓国のトップ選手は出場しません。アジア圏の選手(日本含め)も多くは出ていないので、リカーブではHOYTが目立ちましたが、そんな理由なので特に評価できる結果ではありません。
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それに比べ、HOYT…というよりもプロコンプ・エリートの圧勝だったのがコンパウンドでした。最後まで残っていた選手のほとんどはHOYTのプロコンプ・エリートを使用していて、ION-Xが新しく出ても、既存のユーザーはGMXやRXから乗り換えない選手が多かったリカーブに比べ、多くのHOYTユーザーがプロコンプ・エリートに早速乗り換えていました。
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今回のワールドカップでは3位にとどまったジェシー選手ですが、HOYTのブースでプロコンプ・エリートの設計について意見交換したところ、面白い話が聞けました。
プロコンプ・エリートはこれまでにないほどユーザー中心に、ユーザーの好みを取り入れた弓だということです。この弓は、弓単体の性能をテストして開発されたのではなく、近年のターゲット競技においてのスタビライザーセッティングでシューティングした状態を想定して開発したものだそうです。
流行りのセッティング(2つ上の写真のように、センターを長く・おもりを先端に多く、サイドは片側で重量を持たせて、重心は若干低めに)で使うのであれば、プロコンプ・エリートは圧倒的に優れているとのことでした。というよりも、そのスタビライザーセッティングで使うために開発されたようなものです。
逆に、自分のスタイルがあって、写真のようなセッティングにしていないなら、プロコンプ・エリートの特性を生かすことができないので、アルファ・エリートなどの既存のモデルの方がいいのではということでした。
当然・スタビライザーとのセットで使用するのが今の常識ですので、スタビライザーを使用した状態を想定して弓を開発するのはどのメーカーもしていることで、ベアボウで弓具テストするメーカーはありません。しかし、そのセッティングの具体的な中身までも想定して弓を開発するのというのは、かなり新しいやり方で、理に適っているものの挑戦的な設計方法です。
リカーブに例えれば「長めのエクステンダーに水平80度のVバーに上にアッパーを一つ付けて、センターにウェイト3つ、サイドにはダンパー1つずつというセッティングで一番性能を発揮すハンドル開発しました」ということで、ここまで想定して設計したモデルは初めて聞きましたし、逆にこのセッティングにしていないアーチャーの購買意欲を失わせる結果になるので、かなりの挑戦です。ただ、今回、ほとんどのトップアーチャーがこの最新モデルに移行したことを考えると、エンジニアの狙いは当たりだったと思います。
他メーカーの状態を考えると、2013年はプロコンプ・エリートの独走になる可能性が高いです。
マシューズの人もいたので、話ししましたが、「Apex7の優れた設計は色あせていない・今でも十分に通用する」とのことでした。その意見には全く同意しますが、この10年でスタビライザーのセッティングから使用する素材、または、カーボンブレードやSFエリートのように今までにない形状のスタビライザーまで登場しているので、進化したアクセサリーに合わせた再設計はあってもいいのではないかと思います。
弓単体ではなく、全体で高性能の弓を作りこんでいくという話をつなげて、もう一つ目立ったのが、CX(Carbon Express)の矢でした。今回、最終的に残った8選手のうち、2選手もがCXの矢(X-Buster)を使用していました。世界戦では、特に決勝に残るレベルの選手はイーストンを使っているのが一般的でしたが、その法則が、少しずつですが崩れつつあるように感じます。
引き金はイーストン自身かもしれません。内輪の話になりますが、イーストンは1年前にHOYTと流通システムを統合しました。もともとから、HOYTはイーストンの傘下のメーカーでしたが、より結びつきを強化しています。それに対抗してか、他のメーカーも特定の矢のメーカーとの結びつきを強化していて、その関係性の中で、(日本では)無名だったシャフトメーカーが急激に製造技術を向上させています。
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PSEはCX(Nano pro)との関係を強化し、マシューズはビクトリー・アーチェリー(VAP)との関係を強化、WIN&WINはカーボン・テック(McKinney II)との関係を強化しています。SFはスイスの・SKYARTから供給を受けていますし、今回会場では、カーボン・インパクトというメーカーがいました(フランスと関係が強いメーカーですが、具体的な話は聞く時間がありませんでした…すみません)。
Carbon Impact
http://www.carbonimpact.com/catalog.pdf

当店では、Nano ProとVAPはテストしましたが、自分の判断で、まだ本格的にイーストン以外のシャフトを販売することはしていませんが、大手アーチェリー製造メーカーとシャフトメーカーが関係を強化して、技術を高めあえば、近いうちにはこれらの4つのメーカーのどれかから、イーストンよりも高品質で、低価格のシャフトが登場する可能性はあると思います。実績でいうと、CX(世界選手権で2つメダル、今回のオリンピックで1つのメダル)が先頭ランナーでしょうか。
HOYTとイーストンの倉庫の統合はイーストンのアーチェリー部門のロジスティックの合理化がメインの目標だったと思いますが、その動きが意外なところに影響を与えている気がしました。
まぁ、そんなこと考えないで、素直な気持ちで見ても、面白い試合なので、ワールドカップのステージ2の動画楽しんでください。2月の7~10日はワールドカップ ステージ3が行われるラスベガスに行って来ます。いくつか新商品が発表される予定です。お楽しみに。