ビー・スティンガーの2014年新商品

世界選手権でも感じたのですが、これだけメディアが発達すると現地にいるよりも、ネットを通して日本にいる方が情報が早かったりして、ふしぎな気持ちです。アメリカで行われているATAから続々情報が。

さて、2013年に発表したスタビライザーが好調のビー・スティンガー(Bee-Stinger)が、2014年の新商品を発表しました。スタビライザーのアクセサリー類の補強が中心です。

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ターゲットではシングルVバーの新作が発表され、現行品は開き角度しか調整できませんでしたが、新しいものではダウン角の調整も可能になり、クイックデタッチも付きました。

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ターゲットスタビライザー用のダンパーでは、これまでは黒一色しかありませんでしたが、カラーが選択できるようになります。また、ウェイトに装着するタイプのダンパーも登場します。

このメーカーからの入荷は2か月に一度程度なので、2月の販売開始を予定しています。


2013年もありがとうございました。

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気がついたらもう12月30日でしたか…。明日も出勤の予定はありますが、今年一年の反省と来年の抱負は余裕がある本日に。

去年の記事によれば、今年の方針は、グレン・グラント5年の1979年を飲みながら考えたようです。今年の反省と来年の方針は…このカクテル(飲み屋が暗くて写真が撮れないので代用)、「午後の死(Death in the Afternoon)」を飲みながら考えてきました。このカクテルは当初、火薬(!?)のシャンパン割りとして考案されたそうで…現在では、火薬よりも飲みやすいアブサンをシャンパンで割って作ります。独特としか言いようのないカクテルです。1979年のボルトよりはるかに手に入れやすいので、お酒が飲める方はぜひお試しください。

2013年、個人的な一番の変化は、創業以来初めて休みを取りました。2007-2012年まで、年10日程度しか休みをとっていませんでしたが、作業をする時間よりも考える時間がほしくて、2013年は計20日は休みをとったと思います。ゆっくり考える時間ができたおかげで、迷いはなくなりましたので、2014年からはまた休まず仕事するモードに切り替えます。

2013年のJPアーチェリーを数字で見ると、円安が進んだことにより、仕入れ価格は上昇し、収益は悪化しました。その一方でより多くのお客様に来店していただき、本当にありがとうございます。2013年塁計で8,770名(前年比 1,708名増)の方が店舗にお越しくださいました。本当にありがとうございます。

売り上げ面では、千葉店の前年度比34%増を筆頭に、4店舗平均で前年比21%増加しました。本当にお客様に感謝です。他社が通販の増強をしている中、地域型の店舗でも努力すればきっと認めていただけるという営業方針をお客様が支持してくださった結果かと思います。今後も、地域密着型の店舗でお客様の支持を得られるようより一層努力します。

また、2013年は大きなトラブルもなく、大変だったのはINNO MAXハンドルの青の塗装リコールと、HOYTのエアショックスのアーム破損くらいでした。品質を正しく管理してくださったメーカーの皆様にも感謝です。

自分の仕事では、取扱いメーカー・代理店となっているメーカーの数は正式に数えていませんが、年始のB-Stingerに始まり、先日カンタピンチだけ入荷したブラックマンバ(タブは今日届いています)まで、10社程度は増加したのではないかと思います。また、問い合わせシステムの更新、ブログシステムの更新、新しい社内情報共有システムの導入など、管理系システムの増強に力を入れてきました。

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管理系のシステムはお客様が見えない裏側の業務ですが、将来に備えて早めに更新したものもあります。これで2014年は安心して新しいことに取り組めます。

2014年に向けては、11月に社員の募集をしましたが、さっそく1名、1月に入社が決まりました。落ち着いたら紹介したいと思います。それと合わせて、現在研究機関の専門家の方と話し合いを進めており、正しい弓具の性能評価と情報の提供について、2014年にはさらに新しい取り組みを開始します。

何度か書いていますが、弓具の性能がここまで向上した時代にあっては、弓具を研究し、よりそれぞれの個人にあった弓具をお客様に提供することがプロショップに最も求められている仕事だと思います。弓具を購入するところが限定されている部活の部員全員が、男女、体格・身長・ポンド関係なく、みんなが同じメーカーのスタビライザーを使っている学校を見ると、本当にかわいそうになります。そういう悲しい状態を減らしたいです。

2014年は新しいスタッフ迎え入れるとともに、新しいサービス・豊富な情報を提供します。国内のアーチェリー業界全体が通販にシフトしていく中で、来年も今年同様に店舗を利用していただけるよう、また、通販では流れに乗って、ヤフー・アマゾン・楽天の3強が競争しながらも、共に成長している構図をイメージに、大手の競合の皆様のと共に成長していけるよう競争していきたいと思います。

このブログも今週で累計者アクセス数が220万回を超えました。ありがとうございます。

2014年でアーチェリーショップを初めて、7年目になりました。新しいプロショップが誕生するところも目にしましたし、力尽きたプロショップも目にしてきました。営業を続けて行くためには、8年目を迎えるためには、お客様に評価される成果を生み出していくことに尽きると思います。2014年もよろしくお願いします。

さっそく、ブラックマンバの荷物をあけましょう。


カヤ(KAYA)アーチェリーの2014年カタログが発表されました。

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本日、KAYAの2014年のカタログが発表されました。既存のラインナップに加えて、K3カーボンハンドルの新色と、新しいリム、新しいカーボンスタビライザーACE、ボウスリングが発表されました。

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写真がK3ハンドルの新色マットブラックです。ほかに現行の黒・赤・青・白の4色があります。

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リムは新しくウッドコアのデルフィナスと、フォームコアのアマゾンが登場します。新しいリムはまだテストしていないので何とも言えませんが、これまでのモデルで他メーカーと比べて、悪い点もありませんが、ずば抜けて優れている点も見つけられない、今どきの平均的な競技用リムというのが感想です。新しいリムでは新しい素材が使用されているようなので期待しています。1月のテルフォードで実射してみる予定です。

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スタビライザーでは5層構造のカーボンスタビライザーACE(…聞いたことあるような)が登場します。5層構成のロッドはあまり聞いたことがないので、ちょっと性能・特性は想像ができないです。テストし次第報告します。

入荷はすべて2月を予定しています。

KAYAアーチェリー 2014
https://archery.co.jp/catalog/2014KAYACatalog.pdf


HMC+とHMC22のウェイト、しばらくの間変更します。

HMC+スタビライザーとHMC22スタビライザーに付属するウェイトを特に定めていませんでしたが、販売当初からW&Wフラット型のウェイトを入れて付けて販売していました。それを期間限定でW&Wドーム型ウェイトに変更します。

フラット型ウェイトの入荷が順調ではなく、このままではロッドの在庫があっても販売ができなくなるためです。

フラット型ウェイトは発注をかけています。入荷日は未定です。フラットウェイトが十分な数、入荷するまでの措置です。

また、あわせてフラット型ウェイトの単体での販売も一時停止します。ご理解ください。

 


矢のディンプル効果がついにターゲットの世界に

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↑下記論文より引用

アーチェリーとディンプル効果についてご存知でしょうか。ディンプル効果とは、物体の表面にディンプル(くぼみ)を設けることで、より遅い速度で空気を乱れさせる(乱気流を発生させる)効果のことを指しています。

ディンプル効果が、結果として、どのようなメリットをもたらすかは、運動の状態によって違います。例えば、回転するゴルフボールでは飛距離が伸びるそうです。

アーチェリー業界ではどうかというと、2009年にディンプル効果により、横からの力から受ける力を低減することができるというレポートが発表されました。ポイントは、この実験が矢のような低速で動くものにも働くことを証明したことです。

Side Force Suppression by Dimples on Ogive-Cylinder Body(英語 – PDF)
http://www.texasarchery.org/Documents/Dimples/Side%20Force%20Suppression%20by%20Dimples%20on%20Ogive-Cylinder%20Body.pdf

横からの力ということで、さっそく2011年にはFUSEがスタビライザーにディンプルをスタビライザーに設けることで、横からの力(横風)から受ける影響を低減するカーボンブレードESスタビライザーを発表し、ある程度の支持を得ました。

NAP-Crossfire

アーチェリーにおけるディンプル効果がはっきりと実証される前に、アメリカのNAPアーチェリーが、おそらく経験則によって、矢のポイントにディンプルを設けることで、矢飛びをよくするというポイントを開発しました。

詳しくは時間ある時に読んでみようと思いますが、NAPは矢におけるディンプル設計の特許を持っていると主張しています(*)。

*原文 : The one-piece cartridge is packed with features starting with patented dimpling, similar to that on a golf ball, which prevents air from “Sticking” to the cartridge that in turn provides increased flight control.

コンパウンドから発射される、特にポイントの重いブロードヘッドにおいては、矢のポイントが左右に触れながら飛んでいくパラドックス運動を大きく考慮する必要はなく、矢はほぼまっすぐ飛び出します。

対して、ターゲット競技ではそれほど簡単な話ではないので、なかなかディンプル効果を利用した商品は登場しませんでしたが、いつに、ターゲット用のディンプルポイントが登場しました。

dimplespointイタリアメーカーのポイントです。メーカーの説明書がイタリア語で残念ながら読めません…。申し訳ございません。素材はイーストンの純正ポイントと同じステンレスですが、価格は約3倍です。

メーカー商品説明書
http://www.texasarchery.org/Documents/Dimples/Punta%20al%20vivo.pdf

少し前から販売されていて(確か2011年)、ちょっと不具合があり、一度マーケットから消えましたが、マイナーチェンジして再登場するそうです。よりパラドックスの大きいリカーブでの実績はほぼないですが、パラドックスの影響をほぼ受けないコンパウンド競技では使用アーチャーが国内記録を塗り替えるなどの実績を残しているそうです。

mike5コンパウンド用のみとしての取り扱いで現在検討中です。


超軽量ハンドル 580gのFB5.3ハンドルが入荷

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2013年世界ターゲット選手権の観戦記”その1″しか書いていないことに今気が付きました。帰国後、すぐに2014年のラインナップの発表が多くのメーカーからあり、その更新作業の中で忘れていたようで申し訳ないです。

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SONY DSCというのをこのハンドルの入荷で思い出しました。世界選手権でフランジィーリさんと話した時に、新しいファイバーボウのハンドルFB5.3を娘のカーラがこの試合で使用しているから、あとで見せてあげるよ言われ、予選終了後に何枚か写真を撮って感触を確かめさせてもらいました。上の写真は実際にカーラ選手が試合で使用した弓のものです。

そのことの記事を書いたつもりだったのですが…見つけられず。

軽量ハンドルという言葉を1,000g前後のハンドルで使ってしまっているので、このハンドルは超軽量といっていいと思います。基本設計はFB6.3ハンドルと同じです。FB6.3ハンドルが25インチハンドルであるのに対して、FB5.3ハンドルは23インチハンドル。25インチハンドルが630gで、新しく入荷した23インチハンドルは580gしかありません。

高剛性の高性能フルカーボンハンドルでありながら、重さはオプティモのようなウッドハンドルや、ローランのような樹脂ハンドルよりも軽いです。

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グリップは丸みがあるスタンダートなサイズのミドルウッドグリップです。

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リムポケットはファイバーボウ(Fiberbow)独自のシステムで、基本的には下リムのボルトだけを偏芯させてセンター調整をします。上のボルトもボルトを交換することで偏芯させての調整は可能ですが、別売りです。

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ハンドルは軽ければいいというものではありません。競技スタイルに応じ適切なハンドルの重さが存在します。この600gを切る超軽量ハンドルは、例えば、ベアアーチャーにとっては軽すぎてほぼ使用されていませんが、車いすで競技されているアーチャーの間ではかなりの人気を得ています。

高性能なハンドルです。ただ、とても軽いが軽すぎるになってしまうアーチャーにはおすすめできません。軽さを追求するアーチャーにとっては最適な選択肢だと思いますが、すべてのアーチャーに勧められるものではありません。とにかく軽いハンドルを買って、あとはスタビライザーなどで調整すればいいというものでもありません。重心はその作戦で調節可能ですが、モーメントの調整はかなり困難です。

また、出版日の古いアーチェリー技術ガイドなどで「軽いハンドルがお勧め」などと書かれていたとしても、著者の人が想定しているのはたいてい1,000g程度のハンドルのことであり、このような超軽量ハンドルをことを指しているケースはあまりないと思われます。ご注意ください。


ハーモニックダンパー搭載の新しいハンドルVanquish(ヴァンキッシュ)

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1月に紹介したスカイアーチェリーのハンドルに続いて、また、新しいハーモニックダンパーを搭載したハンドルが登場しました。現状で取扱い予定はなく、紹介のみとさせていただきます。

メーカーは2000年前半に創業されたドイツのStolid Bull Bowsというメーカーさんで、主にベアボウにフォーカスした設計をしてきたメーカーです。

よく知られているてハンドルは、通常単体だけでなく、スタビライザーを装着した状態をあらかじめ想定して設計されています。ただ、ベアボウ競技ではスタビライザーは使用できないので、ベアボウに合わせたハンドルは、上の動画のように何も装着していない状態でも、弓がきちんと飛び出します。HPXハンドルなどで同じように射つと、アッパー側が頭の方に回転し、まっすぐは飛び出しません。

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ベアボウの世界では知られているメーカーでしたが、そのメーカーが満を持して発表したハンドルがVanquish(ヴァンキッシュ)ハンドルです。Vanquishは打ち負かすという意味です。26インチで1,800gとかなり重いハンドルになっています。

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そして、このハンドルでもっともユニークな点は、ハンドルとレストとプランジャーホールが独立しているというところです。高い剛性を実現するために、ハンドルに大きな穴をあけずに、ねじによってレストとプランジャーホールがある独立したプレートをハンドルに取り付ける構造になっています。そして、このプレートには種類があり、これによって細かいグルーピングのチューニングができます。
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以前、、同じような発想のプランジャーホールの高さを調整できるハンドルがありましたが、固定が甘く、プランジャーホールの位置がずれてしまうトラブルが多く発生して、結局他機種に広まることはありませんでした。ただ、プレートを取り換えるこのタイプの設計であれば、一度調整した位置がずれてしまい心配はまずないでしょう。

価格は、以前に紹介したスマートライザーに負けないほどの130,000円ほどです。直接メーカーから購入することができます。

Stolid Bull Bows
http://www.stolid-bull.com/


プレシジョン・バランス(Precision Balance)のダンパーウェイト

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この記事は昨日の記事の続きです

昨日入荷したプレシジョン・バランスのスタビライザーは、何といっても、このPBT(Precision Balance Technology)という内蔵型ダンパーウェイトが特徴的ですが、その説明の前にまずロッドのほうについて解説します。

スタビライザーのロッド部分は軽いカーボンロッドを使用しています。27インチで135gとアメリカ製のスタビライザーの中では最も軽いグループです。軽いことで有名なACEスタビライザーで27インチはありませんが、29インチのACEが134gですので、同等の軽さを実現しています。

また、レブン社のもう一つのブランド・ドインカーは、大口径のロッドを得意としていますが、このロッドは直径が0.64インチ(1.63cm)と、風の影響を受けにくい細身のロッドとしてデザインされています。細さという点では、今年の6月にアークテック(Arctec)が発売した直径16mmのクロスチューブカーボンと同等のレベルで、市販されている競技用のロッドの中では最も細い部類のサイズです。

*今年の世界選手権でリカーブ部門において最も使用選手の多かったHMC+の直径は20.5mmです。

「軽い剛性のあるカーボンロッド + 独自の振動吸収構造・振動吸収機能」というのが、ここ近年のトレンドのようですが、まさにそのトレンドの設計になっています。わざわざこのスタビライザーを購入して、先端のダンパーを外してシューティングする人はいないと思いますが、その場合は、剛性のあるACEスタビライザーのような感覚です。

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さて、先端のダンパーについてですが、説明書には、

「この特許申請中のPrecision Balance(ステンレススチール)内蔵型ダンパーウェイトシステムはショット後に発生する不必要な潜在的振動を取り除くのに非常に有効です。それぞれのウェイトに対して内蔵型ダンパーは中に滑り込ませて装着します。このデザインによってウェイトをロッドから独立させることができます。そのためこのウェイトは指で押すことで簡単に動かすことができます。なのでウェイトが自由に動かせなくなるまでネジを締めないでください。ダンパーが正しく機能しなくなってしまいます。

と書かれています。

通常の状態で力いっぱい締め付ければ、間にダンパーが入っているといっても、ウェイトは押しつぶされたダンパーによって動かなくなりますので、そうならないように、このロッドではウェイトを通す側のねじの長さを調整できるようになっています。ねじの長さによって取り付く向きが変わってしまうので、ねじの長さを調整できるようになっているカーボンブレードと同じです。

しっかりとエンドキャップを締め付けても、ダンパーが押しつぶされず、ウェイトが余裕をもって、手で触ると少し矢印の方向にぐらつく程度の余裕があるようにしてください。この状態でエンドキャップ(写真の黒いキャップ)を最後まで締めこんで固定しても、ウェイトは手で触ると動きます。Aボムダンパーなどの先に取り付けられたウェイトくらいの動きがベストのようですが、自分に最適にテンションはチューニングしてみてください。

シューティング時にこの独立した構造によって、大きな振動も小さな振動もとるということのようです。

テストした感じですが、びっくりするほどまっすぐ弓が飛び出します。ロッドの剛性といったことではなく、普通のスタビライザーでダンパーを使用すると先端のウェイトが全方向に動いて振動をとるとともに、その動きが飛び出しを邪魔しますが、このスタビライザーでは、ウェイトの中をロッドの軸が貫通しているので、ウェイトが上下・左右方向に動くことはなく、前後(バック面~フェイス面)のみに動いて振動を吸収するので、飛び出しの邪魔をしません。

ただし、そのことによって、さらに飛躍的に振動吸収能力が増している感はないです。

現在、HMC+などの高剛性のスタビライザーをすでに使用していて、センターにダンパーを取り付けているのであれば、「ダンパーを取り付けた状態での振動吸収能力」と「センターにダンパーを取り付けずにアッパーを取り付けた時の飛び出し」という感覚の平均値に近いです。

今回はスタビライザーと5オンスウェイトが入荷しています。次回の荷物(入荷日はまだ未定)で、サイドとダンパーウェイトが入荷する予定です。

サイズによって値段が違います。また、なかなかに高いスタビライザーです。コストパフォーマンスを考えると、やはり1万円を切るHMC+スタビライザーに敵うものはなかなか登場しないですね。

以上、リカーブの話です。

前回、プレシジョン・バランスについて触れたのは、コンパウンドのスタビライザーについて書いているときでしたので、次の記事でコンパウンドの面からも少し書いてみたいと思います。


プレシジョン・バランス(Precision Balance)のスタビライザーが入荷

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プレシジョン・バランス(Precision Balance)のスタビライザーが入荷しました。

今年の1月にビー・スティンガーと代理店契約した時に少し触れた、ドインカーを擁するレブン社の新しいブランドである、プレシジョン・バランス(Precision Balance)のスタビライザーが入荷しました。

3月ごろに生産を開始するといっていたのですが、入荷は11月、もう2014年の時期になってしまいました。

 

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テストしてみましたが、面白いスタビライザーです。軽量カーボンロッドと、ウェイト部分に上の写真のように、独自の構造を備えています。

FIVICSのウェイトダンパーと違うのは、固定されたウェイトの間に振動吸収素材を挟みこんでいるのではなく、写真のねじの長さをあらかじめ調整し、少し遊びを作り、その間でウェイトが自由に動くことで振動を吸収するという構造です。

ウェイトダンパーではロッドとウェイトは接続されていますが、こちらはロッドのねじは青のダンパーと接続されていて、そのダンパーがさらにウェイトとつながっている構造です。

 

 

10時過ぎてしまいました。明日、子供の予防接種で朝早いので、続きは明日ということでお許しを。


ホイットのクアトロリム 評価テスト その2 - 良いリムです。

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まず、結論が書きますと、クアトロリムは非常に優れたリムです。矢速こそF7リムと同じレベルですが、引きが柔らかく、ねじれに強く、安定しており、非常にホイットらしい安定した完成度の高いリムです。矢速では上回ったとは言えませんが、安定性の面では、INNO EX POWERを上回りました。2014年にW&Wが新しいリムを発表しないとなれば、クアトロリムはかなりいいところまでホイットのシェアを挽回できる可能性のある素晴らしいリムです。990TXリムぶりに、プロショップの人間として本当にお勧めしたいホイットのリムです。

上の写真は昨日の採取したデータをわかりやすくグラフにしたものです。振動はX・Y・Zの3軸で発生しますが、人間が感知できるものではないので、3軸の振動(加速度)を公式に沿って合成したものです。

比較のために、W&WのINNO CXTハンドル+INNO EX POWERリム(*)のデータも入れてみました。ちなみに、前のテストではF7リムの矢速が202.6fpsで、クアトロリムの矢速が202.0fpsでしたが、INNO EX POWERリムの矢速は202.1fpsでした。

*同じ68インチ/28インチ引きの42ポンド

グラフを見ると発生している振動の大きさは大きく違いませんが、その収まりの速さが大きく違うことがわかるかと思います。

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それをグラフにしました。「振動の大きさ」はそのまま振動の大きさです。計算の仕方はピックアップ(計測)された合成加速度の量、折れ線グラフの面積です。振動時間は振動が収まるまでの時間です。発射時の振動は一定値以下になると、あとは少しずつ減衰していくので(テストでは振動吸収用品は装着していません)、その値に達した後は別の評価となります。リムの剛性や安定性のテストというよりも、ティラーバランスの適正やノッキングポイントのバランスなどが影響してくる世界ですので、それがリム自体の性能評価に影響を与えないよう考慮しないことにしています。

安定性ですが、それぞれ管理された同一環境で3射ずつでシューティングテストを行っておりますが、その時の計測されたデータのばらつきを評価したもので、数字が小さいほど優秀です。シューティングマシンでリリーサーでシューティングしていても、計測される値にばらつきが出ます。わかりやすい矢速のテストだと、INNO EX POWERでは、

1射目 201.9fps
2射目 202.1fps
3射目 202.2fps
4射目 202.1fps
5射目 201.9fps

といった感じでした。もちろん、リムが原因とは限らず、センサのばらつき、シューティングマシンの微妙な差なども関係していますが、同じセンサ、同じマシンと同じ環境でバラつきがより大きく出るリムがあるとしたら、それがリム自体のバラつきであると考えられます。

テストごとに「振動の大きさ」と「振動時間」の計測値のバラつきを計算したものです。ただ、グラフの大きさが隣の二つにフィットするように、計算値を10倍して表示しています。

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vib_04F7の値を100としてデータを整理すると上記のようになります。フォーミュラリムはともかく、会社の方針ではないので、店舗では違った対応になっているかもしれませんが、一般的なILFリムで予算関係なくお勧めのリムと聞かれたときは、今まで迷わずINNO EX POWER(またはプライム)をお勧めしてきましたが、F7はともかくとして、INNO EX POWERよりも良い値を出してきていることは驚きです。

リムが重い分、ドローレングスが短い方や、ポンドが低い方には軽いINNO EX POWERリムの恩恵は大いにあると思いますが、引き尺が27インチ以上あり、40ポンド以上であれば、INNO EX POWERから乗り換えても違いを感じることができると思いますが、ただし、振動の大きさ2%、振動時間で17%とでそこまで大きな差ではなく、チューニングして、スタビライザーセッティングを見直すだけで達成できなくもない数字ですので、INNO EX POWER/MK/RCX-100あたりのお客様に積極的に買い替えをお勧めはできませんが、ホイットのF3/F4/990TX/KAYAなどのリムをお使いの方であれば、きっと気に入っていただけるリムだと思います。違いも実感できるはずです。

 

(まぁ、INNO EX POWERはW&Wが2010年に送り出した商品なので、2014年モデルでやっと追い越したとも言えますが)

 

あとは、リムの破損が少なくなれば、INNO EX POWER登場からW&Wに奪われたシェアを取り返す力が十分にあるリムです。

…問題はリムの値段が高い事ですね…すごくいいリムなので、皆さんに使っていただきたいのですが、販売価格をどうするか、もう少し考えさせてください。リムの値段が高いだけではなく、何を迷っているかといいますと、グランプリのほうはメーカーから低価格でレンタルリムを提供してもらっていますが、フォーミュラのレンタルリムは価格がかなり高いのです。現行のフォーミュラF7リムとGP F7リムで販売価格に大きな違いがあるのもそういった理由なのですが…。。。

価格が決まっていなくとも、(価格未定でも良いといった常連のお客様へは)すでに5ペア以上納品しているので、射場に行ったら見かけることもあるかと思います。

GP(グランプリ)・クアトロリムのほうは間もなく販売開始します。