プロユースのフォーム分析ソフトの紹介です。

kinovea1.jpg

↑クリックすると拡大されます。
プロショップやトップチームで使っているプロユースのソフトの紹介です。無料のソフト(フリーソフト)で有志が開発していますので、時間があれば、日本語パッチの開発に参加しようと思っていましたが、どうも時間が取れそうにないので、英語版の紹介となります。いつか…時間が取れた時には日本語化のプロジェクトをやりますが…。
同様の機能があるものとしては、ダートフィッシュなどがありますが、このソフトが無料なのに対して、ダートフィッシュは有料でかなり高価です。ただし、ダートフィッシュは完全日本語化されているので、日本語じゃなければ触れないという方にはいいかもしれません。
*0.8.20という開発者版を使用しています。このバージョンで説明を書きます。PCに詳しくない方は、0.8.15の動作安定版の使用がいいかもしれません。
さて、バイターの開発用の射場の写真は見たことがあるでしょうか。記憶が正しければ、20年ほど前に今の撮影・解析システムが導入されたはずですが、何千万円単位での投資が必要だったと聞いています。
当時はすべての機能をハードウェアで実現させる必要があったので、すべてがカスタム品で、そのために大きな投資をしないと、フォームの分析ができませんでした。20年後の今、CPU等の性能が向上し。今では多くの機能をソフトウェアで実現できるようになっています。
それに伴い、ホイットやバイターなど数千万円の投資ができるメーカーだけではなく、数十万円の投資で分析装置を導入できるようになり、トップチーム・トップクラブ・プロショップの多くが動画分析ソフトを導入しています。
完璧なシステムを構築するには、今でも数十万円の投資は必要ですが、高いのは照明や高性能のカメラで、簡易なシステムであれば、市販されているような安いカメラでも、十分に役立つシステムになります。
ちなみに今回使用しているのはSONY NEX-C3という3万円しないカメラです。生産が終了しているので現在は3万円をちょっと超えているようです。
さて、分析に使える動画を撮るという話になると、記事を書き終えられそうにないので、今回はすでに撮った動画をいかに活用するかという話に絞ります。
紹介するのは、(フリーウェアとして)アーチェリー業界で最も有名なKinoveaという動画・フォーム分析ソフトです。ちなみに有料のもので最も有名なものは先ほども書いたダートフィッシュです。
Kinovea
http://www.kinovea.org/

ダウンロードすると、10以上の言語から自分が使うものを選択できます。残念ながら、日本語がありません。英語を選ぶのが一番無難だと思います。今回は英語のものを紹介します。
必要な環境は下記の通り。かなり低いですが、HD画質の動画をソースにするのであれば、メモリは2GBは欲しいです。
– Microsoft Windows (XP, Vista, 7) + .NET platform 2.0 or above.
– CPU : 1GHz.
– Memory : 256 MB
– Screen resolution: 1024×600 pixels.
kinovea2.jpg

インストールし、起動させると、こんな画面になります。「File」で動画を開き、いじってみてください。難しくはないので、わかればこんなことができますよということを説明いたします。
kinovea3.jpg
kinovea4.jpg

1.1%単位で再生スピード調整
2.動画切り取り
3.マルチビュー(トップの写真の様に2つの角度からの動画を同期して再生可能)
4.動画に文字を書き込めます。
5.動画にフリーラインで手書きできます。
6.動画に線を引くことができます。
7.角度の測定ができます。
8.グリットを設定できます。
9.拡大できます。
10.(右クリックで開くメニュー)軌道追跡できます。
11.作成した動画の保存

kinovea5.jpg

それぞれを実行した結果は上記の通りです。いろいろと使えると思います。
さて、実はうちで一番使用している機能は10番の軌道追跡なのですが、この機能だけは市販のホームユースのカメラではうまく使えないことが多いです。理由はシャッタースピードです。動画はいくつもの写真をつなげたものから構成されていますが、シャッタースピードを速くすることで、動画に含まれるそれぞれの写真がブレずに、きれい写りますになります。シャッタースピードが遅いと残像が残ります。ただし、スピードが早いと副作用としてより光の量が必要になってきます。同じ光量なら画面が暗くなるということです。
ですので、管理された環境とある程度のノウハウがないと精密な軌道追跡ができませんが、3万円のカメラ(動画はシャッタースピード固定)での限界にチャレンジしました。

↑全画面再生でないとマウスカーソルの動きは確認し辛いかもしれません。
今回、撮影自体、カメラをきっちり固定して行っていないので、赤の軌道が示す動きの分だけシューターの坂本がブレているわけではありませんが、カメラをきっちりと固定すれば、意義のあるデータにとして、記録に残せると思います。
Kinoveaは無料のソフトですので、とりあえず興味を持っていただけたら幸いです。撮りためた動画を活用するきっかれになればと思います。


第一回 日米対抗アーチェリー大会の優勝者は…酒屋さん!!

IMG_20130525_101008.jpg
IMG_20130525_101851.jpg

1937年、自分の知る限り、そして、アーチェリー連盟の公式記録において、日本で最初に行われたアーチェリー大会の詳細の資料を取り寄せしていたのですが、本日郵送で到着。
80年前に行われた試合なので、自分が知っている人はいませんでしたが(5位の方は浦上栄さんの著書は何冊か読んでいます)、1位の方は、2、5、7位の師範(Archery Teach)を抑えての、南千住の酒屋さん(Liquor Dealer)のシゲノさんでした。和弓の世界では有名な方なのでしょうか?
写真下は開会式の様子。左から東京アメリカンスクール校長、在日米国大使館の方、日本側の主催者である大日本武徳会の小山松吉さんです。
これから資料読み込みします。


フーコーの使い方忘れた…。

IMG_20130523_131359.jpg

最近英語ばかり読んでいたので…母国語で文書が読めるのって楽しい!!
前の記事でアーチェリーの「歴史」から、最新のアーチェリー用品のレビューの基礎を作るという事を書きましたが、その詳しいやり方を思い出そうとしたら忘れてました…。
どちらの本もお当時お金がなかったので、図書館で読みましたが…いざ、それをベースに仕事しようとすると、図書館で読んだ程度の理解では全く歯が立たず…机の隣においておくことにしました。2冊で約8,000円…仕事に使うたぐいの本は本当に高いです。。。
アプローチとしては、
フーコー的方法で歴史を扱うことは、歴史の目的論をとらないことだ。すなわち進歩(昔と違って今は素晴らしい)、もしくは退歩(昔の方がよかった)を前提としない。「現在」を過去とちょうど同じくらい、私たちにとって不透明なものとして理解するためするに歴史を用いる。どのようにして現在が過去から直実に発展したのかをたどることではなく、要点は現在を診断する方法として歴史を用いるところにある。
*かっこの中の自分が加えたもの、それ以外は本文から。
というやり方です。さすが専門書、説明がまとまってます。


JPアーチェリー大宮店にラジオの取材です

radio1.jpg
Radio2.jpg
Radio3.jpg

JPアーチェリー 大宮店に女性のためのスポーツ情報をお伝えするNACK5のJO-SPOという番組が取材に来られました~。女性スタッフの村田が店長として切り盛りしているプロショップです。
福島和可奈さんというタレントの方がアーチェリー初挑戦してくださいました。
放送は6月3日(月)~6日(木)
朝10時10分~10時20分
NACK5のJO-SPOです!!


何ともベーシックな一冊でした。

record_w.jpg


写真の上は本の裏表紙です。
予約していた、世界初の1400点アーチャーで、12個の世界記録を持っていたCLINT FREEMAN氏の著書「Compound Archery my Way(コンパウンド・アーチェリー・マイ・ウェイ)」という本が届き読んでみましたが、全編通していたってベーシックな技術についての解説本でした。。。ちょっと残念。
新しいものとしては、道具についての解説で、最近流行りのスピードボタンについての章がありましたが(自分が知る限りでは技術本でスピードボタンにこれだけのスペースを使った本は世界初)、理論的な解説についてがほとんどで、スピードボタンのチューニングや、ワンポイントアドバイス的なものはありませんでした。
英語ですが、大久保店においておきます。5,000円もしたのに…。
著者は上記動画のオーストラリアチームでカーボンマトリックスを使用している選手です。


ついにコンプリート!!! より精進します。

IMG_20130518_194928.jpg

本日、家に戻るとそこにはアメリカから届いた小包が二つ…。

IMG_20130518_200238.jpg

つ、ついに…中身は「Legend of the archery」という、1992年に企画された、これまでのアーチェリーの本をすべてまとめて復刻しようと企画されたシリーズ。図書館で3年間かけて少しずつ雑誌アーチェリーのバックナンバーをほぼすべて読みましたが、これのアメリカ・イギリス版です。
IMG_20130518_195659.jpg

1. “Archery,” by Longman and Walrond;
2. “A Study of Bows and Arrows,” by Saxton Pope;
3. “The Witchery of Archery,” by Maurice Thompson;
4. “Target Archery: With a History of the Sport in America,” by Robert Elmer;
5. “Archery, the Technical Side,” by Hickman, Nagler and Klopsteg;
6. “Toxophilus,” by Roger Ascham and “Archery, its Theory and Practice,” by Horace Ford;
7. “Turkish Archery,” by Paul Klopsteg and “Modern Methods in Archery,” by Reichart and Keasy;
8. “Book of the Longbow,” by Robert Elmer;
9. “Hunting the Hard Way,” by Howard Hill;
10. “Wild Adventure,” by Howard Hill;
11. “Archery,” by Robert Elmer;
12. “Hunting With the Bow and Arrow,” by Saxton Pope;
13. ” American Archery,” by Robert Elmer;
14. “Fred Bear’s Field Notes,” by Fred Bear;
15. “The Archers Craft,” by Adrian Hodgkin;
16. “The Book of Archery,” by George Hansard,
17. “Sagittarius, ” by Bob Swinehart;
18. “The Complete Book of the Bow and Arrow,” by Howard Gillelan;
19. “Ishi in Two Worlds,” by Kroeber;
20. “A Bibliography of Archery,” by Lake and Wright;
21. “The Grey Goose Wing,” by E.G. Heath;
22. “The Adventurous Bowmen,” by Saxton Pope;
(アメリカ初のアーチェリー雑誌)
23. “Ye Sylvan Archer, Vol. 1”
24. “Ye Sylvan Archer, Vol. 2”
25. “Ye Sylvan Archer, Vol. 3”
26. “Ye Sylvan Archer, Vol. 4”
27. “Ye Sylvan Archer, Vol. 5”
28. “Ye Sylvan Archer, Vol. 6”
29. “Ye Sylvan Archer, Vol. 7”
IMG_20130518_200257.jpg

全部で29冊もありますが、ここに欧米社会でのアーチェリーの歴史のすべてが記録されています。なかには、すでに持っている本(半分くらいは著作権が消滅しているのでいろいろな出版社で出ています)や、翻訳済みのホレース・フォード氏の本も含まれていますが…-本日、シリーズをコンプリートしました!!
1250部限定のもので、1153コピー目でした。大人買いしちゃいました☆
何年かかるか見当もつきませんが、必ずや全部読んで(1500年代のアーチェリー本は
英語の文法が古過ぎて読める気がしませんが)、勉強し、精進します。
IMG_20130518_202619.jpg

まずは読み終わらないアーチェリー競技初(1972年)のメダリスト、ジョン・ウィリアムスの著書を読破しなくては…サイドアンカーの位置は今とはだいぶ違う場所(上の写真)でした。35年前の本です。


HMC 22 のエクステンダーだけについてのレビュー

HMC22のレビューですが、2回に分けます。まずは、前半です。届いたロッドをテストしましたが…HMC+が十分にいいロッドで困りました。
現在、テスト用の弓は「INNO MAX + INNO EX POWER 42ポンド+ HMC PLUSのセンター・サイド + CX2 Vバー + ブラックマックス(終売品)エクステンダー」というものですが、このセッティングで十分に振動吸収がなされており、HMC22の良さを理解することが困難です…。
ということで、これまでメーカーの人との話を振り返れば、HMC 22の一番の目的はコンパウンドでも使用できる高い剛性を持つロッド、ライバルはこれまでのイーストンやFIVICSではなく、ドインカーのプラチナムシリーズやB-stingerを想定した設定になっています。
と考えれば、42ポンドの弓では振動吸収能力の違いを感じ取るのが困難かもしれません(ロッドの重さが違うので、シューティング感が違うことは容易にわかります)。
低いポンドでは、HMC+がおすすめなのは明白ですが、低いポンドだけではなく、30ポンド台後半まではHMC+の方がよいと思います。(セットとしての)HMC22が選択肢に入ってくるのは、明らかに40ポンド以上です。
その話はもう少し煮詰めて、コンパウンドでもテストしてから、今度書きます。
ここからはエクステンダーの話です。セットとして…つまり、センター・サイド・エクステンダーでHMC22の良さが分かるのは40ポンド以上ですが、エクステンダーだけであれば、一般的なポンドでもお勧めできます。

P1010272.jpg

以前、WIN&WINが販売していたエキスパートというハンドルです。構造的にはとても興味深いハンドルでした。今年、HOYTが同じようなコンセプトのハンドルを作っているので、時代を先取りしすぎていたといっていいかもしれません。
*カーボンとアルミの接合部が剥離するというトラブルも抱えていました。
昔のアメリカの資料を読むと、”愛機”という概念があり、それを使って、ターゲット、フィールド、ベア、ハンティング…すべてのことを1本の弓でこなしていました。
そのため、良いハンドルに求められていたのはオールマイティな性能でした。一昔前までのハンドルはスタビライザーなしでもうてるように設計され、あらゆるセッティングで一定の性能が出るようになっています。
しかし、現在では、というよりも、本当に近年ですが、より特化された設計が増えています。ベア用のハンドル(スピギャなど)、ハンティング用のハンドル(WINのRCX-17やHOYTのバッファロー)など、設計を特化することで性能を高めたハンドルが増えています。
2013年にホイットが出したプロコンプエリートはとてもスタビライザーなしでうてるようなモデルではありません。このハンドルは重いセンターと合わせて使用する前提で開発されています。しかし、そもそもユーザーがセンタースタビライザーなしで、このターゲット競技用として販売されている弓を射つことがあるのかと考えれば、そのようなことはまずないと思われるので、スタビライザーなしでもうてる配慮を”しない”事で、ハンドルの性能を引き上げています。実際、今行われているワールドカップでのこの弓のシェアはかなりのものになっています。
P1010274.jpg

エキスパートハンドル。ほとんどのアーチャーはエクステンダーを使用していますので、エクステンダーを込みで、エクステンダーありきで、ハンドル(弓)というものを考えた時、このデザインはその一つの答えとしてありだと思います。ちなみに、設計としては大変挑戦的ですが、個人的には保守的な設計が好きなので、テスト以外で使用はしませんでした。
記憶が正しければ、この出っ張っている部分は3~3.5インチのエクステンダーに相当します。逆テック構造で、上下からエクステンダー部分をサポートし、振動吸収と左右方向のブレを減少させ、飛び出しがよくなります。まぁ、写真通り、かなり前重心になるのでその面でも飛び出しは抜群でした。
奇抜なデザインだったためか、2年ちょっとで販売が終了してしまいましたが、記憶に残るハンドルの一つです。
このハンドルの設計に限らず、ハンドルからエクステンダーまでは1つの固体(以前な書いたソリッドなフィーリングで)として使用したいというお客様の要望は常にあります。たくさんのアーチェリー用品に出会える立場だからか、終売品にもかかわらず、当店のスタッフでX10スタビライザー(旧モデル)とブラックマックスを使用している人間が一人ずついます…。。
今でも問い合わせが来ることもあります。どちらも、5~6年前には生産が終了しているモデルであるにもかかわらずです。
これらのモデルに続く商品として、HMC22のエクステンダーは期待できるのではないかと思っています。全部HMC22でそろえるのは高ポンドでないと、メリットを実感しづらくても、エクステンダーだけHMC22にすることで、ソリッドなフィーリングを得ることは可能です。
DSC01243.jpg
DSC01244.jpg

左はHMC+、右がHMC22です。カタログ値では7%の違いですが、ブッシングを比べるとかなり太いです。
重さですが、
・HMC + 5インチ 68g
・HMC 22 5インチ 86g
*ブラックマックス 5.5インチ 70g
でした。公式にHMC+と比べて、どの程度多くカーボンを使用しているかは公表されていませんが(形から計算すると17%増です)、カーボンの使用量はかなり増えていると思われます。また、重さはロッドのカーボン使用量の増加に伴うものです。
これは、生産が終了した(まだ在庫はあります)HMCとの比較でもわかります。
・5インチエクステンダー(ブッシング + 5インチロッド + ブッシング)
-HMC 100g
-HMC 22 86g
・28インチセンター(ブッシング + 28インチロッド + ブッシング)
-HMC 160g
-HMC 22 177g
ロッドよりもブッシングの重さが大きいエクステンダーではHMCの方が重いですが、ロッドの方がブッシングよりも重くなるセンターではHMC22の方が重いです。発売当時は革新的なスタビライザーだったHMCも、今では、ブッシングばかりが重いロッドになってしまっています…技術の進化恐るべし…。。。
HMC 22をエクステンダーに使うことで、(たぶん2005年あたりから)主流になりつつあるソリッドな感覚を体験することができ、かつ、重さもHMC+比で15gほど、HMCからの乗り換えであれば、逆に軽くなります。
ポンドが低いお客様でトータルでスタビライザーの剛性高くしすぎると、逆に振動が増してしまうことがあります。クラブ等に所属されているのであれば、高性能の剛性の高いスタビライザーを16~20ポンドのウッド・樹脂ハンドルにつけて射って見る事で、どういった現象か知ることができます。ただ、エクステンダーだけ剛性を高くすれば、振動は相対的な柔らかいセンターロッド・サイドロッドに逃げていきますので、さらにその先により柔らかいタンパーがあれば、振動が逆に増えてしまう状態になる可能性はかなり低いです。軽いポンドのお客様には、まず、エクステンダーのみで試してみることをお勧めします。
…本日はここまで、明日、コンパウンドなどでもテストし、センター・サイドについての後半部分書きたいと思います。


Bear Archery Empire(エンパイア)

アクセル間32インチ、ワンカム、そして24インチから31.5インチと言う幅広いドローレングス調整幅を持つ、ベアー社の2013年Newフラッグシップモデル。
メーカー紹介動画はコチラ(英語です)

「EMPIRE(エンパイア)」

新たにこれから取り扱い始めるかどうか試験的に手配を行った、このBaer 2013年のフラッグシップモデル「エンパイア」ですが、「意外と」と言えばチョッとアレですが、多くの皆さまからお問合わせやご質問を沢山頂きまして、再び仕入れを行いました。

今回入荷した色はシャドウ(ブラック)。

50ポンドモデルです。
ただ、ホイットみたいに50ポンド表記の場合はは40ポンドから50ポンドで調整可能・・・、と言うものとは違い、このベアの場合は、約43~52ポンド、と言う風に強さが出ます。
*リムボルトの回転範囲は4回転までです。

特長はなんといっても、引き尺調整が可能なシングルカム(ワンカム)と言う事。
さらにその幅が、24.0インチから31インチ。
メーカーのうたい文句は、「市場に出回る弓(カム)の中で最も速く、最も滑らかな引き心地の新設計のS13カムはあなたに満足いく結果をもたらせてくれるでしょう」とのこと。

ワンカムらしくない、わりとしっかりとしたウォールでリリーサーコントロールの感覚がつかみやすい印象を受けました。
引き尺調整は、モジュールの位置移動&ドローストップピン位置変更方式。

モジュール(グレーのパーツ)をベースカムの刻みマークに数字を合わせます。
写真では引き尺設定「29インチ」を指しています。


ドローストップピンも同じ数字に合わせます。写真は29インチの位置。
30インチから先は“上の段”に行きます。

引き尺変更はボウプレス不要。
7/64インチの六角レンチ1本で簡単に引き尺変更が出来ます。

このカム、直径が大きいんです。

約16センチもあります。
HoytのRKTカム(2番カム)で約10センチですからかなり大きな印象を受けます。

ちなみに、上側に付く、アイドラ―ホイールですが、こちらも大きいです。

約12センチあります。
HoytのRKTカム(2番カム)より…(略

ケーブルガイドは、「4x4ローラーガード」。

4個のローラーにそれぞれ2個づつ、合計8個のボールベアリングが搭載されて、ケーブルをストレスなく滑らかに運んでくれます。

バックストップにはベアアーチェリー独特のデザイン「オフセットストリングサプレッサー」が搭載されます。

けっこう先端はぐにょぐにょしていて柔らかいです。
もちろんブレースハイトに合わせて長さも調整可能です。

シェル周りですが、こちらは必要最低限の強度、と言った印象。

グリップは、モールド素材のカバーが付いていて、付けたままでも、外してもどちらでも使えるデザインになっています。

*写真はメーカーHPより。

カムタイミングの調整など、神経質にならなくても良い、シングル(ワン)カムならではの手軽さ。
軸間32インチと言う、身軽さ。
引き尺調整が、0.5インチ刻みで24インチから31インチと言う幅広い対応性。
ピープの回転やクリープを防ぐプレストレッチを既に施してあるHP弦を用いたストリング類。
リムポケットとリムブーツには“アソビ”の無い精密なハンドルとリムのジョイント。*このジョイントは余計な振動を極力抑えてくれます。
7インチのブレースハイトは他のハンティングモデルに比べ、安定感で上回ります。

ハンティングボウとして世界的には超有名なメーカーですが、日本国内に置いてはイマイチの認知度は正直否めません。
純粋なターゲットモデルが存在しないのが原因かもしれませんが、それでもいい弓は沢山作っています。
この機会にぜひ注目してみてください。


新しいアプローチとしての竹コアリム

DSC01231.jpg

傑作とかというわけではありません。あくまでも、良いリムを作るための一つの新しいブローチです。本日、竹をコアとしたリムが入荷しました。
カーボンは使われていません。竹(バンブー)とグラスファイバーだけで作られているリムです。
竹という素材は、今でも和弓の世界では一般的です。和弓は竹と竹を焼いて作った天然のカーボン(グラファイト構造)であるヒゴを使って作られます。ちなみに、竹の勉強をする中で、和弓の弓師の方が書いた面白い本を見つけたので、取り扱いすることにしました。探してみてください。
話を戻しますが、昔の日本では洋弓の世界でも竹の弓が使われていたようですが、雑誌アーチェリーの昔の記事を読むと、いい印象を持っている方は少ないようで、引きにくいという意見を持つ方が多いです。
002.jpg

Mechanical properties of bambooより引用
DSC01241.jpg
自分は昔の竹弓は引いたことがないですが、今はアメリカのロングボウの世界では竹の弓は活躍し、優秀な素材として上位モデルに使用されています。なんといっても、その特性は軽いこと。木と違って中が空洞になっているためです(リムの写真の切れ端からファイバーが見えるかと思います)。アメリカでは、フライト競技で(矢が飛ぶ距離を競う)一般的に使われています。マーチン社のバイパーという竹コアの弓は7万円以上もする弓です。
1_20130515140543.jpg

(弓具の見方と扱い方 浦上栄著 P.81より)
昔の洋弓での竹弓がどういう構造か、資料を見つけることができませんでしたが、アメリカでの活躍から考えて、引き味が悪いのは、素材の問題ではなく、設計の問題だったのではないかと思います。上の図は和弓のFx曲線を測定したものですが、ほぼ直線で、アーチェリーの世界でよいとされているふくらみのあるものとは大きく違うことが分かるかと思います。
本来竹を弓に使うという文化はアメリカにはありませんでしたが、おそらく、日本、もしくはアジアから輸入された練習用の弓から伝わって、一般的になったのかもしれません。その技術をリカーブ用のリムに利用し、開発されたのが竹コアを使用したこのリムです。
DSC01238.jpg

価格も、グラスファイバーしか使っていないことからも、決してこのリムは上位モデルとして作られたわけではありませんが、自然の中空素材をコアに使用することで、”良い”リムを作るための一つの新しいアプローチとしては、大変興味深いモデルなのではないかと思っています。
一番の特徴はやはり引きが大変柔らかい事です。非常に柔らかくスムーズです。ただし、写真の通りリムはかなりの厚みがあり、M34ポンドで、INNO EX POWERのM44ポンドよりも厚いです。重さはカーボン550より少し軽い程度で、M34で200グラムになっています。カーボンも使われていませんので、けっしてスピードが出るリムではありませんが、その引き心地は大変良いです。
DSC01240.jpg

(左がバンブーファイバー、右がINNO EX POWER)
リムの設計はクラシックです。高速でシャープなINNO EX POWERに比べて、かなり緩やかなデザインです(なのでスピードは出ません)。
DSC01233.jpg

チップは小さく作られています。

DSC01232.jpg

COREアーチェリーは中国のメーカーで、いくつかの種類のリム・ハンドルを製造しています。記憶によれば、このブランドで営業を開始して、3年くらいです。
現在世界中で竹コアを使ってリカーブ競技用のリムを作っているのはこの会社と、アメリカのSKYアーチェリーだけです。SKYアーチェリーだけです(たぶん)。SKYのモデルは販売するとしたら6万円を超えるものですので、手軽に試していただけるものではありません。
そのために今回このモデルを仕入れました。好評であれば、SKYの竹をコアに使用した上位モデルの取り扱いも検討する予定です。また、低価格のリムですが、取り扱いしたことのない素材ですので、長期保証が付きます。60年代の竹の弓を引いたことはあっても、現在の技術で加工された竹の弓を引いたことがある人は少ないと思います。本当にスムーズなリムです。高速リムではないことを理解の上で、試していただければと思います。この新しいメーカーさんにも期待しています。