レビュー再開、Spigaが新しいベアボウハンドルを発表。

長年ベアボウハンドルを製造しているすピギャ(SPIGA)がBBハンドルのモデルチェンジ(写真左)を発表しました。ハンドル自体は既存のモデル(写真右)より50g程軽い1447gで、そこに3つ追加ウェイト(210g)を装着できます。このウェイトはスピギャ独自のもので、装着位置を左右で調節できます。

専用ウェイト

年始の入荷を予定しています(黒/RH)。150円を超える円安で新商品の紹介だけでレビューを控えていましたが、130円台にと環境が落ち着いてきたので、来年の初めから、新商品のレビューを再開したいと思います。別の記事にしますが、最初に入ってくるのはこのハンドルか、WINの新型ハンドルになるかと思います。

Spigarelli BB V2 ハンドル - JPアーチェリー


MYBOがMYKAN Barebowモデルを発表。

イギリスのMYBOがベアボウ用に設計されたMYKANハンドルを発表しました。ベアボウ専用モデルとはなにか、メーカーの定義では”ジオメトリー、バランス、重量、フレックス”とあり、ほぼそのとおりだと思います。フレックスが何を指しているのかちょっとわかりませんが、柔らかい素材の採用という意味か、72インチのXLサイズを組める長いリムがでるのかな?

あと一点加えるとしたら、多様のウェイト装着場所も必要ですが、それらが干渉しないことも大切です(せいぜい22mm程度のロッド使用前提で設計するとホイットのように干渉します)。

ジオメトリーとはリムとグリップと位置のこと、リムを前に出すことでよりスピードを得ることができますが、安定性が劣ります。このような設計はハンティングモデルやフィールド用のモデルに採用されています。対して、(ターゲット)ベアボウでは、スピードを優先して安定性を損なうことにメリットが無いので、安定性を重視したジオメトリーを採用しています。

重量というのはベアボウはリカーブと違いスタビライザーを使用しないかわりに全体にウェイトを追加してチューニングしていくので、ハンドル自体を重くし(1650g+350g)、追加ウェイトを大量に装着しなくても良いようにしています。

バランスとは、同じ重量でも、その重量をどこに配置するかということで。ハンドルを正しく制御して、振動を素早くとるには、全体の重心をハンドル下部に、更にリムポットを重くする(重さをグリップからできるだけ離す)のが良いとされていて、そのような設計となっています。

あとは、ハンドルとマスターウェイト(写真上の黒の部分)を別々の色にすることも可能のようで

ライザーカラー

  • ミッドナイトブラック
  • アーバングレー
  • ロイヤルブルー
  • チェリーレッド

マスターウェイトカラー

  • ミッドナイトブラック
  • アーバングレー
  • ロイヤルブルー
  • アイスブルー
  • ビビッドバイオレット
  • ブレイズオレンジ
  • リザードグリーン
  • ソニックシルバー

という多彩なラインナップにはなっています。ベーシックなものしか在庫はできないことはご了承下さい。2ヶ月程度の取り寄せになります。

まだ、値段と発売時期が出ていませんが、4-5万円台で販売できれば、ベアボウハンドルとしてはかなりおすすめできるものになると思います。楽しみです。


ホイットからロワーダンパーが入荷しました。

口コミ??わかりませんが、先週末到着したホイットのロワータイプのダンパーがこちらでお知らせする前に8個全て別々の方に売れました!!ありがとうございます。

ということで新商品として紹介してるのにもう在庫ないです…来週予定で再手配はしています。

こちらの商品の正式名称はショートストップなのですが、ハンティング用コンパウンドのロワー(下側)に装着して、働くことを前提に設計された珍しいダンパーです。設計思想はこの部分で、ウェイトが大きく揺れると、その振動幅で飛び出しが悪くなり、揺り返しで逆に不安定になるので、ゴムダンパーを採用するものの、その周りを金属で囲うことで、振幅をコントロールして悪影響を取り除くというハイブリッド構造です。

3月以降の解禁と聞いていますが、ルール改正によって、ベアボウでの使用できる前提の商品ですが、まだ、使用できないのでご注意ください。


【追記】第二章、ちょっと大きく成長したかな??

12月に技術面での停滞を感じたので、第二章道具編を開始しました。まずは、ハンドルのファインチューニングと、矢の再設計をし、弓のチューニングは完了し、矢は完成してまだ1週間なので、まぁ、そこそこかなという状態での出場でした。

結果として、231-234 で465点となりました。1-3部計では4位でした。今まで月に10点とペースで上達してきましたが、12月は停滞し、2点しか記録を更新できませんでしたが、道具を見直したことで、1ヶ月で34点記録を更新できましたので、12月に出遅れた10点は取り戻せたのかなと思います。次は月末です。それまでに矢のファインチューニングも終えて、470点アップを目指したいと思います。とりあえず大幅に記録を更新できてよかったです。道具屋としての面目が★

(第一章 とりあえずやってみる)

7月  ベアボウにチャレンジ開始

8月 初試合 486点

9月 514点

10月 526点

11月 534点(274-260) / インドア 429点

12月 インドア 431点 

(第二章 道具とチューニングを探る)

12月 弓とシャフトの変更

1月 インドア 465点(34点更新)

【追記】月末の青梅インドアが中止となりました。

大口径シャフトの取り扱いをコンパウンド店にまとめました。

先日の試合でベアボウ用に使用したPS23シャフトの販売を開始しました。このシャフトを選択した理由としては、現行のカーボンシャフトの中で、競技用のV1グレードであり、200grのヘビーポイントがあり、ポイントの重さのチューニングが簡単で(後ろから装着)、柔らかい500番があるという条件で調べた結果、このシャフトとイーストンのSD23の2つが残りましたが、SD23用のポイントウェイトの生産が遅れており、今シーズンには間に合わないことから、唯一の選択肢としてPS23を選択しました。

(取り寄せで何度か販売した)コンパウンドとベアボウ用として販売を開始しますが、部品の在庫数管理や販売サイト表記などの都合により、PS23/RX7/X23など大口径シャフトの販売はリカーブ・ベアボウ用でも、すべてコンパウンド店に移動させました。よろしくおねがいします。

PS23 シャフト シリーズ - JPアーチェリー


73!? Velosリムに新サイズ追加。

主にベアボウ用(または32インチ以上の引き尺がある選手)として、VelosリムにXLサイズが追加されるようです。それ自体は別に珍しいことではないのですが、そのサイズに72インチではなく、73インチが採用されました。詳細のデータシートを読んでいくと、理由はどうやら、ブレースハイトの適正値が10インチとなるようにより1インチ長く作ったようです。

今週末は町田インドアに出場します。これまで毎月10点ずつ点数を上げてきましたが、12月は停滞し、1月は技術のかわりに道具をいじることに。結果として、時間がなく、矢のチューニングは完璧ではありませんが、とりあえず、ベアボウのために新しい矢を作り、さらに、上記のホイットの考えと同じく、より高いブレースハイトで弓をチューニングし直しました。リカーブと違い、パワーストロークは短いほうがミスに対する許容性が上がるのではないかという考えに基づくものです。

12月分の遅れを加えて、20点自己新記録を更新することを目標に挑みます。


2022年からダンパー許可のベアボウは変わるのか?

Vibration dampeners are permitted. They may be installed in the riser by the manufacturer, or by attaching aftermarket dampeners directly to the riser or to weight(s). Any combination of weight(s) and vibration dampener(s) must pass through a ring with an inside diameter of 12.2 cm (+/- 0.5mm) without having to flex vibration dampeners to fit through the 12.2 cm ring. A riser manufacturers´angled stabilizer insert(s) are allowed, but angular brackets or connectors are not permitted. Weight(s) and dampener(s) may be added below and above the riser’s grip, but must not aid the athlete in aiming or ranging in any way.

WAルールでは1/15から有効、日本では4/1を予定

あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。

さて、2022年の最初の記事というか、最近考えているのは今年からベアボウに導入されるダンパーがどういう影響を与えるのかという点です。新しいルールの日本語訳はまだ公開されていないと思うので、機械翻訳したものにちょっと手を加えるとこんな感じです。

ダンパーを使用することは可能です。メーカーがハンドルに取り付けるか、メーカー純正ではないダンパーをハンドルに直接取り付けるか、ウエイトに取り付けてもよい。ウェイトとダンパーの組み合わせは、内径12.2cm(±0.5mm)のリングをそのままの状態で、ダンパーを曲げることなく通過しなければならない(*)。ハンドルのスタビライザーブッシングの角度は認められるが(**)、ブラケットやコクネクターによって角度を追加してはならない。ハンドルのグリップの下と上に重りやダンパーを追加してもよいが、競技者のエイミングや測距の助けになるようなものであってはならない。

*ダンパーにたくさんウェイトをつけると自然に曲がっていきます。解釈としてこの状態で通れば問題ないと考えます。「手で曲げて検査を通してはいけない」という意味であり、逆にダンパーを手で支えたりして、ダンパー+ウェイトが最大長になる状態で検査せよという意味ではないと思います。

**ヤマハなどが過去に採用しています。α-EXで実測3度。

さて、まずはルール改定の理由については公式では「アーチャーの怪我を減らすため(In an effort to reduce repetitive motion injuries)」とされていますが、ベアボウはダンパーがないから怪我しやすいという話は聞いたことがないです。というかリカーブよりよほど体に優しいです。

個人的には以前に記事にも書いたとおり、ベアボウで使用できる道具を増やして、ベアボウのマーケットを拡大させることが目的だと思います。9月にコストを理由にベアボウは世界ターゲットの新種目に採用されませんでした。マーケットが拡大することで、WAがベアボウを世界ターゲット選手権に含めても、コストと釣り合うと思う状態にすることが今後の目標となります。その第一歩でしょう。

国内でもベアボウ用品を本気で販売しているプロショップは非常に少ないと思いますが、その理由も(ウェイトとタブくらいしか売るものがなく)お金にならないからだと思いますが、使用・販売できる道具が増えれば、興味を持つプロショップも間違いなく増えると思います。そのためのルール改正と考えています。

ですので、このルールの改定によって、スタビライザーとアングルブラケット以外はほぼすべてのアクセサリーを、また、ウェイトは「直接ハンドルに取り付けなければならない。」というルールが廃止されたことで、取り付けする方法の自由度も格段に広がりました。

ただ、いわゆるアッパーのようなウェイトとハンドルの間にゴムダンパーをいれて、ウェイトを”大きく”振動させる方法で振動を抑えるような、シューティングの感覚を変えてしまうようなダンパーが使われだす可能性は低いと思います。トップアーチャーの多くはソリッドな感覚のセッティングを好んでいます。

ですので、このような長さ方向に距離を持たないようなダンパーやドインカーEXOのような非常に硬いダンパーが採用されるようになるのではないかというのが個人的な考えで、今は非常に重い矢を射っているので、振動対策の必要性を感じませんが、インドアが終われば自分も試してみようと思っています。4月の販売解禁に向けて、販売ラインナップを揃えている段階です。

家に1/4″ネジのウェイトがなかったのでロッドになっています…本来はウェイトが合法??という話です。

一点、新ルールに明確になっていないのは、スタビライザーブッシングに角度をつける「ブラケット」の装着は明文化されてNGですが、ハンドルに取り付けられた「ウェイト」(写真の金のパーツは明確にウェイトです)、そこに角度をつけたブッシングの存在は合法か?という問題です。写真で角度がついているのがわかると思いますが、このブッシングにダンパーやウェイトを装着できるのか。

競技規則に正式に追加するまでには明らかになっていて欲しいですね。


ベアボウインドア、来年の矢を設計してみる。

ベアボウアウトドアはフィールド競技の80cm的の流れをくむので、一定のセッティングの目安がありましたが、ベアボウのインドア競技が正式競技になったのは、本当に近年のことなので、どのような矢が適しているのかという多くの人が賛同する目安はまだないように思います。

上が28径のウルトラライト、下が最大口径のXバスター

議論の中心となっているのは、0.28径(ウルトラライトやSD19)を正しいスパイン(600/700)・セッティングで使うのか、コンパウンドで一般的な最大径のシャフト(400/500)に重めのポイントで無理やり飛ばすのかのだと思います。

アメリカのJohn Demmer選手は前者でCXのPro RZ Recurve(現在入手困難)シャフトを使用しており、スウェーデンのErik Jonsson選手は最大径のNVX23(2018年モデル)を使用していて、両方ともに結果を残しています。600番-700番で最大口径のシャフトがあれば、両方のメリットを享受できるのですが、現状選択肢として該当するシャフトが存在しません。X10やACEのようなシャフトで挑むトップ選手はあまりいないようです。

ということで、テストとして、両方を作ってチューニングして、その中から自分にあうものを選択するのが正しいやり方ではありますが、試合が2月後半までしかなく、実質6週間程度の中で、両方のチューニングまで完了できるか自信がないので、今シーズンは現在のXバスターである程度練り上げた最大径のチューニングを引き継げる9.3mm径のシャフトだけにして、0.28径の方は来シーズンの課題にとっておくこととします。

さて、先日RX-7について調べ直して書きました。テーパー型のアルミシャフトでシャフトに重量があるので、420番でGPI10.4、ポイントを軽くすることができます(同じ重さの矢を作る場合)。その逆の性質を持つシャフトとして、Black EagleのPS23シャフト。ストレートのオールカーボンシャフト、500番でGPIは7.1で28インチのシャフトを作る場合、80gr程度重いポイントとなります。

A イーストン RX-7 / アルミ / テーパー / ノーマルポイント / ヘビーシャフト

B ブラック・イーグル PS23 / カーボン / ストレート / ヘビーポイント / ノーマルポイント

現在の矢が540grなので、同じくらいの重さ(重さがあまり違うと現在のチューニングを引き継げない)で2タイプの矢を作って比較したいと思っています。次の試合がもう2週間後なので、最初は現在のXバスターに近いPS23で挑む予定です。

(第一章 とりあえずやってみる)

7月  ベアボウにチャレンジ開始

8月 初試合 486点

9月 514点

10月 526点

11月 534点(274-260) / インドア 429点

12月 インドア 431点 

(第二章 道具とチューニングを探る)

12月 シャフトの変更

1月15日 町田インドア


RX7という不思議なシャフトを考える。

先週から始まったベアボウ第2章の道具編のために調べ物をしていたものを整理しています。ただ、チューニング用パーツのアジャスタブルポイントとウェイト(赤で囲んだもの)の製造が遅れており、来年1月中の納品は無理とのことでした。

RX7に関しては2つ記事を書きましたが、いまいちこのシャフトの正体をつかめずにいました。世界的にも2019年に発表されてから、このシャフトより低価格のX23は世界戦で見かけても、価格的に上位モデルのRX7はほぼ見たことがなく、存在意義を理解できずにいました。

今回自分が使うベアボウインドア用シャフトを選定するときに選択肢に入れて検討してみましたところ、まず、ノックについて自分の理解が足りていないことが判明していました。カタログは定期的に見直すものですね…。

イーストンカタログ2015
イーストンカタログ2022

イーストンは近年までSサイズとLサイズのノック溝のデータしか公開してきませんでした。Sは088″でLは098″とされてきました。しかし、2022年のカタログではデータを一新し、Sサイズを096″、Lサイズを112″に変更してきました。メーカーに確認中ですが、Gノックのサイズが変わるというのは大きなニュースですので、発表されていない以上、測定方法が変わっただけだと思います。

それに伴い、Hノック、マイクロライト・スーパーノック、マイクロライトノック、Xノック、3Dスーパーノックのデータが公開され、Nノックなどは今まで通りデータがないという状態です。どういうポリシーはちょっとわからないのはさておき、今までSとLしかないという認識でしたが、細かくサイズが分かれていることがわかります。

– Sサイズ 096″ Gノック Sサイズ

– 103″ 3Dスーパーノック

– 108″ マイクロライト・スーパーノック

– 111″ Hノック / Xノック

– Lサイズ 112 Gノック / マイクロライト 

111と112に違いはほぼないので、3Dスーパーノックが中間のMサイズ、マイクロライト・スーパーノックはLよりのMサイズのノックとなります。サイズから読み取れることは、111/112サイズはコンパウンド用です。というのは、リカーブのアーチャーは自分が作ったり、サイズを選んで購入しますが、コンパウンドでは、弦のサイズ(太さ)は購入時についているものが標準設計で、色だったり、素材を変更する人はいても、太さを変更することは設計時の性能を損なうので、ほとんどの人はやりません。

となると、103と108は高ポンドのリカーブで弦を太くしたとき、またはベアボウで太い弦を選択したときにフィットする弦に合わせての設計と考えられます。ラインナップを見ても確かに、柔らかくても、500番くらいまでしかない、硬いスパインのシャフト(6.5mm/0.246″)用のノックとして販売されています。

ということで、2019年に書いたこのレビューは正確ではないということになります。というよりか、このような勘違いを払拭するためにイーストンは自身のノック溝の径を2サイズではなく、5サイズあると公表したとも考えられます。

以上、096よりは太いものの、3Dスーパーノックを使用すれば、ストランドを2本追加した弦でリカーブで使用できるノック溝となるので、RX7をリカーブで使用することに問題はありません。

では、多くの実績のあるX23とRX7の違いといえば、スパインです。テーパー設計にすることで、WA最大径のRX7 420 = X23 2315 340 は80番柔らかく射つことができます。自分でもリカーブのときには450番のシャフトを使用していたので、400番のスパインというのはトップアーチャーにとっては、無理に硬いシャフトを射つことなく、正しいスパインとして、最大径のシャフトを選択できるのがメリットとなります。これはチューニングとしては、軽いポイン、正確に表現すればヘビーポイントではなく、通常のポイントを選択でき、リリースによるミスの低減を可能にします。リリースによるミスがほぼないコンパウンドでは有効ではないです。

ただ、前の記事でも取り上げましたが、RX7 525 = X7 2114 506でX7とほぼ違いはありません。イーストンの説明を見ても、RX7に関していえば、420番が本来の設計された性能を発揮する唯一のサイズで、残る2つに関しては、RX7もどきといったところだと思います。525のテーパーは0.0032″(=0.082mm)で0.1mmもありません。

さらに、今回の記事を書くきっかけとなった自分のベアボウシャフトで言えば、ベアボウは一般的には高ポンドを使わないので、最大径の23を選択でき、かつ、それを80番柔らかい状態からチューニングをスタートできるRX7-420は選択肢としてかなりありではないかと思います。